新しい人材を迎え入れる「採用」。その目的は人員の補充だけではありません。
この記事では、採用目的を明確にすることがなぜ重要なのか、採用のフローを詳しく紹介するとともに、採用手法の種類や効率化の方法など、採用業務を行うにあたって知っておきたい知識を詳しく解説します。
あなたの面接にあてはまる「ダメ習慣」はありませんか?
ダメ面接官から卒業するための解説資料をダウンロード⇒こちらから
企業が採用を行う目的は?

企業はやみくもに採用活動を行うわけではなく、目的があって人材を採用しています。一般的に、企業が採用を行う目的は、大きく3つあります。
■事業課題の解決のため
会社が抱える事業課題を解決するために、適切なスキルや経験がある人材を採用します。事業拡大のために新しく人員を募集するのもこのひとつです。
■不足している人員を補うため
定年退職などで企業の人員は自然と減少していくもの。それを補い、会社の規模を維持するためには、新しく採用を行い不足している人材を補う必要があります。
■企業や組織を活性化させるため
新しい人材の採用は、企業に新しい文化や知識、スキルを持ち込みます。それにより、企業や組織が活性化することが期待できます。
自社がなぜ人材を採用するのか、その目的を明確にしておかなければ、適切な採用戦略は立てられません。さらに採用戦略は、経営・事業計画から逆算して立てる必要があります。まず、経営・事業計画を実現するために必要な組織戦略を立てる→その組織戦略を実現するために必要な採用戦略を立てる、といった順で計画します。
このように採用戦略は、経営・事業計画実現のための土台ともいえるので、そのはじめの一歩である採用の目的を明確にしておくことは非常に重要となります。
また、採用を新卒採用と中途採用に分けると、さらに明確な採用目的が見えてきます。以下にそれぞれの目的を解説します。
新卒採用の目的:幹部候補の育成、企業文化の継承など
新卒採用の目的は、大きく4つあります。
1. 将来の幹部候補を育成するため
新卒時から教育することで、長期的な展望でリーダーや幹部候補を育成しやすくなります。
2. 企業文化を継承するため
社会人経験のない新卒時から企業に在籍し、長期にわたりその文化のなかで働く経験を通して、企業文化が自然と継承されます。
3. 人員のバランスを取り、若手の労働力を確保するため
毎年新卒者を採用することで、特定の年に人員が偏らず、バランスを保ちやすくなります。また、若手の労働力を確保することで、給与バランスも保ちやすくなります。
4. ジェネラリストを育成するため(ジョブローテーションありの企業の場合)
新卒時から長く勤め、さまざまな部署を経験させることで、ジェネラリスト人材を育成できます。また、社内のさまざまな部署の業務に精通できるため、多角的な視点で業務を進められる人材の育成が可能です。
多くの日本企業は、「新卒採用」を軸として採用活動を行っています。知識やスキルをもつ人を採用する中途採用も行ってはいるものの、多くの企業は採用枠を設けてまとまった数を毎年新卒採用しています。
新卒採用は、知識やスキルをもたない新卒者を社内で育成することを前提に行うものですが、これを軸とする採用活動は欧米企業の一般的な採用とは異なり、日本独特のものいえるでしょう。
欧米企業は明確な職務(ポスト)に対してそれに適した即戦力人材を採用するのに対し、日本では未経験者を育成しながら、あるいは育成したのちに職務(ポスト)に就かせるという違いがあります。
参考書籍:
釘崎 清秀(著)、伊達 洋駆(著)「『最高の人材』が入社する採用の絶対ルール」、p020、ナツメ社刊
ダメな面接官に共通する特徴をピックアップし、面接の質を向上させませんか?
