2021年8月19日、株式会社ビズリーチは「多様性が生み出すイノベーションの実現 キリンの人材戦略」と題したWebセミナーを開催しました。
キリンホールディングス株式会社執行役員人事総務部長の濱利仁様にご登壇いただき、社内の多様性促進をいかに進めてきたのか、さまざまな取り組みについてお話しいただきました。モデレーターは、株式会社ビズリーチ取締役副社長で、ビズリーチ事業部事業部長の酒井哲也が務めました。

登壇者プロフィール濱 利仁氏
キリンホールディングス株式会社 執行役員 人事総務部長

モデレータープロフィール酒井 哲也氏
株式会社ビズリーチ 代表取締役社長 ビズリーチ事業部 事業部長
※所属・役職等は制作時点のものとなります
KIRINの経営戦略 食から医にわたる領域での新たな価値創造
キリングループは、2019年に長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、CSV(共有価値の創造/Creating Shared Value)を経営の根幹に据え、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを目指しています。また、経営理念を「自然と人を見つめるものづくりで、『食と健康』の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します」へと更新、それまでの経営理念に、「こころ豊かな社会の実現に貢献します」という一文を付け加えました。

キリングループが大切にしている価値観は、「熱意・誠意・多様性」の3つです。「多様性」は2019年から新たに追加したもので、「多様性が成長のドライバーである」という経営判断から、意識的に推進することを決めています。

キリングループの2027年ビジョンは「食から医にわたる領域で価値を創造していくこと」。既存の食(飲料等)と医薬の領域に加え、ヘルスサイエンス領域への新しい挑戦を掲げています。CSVを経営の根幹に据え、お客様の期待に応える価値創造のためにはイノベーションを実現する組織能力が必要になります。多様性を推進し、組織を活性化することで、イノベーション創出力が高まると考えています。

KIRINの人材戦略 イノベーション創出に向けた多様性の推進
キリングループでは、無限の可能性を持ち、自ら成長・発展し続けようとする社員一人一人の努力と個性を尊重する「人間性の尊重」を考え方のベースとし、社員と会社は、「仕事を介したイコールパートナーである」と位置付けた「人事の基本理念」を掲げています。

その基本理念をもとに、イノベーションを実現する組織能力として何が必要なのか。キリングループでは、以下の4つの組織能力強化に取り組んでいます。
- お客様主語のマーケティング力
- 確かな価値を生む技術力
- 多様な人材と挑戦する風土
- 価値創造を加速するICT

そのなかで、本日は「多様な人材と挑戦する風土」の取り組みについてご紹介します。多様性にはさまざまな切り口がありますが、キリングループでは、従来取り組んできた女性活躍、障害者雇用、性的マイノリティー、シニアなどの属性だけでなく、さまざまなバックグラウンドや価値観、感性、経験を持つ多様な人材の「違い」を受け容れ、生かし掛け合わせることで、イノベーション創出を目指しています。
なかでも、多様な視点を生かした事業展開を加速するため、女性リーダー育成と活躍支援に注力しています。
2010年代前半は、女性社員の離職率の高さが課題でした。その反省から、女性社員を全員集めたキックオフやトップメッセージの発信、女性向けのリーダー研修など、トップがコミットメントすると決め、数々の施策を進めてきました。
今後は、2030年までに女性リーダー比率を30%にする目標を定め、現在の11%から大きくジャンプアップさせていきます。数字を上げることが目的ではなく、女性社員の意思決定層への登用を進め、これまで以上に多様な視点を経営に反映していくことが重要だと考えています。
もちろん、性別にだけフォーカスするのではなく、外国籍社員も含め、さまざまな多様性のある人材を取り入れることが重要です。そのために、キャリア採用も積極的に進め、全採用数の30%をキャリア採用にすることを目標に掲げています。

もう一つ重要なのが、「挑戦する組織風土」を作ること。人は仕事を通じて成長するとの考えから、「手挙げ」を重視しています。キリンホールディングスへの転籍や海外での越境学習、副業・兼業の解禁など、社員一人一人の主体的な成長意欲を後押しする制度を整備しています。

こうした社内制度改革を進めるなかで、さまざまなイノベーションが生まれています。その事例の一つが、2019年にオープンした「シャトー・メルシャン椀子ワイナリー」です。お客様がワイン作りを体験しながらワインを楽しめる施設ですが、これは女性社員からの、「地域に貢献できるワイナリーを作りたい」という想いからスタートしました。
2015年に店舗をオープンした「SPRING VALLEY BREWERY」ブランドは、需要が減ると予測されるビールに対して新しい楽しみ方を提案するために、女性社員が自ら社長に直訴し、想いをカタチにしてできたものです。

また、若手社員が非公式に立ち上げた「キリンアカデミア」という企業内大学も、キリングループの挑戦する風土を体現するものです。平日の夜に社内外の多様な人のコミュニケティーを作り、勉強会やトークセッションを実施するなど、「キリンを挑戦志向の風土」に変革すべくリードしています。
多様性推進を加速させる採用戦略
事業のポートフォリオ変革に伴い、ヘルスサイエンス領域やICT・デジタルをはじめとし、求められる人材も変わってきました。イノベーションを実現できる高い組織能力のためには、これまで以上に戦略的な採用計画が必要になります。
従来の新卒一括採用だけではなく、求める人材要件を明確にし、多様な採用チャネルを用いながら採用を進める必要があります。
組織の立て直しという観点では、キリングループとして初となる、マーケティング部長の外部からの採用も実施。P&Gジャパン合同会社出身の方にジョインしていただき、マーケティング力改革などを図っています。
専門性と多様性を強化しながら、人材プールを充実させていくことも、今後の課題だと考えています。

Q&A
セミナー後半では、視聴者から寄せられた多くの質問にお答えいただきました。
セミナーの最後に、視聴者の皆様に向けてメッセージをいただきました。

大変多くの方に関心を持ってセミナーをご視聴いただき、とても驚いています。キリングループとしても、多大な時間をかけて、ようやくこのレベルに来られた…というのが現状。まだまだ加速させていかなければいけません。
新しい施策や制度設計などを「始める」ことには、必ず抵抗があり、いろいろな意見に阻まれることもあると思います。でも、社会変化のスピードは速くすぐに時間がたってしまう。少しでも前に進めようという気概で動かすことが大切です。
今日の話が、少しでも参考になったのであれば、また事例を共有させていただければと思います。ありがとうございました。
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