近年よく耳にする「カルチャーフィット」。生産性の向上や離職率の低下に効果が期待できるとして、多くの企業が採用に取り入れている考え方です。採用に活用するメリットや見極め方、具体的な質問例、さらに自社でカルチャーを醸成・浸透させる方法について解説します。
日本最大級の「即戦力人材データベース」で
登録者を無料で検索してみませんか?
ビズリーチは、日本で初めて会員が利用料を払う「有料プラン」の提供を始めた転職サイトです。「今すぐ転職したい」人だけではなく、自らの「市場価値」や「新たな可能性」を知るために利用する人など、キャリア形成に意欲が高い会員が多く登録しています。
下記のリンクをクリックすれば、貴社の求める人材がビズリーチのデータベースにどのくらい登録されているか、「デモ画面を検索」できます。
※スカウト可能会員数(2022年10月末時点)
カルチャーフィットとは?

多くの企業が重視しているカルチャーフィット。まずはその意味を確認していきましょう。関連するワード「スキルフィット」との違いについても解説します。
カルチャーフィットの意味
カルチャーフィットは、Culture(文化)とFit(適合)をかけ合わせた造語。採用においては企業固有の文化への適応度という意味で用いられ、求職者が「社風に合っているかいないか」を表す場合に使います。また、適応度を高めるための取り組みを指すこともあります。カルチャーフィットはカルチャーマッチや価値観マッチングなどとも呼ばれます。
スキルフィットとの違い
カルチャーフィットと似た言葉に、スキルフィットがあります。スキルフィットは、Skill(スキル・能力)とFit(適合)をかけ合わせた造語。会社が求めるスキルや能力と、求職者や従業員が持つスキルや能力のマッチングの度合いを指します。
基本的に、即戦力人材を求める場合はスキルフィットをメインとした採用を行うケースが多いものです。しかし近年はスキルを見ることに加え、職場や会社の文化に適合する「カルチャーフィットした人材」を採用する傾向が高まってきています。
【無料】ビズリーチのデータベースで自社に必要な人材が登録されているか検索してみませんか?⇒179万人以上の優秀な人材が登録するデータベースで検索してみる
カルチャーフィットが注目されている理由

近年、多くの企業が採用時にその考え方を取り入れるなど注目されているカルチャーフィットですが、注目を集める背景について確認していきましょう。
離職防止
採用時にカルチャーフィットを確認しておくことにより、入社後に特に社風や文化といった面でのミスマッチが減り、早期の離職を防ぐことができると考えられています。
日本企業全体の離職率平均値の推移は以下の通りで、おおよそ15%前後です。
- 2018(平成30)年 14.6%
- 2019(令和元)年 15.6%
- 2020(令和2)年 14.2%

また、新卒採用(大学卒)の従業員が3年以内に離職する割合は以下の通りで、おおよそ31〜32%です。
- 2016(平成28)年卒入社 32.0%
- 2017(平成29)年卒入社 32.8%
- 2018(平成30)年卒入社 31.2%

これらの数字に表されている離職者の中には、カルチャーフィットが原因で離職している人が少なからずいます。早期の離職は新たな人材を採用するためのコストがかかるなど、企業側にとっては痛手といえます。それを未然に防止することができるという理由で、カルチャーフィットが注目されているのです。
働き方の変化
新型コロナウイルスの世界的な流行や、多様な働き方が受け入れられつつある社会の流れにより、リモートワークが急速に浸透しました。しかしそれに伴って、社内のコミュニケーション不足が指摘されています。
今までは、オフィスで机を並べている同僚や上司に気軽に質問・相談できたことでも、リモートワーク時は物理的な距離があることから、気軽に声をかけられない側面があります。また、オフィスで部下の調子が悪そうに見えたり、困りごとを抱えていそうだと察知したりして直接声をかけていたようなことも、リモートワーク時は難しくなります。
さらに、企業のカルチャーは肌で感覚的に理解する側面もあるため、出社をして社内で働いていれば理解しやすく、またなじみやすくなるものです。しかし、リモートワークが普及してコミュニケーションが不足している状態では、企業のカルチャーに触れる機会が減ってしまいがちです。
最初はカルチャーにそれほどフィットしていなかった新入社員でも、社内で働くうちに徐々にフィットしていくというケースはこれまでにもありましたが、リモートワークの状況下ではそれが難しくなっています。そのため、初めからカルチャーフィットしそうな人材を採用しようという動きが出てきています。
中途採用の一般化
今までは新卒で採用された会社の多くで終身雇用制度が適応されるのが一般的でした。しかし最近では転職に対する抵抗感が少なくなり、中途採用を積極的に活用する時代になっています。定年まで1つの会社に勤め続けることが減ってきているのです。
勤めていた企業にカルチャーフィットできないと感じると従業員が転職を考えてしまうこともあります。中途採用が一般化され人材の流動性が高まっている状況もカルチャーフィットが注目されている理由の一つです。
従業員がカルチャーフィットしていないとどうなる?