◎ダメ面接官から卒業するための解説資料をダウンロード⇒こちらから
中途採用の目的:即戦力人材や高スキル人材の確保など
一方、中途採用の目的には、大きく分けて以下の4つが挙げられます。
1. 即戦力人材を獲得するため
他社で経験を積んだ人材を採用できるため、新卒採用者のように長期で育成する必要がありません。育成のコストが少なく済むのはビジネスにとって大きなメリットといえます。
2. 専門性の高いスキル・ノウハウをもつ人材を採用するため
自社に足りないスキルやノウハウをもつ人材を確保できれば、ビジネスの幅が広がります。新規事業を始める際には特に、こうした人材が必要になります。
3. 退職者のポスト補充のため
特に少ない人員で業務を行う部署等では、一人でも欠員が出るとメンバーに大きな負担がかかります。一日でも早く人員を補充し、業務の偏りをなくす必要があります。
4. 組織の活性化のため
新しい人材はスキルや知識だけでなく、新しい文化や考えを運んできてくれます。それにより中途採用者を受け入れたチームは刺激を受け、組織が活性化されます。
【比較表】新卒採用と中途採用の違い
以下の表は新卒採用と中途採用の違いをまとめたものです。
新卒採用 | 中途採用 | |
---|---|---|
採用対象者 | ・高校、専門学校、大学、大学院等を卒業予定の学生 ・社会人経験が浅い、卒業後の数年間社会人として働いた経験のない既卒者を「第二新卒」として扱うことも | ・原則として、社会人経験者 ・「第二新卒」は中途採用のカテゴリで募集されることもある |
採用目的 | ・幹部候補の育成 ・企業文化の継承 ・人員バランスの保持 ・ジェネラリストの育成 | ・即戦力人材の確保 ・高スキル人材の確保 ・退職者のポスト補充 ・組織の活性化 |
採用時期 | ・定期採用が一般的。卒業年の4月に入社 ・近年ではギャップイヤー(※)などに配慮し、入社時期を選べる企業も ・採用には半年~1年半以上を要する | ・不定期採用が一般的。随時入社 ・採用には数日~数カ月を要する |
採用基準 | ・ポテンシャル採用 | ・基本的にスキル採用 ・未経験採用もあり、その場合はポテンシャル採用 |
採用にかかる費用 | ・採用単価40万~80万円が一般的な相場 ・採用ターゲットや企業の採用力に応じて、20万~100万円ほどの幅がある | ・採用単価50万~150万円が一般的な相場 ・採用レベル、給与によっても異なり、管理職や高スキルのスペシャリストは200万円以上かかることも一般的 |
給与 | ・大卒/大学院卒など、採用条件によって多少の差があるが、同じ属性の新卒者の初任給は同額であることが多い | ・スキル次第で大きく異なる |
留意する点 | ・採用プロセスが多く、期間も長い ・即戦力ではないため、ある程度の期間は育成が必要 ・社会人としての経験がないため、入社後にギャップを感じやすい | ・ミスマッチが発生した場合(即戦力ではなかった場合)の影響が大きい ・自分なりのやり方にこだわり、会社のやり方に合わせる意欲が低い人もいる ・転職に対する抵抗感が少なく、すぐに転職してしまうリスクもある |
新卒採用と中途採用はそれぞれ異なる目的で異なる人材を採用するもののため、「新卒採用者が足りなかったから、中途採用で補充する」というように代替できず、逆もまたしかりです。
採用の目的や求める人材像に合わせて、新卒採用と中途採用を使い分ける必要があります。
採用フロー

採用のフローは、基本的に「計画」「募集」「選抜」「内定者フォロー」の順に4つのフェーズに分かれます。
ここからはそれぞれのフェーズに沿って、どのような業務があるか見ていきましょう。新卒採用と中途採用で異なる部分も適宜解説していきます。
【計画のフェーズ1】採用戦略の立案と人材要件の定義
最初に行うのは採用戦略を立て、人材要件を定義することです。自社の経営・事業戦略をもとに、自社に必要な人材はどのような人材かを定義し、どのような方針で採用するかを決めていきます。
複数の人材要件をどれも等しく「求める要件」にしてしまうと、定義などが「非現実的なほどに優秀な人材」になってしまい採用活動が難航してしまいます。
