企業の部門や部署、そこに属する社員の情報を集約した組織図は、社員同士の円滑なコミュニケーションを実現するうえでも有効なツールです。また、社内向けの組織図以外にも、社外のステークホルダーに向けて公開される組織図も存在します。
この記事では、企業が組織図を作成するメリットを解説するとともに、組織図の作り方や作成に役立つツール、作成にあたって押さえておきたいポイントも紹介します。
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組織図とは

組織図とは、企業の組織体制や構造をわかりやすく図としてまとめたものを指します。
取締役会から各部署まで社内のあらゆる部門を記載し、どのような組織構造となっているのかを整理することを目的に作成されます。
組織図には大きく分けて社外向けのものと社内向けのものが存在します。ここからは、両者の違いについて詳しく解説しましょう。
社外向け組織図の目的
社外向けの組織図は、おもに株主や取引先などのステークホルダーに向けて作られます。
組織がどのような体制のもとで運営されているかを社外のステークホルダーに対して知らせることが目的のため、組織図に「監査役」を記載して組織の健全性を示したり、コーポレートサイトに掲載したりする場合が多いようです。
なお、社外向け組織図は、部門ごとに記載するケースが多く、チームや個人名などの細かい部分までは記載しない場合が多いのも特徴です。
社内向け組織図の目的
社内向けの組織図は、社員に向けて作られます。
社員自身が、在籍している部署が社内でどのような立ち位置にあるのかを把握するとともに、自部門の役割や指示命令系統を明確化することを目的としています。
そのため、社外向けの組織図とは異なり、各部門はもちろん、各課やチーム、担当者レベルまで詳細な情報を記載する場合が多いです。
組織図を作成するメリット

企業規模によっては組織図を作成しないケースもありますが、組織の全体構造が見えることでさまざまなメリットがあることも事実です。
企業にとって具体的にどのようなメリットがあるのか、以下の4つのポイントをもとに解説します。
- 組織構造の可視化
- 指揮命令系統の明確化
- 権限の集中を防ぐ
- 社外に対して組織の健全性を周知
組織構造の可視化
大きな組織になるほど組織構造は複雑化します。その結果、社員自身が行っている業務と他部署との関連性が把握できなくなる恐れがあります。それによって部門間のコミュニケーションが停滞したり、業務が非効率になったりするリスクが考えられます。
組織図によって、社内のあらゆる部署の関連性が可視化されれば、社員自身がどのような役割を担っているのかを体系的に理解でき、部門間の連携も強化されます。
また、自分自身が所属している部署以外にどのような部署があるのかが見えれば、社員自身が今後どのような業務を経験していくかといったキャリアパスを考えるきっかけになることもあるでしょう。
指揮命令系統の明確化
異なる部門の社員と連携しながら業務を進めていく際に、指揮命令系統が曖昧だと、重要な判断が求められる場合に「誰に指示を仰げばよいのかが把握できない」「1人の社員に対して複数の上司が異なる指示を出す」といったトラブルや混乱につながります。
指揮命令系統を示した組織図を作成することで、権限が明確になり、業務指示や命令におけるトラブルを防止できます。
権限の集中を防ぐ
組織図が作られていない企業では、組織全体の構造が把握しにくく、社内にどのような部門があるのかがわかりづらい場合が多いものです。そのような組織では、特定の部門に権限が集中していたり、業務が偏っていたりするケースも少なくありません。
組織図を作成し、社内全体を俯瞰することで、権限や業務の集中を防ぎ、組織のバランスも整えられます。
社外に対して組織の健全性を周知
組織による不正を防ぎ、企業価値を向上させるために、企業にはガバナンスの強化が求められています。
組織図を作成することで、たとえば、監査役会や取締役会、各事業本部がどのような位置づけとなっているかを、株主や投資家をはじめとした外部のステークホルダーがひと目で把握できるようになります。コンプライアンスやリスク管理を適切に行い、組織全体の健全性を確保していることを周知でき、企業としての信頼を獲得できるでしょう。
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組織図の種類