従業員がカルチャーフィットしていないと、どのようなことが起こるのでしょうか。予測される事態を解説します。
新たな人材の採用にコストがかかる
カルチャーフィットしないことで、従業員と企業の間にミスマッチが起こり、採用した人材が定着しないことが予想されます。採用した人材が定着せず早期離職すると、採用にかけたコストが無駄になってしまうだけでなく、新しく採用を行うコストが発生します。また、短いスパンでさらに新しい人材を受け入れるため現場も疲弊してしまいます。
連携がうまく取れない
カルチャーフィットしていない人材が多いと、考え方や価値観がバラバラのメンバーで業務を進めなければならなくなります。考え方や価値観が一致していればすんなり進められることでも、理解や協力を得ることが難しく、うまく連携が取れないといった事態が起こり、企業としての生産性の低下につながる可能性があります。
モチベーションの低下につながる
多くの場合、カルチャーフィットしていない従業員は、社風や文化に共感することができません。その結果企業に対する帰属意識や愛着、ロイヤルティーといったものが下がり、働くモチベーションの低下につながります。
【無料】ビズリーチで「年収600万円」の人材を2名採用すると、どのくらいの費用がかかる?⇒コストシミュレーションを確認してみる
カルチャーフィットを採用に活用するメリット・デメリット

カルチャーフィットを採用に導入することにはメリットもデメリットもあります。具体的にどのようなものがあるか、確認していきましょう。
【メリット1】採用のミスマッチが減り離職率が改善する
「カルチャーフィットが注目されている理由」の項目でも説明したように、カルチャーフィットを採用に導入することで社風や文化といった面でのミスマッチが減ります。入社後に「この企業は自分に合わない」などの理由で退職することが減リ、離職率の改善が期待できます。
離職率が改善すれば、採用のコストも低減することができ、短いスパンで新入社員を迎えなくてもよくなるため、現場の負担も減るでしょう。
【メリット2】生産性が高まる
カルチャーフィットを採用に導入すると、企業側の考え方や価値観をある程度共有できている従業員を採用できます。既にカルチャーを理解した状態で業務にあたれるため、判断にブレや迷いがなくなり、生産性が高まることが期待できます。
また、カルチャーフィットしている場合は働く環境が居心地良く感じられるため、モチベーション向上につながりやすく、そういった意味でも生産性の向上が期待できます。
【デメリット】多様性がなくなる
同じような考え方や価値観の従業員が集まることにはデメリットもあります。それは新しい発想や社内での議論が起こりにくいということです。
目まぐるしく変化する現代社会においては、カルチャーフィットを重視しすぎて、企業文化が凝り固まってしまうことが、成長を阻害してしまうこともあると留意しておきましょう。新たな考え方を持つ人材を採用することも考え、カルチャーフィットはあくまで指標の一つという考え方を持つことも必要でしょう。
カルチャーフィットを見極める方法

