企業がインターンシップを実施するメリットとは? 実施の方法や手順も解説

企業がインターンシップを実施するメリットとは? 実施の方法や手順も解説

深刻な人手不足が続くなか、求人市場は圧倒的な売り手市場となっており、人材獲得競争は激しさを増しています。これまでのように、求人を募集すれば多くの応募が集まるということは少なく、人材採用においても他社との差別化が求められる時代になりました。

このような背景もあり、多くの企業では自社にマッチした人材を採用するためにインターンシップという制度を導入しています。この記事では、企業がインターンシップを実施するメリットについて詳しく紹介するとともに、インターンシップの導入方法や手順についても解説します。

人材獲得競争の勝ち方

株式会社ビズリーチ創業者の南壮一郎が「月刊人事マネジメント」誌に寄稿した「人材獲得競争の勝ち方」という記事をダウンロードしていただけます。

人事戦略は経営戦略である、という考え方のもと、母集団形成、決定率の向上、面接官の目線合わせの方法など、攻めの採用戦略に不可欠な考え方・手法・先進事例をご紹介しています。

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インターンシップとは

インターンシップとは

インターンシップとは「就労体験」や「インターン」ともよばれ、「学生が企業や官公庁などで一定期間にわたり就業体験をすること」と定義されています。

インターンシップは学生を対象に実施されるケースが多いものの、社会人などを対象とした短期間のインターンシップを実施する企業も存在します。

新卒者におけるインターンシップへの参加率は増加傾向にあり、ある民間企業の調査によると2021年新卒者のおよそ85%はインターンシップに参加したことがあると回答しています。

就職活動の際にインターンシップは企業選びの重要な要素であると同時に、企業にとっては自社にマッチした学生を採用するために不可欠な施策でもあります。そのため、さまざまな時期や期間、形態でインターンシップが行われています。

企業にとってのインターンシップの目的

文部科学省では、企業におけるインターンシップの目的や意義について以下のように定義しています。

  1. 実践的な人材の育成
  2. 実社会への適応能力の高い実践的な人材を育成する

  3. 大学等の教育への産業界等のニーズの反映
  4. 産業分野のニーズを、インターンシップを通して大学等へ伝え、教育へ反映させる

  5. 企業等に対する理解の促進、魅力発信
  6. 中小企業やベンチャー企業で働くことの魅力を発信することで、業界への理解促進や受け入れ企業における若手人材育成の効果が期待できる

求職者に対して自社で働くことの魅力を感じてもらうと同時に、大学などの教育課程に企業側のニーズを伝え、実践的な人材教育に役立てることも大きな目的といえます。

参考:インターンシップの推進に当たっての基本的考え方|文部科学省

求職者にとってのインターンシップの目的

では、企業からではなく求職者の立場で考えた場合、インターンシップにはどのような意義があるのでしょうか。同じく文部科学省では、学生である求職者にとってのインターンシップの目的や意義について以下のように定義しています。

  1. キャリア教育・専門教育としての意義
  2. 大学等におけるキャリア教育や専門教育の推進につながる

  3. 教育内容・方法の改善・充実
  4. 実社会で求められる教育内容への改善や学生の新たな学習意欲の喚起につながる

  5. 高い職業意識の育成
  6. 学生が職業適性や将来設計について考える機会となる

  7. 自主性・独創性のある人材の育成
  8. 専門分野における実務能力を高め、自主的に考え行動できるようになる
    また、新規産業の担い手となる人材となるための独創性も身につく

上記は学生の求職者を対象とした内容となり、社会人にとってのインターンシップの目的としては、異業種体験やスキル・人脈の獲得などさまざまなものがあります。

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インターンシップの種類

インターンシップの種類

インターンシップにはさまざまな実施形態が存在します。今回は、多くの企業に採用されている3つの種類に分けて紹介します。

セミナー型

セミナー型のインターンシップは会社説明会など、1日または数日間の短期で実施されます。

新卒者を対象としたインターンシップは主に短期のセミナー型に分類され、求職者にとっては参加しやすく、幅広い業種の情報を集められる実施形態といえるでしょう。

プロジェクト型

プロジェクト型のインターンシップは、少人数のグループでディスカッションを繰り返しながら課題解決に向けて取り組みます。

短期間のものから1週間程度の中期のインターンシップまでさまざまで、企業によってはインターンシップへの取り組み次第で採用につながる場合もあります。

就業型

就業型のインターンシップは、その企業の一員となり実際に業務を行いながら企業への理解を深める実施形態です。セミナー型やプロジェクト型のインターンシップと異なり、アルバイトのように報酬を得ながらインターンシップに参加できるのも就業型の大きな特徴といえます。