企業にとって重要な意味をもつ組織図ですが、その記載の仕方にはさまざまな種類があります。今回は、代表的な5種類の組織図を紹介します。
階層型組織図

階層型組織図とは、株主総会や代表取締役などをトップとして、その下に相対的に弱い権限をもつ組織や人を順に配置していく、ピラミッド型の組織図です。組織図のなかでももっとも一般的なタイプといえるでしょう。
階層型組織の特徴は、指揮命令系統が1つであることです。チームや部署、部門、個人に対しての指揮命令者は、1人以上は存在しません。
誰が誰の管理者であるかが明確なため、責任の所在も明確ですが、縦割りの構造であるため、階層が増えるにつれて情報伝達や判断、意思決定に時間がかかるデメリットもあります。
マトリックス型組織図

マトリックス型組織図とは、縦軸と横軸にそれぞれ部門や担当エリア、プロダクトなどを記載し、複数の要素を配置した組織図です。
たとえば、複数のプロダクトごとに営業部門が存在し、担当エリアも分かれている場合、横軸にプロダクトの営業部門名、縦軸に担当エリアを記載することで、複数の要素を見やすく整理できるでしょう。
部門を越えて連携することが多い組織でも担当者同士の役割がわかりやすく、コミュニケーション促進につながるメリットがあります。その一方で、階層型組織にくらべると指揮命令系統が不明瞭になりやすいといったデメリットも挙げられます。
フラット型組織図

フラット型組織図とは、階層型組織図と対照的に階層が少なく、ほとんどフラットに近い組織図です。中間管理職レベルの役職が存在しないことが多く、それぞれの部門や部署が横並びになっているのがフラット型組織図の特徴といえます。
階層型組織のデメリットである情報伝達のスピードの遅さは改善されますが、社員一人一人の責任の範囲や権限が大きくなります。
事業部制組織図

事業部制組織図とは、社長をトップとして事業部ごとに開発や営業部門などを構成する組織図です。
一見すると階層型組織図と同じに見えますが、事業部ごとに各部門を置くことが最大の特徴です。そのため、上記の図にあるとおり、開発や製造部門は1つではなく、事業部ごとに複数が独立して存在することになります。事業部は「1.製品・サービスごとに分ける」「2.地域ごとに分ける」「3.顧客ごとに分ける」の3パターンの分け方があります。
事業部制組織では、それぞれの事業部長に分権化されているため、意思決定スピードが比較的早くなります。
機能別組織図

機能別組織図とは、製造や営業、開発などの機能ごとに分けて記載する組織図です。
事業部制組織では「製品やサービスごと」「地域ごと」「顧客ごと」に事業部を設置しますが、機能別組織ではそれらに関係なく、同じ機能や役割をもった社員が集まるため、特定のスキルや知識を共有しやすく、専門性を高められるメリットがあります。
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組織図の作成に役立つツール

組織図を効率的に作成するためには、どのようなツールが活用できるのでしょうか。今回は組織図の作成に役立つ代表的な3つのツールを紹介します。
PowerPoint
プレゼンテーション資料作成用のアプリケーションである「PowerPoint(パワーポイント)」を使えば、初心者でも簡単に組織図を作成できます。
PowerPointで作成する際には、「SmartArt(スマートアート)」と呼ばれる機能を活用するのがおすすめです。組織図の作成に最適なフォーマットが用意されており、一から図形を選択する必要もないため工数の削減につながります。
詳しい作成手順については後述しますが、SmartArtを起動後、部門の名称や担当者の氏名、連絡先などをテキストで入力できるほか、テキストボックスの追加や移動、削除も簡単です。SmartArtは、組織図の項目が30以下の場合に適しています。
Excel
表計算用ソフトのExcel(エクセル)もPowerPointと同様にSmartArtを活用できるため、組織図が簡単に作成できます。また、SmartArtを活用する方法以外にも、Excelのセルに直接入力することで、SmartArtよりも直感的にわかりやすく作成できます。
Excelの強みはセルの一つ一つに枠線があることです。セルの結合やサイズの変更、罫線を引くことで組織図の図形を簡単に作成できます。ただし、テキストボックスとして移動や修正ができないため、組織図の修正や変更が必要になった場合には編集に手間がかかる可能性があります。
タレントマネジメントシステム
組織図の作成機能を備えたタレントマネジメントシステムも存在します。
通常、社員の入退社や人事異動があった際は、その都度人事管理システムに入力後、PowerPointやExcelで作成した組織図にも変更を反映しなければなりません。
しかし、タレントマネジメントシステムであれば、変更した人事情報をもとに組織図にも自動反映されるため手間がかかりません。「人事管理システム上で情報の更新は完了しているものの、組織図への反映を忘れていた」といったミスも未然に防げるでしょう。
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組織図の作成にあたって必要な情報

