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定着率とは? 計算方法や離職率との違い、向上につながる施策を解説

少子高齢化による生産年齢人口の低下などを理由に、日本の企業は人手不足の課題に直面しています。また、近年は雇用の流動化が進み採用競争の激しさが増しており、優秀な人材の採用が難しくなっているという現状があります。

このような背景から、採用した人材がどの程度定着しているかを示す「定着率」が重要だという考えが浸透しています。また、社員の離職を防いで定着率を向上させる「リテンションマネジメント」も注目されています。

では、社員の定着率を高めるためにはどうしたらいいのでしょうか。

この記事では定着率の意味や計算方法を紹介するとともに、定着率が下がる要因や企業に及ぼす影響、定着率を高めるために必要な対策などを解説していきます。


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定着率とは?

定着率とは?

まず、「定着率」の基礎知識について解説します。言葉の持つ意味や計算方法のほか、よく似た言葉である「離職率」との違いも紹介します。

定着率の意味

「定着率」とは、明確な定義はありませんが、「入社した社員が一定期間を経てどのくらい会社に残っているか」を示す指標です。定着率の数字が高いほど社員の離職が少なく、働きやすい環境が整っているといえます。一方で、定着率が低い場合は退職する社員が多いことを示しています。

定着率の計算は新年度が始まり、入社する社員が多い4月を基準として、年度単位で計算されることが多いですが、企業によって基準月や対象期間は異なります。

定着率は、「1年」「3年」「5年」といった年単位で測定することが一般的です。測定期間が長いにもかかわらず定着率が高い企業は、長期にわたって在籍している社員が多いことを示しており、働きやすい環境が整った優良な企業であるといえます。

定着率と離職率の違い

「定着率」と似た言葉に「離職率」があります。

「離職率」とは、「入社した社員が一定期間を経てどれだけ離職したか」を示す指標です。離職率の数字が高いほど、早期に離職する社員が多いことを示しています。

つまり、「定着率」と「離職率」は対になる指標であり、定着率が高いということは離職率が低いということになります。

定着率が高く、離職率が低い状態が企業にとっての理想的な状態で、採用活動などで積極的にアピールしたいところ。逆に、離職率が高く、定着率が低い状態は人材が流出してしまっていることを示しており、外部からもネガティブな印象を持たれやすい状況であるといえます。

中途入社者の定着を実現するポイント、時期ごとの施策については、こちらの資料でも詳しく解説しております

定着率・離職率の計算方法

「定着率」は次の計算方法で算出します。

定着率=(一定期間後の定着人数÷一定期間の開始時点で入社した人数)×100

例:一定期間を1年、2022年4月に入社した人数が20人、2023年3月時点で15人が残っていた場合

定着率(%)=(15÷20)×100=75%

この場合の定着率は75%となります。

「離職率」は「100-定着率」で示せるため、定着率が75%の場合

離職率(%)=100-75=25%

離職率は25%となります。


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定着率の現状はどうなっているか?

定着率の現状はどうなっているか?

日本企業における社員の平均的な定着率はどのくらいなのでしょうか。

近年の傾向や業界ごとの傾向をふまえ、自社の定着率の現状と照らしあわせてみましょう。

「定着率」の現状

厚生労働省が発表した「令和3年雇用動向調査結果」によると、令和3年度の常用労働者の離職率は合計で13.9%でした。このことから、定着率は86.1%ということがわかります。

下図のとおり、2007年以降は85%付近で推移しており、日本の定着率の平均は「85%」程度といえるでしょう。

定着率の推移
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果」を加工して作成

労働者区分ごとの離職率から定着率を算出すると、一般労働者の定着率が88.9%(離職率11.1%)に対し、パートタイム労働者の定着率は78.7%(離職率21.3%)という結果でした。このことから、一般労働者よりもパートタイム労働者の定着率が低いことがわかります。

厚生労働省が発表した最新のデータもみてみましょう。「令和4年上半期雇用動向調査結果」によると、2022年1~6月の常用労働者の定着率は91.3%(離職率8.7%)で、前年同期の91.9%より数値を落としています。また、一般労働者の定着率は93.2%(離職率6.8%)、パートタイム労働者は86.3%(離職率13.7%)でした。