そのため、絶対に欠かせない「必須要件」、あるとよりよい「優秀要件」、ないほうが望ましい「ネガティブ要件」、自社では問題にしない「不問要件」の4つに分けて考えるとよいでしょう。
<新卒採用のポイント>
- 基本的にポテンシャル採用となるため、どのような素養や性格特性、行動特性を備えた人材を求めているかを明らかにしておく
<中途採用のポイント>
- 基本的に新規事業のための人員採用か、欠員補充となるため、該当の部署に求める人材について詳しくヒアリングする
参考書籍:
釘崎 清秀(著)、伊達 洋駆(著)「『最高の人材』が入社する採用の絶対ルール」、p026-030、ナツメ社刊
【計画のフェーズ2】採用計画の策定
採用戦略と人材要件が定まったら、採用計画を立てます。このフェーズでは、採用手法や募集方法、採用予定人数、スケジュール、担当者等を決定します。
いつまでにどのような人材が必要なのかを把握し、間に合うようにゴールから逆算して採用計画を立てましょう。
<新卒採用のポイント>
- 新卒採用はインターンシップなどを含めると1年以上の長期にわたるプロジェクトとなる
- 一般的に、採用予定人数は中途採用より多いので、より多くのリソースが必要になる
<中途採用のポイント>
- 定期採用は少数派であり不定期採用が一般的なため、イレギュラーで発生するプロジェクトとなる
- 特に欠員補充のための採用はスピードが求められる
【募集のフェーズ1】求人情報の公開
求人情報は各種の求人媒体に情報を公開するほか、自社のWebサイトや採用サイトがあればそちらにも掲載します。採用サイトは情報を網羅するよりも、設置する目的を考え、情報を絞り込んで掲載しましょう。
そのほか、企業が「欲しい」人材を獲得するために、企業自身が採れる手段を主体的に考え、能動的に実行するダイレクトリクルーティングや、SNSを活用したソーシャルリクルーティング、社員から人を紹介してもらうリファーラル採用などの手法もあります。
<新卒採用のポイント>
- 本格的な新卒採用に先駆け、大学3年生、修士1年生などを対象にインターンシップを行う企業も多い
- インターンシップは企業を知ってもらう、体験してもらうという目的のものから、選考の前段階としての位置づけのものまでさまざま
<中途採用のポイント>
- 求人媒体に情報を載せずに、人材紹介会社やヘッドハンターなどを通じて求人者に声を掛ける非公開求人という方法もある。これは中途採用向けの手法
- 非公開求人には「自社の採用状況を他社に知られずに採用活動を進められる」「マッチ度の高い候補者に絞って声を掛けられる」というメリットがある
参考書籍:
釘崎 清秀(著)、伊達 洋駆(著)「『最高の人材』が入社する採用の絶対ルール」、p042-104、ナツメ社刊
【募集のフェーズ2】会社説明会の実施
説明会では、ポジティブな情報で求職者の志望度を高めるだけでなく、併せてネガティブな情報も伝えることで誠実な印象を与えられます。また、入社後のリアリティー・ショック(理想と現実のギャップに衝撃を受けること)の軽減も期待できるでしょう。
<新卒採用のポイント>
- 会社説明会は基本的に新卒採用でよく行われる
- 新型コロナウイルスの影響で、近年はオンライン説明会が浸透
<中途採用のポイント>
- 中途採用は採用者数が少人数であることが多いため、大規模な会社説明会を開催する企業は少ない代わりに、会社に招いて社員との交流をもたせる「ミートアップ」を行う企業がある
- ミートアップはカジュアルで小規模な会社説明会兼面談会のようなイメージ
【募集のフェーズ3】求職者のエントリー受け付け
求職者のエントリーは、人数を集めるよりも、いかに自社とマッチする人材にエントリーしてもらうかが重要です。マッチ度の高い求職者だけを集め、一人一人との対話を丁寧に行うことで、入社意欲の向上および入社後のギャップ軽減につなげられます。
<新卒採用のポイント>
- 新卒採用は大量のエントリーがあっても、短期間にその全てを確認しなければならず、担当者の負担が一時的に増大する
- 負担を減らすには採用戦略の抜本的な見直しや採用管理システム(ATS)の導入で効率化をはかることが有効