数カ月または1年単位といった長期で実施される場合も多いため、大学1年生や2年生を対象とするケースもあります。就業型インターンシップでの働きぶりが評価されると、そのまま内定が決まることも少なくありません。

就業型の長期インターンシップは、大企業はもちろんのこと、スタートアップ企業やベンチャー企業なども多く実施する傾向にあります。

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企業がインターンシップを実施するメリット

企業がインターンシップを実施するメリット

多くの企業がインターンシップを行っているのは、さまざまなメリットがあるためです。今回は、具体的に3つのポイントを紹介します。

求職者に自社を認知してもらえる

中小企業やベンチャー企業、スタートアップ企業などの場合、認知度が低く求人募集をかけても求職者が集まりづらいケースもあります。そこで、企業はインターンシップを行うことにより、多くの求職者へ自社の存在を認知してもらえるため、エントリー数のアップが期待できます。

採用のミスマッチを低減できる

学生時代に専門的な資格を取得している、または前職で自社の業務に近い経験がある、などのスキル面を高く評価し採用に至るケースもあるでしょう。しかし、実際に入社して働いてみると社風が合わなかったり、他の社員となじめなかったりという理由で早期退職につながる可能性も考えられます。

そこで、採用前にインターンシップを実施し求職者に職場の雰囲気を体験してもらうことで、このような採用のミスマッチを低減することが期待できます。

学生と早期に接触できる

新卒採用は競争率が高い傾向にあり、複数の企業から内定を獲得する学生も珍しくありません。

就職活動が本格的に始まる前にインターンシップを実施しておけば、学生に対して個別にアプローチでき、自社の採用活動を有利に進められるでしょう。

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求職者がインターンシップに参加するメリット

求職者がインターンシップに参加するメリット

次に、求職者がインターンシップに参加することでどのようなメリットが得られるのか解説します。こちらも3つのポイントに分けて紹介します。

業界への理解を深められる

新卒者や第二新卒者は社会人経験が浅いため、そもそもどのような業界があるのか分からないケースもあります。また、自身が興味を抱いている業界があったとしても、具体的にどのような仕事をするのか分からない場合もあるでしょう。

インターンシップに参加することで業界への理解が深まり、具体的なキャリアの方向性を定められます。

早期内定につながることもある

長期のインターンシップに参加していると、日頃の働きぶりが評価され、早い段階で内定を獲得できることもあります。

複数の企業に対して就職活動をする手間が省け、入社に備えてスキルアップや資格取得などに充てることも可能となるでしょう。

キャリア観を広げ人脈づくりにも役立つ

社会人にとっては、インターンシップに参加することで異業種の体験ができます。それまで興味をもっていなかった業種でも、インターンシップの経験によって興味をもち、キャリア観を広げられる機会になるでしょう。

また、自社以外で働く人との交流が生まれて幅広い人脈の形成につながり、転職活動やキャリアについて情報交換のできる相手が見つかる可能性もあります。

就業型インターンシップの給与相場

就業型インターンシップの給与相場

就業型の長期インターンシップの場合、参加者には給与が支払われることがあります。

その企業で働いている社員と同様に、企業の生産活動に従事する場合にはインターンシップ参加者であっても「労働者」とみなされるためです。そのため、労働基準法で定められた賃金を支払わなければならないほか、労災保険への加入やハラスメント対策、安全配慮義務も求められます。

給与相場は業種や就業条件、業務内容などによっても異なりますが、アルバイトやパートに近い条件の企業が多いようです。

時給の場合は1,000円程度が相場ですが、営業職など職種によっては成果に応じてインセンティブが加算されるケースもあります。また、給与とは別に交通費を支給する企業が多いものの、1日あたりまたは月ごとに上限額を設定している企業も少なくありません。