参考:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果」厚生労働省「令和4年上半期雇用動向調査結果」

業界別定着率

次に、業界別の定着率をみていきます。

「令和3年雇用動向調査結果」で産業別の離職率から定着率を算出すると、最も低い「宿泊業、飲食サービス業」の定着率は74.4%(離職率25.6%)、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」の定着率が77.7%(離職率22.3%)と、サービス業のなかでも定着率が低い傾向があることがわかります。

一方、郵便局や共同組合などが分類される「複合サービス事業」の定着率が最も高く、91.9%(離職率8.1%)を記録、「電気・ガス・熱供給・水道業」が91.3%(離職率8.7%)で続いています。電気・ガス・水道といったインフラ関連は例年、定着率が高い傾向がみられます。

産業別定着率
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果」を加工して作成

新卒就職者の定着率

次に、新卒就職者の定着率をみていきます。

厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)」から定着率を算出すると、就職後3年以内の定着率は新規大卒就職者で68.5%(離職率31.5%)、新規高卒就職者で64.1%(離職率35.9%)という結果でした。

同調査によると、新規大卒就職者の入社3年目定着率は例年、約70%付近の数値となっており、10人に3人ほどが離職していることになります。新規学卒就職者の定着率が低い業種は、「宿泊業・飲食サービス業」「生活関連サービス業・娯楽業」「教育・学習支援業」が上位を占めていることがわかります。

 新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち離職率の高い上位5産業
厚生労働省「新規学卒就職者(平成31年3月卒業者)の離職状況」を加工して作成

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定着率を上げるメリット

定着率を上げるメリット

定着率の向上は企業にとってよい影響を与えることがあります。ここからは、定着率を上げることで考えられる企業側のメリットを紹介します。

コスト・労力の削減

社員の定着率が高くなるということは、離職に伴う新たな人材の採用機会が減少するということです。採用活動の頻度、新入社員を育成する負担も減らせます。

採用活動や新入社員の育成にかける時間とコスト、手間を削減できるだけでなく、それまで採用活動にあてていた人員や予算を別の業務に回せるようになるため、企業にとっては大きなメリットが生まれます。

生産性・業績の向上

定着率が高いということは、社内の人材流出を防げているということ。長く勤務し、熟練したスキルを持つ社員が増えるとともに、気心を知った人同士が多くなり、社内コミュニケーションが円滑になります。

社員が助け合いながら業務を遂行でき、モチベーションの高い状態で仕事に取り組めるほか、ノウハウや経験を社内に蓄積できるようになるため、業務の生産性が向上します。

また、離職者が多くなると引き継ぎが増えて業務が滞ってしまうことがありますが、社員の定着率が高ければ安定してプロジェクトを進められます。

当初の予定通りプロジェクトを進められるなど、クライアントやパートナー企業からネガティブなイメージを持たれにくくなり、相互に信頼関係を築いたうえで業務を進められるため、業績向上につながりやすくなります。

優秀な人材を採用できる可能性が高まる

自社サイトや転職サイトなどに採用情報を載せる際、定着率が高いことをアピールできます。

働きやすい環境があり、やりがいのある仕事ができる会社であることを客観的なデータを通して候補者に伝えられるため、エントリー数の向上などが期待でき、優秀な人材を採用できる可能性が高まります。

また、自社の環境や待遇、仕事内容に魅力を感じている社員が、外部の優秀な人材を候補者として積極的に紹介するケースも期待できるでしょう。

定着率を上げる7つの方法

定着率を上げる方法

定着率を上げるために、企業はどのような対策を行えばいいのでしょうか。ここからは具体的な方法を紹介します。

定着率を上げる7つの方法

採用のミスマッチを減らす

■採用のミスマッチを減らす施策

  • 自社情報を公式サイトやSNSで積極的に情報を発信する
  • カジュアルな面談やミートアップを開催する
  • 自社の従業員から人材を紹介してもらうリファーラル採用(リファラル採用)を行う

企業側と求職者に認識のズレが生じる採用のミスマッチがあると早期の離職につながりやすくなります。

1年以内の離職者が多い場合は、定着率が低い原因を分析し、何が課題となっているのかを見つけることが大切です。そのうえで、採用のミスマッチをなくすために、自社が求めている人物像を明確にし、採用活動や選考方法を見直す必要があります。