<中途採用のポイント>
- 求人サイトの募集要項や、自社採用サイトで「どのような人にマッチするポストか」「面接では何を聞くか」「どのような社風か」などを強調しておくと、マッチする人材が集まりやすい
【選抜のフェーズ1】書類審査の実施
多くの企業が書類審査としてエントリーシート、志望書による選抜を実施しています。書類そのものによる選抜を行うほか、書類審査の内容を面接で深掘りするケースもよく見られます。
<新卒採用のポイント>
- 学生時代の活動内容や、志望動機などを確認する場合が多い
<中途採用のポイント>
- スキルや経験と募集しているポジションへのマッチ度、転職回数や在籍期間などを見る。ただし転職回数や在籍期間に関しては数字だけで判断せず、その理由を必ず聞くことが大切
- 履歴書に加え職務経歴書も確認する
【選抜のフェーズ2】適性検査の実施
適性検査は受験者の基礎的な能力、性格、価値観などを診断するために活用されます。基礎能力の数値化や、面接や面談では見えにくい人物特性の的確な言語化・データ化が可能なため、多くの企業が取り入れています。
<新卒採用のポイント>
- 表的な適性検査は「SPI3-U」(リクルート社)、「玉手箱III」「TG-WEB」「CAB」「GAB」など
<中途採用のポイント>
- 代表的な適性検査は「SPI3-G」(リクルート社)、「玉手箱Ⅲ」「CAB」「GAB」「内田クレペリン検査」など
【選抜のフェーズ3】面接の実施
面接のスケジューリング、社内での面接官の調整、面接官への面接の要項や人材要件の伝達、面接で使用する評価シート作成などを行います。面接官によって評価が偏ることを防ぐため、評価基準などの認識をすり合わせておくことも重要です。
また、人物特性を見極めるために人事担当者が面接を行うケースもあります。
面接では応募者を見極めることも大切ですが、自社の魅力をアピールして入社の意向を高めてもらうことも非常に大切です。採用活動を通じて応募者に寄り添い、志望動機を一緒に確認しながら入社の意向を醸成していく力が求められます。面接の前後に、選考を行わない面談を実施することも、相互理解のために効果的です。
<新卒採用のポイント>
- 応募者数が多い場合は集団面接と個人面接を使い分ける
<中途採用のポイント>
- 基本的に個人面接がメイン
【選抜のフェーズ4】選考の実施
書類審査、適性検査、面接の結果をもって合否を決定します。
<新卒採用のポイント>
- まずは入社1~2年目で離職せず働き続けるために必要な能力を備えているかどうかが争点
- 必要な能力は企業や配属部署によって異なるが、例えば真面目に取り組む力、根気、積極的に周囲に働きかける力、変化への適応力などが求められる
- 上記は入社1~2年目に置かれる環境を考えて定義する
- そのほかは、あらかじめ定義した人材要件に従って判断する
<中途採用のポイント>
- 募集しているポジションに必要なスキル・能力を備えているか
- 社風になじめるかどうかや、担当部署のメンバーとの相性も重要
参考書籍:
釘崎 清秀(著)、伊達 洋駆(著)「『最高の人材』が入社する採用の絶対ルール」、p163-165、ナツメ社刊
【選抜のフェーズ5】結果の通知
応募者に選考結果を伝え、選考終了後は応募書類等の破棄や返却を行います。次の面接や面談のスケジューリングの業務もあります。
<新卒採用のポイント>
- 大量の通知を処理しなければなりませんが、あまりにも事務的で「さばいている」印象を与える通知は避け、一人一人に向き合っている印象を与えるよう意識する
- そのためには、「貴殿」等ではなく、応募者それぞれの名前を記すことや、メールの送信時間は常に〇時ぴったりなどの杓子(しゃくし)定規な対応ではなく、急ぎたい通知はイレギュラーなタイミングでも送るなどの工夫が必要
<中途採用のポイント>
- 他社との人材獲得競争に勝つために、通知はスピード勝負
- 連絡は迅速に行い、面接や面談など次のアポイントを間を置かずれる
【内定後のフェーズ】内定者のフォローをする
