応募者を集めるための取り組みである母集団形成。どんな母集団を形成するかで、採用活動の結果は大きく変わってきます。採用活動を効率よく行うためには、人員を選ぶのに必要な人数を集めるためというだけでなく、入社後の適性を見据えた母集団形成を行うことがポイントです。
本記事では、母集団形成が注目される背景、形成がうまくいかない原因とその対策、母集団形成の手法11種類とそれぞれの特徴などを解説します。
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母集団形成とは

「母集団」は、日常生活ではあまり耳慣れない言葉かもしれません。元は統計学の用語で、調査対象となるデータ全体のことを指します。
採用活動において、母集団は「自社の求人に応募してくれた応募者の集団」のことを意味し、母集団形成はこの集団を形成すること、つまり、応募者を集める取り組みのことを指します。
採用活動では、書類選考、筆記試験、面接などの選考活動を経て少しずつ候補者が絞られていきます。選考を辞退する候補者や、内定を辞退する候補者がいることも念頭に置かなければなりません。
例えば下の図のように入社人数を15人と想定した場合、母集団形成ができていない場合は最終的な入社人数が8人となるケースも想定されます。計画していた人数を採用することもままならなくなってしまうのです。

ただし、ただ人数を多く集めればよいというわけではなく、自社の人材要件に合致する人材を集めることが大切です。人材要件に合致しない人材を多く集めて母集団形成をしても、選考通過に至らず、採用に結びつかない可能性があるためです。
母集団形成が注目される背景

近年、採用活動では母集団形成が重要視されていますが、その背景にあるのは15歳から64歳までの生産年齢人口の減少による売り手市場です。
総務省が発表した資料によれば、生産年齢人口は、2020年の7,341万人と比べて2025年には7,085万人と256万人減少、2060年には4,418万人と、2,923万人減少する見込みです。

この働き手不足により、優秀な人材を採用することが難しい売り手市場の状況が今後も続くものと考えられます。採用市場が売り手市場か買い手市場かを見る「有効求人倍率」(季節調整済、新規学卒者を除きパートタイムを含む)を見ると、2014年以降は1以上で推移し一貫して売り手市場となっています。

こうしたことから、企業間の採用競争が激化し、母集団形成を強く意識しなければならない状態になっていると考えられます。
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母集団形成を行うメリット

母集団形成を行うメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。四つの項目に分けて解説していきます。
計画的に採用活動を進められる
一つ目のメリットは、計画的に採用活動を進められることです。
母集団形成を意識せず、「なんとなく」の採用活動では思うような成果が得られません。目標採用人数に届かなかった、採用したものの意図していたターゲットとは異なる人材だったなどといった結果を招いてしまいます。
成果を得るためには、自社の求める人材の要件や、目標採用人数などをふまえたうえで母集団形成を行う必要があります。求める人材の定義などを行い母集団形成することで、計画的な採用につながります。
採用コストの適正化を図れる
二つ目のメリットは、採用コストの適正化を図れることです。
母集団形成を意識して採用活動を行わない場合、「応募者が全然集まらなかった」、逆に「応募者が集まりすぎた」といった事態になり、採用コストが当初の予定よりもかかることがあります。求人広告の掲載延長による追加費用や、本来は不必要なはずの従量課金、あるいは新しく募集を行うための金銭的・人的コストなどが発生してしまうのです。
どのような人材を何名集めるための採用なのかを明らかにして母集団形成を行うことで、採用コストの適正化を図れます。
採用のミスマッチを防げる
三つ目のメリットは、採用のミスマッチを防げることです。
意識的に母集団形成を行えば、どのような人材を採用するのかを洗い出したうえで採用計画が進みます。それに伴い適切な母集団形成の手法を選択することができ、求める人材の要件に合致する応募者を集められる可能性が高くなります。
一方、なんとなくの求人によって母集団形成を行った場合、求める人材の要件からかけ離れた応募者が母集団に含まれることがあります。これらの応募者に対応することで新たなコストがかかるでしょう。
最初から人材要件に合致した応募者を中心として母集団形成を行うことで、採用のミスマッチを防ぐことが可能となります。また、カルチャーフィットした人材や、人材要件に合致した人材を中心として母集団形成ができれば、採用後も定着や活躍が期待できます。
経営目標への貢献につながる
四つ目のメリットは、経営目標への貢献につながることです。
ここまで解説してきた計画的な採用活動、採用コストの適正化、採用のミスマッチ防止は全て自社の経営目標への貢献につながるものです。安定的かつ継続的な事業の成長に寄与するでしょう。特に採用コストの適正化は、財務の面でも貢献度が高いといえます。
母集団形成がうまくいかない原因と対策

