企業と求職者のはじめの接点となるのが「求人票」です。求人への応募者の質や人数をアップさせるためには、求職者にとって魅力的な求人票を作成することがカギ。
今回は、求人票に明記すべき基本的な項目や、魅力的な求人票を作成するポイント、求人票作成において注意すべき点をご紹介します。
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求人票とは?

求人票とは、求人募集を申し込む際に提出する書類のこと。公共職業安定所(ハローワーク)や民間の人材紹介会社、人材派遣会社、そして大学・短期大学・専門学校などの就職課に提出するものです。
求人票には、求職者に自社への興味を持ってもらい応募者を増やし、候補者の母集団を形成する目的があります。また求人票には、職業安定法によって定められた労働条件や募集概要を明示する必要があります。
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求人票に明記すべき項目

求人票を作成・提出する際には職業安定法にもとづいて、以下の項目を明示することが定められています。平成29年の職業安定法の改正等や健康増進法の一部を改正する法律などによって「試用期間の有無」や「受動喫煙防止措置の状況」などの明示も必要になりました。
- 労働者が従事する業務内容
- 労働契約期間
- 試用期間の有無
- 就業場所
- 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日
- 賃金額
- 健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険の適用に関する情報
- 募集者の氏名または名称
- 派遣労働者として雇用しようとする場合は、その旨を記載
- 受動喫煙防止措置の状況
参考: 労働者を募集する企業の皆様へ R2.1改正|厚生労働省
求人票作成における課題

2018年10月にビズリーチが中途採用担当者および中途採用担当経験者を対象に行った調査では、求人票作成において「課題がある」と感じている企業は、76.5%という結果に。
求人票作成の課題として多く回答されたのは「競合他社と比べての優位性・差別化がうまく盛り込めていない」「自社の魅力が伝わらない」「求人票の作成(改善)に時間がかかる」などでした。アンケート結果の上位3つについて、1つずつ解説していきます。
調査の詳しい結果はこちらから確認できます
第1位:競合他社と比べての優位性・差別化がうまく盛り込めていない
最も多い回答は「競合他社と比べての優位性・差別化がうまく盛り込めていない(42.5%)」でした。この原因として挙げられた声の中には「他社の採用に関する情報を把握できていない」「他社と給与内容等は大きくは変わらないため、優位性がうまく記載できず行き詰まっている」などがありました。
魅力的な求人票を作成するためには、自社の魅力の発見分析がカギ。給与や待遇で他社と差別化を図ることが難しくても、職場環境や組織風土、業務のやりがいや研修制度など、これまで自社では「当たり前」と思っていた部分も含め、いかに魅力を自分たちで見つけ出し、アピールできるかがカギです。そのためには、他社の情報収集以上に、徹底的な自社分析が重要です。
第2位:自社の魅力が伝わらない
課題として2番目に多かった回答は「自社の魅力が伝わらない」でした。その原因として「付加価値を見出せていないから」「実際に勤めてみないと魅力がわからない職業だから」「閉鎖的で外部に情報を出さないから」などの声が上げられています。
入社から日が浅い中途入社者にヒアリングをし「自社の良さ」を聞いてみるのも手でしょう。また、言語化しづらい魅力については、オフィスツアーや動画などを通じて、あらゆる側面から伝えることも重要です。
第3位:求人票の作成(改善)に時間がかかる
課題として3番目に多かった回答は「求人票の作成(改善)に時間がかかる」。その原因としては「情報が多すぎて選定できていないから」「人手不足で時間がないから」「あまり行わない業務で専門的なことがよくわからないから」などが挙げられました。
求人票作成に十分な時間が割けなかったり、作成や改善の方法に課題があったりと、頭を抱えている担当者が多いようです。求人票に記載する文言を実際に作成・改善する際にも、現場との連携が大切です。ヒアリングした内容を記載するだけでなく、業務内容や部署が目指していることなど、詳細部分は現場の担当者が書くなどすることで、より明確な求人票作成が行えるでしょう。魅力の打ち出し方や職種別の定型文を作っておくことも有効です。
魅力的な求人票を作成する4つのポイント

求職者が応募したくなる求人票を作成するには求人に関する「定量情報」と「定性情報」の両者をしっかり盛り込むことが重要です。ここでは魅力的な求人票を作成する4つのポイントについてお伝えします。
ポイント1:アピールできる定性情報をしっかり盛り込む
給与や年間休日数などの定量情報だけでなく、ポジション名や仕事内容など、定性情報で魅力を伝えることが大切です。
特に「ポジション名」は企業名と並んで、候補者が最初に確認する可能性が高い項目です。採用要件を端的かつ分かりやすく伝えられるポジション名を記載しましょう。
また、仕事内容などの定性情報には「特別なポジション」「グローバルに活躍できる」など、他の求人と差別化を図れる点があれば、その内容を盛り込むことで、候補者の興味を高めることができます。
ポイント2:仕事内容は、読みやすく
仕事内容の項目は、長くなりすぎると最後まで読まれない可能性もあります。箇条書きにするなどして、事業内容や採用背景、業務詳細を読みやすく、分かりやすく伝えるのがポイントです。
ポイント3:「求める人物像」に響きそうなポイントを検討する
求人票を見る候補者の立場になって、やりがいを感じられそう、この会社でなら活躍できそうなどと感じてもらえる要素は何かを検討し、その内容を記載することもポイントです。
仕事内容のほかにも社風や福利厚生、入社後のキャリアプランなど、候補者のニーズや興味関心に合いそうな点についてアピールできるとよいでしょう。
ポイント4:求人票作成において注意すべきこと
求人票を作成する際には、法律で禁止されている表現や注意すべきポイントがあります。
代表的なものは、性別制限や性差別表現はNGであること。男女雇用機会均等法では「事業主は、労働者の募集および採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない(5条)」 と定められており、求人票において男女どちらかを排除することや男女で異なる扱いをすることなどが禁止されています。
職業名などを記載する際には性差別表現をしていないか、注意が必要です。たとえば「保母さん」「ガードマン」などどちらかの性別を特定するような呼称は避け、「保育士」「警備員」などの表現にしましょう。
また求人において、年齢制限は原則として認められていません。ただし「長期勤続によるキャリア形成」など例外として年齢制限が認められる「例外事由」や、就職氷河期世代の募集(令和5年3月31日まで)など、 合理的な理由があると認められる場合に限り、年齢制限を設けることができます。
求人票の書き方例
最後に、求人票の書き方の例をご紹介します。職業安定法にもとづいて入れるべき内容と自社の魅力を求職者に向けて訴求したい内容を記入しましょう。
※がついた項目は、最低限明示が必要な項目です。
●●株式会社 | |
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年収:800万〜1,000万円 | |
【必須(MUST)】 【歓迎(WANT)】 | |
期間の定めなし | |
試用期間あり(3か月) | |
△支社又は本社(東京都●区●-●) | |
◎就業時間 9:00〜18:00 | |
雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険 | |
屋内原則禁煙(喫煙専用室設置) |
「求人票」を見直し、自社の魅力を十分に伝える

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企業と求職者の最初の接点である「求人票」を見直し、求職者に自社の魅力をしっかり伝えるポイントをお伝えします。