組織図を作成する目的によっても必要な情報は異なりますが、作成作業を効率化するためにも、最低限、以下の情報は集めておく必要があるでしょう。
- 全部門の名称と役割
- 全部門の担当者の氏名・連絡先
- 全部門の責任者の氏名・連絡先
全部門の名称と役割
組織図は、部門ごとの役割や関連性を示した図です。たとえば、「自社製品〇〇の開発を担当している社員に連絡を取りたい」という社員がいた場合、部門の名称だけでは、どのような業務に取り組んでいるのかがわかりません。
そのため、部門の正式名称はもちろんのこと、どのような役割を担う部署なのかもあわせて情報を集めておくことが重要です。
全部門の担当者の氏名・連絡先
部門の名称や役割が把握できたとしても、組織図に社員情報が記載されていないと具体的に誰に連絡を取ればよいのかがわかりません。
また、氏名だけが記載されていても、人事管理システムなどで電話番号やメールアドレスを調べなければならないため非効率的です。
連絡網として使える組織図を作成するためにも、あらかじめ社員の氏名と連絡先の情報を集めておきましょう。
全部門の責任者の氏名・連絡先
重大なトラブルやクレームが発生した際など、緊急の用件で責任者へ連絡を取らなければならない場面で、組織図に責任者の情報が記載されていないと、連絡先がわからず対応が遅れる可能性があります。
そのため、組織図を作成する際には部門ごとの責任者の氏名や連絡先の情報を集めておく必要があります。
組織図の作成手順

実際に組織図を作成する際は、以下のような順番で進めるとスムーズです。

作成手順に沿って詳しく解説します。
目的の明確化
はじめに、何を目的に組織図を作るのかを明確にしておきましょう。
冒頭でも説明したとおり、社外・社内のどちらに向けて組織図を作るのかによっても記載すべき情報は変わってきます。
たとえば、社内に向けて組織図を作成する場合、社員同士のコミュニケーションを活性化させ、連絡網として活用してもらうという目的であれば、社員全員の氏名や連絡先なども含めて掲載する必要があるでしょう。
組織図の選定
次に、自社の組織構造に合った組織図の種類を検討します。
たとえば、1人の社員が複数の業務や役割を担っている場合には、マトリックス型組織図が適しているかもしれません。また、トップダウン型で管理職にある程度権限が集中している組織の場合、階層型組織図が適している場合が多いでしょう。
組織図の描画
組織図を作成する目的に応じて必要な情報がそろい、作成すべき組織図の種類が選定できたら、実際に組織図を描いていきます。
PowerPointやExcelなどで作成する場合、完成形がイメージしやすいように事前に簡単な下書きを作成しておくことが有効です。手書きなどの簡単な下書きが用意されていれば、PowerPointやExcelのレイアウトに迷うことなくスピーディーに作成できるでしょう。
組織図の周知
「社外のステークホルダーや社員が組織図の存在を把握しておらず、活用が進まない」ということを避けるためにも、どのような目的で組織図を作成したのか、そのねらいや意図を説明し、対象者へ組織図を周知することが重要です。
組織図を周知するにはさまざまな方法がありますが、たとえば、社外向けの組織図であればコーポレートサイトへ公開したり、社内向けの組織図であれば社内イントラネットへ掲載したりする方法が考えられます。
また、人事異動の多い4月や10月といったタイミングで、新体制の組織図を社内報へ掲載する方法も有効です。
PowerPointを使った組織図の作り方

