企業にとって重要な採用活動。採用につながる人材もいる一方で、不採用になる応募者も出てきてしまいます。不採用の通知は、受け取る側はもちろん、送る側にとっても気が重いものです。
そこで本記事では人事・採用担当者向けに、不採用通知メールの書き方や、送る際の注意点を紹介します。そのまま使用できるテンプレートを数多く記載するのはもちろん、一度不採用にした応募者に再び連絡を取る方法も解説していきます。企業の採用活動にぜひ生かしてください。
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不採用通知メールとは?

「不採用通知メール」とは、採用選考で不合格になったことを応募者に伝えるメールのことです。人事の採用担当者や経営者は、送る機会が多いと思います。ただし、ほとんどの場合、不採用通知メールは受け取る側にとってだけでなく、送る側にとっても気の重いものです。
しかし、不採用通知メールは、企業にとって「応募者へのお礼」でもあり「応募者との今後の関係性」を決める重要なものになるため、誠実に作成するように意識しましょう。
不採用通知メールの必要性
応募者・企業ともに気が重く感じる不採用通知メールですが、なぜ、送る必要があるのでしょうか? 就職活動において、応募者は複数の企業に同時に応募している可能性があります。そのため、不採用の場合は別企業への転職採用を進めるなど、判断の材料にできるため、採用・不採用の結果を早めに知りたいと考えています。
不採用通知メールを送るのに時間がかかってしまったり、通知をしないままにしてしまったりすると、応募者に不満や不信感を抱かせかねません。たとえ不採用になった応募者でも、この先、自社と取引のある企業に就職したり、自社の顧客になったりする可能性があります。
そのため、不採用の場合でも、誠意のある不採用通知メールを送る必要があります。気軽に情報を発信できる現代では特に、ネガティブな評判を就活口コミサイトやSNSに書き込まれる可能性も踏まえておくことが大切です。
不採用通知メールを送るタイミング
不採用通知メールに関してとても重要な要素は、送るタイミングです。今後も就職活動を続ける応募者に配慮して、不採用通知メールは早めに送るようにしましょう。
ただし面接した当日など、あまりに送るタイミングが早いと、しっかりと選考していないような印象を応募者に与える可能性があります。そこで、面接日の翌日から3日以内、遅くとも1週間以内に連絡するのが理想です。
もちろん、応募者があまりに多かったり、他の応募者の面接までに期間が長くあったりして、選考に時間がかかる場合もあると思います。それでも一切連絡がないまま1週間をすぎれば、不安を感じはじめる応募者も多くなるでしょう。結果の通知が1週間を過ぎてもできない場合には、選考が予定より遅れている旨を事前に連絡するようにします。
また、応募書類の返却が遅れそうな場合も、事前に連絡しておくとよいでしょう。
電話・郵便ではなくメールでいい?
以前は電話や郵便で不採用通知を行うことが一般的でした。しかし現在は、メールで連絡する企業が多くなっています。企業としては採用業務を効率化でき、応募者側も比較的早く結果を知ることができるため、メールで不採用通知を行うことは双方にとってメリットがあります。
ただ、電話での不採用通知も、もちろん悪い方法ではありません。直接、応募者と会話ができるため気持ちが伝わりやすく、誠意を見せられるというメリットがあります。
しかし、望んでいない内容を応募者本人に伝えなければならないという心理的負担がかかることや、応募者一人一人に電話しなくてはならないため、時間的負担も大きく、メールでの通知に比べてデメリットが数多くあります。そうしたデメリットを考慮してか、近年ではほとんどの企業がメールでの不採用通知を行っており、メールでも、応募者は悪い印象を抱きにくいといえるでしょう。
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電話での会話例
不採用通知をメールで行うメリットもありますが、緊急の場合は電話で伝えるのもよいでしょう。ただし、その際には何点か注意が必要です。
まず、応募者に電話をかける時間帯に注意しましょう。応募者の就業時間帯や就寝の時間帯を考慮します。また、不在時には再び連絡する旨の伝言を残しましょう。
次に、電話で内容を伝えるだけでなく、メールにも残しておくようにします。電話の場合、聞き間違いなどが生じ、後ほど「言った」「言っていない」などのトラブルにつながる懸念もあります。電話での会話内容を、追ってメールでも送信し、文面にして残すようにします。
これらの注意点に気を使いながら、電話にて不採用を通知する場合の会話例を以下に紹介します。
株式会社■■■の採用担当▲▲です。
◯◯ ◯◯様のお電話で間違いございませんか?
ただ今、少しだけお時間をいただいてよろしいでしょうか?
このたびは弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
社内で慎重に検討しました結果、残念ながら採用を見合わせることとなりました。
ご希望に沿うことができず、大変申し訳ございません。
◯◯様の今後のご活躍をお祈り申し上げます。
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不採用通知メールの書き方

