昨今、人材採用の現場で聞かれるようになった「アルムナイ」という言葉。アルムナイは、人事領域で使われる場合「企業の離職・退職した人の集まり」を指します。
アルムナイ採用は、外資系企業などでは採用方法の一つとされています。一度退職した元社員を、再び雇用する。この考え方は、雇用の流動性が高まってきた日本でも徐々に普及してきました。
今回は、アルムナイネットワークの活用事例や、アルムナイとのつながりを活用するメリット・デメリット、アルムナイネットワーク構築のポイントなどをお伝えします。
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アルムナイとは

アルムナイ(alumni)という言葉はalumnusの複数形で、「卒業生、同窓生、校友」の意味を持っています。卒業生、同窓生、校友という意味から転じて「企業の離職・退職した人の集まり」を指します。
海外や外資系企業では、アルムナイを再び雇用したり(アルムナイ採用)、アルムナイのネットワークを事業に生かしたりする動きがあります。
アルムナイが注目される背景

外資系コンサルティングファームなどでは一般的なアルムナイネットワークの活用や制度。アクセンチュア株式会社など日本においても積極的にアルムナイ制度を取り入れている企業があります。
アルムナイが注目される背景として、終身雇用の崩壊と人材不足の慢性化があります。企業にとって離職者や退職者も貴重な人的資源であると捉え、再雇用や新たな採用につなげるための関係性を保つことが大切だと考えられているのです。
日本では従来、結婚や介護、配偶者の転勤などによる離職者の出戻り・再雇用制度がありました。一方でアルムナイの考え方は、退職理由にかかわらず「転職者(離職者)」の再雇用や、ネットワーク活用を推進することに特徴があります。
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アルムナイ・アルムナイネットワーク活用の企業例

ここからは外資系コンサルティングファームをはじめ、アルムナイネットワークの活用を行っている企業を紹介します。
アクセンチュア
アクセンチュア株式会社では、アルムナイ向けイベントを年間150以上実施しており、元社員とのつながりを大切にしています。
「アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク」は、世界中約25万人のアクセンチュアの元社員が登録しているポータルサイト。求人情報を探したり、アルムナイ同士や社員とのコラボレーションを推進したりする機能があります。
電通
株式会社電通は、2014年ごろから非公式のアルムナイ・ネットワーク(Ex電通人)が存在しましたが、2019年から公式にアルムナイネットワークづくりが始まりました。
「電通アルムナイ・ネットワーク」には2020年10月現在500人が登録。アルムナイ向けの限定情報の発信や、登録メンバーの近況確認、アルムナイ同士の気軽なメッセージのやりとりなどができるようになっています。
住友商事
住友商事株式会社でもアルムナイネットワークづくりが進んでおり、2019年には「SC Alumni Network」を設立。アルムナイと現役の社員が交流することで、社内外の多様な知見・人的ネットワークが融合し、新たなビジネスチャンスの創出を目指しています。
アルムナイ同士や、アルムナイと社外の人材との交流も含め支援し、よりオープンな企業文化の醸成を図っています。
リクルート
起業家や経営者を多く輩出することで有名なリクルートグループ。リクルートには従来、社員が自主的に集まるアルムナイネットワークが存在します。「元リクルート」「元リク」などの言葉でつながり、「アルムナイ」という言葉が日本で聞かれるより以前から、それらしい取り組みが自然にされてきたといえます。
サイボウズ
サイボウズ株式会社では「育自分休暇制度」という制度があり、離職する際に制度を利用希望する場合は最長6年間、サイボウズへの復帰が可能というものです。サイボウズを退職する人に「またチームに戻れる」という安心感をもってやりたいことにチャレンジしてもらうことが目的になっており、実際に戻ってきた社員の事例もオウンドメディア「サイボウズ式」にて紹介されています。
挑戦の後押しと保証がセットになった、ユニークなアルムナイ制度といえるでしょう。
「なんで会社員に戻ったの?」「コスパがいいからです」──フリーランスから週4会社員×アフリカから出戻り社員、満足ではなく納得しながら働くには | サイボウズ式 :https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m001341.html
アルムナイを活用するメリット