採用活動では、母集団形成がうまくいかないこともあります。主な原因と、それぞれの対策を解説します。
求める人材の要件が適切に定義されていない
応募のための条件が厳しすぎるなど、人材要件を絞りすぎていると、そもそも対象者が採用市場に少ししかいないという状態になり、母集団形成が数的に厳しくなることもあるでしょう。一方で、応募のための条件を緩めすぎると、母集団の質に問題が生じる可能性があります。
どちらにしても、求める人材の要件を適切に定義せずに母集団を形成すると、採用のミスマッチが生じてしまいます。
対処法は、求める人材の要件のバランスを考慮し具体的に定めることです。その際、必ず満たしてほしい必須条件と、できれば満たしてほしい希望条件を分けて考えるとよいでしょう。また、できれば避けたい条件や、絶対に避けたい条件についても考えておくことで人材要件がより具体的になり、選考の際も迷いが生じにくくなります。
求める人材の要件は、採用市場のトレンドや競合の動きなども考慮したうえで、無理のないものにすることが大切です。
企業の認知度が高くない
企業の認知度は、母集団形成に影響を及ぼすことがあります。
転職活動をしている人が応募できる企業の数には限りがあります。応募者自身がもともと知っている企業からエントリーしがちになることは当然といえるでしょう。また、認知度が高くない企業は、検索条件などではじかれてしまったり、応募者の目にとまらなかったりして、そもそも求人情報が求職者に届いていないこともあります。
一般的に大企業よりも中小企業のほうが認知度は低いものですが、「事業規模が小さいほど人手不足である」というデータもあります。
日本銀行が発表する「全国企業短期経済観測調査」(短観)の雇用人員判断 D.I.の推移を見ると、大企業は-14、中堅企業は-23、中小企業は-28。いずれもマイナスで人手不足感がありますが、なかでも中小企業が一番人手不足となっています。次いで中堅企業が人手不足で、大手は人手不足感が最も低い値となっていることが分かります。
このことから、事業規模が小さくなればなるほど認知度も低く人手不足であるという状況が見て取れます。

対処法は、採用広報や採用ブランディングにより、企業の認知度を高めていくことです。採用オウンドメディアやSNSによる発信も、企業の認知度や理解度を高めるために効果的です。地方の場合は、地元の情報誌やラジオなどで露出を増やすことも有効でしょう。
条件面で競合に劣っている
同じような求人内容であれば条件面で勝る企業に応募したいと考えるのが自然です。そのため、条件面で競合に劣っている場合は、母集団形成が困難になりがちです。
また、一般的に大企業のほうが条件面で優れていることが多いため、前述した事業規模による人手不足感の違いは、認知度だけでなく条件面にも原因があるといえるかもしれません。
対処法は、まず制度や労働条件の見直しです。具体的には下記のような項目を見直すとよいでしょう。
- 給与
- 労働時間
- 休暇
- 勤務場所
競合と比較した際に応募者にとって魅力的なものであるか検討し、改善できる部分については改善していきます。また、組織の改革によって、より働きやすい環境を整えられるかもしれません。
しかし、制度や労働条件の見直しや組織の改革は簡単にできることではないため、現実的には難しいという企業も多いでしょう。
条件面で競合に劣っている部分があっても、それを打ち消すほどのメリットを別途打ち出せれば、自社を選んでもらえる可能性は高くなります。例えば自社で働くことによって得られるスキルや経験、他にはない研修制度をアピールすることなども有効です。
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母集団形成のステップ