不採用通知メールを送る際には、文面の書き方に気をつける必要があります。内容によっては、応募者に誤解を与えてしまうこともあります。
基本的なメールの構成内容は以下になります。
- 件名
- 宛名
- 挨拶・謝意
- 選考結果
- 応募書類の取り扱い方
- 署名
件名の書き方や宛名の書き方一つで、応募者がメールに気づけない場合もあるので、特に気をつけるべき点について、次で解説していきます。
内容がわかる件名にする
不採用通知メールの書き方で最も重要なポイントは、件名である程度の内容が伝わるようにすることです。
転職活動中の応募者には、エントリーした企業や転職サービスなどから、多くのメールが届いているでしょう。自社からの不採用通知メールが受信トレイ内に埋もれ、未読のままにならないように、件名だけで選考結果の連絡だと理解できるように配慮します。
件名に自社名を記載すると、どこから送信されてきたメールか、応募者はひと目で判断できます。また、【】や『』を冒頭に使用することで、不採用通知メールも目に留まりやすくなります。
■件名の例
【選考結果のご連絡】株式会社◯◯◯
宛名はフルネームで明記する
応募者の宛名は、必ずフルネームで明記するようにします。
応募者数が多い場合、「佐藤」「鈴木」など、同じ名字の応募者が複数名いることもあるため、宛先に誤りがないように注意します。
「貴殿」などと記載すれば、たしかに誤りは防げます。しかし、テンプレートを使って、事務的に連絡されたと受け取られる場合もあるので、不採用通知メールに「貴殿」と記載することはなるべく避けましょう。
また、氏名も個人情報であるため、誤って別の人に送らないように送信前に宛先と宛名が合っているか、念入りにチェックするようにします。
感謝の気持ちを表す
不採用通知メールは自社を代表して送るものなので、感謝を伝えることを忘れないようにすることが重要です。
応募者が多くの企業のなかから自社を選んでくれたことや、面接などで足を運んでくれたこと、貴重な時間を割いてくれたことなどに感謝しましょう。
例えば、本文を「弊社にご応募いただき、ありがとうございます」といった感謝の言葉でスタートさせるのも効果的です。
また、メールの文面では「不採用」と表現しないように配慮します。「今回はご希望に沿いかねるという結果になりました」のように、できる限りやわらかい表現を用いて、応募者を気遣います。
また、不採用通知メールでは時候の挨拶は不要です。メールの場合は、「拝啓」「敬具」といった、頭語、結語も必要ありません。
選考結果は簡潔に記す
選考結果を簡潔に記す点も重要なポイントです。
不採用通知メールを送る場合、不採用に至った詳細な理由を応募者に伝える必要はありません。なぜなら、どういった理由であれ、応募者にとって納得できるものとは限らないからです。
ただし、不採用の結果のみを伝えてしまうと「事務的なメール」と受け取られる懸念があります。「今後の成功をお祈りしています。」など、応募者を気遣う言葉を添えて、人と人のコミュニケーションであることを意識します。
あまり多くはありませんが、応募者側から「不採用の理由を聞きたい」と言われる場合もあります。その場合は、「志向性・目指す方向性に違いを感じた」「ご経験・スキルを検討したものの、現時点で弊社が求めているものと異なった」などと伝えるとよいかもしれません。
もちろん、そこまでする必要はないと感じる人もいるかもしれませんが、不採用通知メールで何より重要なのは誠実さです。応募者とのあいだに、少しでもわだかまりが残らないように対応しましょう。
応募書類の取り扱い方も明記する
不採用通知メールのなかで、応募書類の取り扱いについても伝えるようにします。
就職活動で送付する応募書類には、応募者の氏名や住所、電話番号など、個人情報が記載されています。不採用になった場合、どう扱われるか不安に感じる人も多いので、書類の取り扱いについて記載し、誠実な姿勢を伝えるようにします。
返却が難しい場合は、「弊社で責任を持って破棄します」などと記載するようにしましょう。
郵送で返却する場合、不採用通知メールに「追って、郵送にて返却します」と記載しておけば、基本的に送付状は不要です。ただし、「不採用にしてしまって残念である」気持ちを伝えるために、添付しても問題はありません。その際、社判は必要ありません。
封筒に宛名と差出人を記載するときには、応募者の宛名、住所は履歴書の住所欄を参照して書くようにします。建物名まで省略せずに正しく書くようにしましょう。差出人欄には、自身の部署名まで記載するようにします。プライバシーの問題があるため、封筒に「不採用結果の通知」など、結果の内容を記載しないようにする点も重要です。
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【テンプレート】不採用通知メールの文例(ケース別)