ミスマッチを減らすためには、候補者が自社に対してより明確なイメージを持ってもらうことが重要です。選考段階、内定から入社までの期間にカジュアルな面談やミートアップを行うなどしてコミュニケーションをとり、自社の魅力や仕事内容、やりがいなどを伝えていきましょう。

労働環境・社内環境の見直し

■労働環境・社内環境改善のための施策

  • ノー残業デー
  • 完全週休2日制
  • 社内相談窓口の設置
  • 集中して作業できる静かなスペースを社内に設ける

長時間労働が多い、休日出勤が多い、体力的にきつい、仕事に対するストレスが大きいなどを理由に離職する人は多くいます。労働基準法に反するような明らかな問題がある場合は、すぐに見直す必要があります。

業務内容にあわせて働きやすい環境や適切な働き方ができる制度を導入するほか、負担の大きい業務を担当する社員に対してはしっかりとサポート体制を整えるなどの対策をとることが大切です。必要に応じて待遇の見直しも検討しましょう。

社内で使っている設備が古い、古くからの慣習が残っているなどの理由から、業務効率が低下している場合は、設備やルールを見直すことで社員の働きやすさが向上します。このように労働環境、社内環境を改善することで働きやすい職場環境ができれば、社員の定着率の向上につながっていくはずです。

柔軟な働き方の実現

■柔軟な働き方を実現させるための施策

  • 時短勤務制度
  • フレックスタイム制
  • リモートワーク
  • 週休3日制
  • 副業の解禁
  • 有給取得の推奨
  • 育児休暇、介護休暇の取得推進

近年は仕事と生活の調和を意味する「ワークライフバランス」を重視する人や、リモートワークやフレックスタイムでの勤務を希望する人が増え、働き方の多様化が進んでいます。柔軟な働き方ができる環境があれば社員の満足度は向上し、定着率の向上につながっていきます。

時短勤務、フレックスタイム、リモートワーク、副業の解禁などを導入するほか、有休取得の推奨、時間単位での有給を可能にするといった対策も効果的です。最近では週休3日制を導入する企業もあります。

妊娠、出産、育児、病気治療、介護などを理由に離職を検討する社員もいるでしょう。ライフステージの変化や家庭の都合などで今まで通りの働き方ができなくなった社員に対して、離職することなく長く働き続けられる制度をつくることも大切です。そのうえで、制度を利用しやすい社内の雰囲気をつくり、サポート体制を整えましょう。

社内コミュニケーションの促進

■社内コミュニケーション促進のための施策

  • コミュニケーションスペースの設置
  • 1on1ミーティング
  • メンター制度
  • フリーアドレス制や社内チャットなどの仕組みを構築する

風通しが悪く、社内の人間関係がよくない職場は定着率が低くなりやすいといえます。新入社員へのサポート体制をしっかりと構築し、入社直後だけでなく長期にわたって会社全体で支援していくことが大切です。

社内のコミュニケーションがスムーズで、何かあったときに相談がしやすく、居心地がよいと感じる職場であれば、定着率は向上します。

上司が部下と定期的に面談を行う1on1ミーティングや、社内の先輩社員が後輩社員に対して個別支援を実施するメンター制度の導入などが効果的でしょう。また、フリーアドレス制にして部署を超えて交流しやすい環境をつくったり、社内SNSやチャットで社員が交流しやすい仕組みを構築したりする対策も有効となります。


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適正な人事評価制度を導入する

■適正な人事制度評価を実現させる施策

  • 社内表彰制度
  • インセンティブ制度
  • 自己申告制度
  • 目標管理制度
  • 360度評価

能力や仕事の成果に対して適切な評価がなされなければ、やりがいを感じられなくなり、モチベーションが低下してしまいます。不満が大きくなれば離職を検討する可能性があり、定着率の低下を招きます。

成果を適切に評価する人事評価制度を導入するとともに、社員に対して評価基準、昇進や昇給の基準を明確にして、評価を透明化することが必要です。たとえば、成果を上げた社員を表彰する仕組み、希望部署を自己申告できる仕組み、直属の上司だけではなく複数の社員の視点を評価に反映できる360度評価などの導入を検討しましょう。