母集団形成は段階をふんで行うことが大切です。1ステップずつ確認していきましょう。

採用の目的を明らかにする
まずは今回の採用は何のために行うのかを把握し、採用の目的を明らかにしましょう。その際、ただ「欠員補充」や「増員」というだけではなく、「業界シェア50%を達成するため、あと10%シェアを伸ばすために増員する」といったように、具体的な採用目的が必要です。
目的を明確にすることで、どのような人材がいつまでに何名必要か、採用計画が見えてきます。
人材要件の定義
次に、どのような人材を採用するか、人材要件を定義しましょう。前述した採用の目的を達成するためには、どのようなスキルや経験、特性を持つ人材を何人採用すれば目標を達成できるかを検討します。
前述した「業界シェア50%を達成する」という例で考えると、1人当たり何%シェアを伸ばさないといけないのか、そのためにはどのようなスキルや経験が必要か、と一つ一つ検討していきましょう。
採用スケジュールの策定
人材要件を定義した後は採用スケジュールを策定します。まずは、採用の目的を達成するためにはいつまでに入社してもらう必要があるかを確認し、その期限から逆算して、内定、面接、書類選考、募集とスケジュールを立てていきます。
各プロセスでの母集団の人数をあわせて想定しておくと、最終的な採用予定人数に近づけやすくなります。
採用手法の決定
採用スケジュールが決まったら、今回採用したい人材の要件をふまえて、最適な採用手法は何かを検討し、決定します。
どのような人材をターゲットとするかによって適切な採用手法は異なります。詳しくは後述する「母集団形成の手法11種類とそれぞれの特徴」の項目を参照してください。
募集を開始する
実際に募集を開始します。策定した人材要件やスケジュール、採用手法に従って採用活動を進め、母集団を形成していきましょう。
募集の際には、ターゲットを見据えたメッセージを考え、伝えることが大切です。そうすることで、自社が求める人材、自社に定着して活躍してくれる可能性の高い人材からの応募が期待できます。
採用活動の進捗確認や振り返り、改善の実施
採用活動を始めたら、定期的に進捗の確認や振り返り、改善を実施します。数的・質的に十分な母集団形成ができたか、スケジュールや採用手法に関しても計画通り進められたかを検討しましょう。
採用活動終了後は、採用の成果についても振り返ります。改善すべき点を洗い出し、次回の採用活動につなげていきましょう。
母集団形成の手法11種類とそれぞれの特徴