ここからは、選考段階ごとの不採用通知メールの文例をテンプレート化して紹介します。
不採用の旨を通知するという点は同じでも、送るケースはさまざまです。どの選考段階での不採用だったか、選考の方法などによって送るメールの文面は変わります。
先述したように、選考後に応募書類の返却が必要な場合もあります。デザイナーなど、職種によっては、エントリーや面接の際に作品集やポートフォリオなどを受け取るケースもあるでしょう。
例を以下4つに分類して、不採用通知メールの例文を紹介します。例文を参考にして、自社や応募職種などに合わせた内容に書き換えて活用してください。
- 書類選考での不採用(書類返却なし)
- 書類選考での不採用(書類返却あり)
- 面接での不採用(書類返却なし)
- 面接での不採用(書類返却あり)
書類選考での不採用(書類返却なし)
件名:【選考結果のご連絡】株式会社■■■
◯◯ ◯◯(応募者のフルネーム)様
株式会社■■■の▲▲と申します。
このたびは、数ある企業のなかから弊社にご応募いただき、誠にありがとうございます。
応募書類をもとに慎重に選考した結果、誠に残念ではございますが、今回はご希望に沿いかねるという結果となりました。
大変恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、お預かりした応募書類につきましては、弊社にて責任を持って破棄いたします。
末筆ではございますが、◯◯様のこれからのご活躍をお祈り申し上げます。
株式会社■■■
(署名)
書類選考での不採用(書類返却あり)
件名:【選考結果のご連絡】株式会社■■■
◯◯ ◯◯(応募者のフルネーム)様
株式会社■■■の▲▲と申します。
このたびは、数ある企業のなかから弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございます。
応募書類をもとに慎重に選考した結果、誠に残念ではございますが、今回はご希望に沿いかねるという結果となりました。
大変恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、お預かりした選考書類につきましては、履歴書に記載されておりますご住所に郵送いたします。
末筆ではございますが、〇〇様のこれからのご活躍をお祈り申し上げます。
株式会社■■■
(署名)
面接での不採用(書類返却なし)
件名:【選考結果の連絡】株式会社■■■
◯◯ ◯◯(応募者のフルネーム)様
株式会社■■■の▲▲と申します。
先日は、お忙しいなかご足労いただきまして、誠にありがとうございました。
選考の結果についてですが、社内にて慎重に検討した結果、誠に恐縮ながら今回はご希望に沿いかねるという結果となりました。
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、お預かりしました応募書類につきましては、弊社にて責任を持って破棄いたします。
◯◯様のより一層のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
略儀ではございますが、メールでのご連絡にて失礼いたします。
株式会社■■■
(署名)
面接での不採用(書類返却あり)
件名:【選考結果の連絡】株式会社■■■
◯◯ ◯◯(応募者のフルネーム)様
株式会社■■■の▲▲と申します。
先日は、お忙しいなかご足労いただきまして、誠にありがとうございました。
選考の結果についてですが、社内にて慎重に検討した結果、誠に恐縮ながら今回はご希望に沿いかねるという結果となりました。
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、お預かりした選考書類につきましては、履歴書に記載されておりますご住所に郵送いたします。
◯◯様のより一層のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
略儀ではございますが、メールでのご連絡にて失礼いたします。
株式会社■■■
(署名)
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タレントプールを活用する企業も

そのときは不採用になった応募者や、内定辞退をした応募者などとつながりを持ち続けるため、「タレントプール」を活用する企業も増えています。
「タレントプール」とは、直訳すると「才能の蓄積」という意味があり、ビジネスシーンでは「将来的に採用する可能性がある人材をデータベース化すること」を指す言葉です。
少子化時代の現在、若年層の労働力はますます減少しています。応募者のなかには、ギリギリのラインで不採用になった人や、内定辞退となった人もいます。
例えば急にポジションが空き、「あのときの応募者のスキルが役立つかもしれない」となった場合、再び連絡を取れるようにするのが目的です。一度きりのつながりではなく、継続してつながりを残しておくことも、重要な人事の施策といえます。そうした候補者の管理に便利なツールが、「採用管理システム」です。無料で利用できるものもあり、採用活動の効率化に役立ちます。
ただし、個人情報を残しておく場合、個人情報保護の観点から事前に応募者の了承を得る必要があることに注意しましょう。
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まとめ

採用担当にとっても、応募者にとっても気が重い不採用通知メール。だからこそ、書き方や送り方に配慮して、応募者が不満を抱かないような工夫が必要です。
人事や採用担当者は応募者たちにとっての「企業の顔」になります。それを意識し、不採用になる相手でも「自社と関係のない相手」と思わず、最後まで丁寧に接するように心がけましょう。その積み重ねによって、ポジティブな企業イメージを作り出すことにつながります。
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