中間管理職を担う人材はトップマネジメント層と現場社員の間に立ってコミュニケーションを取り、部下の管理を行いながら、自身の業務も遂行しなければなりません。
さらにリモートワークの増加に伴い、リモートマネジメント能力もより重要になってきているため、これまでの研修プログラムや育成方法では、これから必要とされる中間管理職の人材を育てるのは難しいかもしれません。
この記事では、改めて中間管理職の役割と必要な能力に目を向けるとともに、育成方法について紹介します。
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中間管理職とは
中間管理職とは名前の通り、企業の上層部と現場社員の中間にあるポストで、部下を指導したり、マネジメント(管理)を行ったりする社員のことをさします。組織のトップと現場をつなぐ「要」としての役割を持つことも特徴的です。
中間管理職の役割
中間管理職には次のような役割があります。
1:業務の管理
組織内における業務の管理を行います。部下に業務を割り振り、組織として業務が円滑に回るようにします。業務の分配後は、社員が業務を遂行しているかを把握し、問題があればフォローや再分配も行います。
また、上層部と現場社員をつなぎ、両者の間を取り持つ役割も重要です。上層部からの業務をそのまま現場に割り振るだけでは上層部と現場の意識にギャップが生じることがあります。そのため上層部の意向をくみ、現場に理解しやすい形で業務を割り振るなどの調整力が必要です。
2:働き方や労働環境の管理
業務の遂行だけでなく、労働環境や部下の状態を総合的に管理します。例えば残業が続いている部下がいればフォローすることも大事ですが、残業が続かないように体制を整えることがより重要です。
また、部下の身体面やメンタル面で負担がかかっていないかもチェックしなければなりません。
3:部署間の連携
異なる部署との連携で業務効率が上がることがあるため、縦の動きだけでなく、横の連携も組織運営には重要です。また、部署の枠を超えて課題の共有や情報交換を行うことで、組織の柔軟性が高まります。違った視点の情報を取り入れることで自部署の業務改善に役立てられるでしょう。
4:人材育成
指導や助言によって部下の育成も行います。目の前の業務について指導するだけでなく、組織の経営方針や目標も理解させ、広い視座で仕事に取り組めるよう促します。
中間管理職の主な役割は先に挙げた通りですが、リモートワークの増加や働き方改革に先導される残業抑制の動きなど、ビジネス環境も日々変化しています。それによって中間管理職に必要とされる役割も変化が生じているといえます。

トップマネジメント、ロワーマネジメントとの違い
組織においてマネジメントを行う管理職は「中間管理職」だけではありません。ここからはトップマネジメントとロワーマネジメントについて紹介します。
トップマネジメントとは経営方針や企業に重大な影響を与える決定を行う者、もしくはグループのことです。経営に対して責任を持つ立場のマネジメント層といえます。
一方、ロワーマネジメントとは、主任やチーフといった中間管理職より、さらに現場に近い社員のことです。現場を監督する立場でプレーヤー色が強い存在です。現場の社員に近い目線を持ち、目標に向かってチームを引っ張っていくリーダーと考えるといいでしょう。
なお中間管理職は「ミドルマネジメント」ともいい、トップマネジメントとロワーマネジメントの間に位置します。組織階層としてはトップマネジメントが上層部、ミドルマネジメントが管理職、ロワーマネジメントは現場のリーダーとしてチームを指揮しつつ、実務にあたります。
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ビジネス環境の変化が中間管理職に与える影響
ビジネス環境の変化は中間管理職に対して次のような影響を与えます。
リモートワークの増加
新型コロナウイルス感染症の拡大によってリモートワークが増加したため、昨今では、リモートマネジメントの能力を高めることがより重要になってきています。部下がリモートワークになじんでいるか気を配ることはもちろん、自身もリモートワークの業務に慣れ、成果を上げていかなければなりません。
例えば「Web会議ツール」などを使ったオンライン会議では、参加者一人一人がWeb上で情報を共有するため、映像の音質や画質、ネットワーク環境を整えて、ストレスなく会議を進めることが重要です。
一方、リモートワークで多用されるチャットはリアルタイムで交わされる会話と異なり、各自のタイミングで発信されることが多くなります。そのため、情報共有がスムーズにいくような配慮が必要です。グループチャットの活用、埋もれてはならない情報は自社システムのクラウドに掲載するなどしてチーム全体に情報が行きわたるようにします。ツールや状況に応じたリモートマネジメントが求められるのです。
ITテクノロジーによる情報の共有化
社内システムをクラウド化すれば、社員はインターネットを介していつでも情報に触れられます。そのため上層部の意思を社内システムに提示することで、すべての社員が経営方針や社内目標などを直接確認することが可能です。
またメールやチャットを利用すれば、中間管理職を介さずとも企業上層部が該当社員とダイレクトにやりとりすることもできます。この流れはリモートワークの定着で、さらに加速することが予想されます。