母集団を形成する際は、採用したい人材の特性に合わせて、その手法をよく検討し選択する必要があります。以下の11種類の手法について、その内容とメリットを解説します。
- 求人サイト
- 特化型求人サイト
- 求人情報誌
- ハローワーク
- 人材紹介
- ダイレクトリクルーティング
- 採用Webサイト
- 採用オウンドメディア
- SNS
- 会社説明会、合同説明会
- インターンシップ
求人サイト
求人サイトは、さまざまな企業の求人が集まるWebサイトです。地域の制限は原則としてなく、掲載できる情報は求人情報誌などと比較すると多めです。幅広く募集をかけられる点がメリットといえるでしょう。新卒採用、中途採用のどちらにも向きます。
ただし、求人情報を掲載した時点で料金を支払う「掲載課金型」が一般的なため、採用につながらなくてもコストが発生する点や、求人の件数が多いため、見てもらえない可能性がある点には留意する必要があります。
また、設定された検索条件によっては検索結果から外されてしまうケースがあるため、キーワードの設定には注意を払いましょう。求める人材が好むキーワードや、検索しそうなキーワードを含めておくことが大切です。
特化型求人サイト
特化型求人サイトは、特定の業界の求人に特化したWebサイトです。自社が属する業界で働く意向のある人を集めやすいことがメリットで、専門性が高いため、特に中途採用に向きます。
ただし、もともとその業界に興味がある人だけが特化型求人サイトを閲覧する傾向があることから、全く興味のない人にアプローチすることはできないでしょう。そのため、応募者数が伸び悩む可能性もあるという点に留意する必要があります。
求人情報誌
求人情報誌はさまざまな企業の求人情報が掲載された雑誌媒体です。有料のものと、無料のものがあり、基本的にどちらもエリアごとに発行されているため、地元での求人に強いといえます。中途採用の場で多く活用されています。
紙媒体であることから、じっくりと検討してもらえるというメリットがありますが、手にしなければ読めないので、不特定多数にリーチすることは難しいといえます。また、掲載できる情報量が限られる点や、応募者や内定者がいてもいなくても、掲載料が必要になる点にも留意する必要があります。
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ハローワーク
ハローワークは厚生労働省が全国500カ所以上に設置する公共職業安定所で、求人情報の掲載にあたって費用がかかることはありません。メジャーな求人の募集方法であり、広い範囲に告知できることがメリットです。掲載できる情報量も比較的多いでしょう。
一般的には中途採用に向きますが、新卒者のための「新卒応援ハローワーク」が各都道府県に1カ所以上、全国では56カ所に設置されているため、これらを活用することも可能です。
ただし、新卒採用・中途採用ともに手続きが煩雑で情報修正にも時間がかかることや、面接などのスケジュール調整はハローワークを通じて行わなければならないことなど、他の手法に比べ自由度が低い点に留意する必要があります。
人材紹介
人材紹介会社に希望する人材の要件を伝え、その会社に登録している転職希望者を候補者として紹介してもらう手法です。人材要件にある程度マッチする候補者のみでの母集団形成が可能な点がメリットです。
また、人材紹介会社のキャリアアドバイザーなどが候補者にアプローチし、自社の魅力を交えて説明をしてくれることで、入社の意向がより高まる場合もあります。さらに、非公開で採用活動を進められるため、新規事業のための人材獲得など、一般に公開したくない求人などにも活用できます。
人材紹介会社は採用が決まった後に報酬を支払う成果報酬型が多いため、採用が決まるまでは基本的に費用が発生しません。採用できずにコストばかりがかかるという状態は避けられますが、成果報酬は理論年収の30〜35%程度と比較的高額です。大量に人員を採用する場合は、採用コストがかさむ可能性がある点に留意する必要があるでしょう。ただし、かかるコストの想定がしやすいという利点もあります。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業側が「欲しい」人材を採用するために、企業自身が採れる手段を主体的に考え、能動的に実行する採用手法のことです。
求職者が登録するデータベースを用いて、企業から直接スカウト文を送りアプローチするなどの方法があり、自社の求める人材要件に合致する人材や、魅力的な人材に直接自社の魅力を訴求できます。アプローチする人材を企業側が選べるため、人材要件に合致した母集団を形成しやすいことがメリットで、中途採用に向きます。人材紹介と同様、非公開求人も可能です。
データベースからの検索、スカウト文の作成、応募対応など工数は多くかかるため、大量採用には向かないと考えられがちですが、ヘッドハンティングや採用代行サービスなどを利用すれば、これらの業務を社外に委託でき、採用担当者の負担を減らせます。
また、自社の社員の紹介経由で人材を採用するリファーラル採用や、自社の離職者や退職者を再雇用するアルムナイ採用も、企業が直接アプローチするという点でダイレクトリクルーティングの一種とされています。これらの手法は自社への理解度が高い状態での採用になるため、採用のミスマッチを回避しやすいことがメリットです。
採用Webサイト
自社の公式Webサイトとは別に、採用に特化した自社Webサイトを作成して母集団形成を行う手法です。求人の要項だけでなく、自社の事業内容や制度・待遇について、社員の働く姿などを、情報量の制限なく自由に掲載できる点がメリットです。新卒採用・中途採用のどちらにも向く手法といえます。
一般的に応募者は求人サイトを経由して採用Webサイトにたどり着くケースが多いため、採用Webサイト単独での募集は難しい点は留意する必要があります。しかし、採用Webサイトを読み込み、自社のありように共感を抱いた応募者のみが集まれば、マッチ度の高い母集団形成が可能になります。
サイトの制作費用や、効果が出るまでにある程度の時間を要することなどを考慮しておくほか、サイトの作り込みとサイトへの流入をどのように設計するかが焦点となるでしょう。
採用オウンドメディア
近年注目されている採用オウンドメディアは、数年で内容がリニューアルされる採用Webサイトとは異なり、基本的にコンテンツを刷新するのではなく積み上げていく形で運営されます。
ブログのような形式で事業の紹介、イベントレポート、社員インタビューなどを通して自社の理念を伝えられる点がメリットで、採用Webサイトと同様に、自社の社風や業務内容に共感した候補者による母集団形成が可能です。新卒採用・中途採用のどちらにも向く手法といえます。
また、魅力的なコンテンツを発信することで自社のファンをつくれ、すぐに転職活動を行う予定のない潜在的な候補者にもアプローチできます。
SNS
Facebook、Twitter、Instagram、LINEなどのSNSを活用した手法のことで、ソーシャルリクルーティングとも呼ばれ、多くの企業は採用Webサイトや採用オウンドメディアと併せて運用しています。
SNSには拡散力があるため、幅広い層にアプローチ可能なことのほか、コストをかけずにリアルタイムで情報を発信できることがメリットで、新卒採用・中途採用のどちらにも向きます。SNSの種類ごとに年代ごとの利用率が異なるため、採用したい層がよく利用するSNSを選びましょう。
また、SNSを用いた採用活動は、利用者の目にとまるよう、定期的な発信が必要です。採用候補者との交流を深める、志向を探るなど、他の活動と併用することで母集団形成への効果を高めていく必要があります。併せて、不用意な発信が炎上のリスクにつながる可能性があることにも留意する必要があるでしょう。
会社説明会、合同説明会
企業が開催する会社説明会や、複数の企業で開催する合同説明会では、求職者と対面で(あるいはオンラインでの対面で)、自社をアピールできることがメリットです。また、合同説明会には多くの転職希望者が集まるため、知名度向上も期待できるでしょう。「IT」「広告」などの特化型合同説明会であれば、属性を絞り込んだうえでアピールでき、マッチ度の高い母集団を形成しやすいと考えられます。
会社説明会・合同説明会のどちらも新卒採用においてよく開催されますが、採用予定数が多い場合は中途採用でも開催されます。ともに、応募や採用につながらなくても参加や開催のコストが発生する点には留意しておきましょう。
インターンシップ
インターンシップは希望者に仕事を体験してもらう手法のことで、「就業体験」や「就労体験」ともいわれています。短期ならば1日、長期ならば年単位で行われていて、基本的に自社で働くことに強い興味がある人材のみで母集団を形成できる点がメリットです。また、ある程度長期のインターンシップであれば、候補者が自社の業務に向くか、求める人材要件を満たしているかどうかを、業務を通して判断できます。
新卒採用でよく活用される手法ですが、中途採用の場合はインターンシップではなく紹介型派遣などで適正を見るという手法もあります。
母集団形成を行う際のポイント