内定者のフォローは採用業務のなかでも力が注がれていることのひとつです。内定者と人事との面談や、現場の社員との面談などを通じて、内定者が意思決定をするために必要な情報を提供し、納得したうえで入社できるよう働きかけます。
また、内定辞退があった場合、可能であれば辞退理由も具体的にヒアリングし、次の採用活動に生かすようにします。
<新卒採用のポイント>
- 内定承諾までにじっくり考えたい学生が多いので、オワハラ(就活終われハラスメント。企業が就職活動を終えるよう強要すること)にならないよう注意する
- 選考を通じて動機形成が十分に行われていないと、内定承諾に迷いが生じるので、内定者フォローは選考時から始まっていると意識する
- 説得するよりも、辞退される可能性も踏まえながら「どのような結論であっても意思決定を支援する立場を取る」ことで信頼を獲得する
- 上記は結果的に「意思決定が曖昧なまま入社して、早期に離職してしまう層」を減らすことにもつながる
- 新卒採用では内定式や内定者懇親会なども一般的。入社前に社内SNSに招待する企業もある
<中途採用のポイント>
- スキルや社風などの相性に心配を感じる応募者もいるため、面談等で、不安を拭い去るための情報を提供する
- 家族の反対や現職からの引き止めによって転職意欲が低下するといった外的要因もあるが、自社の対応が意欲の低下のきっかけとならないよう、応募者との信頼関係を築いていくことが大切
参考書籍:
釘崎 清秀(著)、伊達 洋駆(著)「『最高の人材』が入社する採用の絶対ルール」、p190-211、ナツメ社刊
◎ダメ面接官から卒業するための解説資料をダウンロード⇒こちらから
採用手法の種類

採用にはさまざまな方法があります。そのなかから一般的なものを紹介します。
転職サイト
企業がWebサイト上に掲載した求人情報に求職者がエントリーします。スカウト機能などがあれば、企業側からのアプローチも可能です。
人材紹介
企業が求める人材の要件を人材紹介会社に伝えて、合致する人材を紹介してもらうサービスです。
人材派遣
人材派遣会社が雇用するスタッフを派遣してもらいます。必要なときに必要な人数を採用できるので、突然の欠員や退職、休職にも対応可能です。
転職フェア(合同説明会)
複数の企業が合同で説明会を行います。多くの場合、会場内にブースを設け、面談や1次面接も可能な形式を採用しています。
ハローワーク
各都道府県の労働局が運用する職業安定所で、企業は求人情報を無料で掲載できます。
自社の採用サイト
自社の採用サイトを制作し、直接応募を呼びかけて採用を行います。転職サイトなどのようにフォーマットが定まっていないため、画像や動画を掲載するなど自由度の高い情報発信が可能です。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業側が「欲しい」人材を獲得するために、企業自身が採れる手段を主体的に考え、能動的に実行する採用活動のことです。
ダイレクトリクルーティングには以下のような方法も含まれます。
■ソーシャルリクルーティング
企業が「Twitter」などのSNSを利用して情報発信し、SNS上で候補者とコミュニケーションを取りつつ、採用を行います。
■リファーラル採用
自社の社員から人材を紹介してもらいます。職場の雰囲気や会社の魅力などを、社員から候補者へ伝えたうえでの採用となるため、採用後のミスマッチの低減が期待できます。
■アルムナイ採用
一度退職した社員を再び自社で採用する方法です。「アルムナイ」は英語で卒業生や同窓生という意味です。
■ヘッドハンティング
エグゼクティブサーチ型と呼ばれます。あらゆるネットワークを用いて自社の求める人材を探し出し、スカウトします。
■ミートアップ
カジュアルな会社説明会・面談会のようなイベントで、求職者をオフィスに招いて社員と交流をもってもらい、気になる人材には企業から直接アプローチします。特に新卒採用において使われる手法です。
新卒採用におけるインターンシップと採用活動の関係性

2022年4月、日本経済団体連合会(経団連)と大学が開催した協議会の報告書で「インターンシップについて一定期間、学生が実際に職業を体験することなどを条件に、企業の採用活動に活用できるようにすべき」という意見が発出されました。