アルムナイやアルムナイのネットワークを活用することで、再雇用につながったり、顧客として関係性継続ができたりなど、さまざまなメリットが存在します。ここからは、アルムナイの活用にはどのような点でメリットがあるのかご紹介していきます。
アルムナイ採用・ネットワークを生かした採用
まず挙げられるのが、「採用」でのメリット。他社に転職して新たなスキルや知識を得たアルムナイが再び自社に戻ってくることで、新たな活躍が期待できるでしょう。
また、アルムナイの活躍や、アルムナイネットワークの活性化は、社会に対して「元○○社の社員」というイメージの可視化になります。そうすることで就職・転職を考えている人のその会社で働く「成長イメージ」となり、入社への後押しになるというメリットになります。
アルムナイの再雇用は、採用・育成コストを抑えることにもつながるでしょう。
アンバサダーやパートナー、顧客として関係性が継続する
2つ目に挙げられるのは「新たな関係性」を築くことができるメリットです。アルムナイのネットワークがあることで、新商品などの情報拡散をしてくれたり、アンバサダーをお願いしたりすることもできるでしょう。
「パートナー企業」や「顧客」としてなど、雇用主と労働者という関係ではない新たな関係性を築ける可能性があることもメリットです。
有力な情報網としての役割
3つ目に挙げられるメリットは、有力な情報網になり得る点です。アルムナイは、多様な企業・業界・業種で活躍しており、その世界の情報を持っています。そこから有益な情報やアイデアを得ることができるのではないでしょうか。
また、自社社員でも顧客でもない第三者の視点で、自社商品などについてのアドバイスをもらうことなども考えられ、アルムナイネットワークはビジネス自体を推進するうえでも、メリットがあるでしょう。
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アルムナイを活用するデメリット

一方でアルムナイの再雇用など、アルムナイ活用・アルムナイネットワークの活用が欠点になる場合もあります。どのような点に注意をすべきか、解説していきます。
在職中の社員への影響
アルムナイの再雇用をしたり、制度化したりする場合「退職してもいつでも復帰できる」と思われてしまう可能性があります。それに伴って、社員のモチベーション低下を招いてしまうと、デメリットになります。
アルムナイの再雇用・制度化を始める場合、再雇用の条件設定や復職までのフローの透明化、在職中の社員への説明などを十分に行うことで、悪影響を抑えることができるでしょう。
情報漏洩のリスクがある
アルムナイは、元社員とはいえ、あくまで外部の人間であることを念頭に入れるべきです。元社員という安心感によるガードのゆるみもあり、社内の機密情報などが漏洩するリスクが高まるでしょう。
アルムナイだからといって油断するのではなく、対外的なリスク管理として、情報をどこまで開示するのか、どのように管理するのか、対策が必要です。
コストがかかる
最後に紹介するデメリットは、コスト面です。アルムナイとの関係を維持するためには、コストがかかります。専用サイトの管理維持費やイベント開催費用などがその例です。
ただし、採用におけるメリットや顧客・パートナー企業として関係性を維持するメリットを考えると、一概に高いコストとはいえないでしょう。状況に応じてどの程度コストをかけるべきなのかが、検討ポイントになります。
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アルムナイ活用・アルムナイネットワーク構築のポイント

アルムナイの活用・アルムナイネットワークの活用は制度化せずとも可能です。自社を離れた人材と継続的に関係性を持つことで得られるメリットは多くあるでしょう。
最後に、アルムナイ活用・アルムナイネットワーク構築のポイントを解説します。
退職後も、つながり続ける価値のある社員・企業であること
アルムナイとつながり、よい関係性を保つにはまず、アルムナイ自身がつながり続けたいと思える社員がいたり、企業カルチャーがあったりすることが大切です。
キャリアアップや家庭の都合、学び直しなど、企業を離れる理由は人それぞれです。終身雇用が崩壊し、雇用の流動化が進む今、他社に転職した人材を「裏切り者」とする風潮などがあっては、アルムナイの活用やアルムナイネットワークの構築は難しいでしょう。
アルムナイについての考え方を社員に対して説明・研修など行うことで、つながり続けるメリットを伝えたり、カルチャーを醸成したりすることが第一歩です。
異なるカルチャーを受け入れる姿勢がある
アルムナイ活用のポイントとして、自社の受け入れ態勢ができていることも重要です。雇用の形に柔軟性を持たせ、場合によっては業務委託などで受け入れることも検討できるでしょう。
また形式上だけではなく、多様な価値観を持った人材や、他社で培ったカルチャーを持った人材を受け入れる姿勢・風土があることでアルムナイ活用は前進すると考えられます。
イグジットマネジメントの強化
アルムナイ制度で退職者を再雇用したり、アルムナイに活躍してもらったりするためには、そもそも円満退職できていることが大切です。そのためには「イグジットマネジメント」に注力するのがポイントです。
イグジットマネジメントとは、雇用の出口に関する計画や管理のこと。雇用関係の解消を戦略的に実施し、組織の新陳代謝が健全に行われるようにする目的があります。
例えば、起業のサポート制度を整えたり、個人個人の状況やキャリアに合わせた離職の提案をしたりすることが考えられます。
アルムナイの活動やアルムナイネットワーク化を支援する取り組み
アルムナイのネットワークは自然にできることもありますが、大抵の場合は企業自体が呼びかけたり、インターネット上にポータルサイトを作ったりするなどしてネットワーク化を図ります。
ポータルサイトはハードルが高い…という場合は、アルムナイ同士やアルムナイと社員が情報交換できるイベントなどを開催してみたり、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のグループ機能を活用したりすることで、ネットワーク化を推進できるのではないでしょうか。
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