近年、「女性の活躍」は多くの分野で注目されており、国は企業に対して「女性管理職の登用」の推進を提言しています。そのため、多くの企業で女性が活躍できる環境整備を進め、重要ポジションに登用するケースも増えています。
とはいえ、女性管理職の人数や割合はまだまだ少ないのが現状。「目標や計画を立ててはいるものの、なかなかうまく進まない」という企業も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、女性管理職をめぐる状況、どのように取り組みを進めればいいのか、女性管理職を積極登用することのメリットなどを紹介します。
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女性管理職登用の意義

女性の登用や抜てきを進めて職場に女性管理職が増えると、組織の活性化など多くのメリットが見込めます。また、人口減少が進むなか、より多くの女性に活躍してもらうことで労働力人口を確保することができ、企業や経済の発展、経済成長などにもつながるでしょう。
男女とも一人一人が生き生きと暮らし、社会的な課題も解決できるよう、国は「女性活躍」を掲げています。しかしながら、日本は国際的に見て女性管理職の割合が低いのが現状です。2003年には「2020年には指導的地位に占める女性の割合を30%にする」という数値目標を設定したものの、達成できていません。
より豊かな社会を実現するためにも、この目標の達成に向け、それぞれの企業や団体で取り組みを進める必要があるのです。

国内の女性管理職をめぐる現状

国内の女性管理職をめぐる現状についてさらに理解を深めるため、データを見ていきましょう。帝国データバンクが毎年行っている、全国の1万社以上の企業を対象にした「女性登用に対する企業の意識調査」の結果をもとに解説します。

出典:女性登用に対する企業の意識調査(2021年)│帝国データバンク
調査の結果、2021年の女性管理職の割合は平均8.9%でした。同調査では過去最高の結果です。2020年と比べて1.1ポイント増え、前年からの増加幅も過去最大となりました。このことから、少しずつではあるものの年々、女性管理職が増えていることがわかります。
また、「今後、女性管理職の割合が増えると見込んでいる」企業は22.6%と前年より0.9ポイント増加し、女性活躍を進めている企業の割合は46.9%に達しました。このことから、今後も女性管理職が増えていくことに期待できます。
一方で、「女性登用を進めていない」と答えた企業も約4割にのぼりました。女性活躍が進まない、進められない業種や企業も少なくないという現状がうかがえます。これらの業種や企業にも女性活躍・登用を進めてもらう施策の展開が今後の課題といえるでしょう。
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女性管理職を積極登用するメリット

企業が積極的に女性管理職を登用することで、以下のようなメリットが期待できます。
- ダイバーシティの促進
- 女性従業員が働きやすくなる
- 優秀な人材を採用しやすくなる
ここからは、それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
ダイバーシティの促進
現在、多くの企業が取り組むテーマに「ダイバーシティの促進」があります。ダイバーシティとは多様性のことで、ビジネスの現場では年齢や性別、国籍などを問わず、幅広い人材を登用し、活躍してもらうことを目指しています。性別に関係なく活躍できる職場になれば、さらなるダイバーシティの促進に期待がもてます。
また、管理職が男性だけの場合より、女性が混じることで視点や考え方に幅が出るケースも多くなります。
女性従業員が働きやすくなる
結婚、出産、介護などで「仕事を続けようか」と迷う女性従業員は少なくありません。また、昇進の話があった際に悩む従業員もいるでしょう。そのような女性従業員たちにとって、活躍している女性管理職はロールモデルとなり、キャリアを諦めずに働きやすくなるでしょう。
また、女性管理職による新たな視点から女性が働きやすい制度を取り入れたり整備したりすることで、体調や家庭の事情といった男性上司には相談しにくい悩みも相談しやすくなり、より働きやすい環境となることが見込めます。
自社の求める人材を採用しやすくなる
女性が生き生きと働ける会社であれば、企業イメージがアップし、新卒、中途を問わずに人材が集まりやすくなることが期待できます。女性活躍推進に取り組む企業の多くは、評価制度や福利厚生が整っており、風通しがよくて雰囲気も明るいため、魅力的な職場といえます。
女性管理職の積極登用など企業の取り組み内容を公表することで、採用力の強化が期待できるでしょう。
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女性管理職登用を推進する仕組みづくり