このような背景から、監視型の中間管理職は不要になるのでは、との意見もあるようですが、一概に不要と断じることはできません。むしろ、求められる役割が変化したと考えられます。例えば、中間管理職の部署のリーダーとして組織業務を維持運営していく役割はより重要になります。トラブルや状況の変化に応じた意思決定や、部下のモチベーション管理などがこれからの中間管理職に必要な役割でしょう。

中間管理職に必要な能力
ビジネス環境の変化も考慮したうえで、これからの中間管理職に必要な能力を紹介します。
コミュニケーション能力
部下との関係性の構築やトップマネジメント層の考えを正しく伝えるため、部署間の調整にもコミュニケーション能力が重要となります。
さらにリモートワークではコミュニケーションが不足しがちなため、チームがうまく機能するように中間管理職がコミュニケーションの場を設けるようにします。ちょっとした疑問を確認したり、負担に応じて業務を助け合ったりできるよう、気軽に話せるミーティングの機会を定期的に設ける、雑談用のチャットを作って積極的に活用する、といった方法があります。
特に新入社員や新たに部署に移動してきた社員に対しては、個別のフォローが必要です。同じ空間で仕事をすれば感覚として理解しやすい部署の価値観や評価基準などがリモートワークでは見えにくいからです。個別のミーティングや丁寧な指導によって、新しいメンバーが部署の気質を理解して溶け込めるように心がけます。
課題解決能力
現状把握による課題を明確化し、解決に向けて動く能力です。
特に中間管理職としては、課題が生じたときに俯瞰(ふかん)的な視点でとらえる能力が求められます。また課題が生じた背景まで見ていくことで単に解決するのみならず、今後同様の課題が発生しないように防ぐことも意識していきます。
広い視座で課題を見ていくことは、複数の課題が生じたときに優先すべき課題を見つけることにもつながります。また、実は別々に見えた課題が相互に関連している場合は、より根本的な解決策を探ることができるでしょう。
決断力
業務の遂行や課題解決にあたっては、決断を繰り返していかなければなりません。例えば、顧客からの要求が部下の裁量を越えていたときなど、スピードと冷静さをもった意思決定を行う能力が求められます。
個人的な感情や、過去の成功例に基づいて決定するのではなく、論理的思考をもって判断することが大事です。
人材育成能力
業務を配分したら、業務の進ちょく・結果を確認します。課題を抱えていたらサポートし、フィードバックをして部下の成長を促します。成長に応じて少しずつ責任のある業務を任せていきましょう。
業務の管理だけではなく、部下をサポートし、モチベーション管理なども含めた育成能力が求められます。
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中間管理職に必要なマインド
これからの時代に求められる中間管理職は、能力だけでなくマインドを持つことも必要です。
向上心
部下の育成・研修などを行う立場である中間管理職の社員自身も、リーダーとして日々スキルや経験を積み重ねて更新していくことが必要です。
企業の成長やビジネス環境の変化によって自社に必要な中間管理職の役割も変わってくると考えられます。そのときに必要な中間管理職の役割を果たせるよう成長することが重要です。
オープンマインド
話をいつでも聞く姿勢や、失敗をいつでもフォローする気持ちでいることなど職場の雰囲気がよい方向に向かうよう意識して行動します。また、公平な態度や評価、発言に一貫性を持つことも重要です。これらが一致していないと、部下は上司の態度や発言に振りまわされていると感じるかもしれません。
自身が部署の雰囲気を大きく左右する存在であることを認識し、日々のコミュニケーションを取りましょう。
中間管理職が抱えやすい悩み
ここからは中間管理職が抱えやすい悩みを紹介します。
仕事量の増加
中間管理職の多くはプレーイングマネジャーとして「管理業務」と「従来業務」を併せて実行するため、仕事量が多くなりがちです。
さらに政府が主導している働き方改革によって「残業時間の上限」が規制されるようになりました。残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間です。部下の残業時間が制限されたことにより、部下の仕事を引き受ける中間管理職もいます。
参考:時間外労働の上限規制 | 働き方改革特設サイト | 厚生労働省
成果や責任に対してのストレス
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「労働者の働く意欲と雇用管理のあり方に関する調査」によるとストレス要因について「管理職(課長以上)」と「管理職以外(係長を含む)の社員」を比較すると、「仕事の成果が重視される」「責任が重い」の項目で、特に顕著な差がみられました。
「仕事の成果が重視される」「責任が重い」ことでストレスを感じると回答した管理職の割合は、管理職ではない社員の約2倍となり、成果を求められることや責任への重圧は、中間管理職の大きな悩みであることが分かります。
出典:職場環境の変化とストレス ―仕事における希望― 安田 宏樹│東京大学社会科学研究所 p129
部下の育成を考慮した業務配分
プレーヤーであったときは、目の前の業務を遂行することが重要な仕事でしょう。しかし中間管理職になったら、部下の成長につながるように業務を適切に配分しなければなりません。