この対象となるインターンシップは以下の表のうち、「汎用(はんよう)的能力・専門活用型インターンシップ」「高度専門型インターンシップ」の2つです。
タイプ | 実施期間 | 就業体験 | 担当社員 | 採用に活用 |
---|---|---|---|---|
オープン・カンパニー | 1日 | なし | 任意 | × |
キャリア教育 | 1~3日 長期の場合も | 任意 | 任意 | × |
汎用的能力・専門活用型インターンシップ | 短期:5日以上 長期:2週間以上 | あり | 現場の社員 | ○ |
高度専門型インターンシップ | 2カ月以上 | あり | 現場の社員 | ○ |
対象となるインターンシップのポイントは、「実施期間が最低5日間以上」かつ「就業体験が必須」という点です。高度専門型インターンシップは大学院生を対象とした、より専門的なインターンシップです。
また、採用に活用するには現場の社員による学生の指導と、インターンシップ終了後のフィードバックも条件となっています。さらに、対象は学部3・4年生か修士1・2年生で、期間は夏休みや冬休みなどの長期休暇に行うこととされています。これは学業との両立に配慮するためです。
このインターンシップの開始は2023年4月以降で、主に25年卒業生からが対象になる予定です。
一方、オープン・カンパニー、キャリア教育といったタイプのインターンシップは実施期間が短く、採用には活用できません。
インターンシップを採用に活用するための条件は、以下の通りです。
- 最低5日間以上実施
- 就業体験が必須
- 実施期間の半分超が就業体験
- 現場社員が指導し、フィードバックする
- 学部3・4年生か修士1・2年生が対象
- 長期休暇の期間に実施する
元々、企業はインターンシップに参加した学生を対象に早期選考を始めたり、参加者限定の説明会を開催したりしており、インターンを採用活動に使うという実態がありました。
そのため、学生はすでにインターンシップを重視しており、今回の報告書によって何が変わるのか、どのような影響を与えるのかは未知数となっています。しかし正式に採用につながるインターンとなれば、学生の参加意欲が高まることも予想されます。
ダメな面接官に共通する特徴をピックアップし、面接の質を向上させませんか?
◎ダメ面接官から卒業するための解説資料をダウンロード⇒こちらから
採用担当者に必要な知識やスキル

採用活動を成功させるために、人事・採用担当者や面接を行う社員が備えておくべき知識やスキルは以下の通りです。
- 法令に関する知識
- 自社の業務に関する知識
- 面接・面談スキル
- プレゼンテーションスキル
- 調整・交渉力
- 労働市場の動向に関する知識
これら6つのスキルや知識について、次で詳しく解説します。
法令に関する知識
採用活動には労働や雇用に関する各種法令の知識が欠かせません。求人募集要項の文言作成、説明会等での回答、面接でのやりとりなどにも密接に関わる知識のため、しっかりと把握しておく必要があります。
以下の各種の差別については、法律で明確に禁止されています。
- 男女差別(男女雇用機会均等法)
- 年齢による差別(労働施策総合推進法)
- 国籍による差別(労働施策総合推進法等)
- 障害者差別(障害者雇用促進法)
また、厚生労働省は面接での質問項目について応募者の基本的人権を尊重し、就職差別を避けるために、「公正な採用選考の基本」として採用選考時に配慮すべき事項を示しています。このことにも留意して、採用業務を行いましょう。
自社の業務に関する知識
応募者に正しく業務内容を説明したり、質問に回答したりするために、社内の職種とその業務内容を理解しておく必要があります。関連する専門用語や技術的用語についても把握しておきましょう。
あらゆる業務について正しく理解しておくことが、自社にとって有益性の高い採用活動を行うことにもつながります。
面接・面談スキル
面接・面談では、質問攻めにするのではなく、自然な会話のなかで応募者に本音を話してもらえるよう意識しましょう。そのためには自己開示や傾聴といったスキルが必要です。