ここからは、女性管理職の登用を増やすには、実際に職場でどのような取り組みを進めればよいのか解説します。
柔軟な働き方を選べるようにする
近年は共働きの家庭が増えてきたとはいえ、結婚や出産を機に退職する女性も少なくありません。継続的に女性従業員に働いてもらい、管理職にふさわしい人材になってもらうためには、産休・育児休暇など各種制度の整備が必要です。
さらに、リモートワークの推進やフレックスタイムの導入など、柔軟な働き方を選択できるようにすることも大切です。
人事評価制度を見直す
人事評価制度の見直しも、企業が取り組むべき大事な項目です。前項で紹介したように、柔軟な働き方を選択でき、産休・育児休暇制度が整っていたとしても、例えば「産休などで休職するとキャリアアップしにくくなる」「時短勤務ではカバーできない評価項目がある」という状況では、女性が管理職に就くのは難しくなってしまいます。
女性管理職の登用を推進するにあたっては、公平な評価を受けられるよう人事評価制度を見直すことも欠かせません。
管理職に登用する基準、求められるスキルを明確化する
前述した人事制度の見直しと同時に取り組みたいのが、どのような人材であれば管理職になれるのか、昇進の基準や求められるスキルなどを明確化することです。
それによって、会社側は管理職にふさわしい人材が、従業員側は目指す場所が「見える化」できるため、より公平・公正に人事を進められるようになるでしょう。
研修やサポート体制を充実させる
従業員のなかには、昇進・昇格を打診されても「管理職になると忙しくなる」「苦労や悩みが増える」と尻込みしてしまう人もいるでしょう。また受諾したものの、「自分に務まるのか」「部下が付いてきてくれるか」と不安を抱える人は少なくないでしょう。
誰でも安心して管理職に就けるよう、研修やサポート体制を充実させることもポイントとなります。会社側が手厚く支援することで、管理職を志す従業員が増え、より職場の活性化が見込めます。
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女性管理職に求められるスキル

ここからは、どのような人材を女性管理職に登用すればいいのか、求められるスキルを紹介します。ただし、管理職に求められるスキルに性別は関係ないため、男性にも通じる部分が大半です。
「男性だから」「女性だから」と評価基準を変えてしまうと、男性からも女性からも「差別」と思われかねないので注意が必要です。
リーダーシップ
管理職は、部署のリーダーです。部署をきちんと引っ張っていくことが求められるため、部下に適切な指示を出し、また部下を育成できるようなリーダーシップが不可欠です。
決断力や行動力
管理職は、部署のメンバーにきちんと方向性を示すことも求められます。決断が遅かったり、行動するまでに時間がかかったりすると、部下の信用を失い、部署がきちんと機能しなくなる可能性もあります。そのため、決断力や行動力も必要です。
豊富な専門知識や実務経験
管理職は、部署の目標を定め、達成に向けて戦略を立てたり、部下に指示を出したりすることも大事な業務です。そのためには、豊富な専門知識や実務経験も不可欠です。
コミュニケーション能力
経営層と一般従業員の懸け橋でもある管理職には、コミュニケーション能力も求められます。部下に適切な指示を出したり他部署と上手に連携をとったりなど、さまざまな場面で必要不可欠なスキルといえます。
人材育成の面からも、相手の話をじっくり聞いて思いや悩みをくみ取り、部下の成長をサポートするために必要なスキルです。
女性管理職登用に積極的な企業事例

では、女性管理職登用を進めている企業はどのような取り組みを行って成果を出しているのでしょうか。
厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」に掲載されている、女性管理職登用に積極的な企業事例を紹介します。
株式会社青森銀行
株式会社青森銀行は、10年以上前までは結婚を機に退職する女性行員が多かったといいます。そこで女性が活躍しやすい仕組みづくりに力を入れ、退職した行員の再就職も強化しました。
加えて、キャリアアップに向け、若手、中堅などに対する研修を充実させ、女性管理職による後輩の女性行員への積極的な声がけも実施。その結果、2016年から2019年の3年間だけで女性管理職・監督者が14名増えました。
亀田製菓株式会社
亀田製菓株式会社は、「亀田の柿の種」でおなじみの新潟県の菓子メーカーです。2015年に女性活躍推進担当を選任し、女性が活躍しやすい環境整備を進めました。
加えて、リーダー候補の女性を社外の研修会に派遣したり、社外から女性リーダーを招いて交流会を行ったりと、さまざまな取り組みを実施しました。その結果、女性管理職の割合は、2017年の10.5%から2019年には14.5%に増加しました。
大成建設株式会社
一般的に男性が多い建設業ですが、大成建設株式会社は全従業員8,507人のうち、女性が1,570人を占めています。人事部内に女性活躍推進室(現:人材いきいき推進室)を設置し、2007年から本格的に女性活躍の取り組みを推進。女性のキャリア支援のための研修を女性従業員だけではなく、男性にも導入しました。
また、育児との両立支援を強化し、一般職採用の女性を基幹職に登用しました。こうした取り組みの結果、女性管理職は30名から約250名にまで増えました。
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女性管理職を中途採用するのも有効

ここまで社内の制度改革など、女性管理職を増やす取り組みについて触れてきました。ただ、「そもそも女性従業員が少ない」「管理職にふさわしい年次の女性従業員がほとんどいない」という企業であれば、社内の昇進・昇格では難しいかもしれません。
そのような場合、女性の即戦力人材を中途採用して女性管理職を増やし、社内の雰囲気を変えていくという選択肢もあります。ビズリーチには、即戦力候補が登録しているデータベースがあり、採用したい人材を企業が直接スカウトすることができます。ぜひ一度、お試しください。
また男女問わず、初めて管理職となる人に参考になる資料もありますので、よろしければ参考にしてください。
管理職はチームの採用活動の責任者

管理職としてチームをリードする立場になると、メンバーのマネジメントに加えて、人材の採用にも責任を持つ必要があります。
本資料では、管理職が採用に関わる重要性と、その具体的な業務についてまとめました。