適切に評価される環境が整っていれば、社員はモチベーションが高い状態で業務に取り組め、結果的に定着率の向上にもつながります。

給与・福利厚生の充実

■給与・福利厚生を充実させる施策

  • 適切な評価に基づいた給与制度の構築
  • 住宅手当・住宅ローン補助
  • 人間ドック、健康診断費用の補助
  • 資格取得支援制度
  • 誕生日休暇・ボランティア休暇

仕事をするモチベーションとして給与や福利厚生は重要です。たとえやりがいのある仕事であったとしても、給与が業務内容に見合わなければ定着率は下がってしまうため、仕事の成果などを適切に評価して給料が上がる仕組みをつくることが大切です。

また、社員が利用しやすい福利厚生サービスを充実させることも、モチベーション向上につながります。たとえば、住宅手当、人間ドックなどの健康サポート、育児や介護のサポート、スキルアップや資格取得のサポート、リフレッシュにつながるサポート、独自の休暇制度などを導入する企業が増えています。

実際に導入する前に、「どんな福利厚生があったら利用したいか」を社員にヒアリングし、集まった意見を参考にするのもよいでしょう。社員のニーズにあった福利厚生を導入できれば、「この会社で長く働きたい」と思う社員が増えていくはずです。

長期的なキャリア形成のサポート

■長期的なキャリア形成をサポートする施策

  • 目標管理制度
  • キャリアデザイン研修
  • キャリア面談
  • 1on1ミーティング
  • 自己申告制度
  • ジョブローテーション制度

入社時に希望していた仕事ができない、仕事にやりがいを感じられないというケースや、自社や業界の将来性が見通せないといったケースでは、今後の自分のキャリアに不安を感じてしまう社員が増える可能性があります。

会社のビジョンをしっかりと社員に伝えるとともに、それぞれの仕事にどんな意味があるのか、自社で働くことでどんなスキルが身につくかなどをしっかりと伝えることが大事です。ばく然と業務をこなす状態になってしまうと離職につながりやすいので、定期的に目標管理をして、モチベーションを保てるように支援しましょう。

社員が長期的なキャリアパスを描ける仕組みをつくることも大切です。社員のキャリア形成をサポートするために研修を設けるほか、定期的な1on1ミーティングでキャリア相談にのるなどのサポートが必要です。キャリアの希望を聞き、必要に応じて希望する仕事ができる部署へ異動できるようにするといいでしょう。

社員が日々の業務を通して成長を実感でき、将来のキャリアを描けるようになれば、定着率の向上につながっていきます。

定着率向上のためのプロセス

定着率を向上させるポイント

定着率を高めるためには、課題の見直しや振り返りなどのプロセスが重要となります。次のポイントを意識して対策を進めていきましょう。

定着率の現状を把握し課題を分析する

まず、現状の社員定着率、離職率を算出し、傾向を把握します。

次に、社員が離職してしまう理由を分析し、課題を見つけます。人間関係がよくない、採用のミスマッチが起きている、将来のキャリア形成に不安を感じているなどさまざまな可能性を検討し、仮説を立てましょう。

現状を適切に把握するためには、離職者へアンケートをとる、離職者が出た部署にヒアリングするといったことも必要です。

定着率向上のための対策を実行する

現状の課題が明らかになったら、定着率を向上させるためにどんな対策をすべきか検討します。

たとえば、定着率低下の理由が「人間関係」である場合、1on1ミーティングやメンター制度を導入するなどしてサポート体制を整える、新入社員の離職が多い場合は、組織で早く活躍できるよう、人事担当者をはじめとして組織全体で支援する「オンボーディング」を実施するなどの対策を検討しましょう。

プランが出来上がったら、対策を実行していきます。

振り返りを行う

対策を実行したあとは定期的に振り返り、実際に定着率向上につながっているか、効果を検証します。

定着率が上がっていないケースや課題が見つかった場合は、新たな仮説を立てたうえで改善策を実施します。対策がうまく進んで定着率向上が実現できていても、継続的に見直して、さらなる改善を目指していくことが大切です。

従業員満足度調査を実施する

定期的に振り返りを行うほか、従業員満足度調査を実施することで自社の現状把握と課題の発見ができます。仕事内容への満足度、職場環境への満足度、福利厚生への満足度などを測り、分析します。

調査の結果、労働環境や仕事環境の課題を発見できたら、改善策を立てて実行します。従業員満足度が高ければ離職率は低くなり、定着率が高い状態につながっていくでしょう。


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定着率が下がる要因は?