また、面接・面談を通して応募者を適切に評価・選抜するために、無意識におけるバイアス(先入観や考え方の偏り)についてあらかじめ理解しておき、決めつけや思い込みを可能な限り排除して応募者を見極めるよう努めます。
プレゼンテーションスキル
自社を選んでもらうために、自社の魅力をプレゼンテーションするスキルも必要です。応募者それぞれのニーズや価値観を把握し、適切にアピールすることで入社の意向を高めていきましょう。
参考書籍:
釘崎 清秀(著)、伊達 洋駆(著)「『最高の人材』が入社する採用の絶対ルール」、p038、ナツメ社刊
調整・交渉力
採用は各種スケジュールや人員、会場などの調整の連続です。変更になることも多いため、臨機応変に対応することが求められます。
さらに、経営者や現場の意向をとりまとめて人材要件や採用計画を策定する際などには、交渉力も求められるでしょう。
労働市場の動向に関する知識
求職者のニーズを読み間違えずに、正しく訴求するためには、労働市場の動向(求人倍率や企業の採用計画等)を把握し、求職者の心理を理解しておくことが大切です。
参考書籍:釘崎 清秀(著)、伊達 洋駆(著)「『最高の人材』が入社する採用の絶対ルール」、p037、ナツメ社刊
◎ダメ面接官から卒業するための解説資料をダウンロード⇒こちらから
採用活動の効率化をはかるには?

膨大な業務量になりがちな採用活動の効率化をはかることも必要です。
ここからは、効率化につながる要点を4つに分けて解説します。
採用フローや計画を見直す
いくら便利なシステムやツールを取り入れても、そもそもの設計に問題があると効率化ははかれません。不要な工程や、ボトルネックになっている工程がないかを見直しましょう。
例えば、エントリーシートは本当に必要か、面接の回数は現状のままでよいか、選考の手順は最適化されているかなど、より効率的で効果の高い採用フローや計画になるよう、検討します。
社内の理解を十分に得る
採用はスピード勝負です。よい人材が他社に流れてしまわないよう、社内コミュニケーションは迅速に行いたいものですが、社内ではメールの返信を後回しにされるなど、十分な協力が得られないこともあります。
なぜ採用を行うのか、なぜ採用はスピーディーでなければならないのかを理解してもらい、協力を仰ぎましょう。社員一丸となって採用業務に取り組み、自社の求める人材を採用できれば、チームがよりよいものになり、会社としても成長できることをアピールできるとよいでしょう。
オンライン面接ツールを導入する
新型コロナウイルスの影響もあり、近年はWeb面接を行うケースが急増しています。Web面接で活用したいのが、オンライン面接ツールです。「Zoom」や「Microsoft Teams」などのWeb会議システムを使う方法もありますが、オンライン面接ツールは録画はもちろん、候補者の評価ができる記録機能もあり、面接内容の記録や管理がしやすいことが特徴です。
採用管理システム(ATS)を導入する
ATS(Applicant Tracking System)は採用業務を一元管理するためのシステムで、求職者の応募受け付け、選考の日程調整や結果の通知、求人媒体や人材紹介会社とのやりとり、社内連絡などに活用できます。
必要な情報をシステム上に全て集約できて管理が容易になるため、担当者の業務負担を軽減できます。
システムの導入・運用には予算が必要になりますが、社内での情報共有・情報更新がスムーズになるほか、メールの誤送信などの人的ミスの防止にもなるため、高い効果が期待できます。
まとめ

採用は単なる人員補充ではなく、課題解決や企業の成長を目的とする非常に重要な業務です。法令順守など留意すべき点も多くありますが、採用手法も選考方法も多種多様であり、打てる手が多いので、さまざまな戦略が立てられます。
試行錯誤しながら、自社に合う採用の形を見つけていきましょう。
ビズリーチ導入から1年で採用コストを80%削減した企業も

ダイレクトリクルーティングで、採用コストの最適化と採用力強化を実現しませんか。
貴社のお悩み・ご要望に沿って、最適な料金プランをご提案いたします。