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インターンシッププログラムの作り方

インターンシッププログラムの作り方

ここからは、インターンシップの設計方法やプログラムの作り方を3つのステップに分けて詳しく解説します。

ターゲットの設定

はじめに、どのような人材を採用したいのかターゲットを決めます。人材の採用にあたっては、必ず目的があるはずです。たとえば「新規事業立ち上げのため自社開発力を強化する」という目的を達成するには、「エンジニアリングに強い人材を採用する」ことが目標になるでしょう。

しかし、新卒者や第二新卒者の多くは実務経験がありません。そこで、現在社内で活躍している担当者の特性などを分析し、どのような人材が求められているのかを定義するとよいでしょう。人材の特性を定義する際には、できるだけ具体化することが重要で、下記のような定義が考えられます。

  • 論理的思考力をもった人材
  • →課題を正確に分析し具体的な解決策を提示できる人材

  • コミュニケーション力が備わった人材
  • →専門用語を使わずに分かりやすく説明できる人材

自社の強み・魅力のピックアップ

次に、自社の強みや魅力を羅列しながら、ターゲットとなる人材にとって魅力的に感じられるポイントを探っていきます。具体的には、以下のような項目に沿って整理しながら考えるとよいでしょう。

  1. 理念・ビジョン
  2. 将来性
  3. 仕事・ミッションの内容
  4. 事業における他社への優位性
  5. 社風
  6. 人間関係・人材環境
  7. 職場環境・オフィスの立地条件
  8. 福利厚生制度

たとえば「職場環境」では、業務で用いるパソコンのスペックや執務スペースの広さなどが挙げられます。「福利厚生制度」では、各種手当はもちろんのこと、技術書などの購入費補助も重要なポイントです。

自社では当たり前のように感じられる人事施策でも、他社ではあまり行われていないものもあるでしょう。

さらに、伝え方を工夫するだけで印象が変わるケースもあります。たとえば「自由な社風」と表現するよりも、「社員の意見によってテレワークが実現した」「フルフレックスの利用率100%」など、具体的な内容を取り入れた伝え方がおすすめです。

形式・プログラム・期間・時期の検討

最後に、予算や人員などのリソースを考慮しながら、インターンシップの形式やプログラム、期間、時期を検討します。それぞれの項目を具体的に挙げるとすれば、以下のような選択肢が考えられます。

項目 具体例
形式
  • セミナー形式での会社説明
  • グループワークでの課題解決
  • 職場配属での就業 など
プログラム
  • 会社理解
  • 仕事理解
  • 業界理解 など
期間
  • 短期(1日〜1週間)
  • 中期(1〜2週間)
  • 長期(2週間〜1カ月以上)
時期
  • 夏(7〜9月)
  • 秋(10〜12月)
  • 冬(1〜3月)

上記のうち、プログラムはインターンシップの目的に合わせて検討するとよいでしょう。たとえば、会社理解が目的であれば、セミナーで説明するスライドや資料などの準備が必要です。また、仕事理解が目的であれば、職場配属で割り当てる仕事内容を検討しなければなりません。

ちなみに、学生を対象としたインターンシップを実施するのであれば、大学が夏休みに入る7月から9月にかけての時期がおすすめです。中期または長期でのインターンシップを開催しやすく、多くの参加者も見込めるためインターンシップで期待される効果も高いでしょう。

実際に多くの企業でインターンシップが行われる時期は、大学が長期休暇に入る夏に集中しています。1月から3月にかけての冬は、夏に次いでインターンシップの開催数が多いですが、この時期は就職活動が本格的に始まるタイミングでもあるため、企業説明会など短期でのインターンシップが多い傾向にあります。

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インターンシップを活用し自社にマッチした人材を採用しよう

インターンシップを活用し自社にマッチした人材を採用しよう

インターンシップは求職者にとってはもちろん、企業にとってもさまざまなメリットがあります。採用のミスマッチを低減するだけでなく、多くの求職者に対して自社で働く魅力を知ってもらうために有効な手段といえます。

さまざまな業種で深刻な人手不足が続いているなか、特に新卒者や第二新卒者などの若手人材は貴重な存在です。「求人募集をかけてもエントリーが少ない」という悩みを解消し、自社にマッチした人材を採用するためにもインターンシップの実施はおすすめです。

採用活動をスムーズに行いたいと考えている企業は、この機会にインターンシップを始めてみてはいかがでしょうか。

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