定着率が下がる要因は?

離職者が増え、定着率が下がってしまう要因として、以下の5項目が挙げられます。

定着率が下がる5つの要因

一つ目の要因は採用のミスマッチです。採用時の条件と実際の待遇や仕事内容が異なっていた、希望する部署に配属されなかったなど、ミスマッチを理由に早期退職しようと考える人が増えれば、離職につながり定着率の低下を招きます。

次に挙げられる要因が労働環境です。残業時間が長く休日出勤が多い、労働時間の割に給料が低いなどの場合、より良い環境を求めて転職する人材が増加するでしょう。また、社員コミュニケーションが少ない、パワハラやモラハラがある、などの人間関係も、企業で長く働く際に重要となります。

仕事にやりがいを見いだせないケースも定着率が下がる一因です。思っていた業務内容と違っていたなどの理由からモチベーションを失い、よりやりがいを感じられる仕事を求めて転職してしまう社員もいます。

ほかに、「将来性」も定着率低下につながる要因に挙げられます。会社の業績が伸び悩んでいる、業界の変化に対応できないといった企業の場合、社員は自社の将来性に不安を感じてしまいます。キャリア支援が十分ではないことで、自らの将来を見通すことができない社員もいるでしょう。こうした状況では離職者が多くなるため、定着率の低下につながります。

定着率低下が企業に及ぼす影響

定着率低下が企業に及ぼす影響

定着率が低下すると、企業にどのような影響を及ぼすのでしょうか。考えられる主な影響を3つ紹介します。

採用や育成の負担が増える

早期に離職する人が多く、定着率が低い状態だと、退職者が出るたびに欠員補充のための採用活動や新入社員の育成を行わなければなりません。その結果、定着率が高い状態と比べて、採用や育成のコストや手間が多くかかってしまいます。

コストと手間をかけているにもかかわらず、戦力として活躍できる人材が育ちにくい状態に陥り、経営にも大きなダメージを与えてしまいます。

生産性の低下

定着率が低いということは、長く経験を積んだ熟練したスキルを持つ人材が少なくなってしまうということです。ときには、入社間もないメンバーばかりで業務を行わざるを得ない状況になってしまうケースも。結果的に業務の効率が大きく下がり、生産性も低下します。

また、離職した人の業務を既存社員に割り振る必要があり、1人あたりの業務負担が増加します。加えて、新入社員の指導業務も追加されるため、残業時間が増えるなど、労働環境の悪化につながり、既存社員のモチベーション低下につながる恐れもあります。

対外的にネガティブな印象をもたれる

社員の離職による担当者の入れ替わりが頻繁に起こることで、クライアントやパートナー企業からネガティブな印象を持たれてしまうことがあります。

また、定着率が高い企業は自社サイトなどで働きやすさをアピールできる一方で、定着率が低い企業はアピールできるポイントが弱く、ポジティブな印象を持たれにくくなる可能性もあります。

最近では、退職した元社員がSNSやクチコミサイトなどに自社についてのネガティブな投稿をする、というケースも。「人が辞めやすい会社」という良くないイメージがついてしまうことで、採用活動にも影響が出ることもあるため、注意が必要です。


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まとめ

まとめ

社員が働きやすく、やりがいを感じて仕事ができる環境を整えることで、従業員満足度は高まります。「この会社で長く働きたい」と感じる社員が増えれば、定着率が上がり、生産性や業績の向上、会社のイメージアップにつながるなど好循環が生まれていきます。

新しい社員を採用してもすぐに離職してしまう人が多いといった悩みを抱えている企業は、まず現状を把握し課題を分析することが重要です。定着率を高めるために、本記事で紹介した方法を参考に、できることから進めていきましょう。

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著者プロフィール株式会社ケイ・ライターズクラブ

書籍やムック、企業系冊子、Web記事、動画など、さまざまな教養の実用書籍から企業・大学案内、エンタメ系ムック、官公庁や地方自体のWEB記事など、幅広いジャンルのコンテンツ制作をワンステップで行う編集プロダクション。採用や人事、マネジメント、転職などに関するコンテンツも多数制作している。