採用選考時、候補者が自社のカルチャーにフィットできるかどうかを、どのようにして見極めればいいのでしょうか。5つの方法を紹介しますので、採用活動に取り入れてみてください。
- 社内のカルチャーを定義する
- 定義したカルチャーをもとにペルソナを作成する
- インターンを実施する
- ミートアップや自社イベントに参加してもらう
- リファレンスチェックを行う
社内のカルチャーを定義する
まずは自社のカルチャーはどのようなものかを定義しましょう。採用担当者がしっかりそのことを理解していなければ、人材がカルチャーフィットしているか判断できません。企業理念や、それに沿った行動とはどのようなものか、従業員にも理解しやすいようわかりやすく書き出しておきます。カルチャーを象徴するような事例を取り入れるのもわかりやすいでしょう。
次に、会社全体で心がける信条や行動規範といったいわゆる、「クレド」を作成します。あらかじめ求人募集の際にクレドの内容を発信しておくことで共感する求職者を集めることができるでしょう。
定義したカルチャーをもとにペルソナを作成する
自社のカルチャーを定義したら、そのカルチャーに沿う理想の人物像としてペルソナを作成します。「ペルソナに沿っているかどうか」の検討が、カルチャーフィットできるかどうかを判断する一つの方法になります。
ペルソナのつくり方はさまざまですが、カルチャーフィットしていることのほかに、社内で活躍する具体的な従業員の行動特性や価値観を盛り込み、今回募集するポストの配属予定先の従業員に、どのようなスキルや特性を持つ人材が必要かをヒアリングするとよいでしょう。実際に入社し、配属先で働く際に、現場側も新入社員側も「思っていたのと違った」というギャップが生まれないようにするためです。
インターンを実施する
特に新卒採用の場合、インターンを行ってカルチャーフィットを見極めるという方法は一般的です。現場で業務を体験し、従業員と交流するなかで、お互いにカルチャーフィットできそうかどうかを判断するのです。
たとえ1日のインターンであったとしても、カルチャーを実際に肌で感じることができるため、企業にフィットできそうかどうかを探る材料になるでしょう。
ミートアップや自社イベントなどに参加してもらう
候補者と既存従業員とのリアルなやりとりを体験してもらうために、ミートアップや自社イベント、ワークショップなどに参加してもらうことで、会社のカルチャーにフィットしそうかどうかを確認できます。
これらのイベントは直接的な選考ではないため、リラックスした状態で候補者の過去のエピソードなどを聞き、人物像を詳細に把握していくことができるという利点があります。
リファレンスチェックを行う
リファレンスチェックとは、特に中途採用の場において、候補者が勤めていた会社の関係者に問い合わせをすることです。
一般的にリファレンスチェックは経歴や職歴、保有資格等に間違いがないかを確認する目的で行われますが、同時にカルチャーフィットを確認する手段としても有効です。前職あるいは現職の従業員や人事担当にコンタクトできれば、人柄や勤務態度について確認できます。そこから、自社のカルチャーに適合しているかどうかを判断できます。
カルチャーフィットを見極める質問例