仕事の質が変わるため、優秀なプレーヤーが、そのまま優秀な管理職になれるとはかぎりません。中間管理職への意識改革を行わないと、部下に仕事を任せられず自身の労働時間を増加させてしまう可能性があります。
トップとの板挟みになりやすい
上層部の要求が現場の現状と合っていなければ、中間管理職が意見しなければなりません。自身の上司と部下の板挟みになり、中間管理職が現場の不満をかぶることもあります。そのような状態で結果を出さなければならないので、精神的な負担はより大きくなるでしょう。
また、現場社員と違い同じ立場の者が近くにいないため、社内における相談相手も少ないと推測されます。
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中間管理職育成のポイント
ここでは、中間管理職の育成ポイントについて紹介します。
基本業務を身に付けているかを確認
中間管理職は、プレーヤーとしての業務(基本業務)と、管理職としてのマネジメント業務を並行して行います。プレーヤーとして基本業務を行わない場合でも、部下のマネジメントのためには基本業務を理解していなければなりません。必要な基本業務を項目ごとに洗い出し、一つ一つ評価していきます。評価の不足する項目は、本人にフィードバックして、成長を促します。
中間管理職としての仕事内容を理解してもらう
プレーヤーから管理職になると組織における役割が変わるため、意識改革が必要になります。そのために、中間管理職の役割をしっかりと把握します。
具体的には、中間管理職としてマネジメント業務の重要性を知ることや、コミュニケーションに関する考え方を変化させる必要があるでしょう。
いきなりできるものではないので、プレーヤーでいる段階からコーチングやマネジメントに関する研修や指導を受ける機会を提供することでスムーズな移行を目指します。
研修の実施
中間管理職に必要なコミュニケーション能力やマネジメント能力を培うには経験が必要です。中間管理職になるときはもちろんですが、その後も研修の継続、定期的なヒアリングを実施するなどのサポートをします。
リモートワークの増加に代表されるように、ビジネス環境の変化で中間管理職に求められる役割も変わっています。そのため、研修・指導内容はその時代に合った内容に改良していかなければなりません。また中間管理職としてマネジメントするうえで、情報セキュリティやコンプライアンスなどについて最新の知識を持っていることも重要です。
ストレスへの対処法を教える
ストレスが発生したとき、ストレス要因そのものを解消したり、発生させないようにしたりするのは難しいかもしれません。しかしうまく向き合う方法を身に付けることはできるはずです。
業務上の困難に対してストレスが発生したら、ストレスを抑え込もうとするのではなく、ストレス要因を客観的にとらえるように教えましょう。
大切なのは合理的な解決方法に集中することです。仮にストレスの原因が特定のプロジェクトであれば、プロジェクトの進め方を見直したり、メンバーを増強したりして解決できないかを考えてもらいます。
また、ストレス防止の観点からは中間管理職とはいえ大変なときは部下に助けてもらうことが重要であると伝えるといいでしょう。
自己に対して肯定的な評価ができるとストレス耐性度が高いとの研究成果もあります。中間管理職にかぎった話ではありませんが、評価すべき点を積極的に伝えることで、自己肯定感を高める試みも有効でしょう。
ジョブアサイン力をつける
仕事をどう配分するべきか悩む中間管理職も多いです。そのためジョブアサイン力の重要性を伝え、丁寧に指導します。
なかには、与えやすい業務や部下が遂行しやすい業務を与えてしまうケースも懸念されます。しかしあえて「その社員の能力を高める業務を割り振る」ことも必要です。
「責任感ある業務」「部門内の戦略・構想を策定するような、変革に関わる業務」などを積極的に任せることは部下の成長にも寄与するため、思い切って仕事を任せるように促しましょう。

新たな人材の採用も選択肢の一つ
社内で中間管理職を育成することも重要ですが、新たに「中間管理職をサポートできる人材」や「中間管理職人材」を採用する選択肢もあります。
「中間管理職をサポートできる人材」とは、専門性の高い業務が任せられる、現場のリーダーになれる人材です。採用の際は、小論文で論理的な思考の有無を測る、面接においては「中間管理職をサポートできるだけの視座を持っているか」「経営方針の理解度」などを見極めます。
幅広い層から優秀な人材をすくい上げるために、時短で働く人材の活用も積極的に検討するといいでしょう。
「中間管理職人材」を採用する場合、「現在の組織に必要な人材」であるかを見極めるだけでは不十分です。今後企業が成長していった後も中間管理職として部署やチームをけん引できる人材を採用します。
なお、外部人材を採用する場合も育成や企業サポートは必要です。採用時はその後の育成コストも踏まえて検討するといいでしょう。

中間管理職はトップと現場をつなぐ企業の要
中間管理職には、部署の業務管理や働き方の管理など、多くの役割があります。ビジネス環境の変化により役割が変わってきた面もありますが、中間管理職は上層部と現場をつなぐ要の存在です。
中間管理職の意義や育成方法を見直すことで、自社にとって必要な中間管理職を育成していきましょう。
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