組織図を作成するためのツールはさまざまなものがありますが、なかでも普段の業務で使用されることが多いPowerPointやExcelは操作もしやすく、新たに専用のソフトウエアやシステムを購入するコストもかからないためおすすめです。
今回は、PowerPointの「SmartArt」を活用した組織図の作り方をわかりやすく紹介します。
SmartArtを起動
はじめに、PowerPointを起動し「新しいプレゼンテーション」を開きます。画面上部にある「挿入」タブをクリックし、「SmartArt」から「階層構造」を選択します。

組織図フォーマットの選定
「階層構造」のなかには組織図の作成に適したフォーマットが用意されているため、任意のフォーマットを選択しましょう。
以下の図では複数のフォーマットの候補のなかから「組織図」を選択していますが、これ以外に、「氏名・役職名付き組織図」なども選択可能です。

文字の挿入
選択したフォーマットがシートに追加されたら、部門名や役職、氏名などを記載します。
「1.テキストボックスをクリックして直接入力する方法」と、「2.左側にある『SmartArtテキスト』のウィンドウにテキストを入力して、フォーマット内のテキストボックスへ反映させる方法」があります。

図形や文字の色、サイズの調整
テキストを入力した段階では、すべてのテキストボックスの色やサイズが同一となっているため見づらい状態です。そこで、図形や文字の色、サイズを調整してみましょう。
テキストボックスを右クリックし、「図形の書式設定」を選択します。シートの右側に「図形のオプション」と「文字のオプション」のタブが表示されるため、塗りつぶしや線の色、文字の色、サイズなどを指定しましょう。

社内向けの組織図を作成するポイント

上記で紹介したとおり、組織図の基本的な作成方法は、図形やテキストボックスを組み合わせながら線でつなぐだけのため、工程そのものはシンプルです。
しかし、多くの人が目にする組織図は、誰が見てもわかりやすく見やすいことが重要です。そのような組織図を作成するためには、具体的にどういったポイントを押さえておく必要があるのでしょうか。
ここからは、社内向けの組織図を作成する際の3つのポイントを紹介します。
担当者レベルまで記載
社内向けの組織図の場合、各社員が組織構造や指揮命令系統を把握できることが前提となります。組織図の目的や企業規模にもよりますが、部門や課ごとの責任者はもちろん、各部署の担当者もすべて記載するとよいでしょう。
また、課のなかでもチームごとに役割が異なる場合には、それらの役割も記載しておくとわかりやすい組織図となります。
連絡先を記載
組織図に部署名や担当者の氏名しか記載されていないと、社員は個別に人事情報システムなどにアクセスし連絡先を調べる必要があり、手間がかかってしまいます。
業務を効率化するためにも、組織図には社員の電話番号やメールアドレスなどの連絡先も記載しておくとよいでしょう。
色分けを効果的に活用
組織図全体が同じ色やフォント、サイズで記載されていると、部や課、チームといった単位で見たときにわかりづらくなってしまいます。
たとえば、部門の名称は濃い青色、各課は青色、各チームは水色といったように、階層ごとに色の濃淡を使い分けることで直感的に把握しやすくなるでしょう。
色を使い分ける際には「赤・青・黄」のように異なる色を用いるのではなく、「青色と水色」、「緑色と薄緑色」などのように、同じ系統の色で統一したほうがまとまりが良く見えます。
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組織図は目的に応じてわかりやすく作成しよう

組織図を作成することで、組織構造の可視化や指揮命令系統の明確化によるメリットが得られます。日常業務で使用されることが多いPowerPointやExcelといったツールで手軽に作成できるため、組織図がない企業は、作成してはいかがでしょうか。
一方で、せっかく作成した組織図も、必要な情報が網羅されていなかったり、全体的に見づらい色使いやサイズになっていたりすると、活用されにくくなります。また、社外に向けて組織図を公開する際にも、見づらいデザインやレイアウトになっていると、取引先や株主などからみた企業のイメージに影響することも考えられます。
今回紹介した組織図の作成手順や作成時のポイントを参考にしながら、わかりやすい組織図を作成することを意識しましょう。
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