採用選考時、候補者が自社のカルチャーにフィットできるかどうかを判断する質問例を紹介します。自社のカルチャーについての質問とSTAR型の質問を併用することで、より正確な判断材料となるでしょう。
自社のカルチャーについて
カルチャーへの共感度や、転職先について知りたいという意欲をはかる質問は以下の通りです。カルチャーの調べ方を聞けば、情報収集能力も推し量ることができます。
- 「自社のカルチャーについて、調べましたか?」
- 「自社のカルチャーについてどのように調べましたか?」
- 「自社のカルチャーについてどのように感じますか?」
ただし、口頭で聞いただけでは本心からカルチャーに共感しているかどうかはわかりません。過去の行動エピソードなどを聞いて、そこからわかる特性を分析し、カルチャーフィットできるかどうかを判断することも大切です。
STAR型の質問
エピソードを聞く際には「STAR型質問」をすると、特性を把握しやすいといわれています。STARとは、以下の4つの頭文字を並べたものです。
- 当時の状況(Situation)
- 当時の課題(Task)
- 取った行動(Action)
- 得られた結果(Result)
自社のカルチャーのうち「自発的に行動する」という項目にフィットするかどうかを知りたい場合を例に、STAR型質問の組み立て方を解説していきましょう。
「成功していても、失敗していてもいいので、前職で自分からアクションを起こし、何かを始めた経験があれば教えてください」と前置きしたうえで、「STAR型質問」を以下のように設定します。
1. 当時の状況(Situation)
- 「その行動を起こしたとき、周囲の状況はどのようなものでしたか?」
- 「チームに関わっていた人数は何人くらいでしたか?」
- 「どのような役割・ポジションでしたか?」
2. 当時の課題(Task)
- 「そのとき、どのような課題がありましたか?」
- 「課題は緊急性の高いものでしたか?」
- 「課題の原因をどのように分析していましたか?」
- 「課題解決のために、どのような役割が求められていましたか?」
3. 取った行動(Action)
- 「課題に対して、〇〇さんはどのようなアクションを起こしましたか? 具体的な行動を教えてください」
- 「なぜそのアクションを起こしたのですか?」
- 「なぜそのアクションを最初に起こすことにしたのですか?」
- 「そのアクションは、〇〇さんの普段の行動とは違う性質のものでしたか?」
- 「〇〇さんは普段から、指示がなくても行動したり、発起人となったりするようなことが多いですか?」
- 「ほかにもそのような経験があれば、教えてください」
- 「周囲の人は、〇〇さんが起こしたアクションに対してどのように反応していましたか?」
4.得られた結果(Result)
- 「アクションを起こした結果、どのような成果が得られましたか?」
- 「その後の業務にどのような影響がありましたか?」
- 「振り返ってみて、『こうすればよかった』というような、反省点・改善点はありましたか?」
【無料】ビズリーチで「年収600万円」の人材を2名採用すると、どのくらいの費用がかかる?⇒コストシミュレーションを確認してみる
社内でカルチャーを醸成・浸透させる方法

初めからカルチャーフィットしている人材を採用することは大切ですが、カルチャーフィットしそうな人材を完全に見極めることは簡単ではありません。また、働いていくうちに考えや価値観が変わりカルチャーフィットしなくなっていく可能性もあります。
社内でカルチャーを醸成し、浸透させることで、一人でも多くの従業員がカルチャーフィットした状態にしていくことが大切です。そのための方法を解説します。
カルチャーを言語化して社内に広める
カルチャーには肌感覚で理解する「雰囲気」や「空気」と呼ばれるものが含まれます。言語化しづらいものではありますが、これらの理解を言語化せずにいると人によって感じ方が異なるため、社内でカルチャーを定着させることが難しくなります。
カルチャーを言語化することは必須といえます。言語化することで理解が進み、意識もしやすくなるためです。効果的な方法として、企業理念や行動規範等を文書化する「クレド」を作成して従業員に配布するというものがあります。
また、社内報や採用オウンドメディアの中で自社のカルチャーを紹介していき、従業員にも読んでもらうとよいでしょう。カルチャーを象徴する事例を取り上げ、従業員にインタビューを行うといった方法があります。
社内研修の場でカルチャーを伝える
定期的に社内研修を行い、言語化したカルチャーを従業員に発信しましょう。カルチャーをつくり出している経営者や幹部がいれば、その本人から直接従業員に説明をすることで、より理解が進み、浸透しやすくなります。
カルチャーを強化する社内制度を整える
もし、自社に和気あいあいとしたカルチャーがあるならば、交流会の開催や部活動の費用サポートなどを行いましょう。
個人のスキルアップを重視するカルチャーがあるならば、学習費用の補助や毎月の書籍購入費支給などでサポートすることも大切です。このように自社のカルチャーをより強化できるような社内制度を整えることも効果的といえます。
まとめ

従業員がカルチャーフィットしていると、職場への満足度が高くなり、仕事への積極性が上がったり離職率が低下したりするなどのメリットがあります。自社のカルチャーをしっかり理解していないと採用に活用することも難しいため、まずはカルチャーを言語化することが大切です。
本記事で紹介したカルチャーフィットの見極め方法や質問例なども参考にして、採用にうまく取り入れていきましょう。
ビズリーチ導入から1年で採用コストを80%削減した企業も

ダイレクトリクルーティングで、採用コストの最適化と採用力強化を実現しませんか。
貴社のお悩み・ご要望に沿って、最適な料金プランをご提案いたします。