最後に、母集団形成を行う際に注意したいことを解説します。
ある程度マッチ度の高い人材で母集団を形成する
母集団形成の時点で、マッチ度が高く、採用の可能性が高い候補者を集めることが大切です。そうすることで、マッチ度の低い候補者を選考するコストや、マッチ度の低い候補者ばかりを集めてしまい、採用予定数を満たせずに、募集をかけ直す場合のコストなど、さまざまな選考のコストを削減できます。母集団形成のタイミングと選考のタイミングで2度マッチ度を検討できるため、より正確な判断が可能になるでしょう。
一方、「母集団形成の時点ではとにかく数を集める。マッチ度の高さについては選考で判断する」というやり方では、人件費を含む選考のコストがかさんでしまいます。また、面接や筆記試験だけでマッチ度の高さを測るのは、簡単なことではありません。
マッチ度を見る際は、応募者の持つスキルや経験だけでなく、自社の考え方や社風に合う人物であるかどうか(カルチャーフィットしているか)も検討することが大切です。どちらもある程度満たしていなければ、入社後にミスマッチが起こる可能性があるためです。
採用したい人物像に合わせて母集団形成の手法を選択する
採用したい人物像に合わせて母集団形成の手法を選択することで、マッチ度の高い人材での母集団形成が行いやすくなります。
複数の採用手法を組み合わせることも効果的です。例えば大多数にアプローチできる求人サイトとじっくり自社の魅力をアピールできる採用オウンドメディアなど、互いに補完しあえる方法を同時並行で実施して確実性を高めましょう。複数の手法を選択する場合は、そのボリュームやコストの配分を決めることも大切です。
新卒採用と中途採用でも手法は異なります。新卒採用の場合は会社説明会による大規模な母集団形成や、インターンシップを通してじっくりと母集団形成する方法などが有効です。中途採用、特に欠員補充の場合は求める人材要件がよりはっきりしているため、ダイレクトリクルーティングで求める人材に直接アプローチするほうが、母集団の数は大きくないものの、効率がよくなることが多いといえます。
求める人材に響くメッセージを届ける
候補者側の視点を持つことも大切です。「自社が求める人材にとって魅力ある情報は何か」を考え、興味を持ってもらいやすいメッセージを作成して届けましょう。そうすることで、自社のビジョンに共感する人材で母集団を形成でき、入社後のミスマッチ防止につなげられます。
また、どれだけよいメッセージを掲載していても、母集団形成のための採用Webサイトや採用オウンドメディアなどが見にくく操作性に優れていなければ、候補者が応募に至らないこともあります。ユーザビリティに配慮した画面設計は、候補者の問い合わせや応募に結びつくポイントでもあるという点にも留意して採用活動を進めましょう。
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まとめ

いかにマッチ度の高い人材を集められるかが母集団形成のポイントです。やみくもに応募者の数を集めても選考のコストが増大するだけでなく、遅かれ早かれミスマッチが発生し、候補者にとっても企業にとってもデメリットが大きくなってしまうでしょう。
中途採用においては、人材要件に合致した母集団を形成しやすいダイレクトリクルーティングが効果的です。マッチ度の高い人材を探してアプローチできるビズリーチのダイレクトリクルーティングを一度検討してみてはいかがでしょうか。
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