「採用の責任は事業側が持つべき」。圧倒的当事者意識で人材採用に臨む事業責任者の意志とは?

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)をはじめとるする自動化プラットフォームの導入を世界規模で推進するUiPath株式会社(以下、UiPath)。ルーマニアで創業したUiPathがさらなる成長を目指し、日本法人を設立したのは2017年2月のこと。日本の企業が直面している人材不足、生産性向上の必要性など、さまざまな社会課題を解決するために、RPAの導入支援をはじめ、企業のDXに貢献する活動をしています。

今回は、大手企業から成長フェーズのUiPathに参画し、日本支社のビジネス基盤を行いながら、組織づくりにも同時並行で取り組む遠藤哲重氏へインタビュー。実績も知名度もないなか、日本市場でのさらなる事業成長へ向けてどのような思いを持ち、チームづくりに励んでいるのか。事業への責任があるからこそ、採用に対する責任も自分にあると語る遠藤氏、事業責任者としての視点での採用についてお聞きしました。

【UiPath】
ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)をはじめとする自動化プラットフォームを開発するグローバルソフトウエア企業。2005年にルーマニアにて創業し、2017年に日本法人を設立。「人間がコンピューター上で行っている定型業務を、ロボットで自動化する」RPAが人手不足に悩まされる日本企業から注目を浴び、現在はAIなどの技術も用いたエンド・ツー・エンドの自動化プラットフォームを提供しながら、企業だけでなく地方自治体などの公共機関へもサービスを提供している。

遠藤哲重氏

取材対象者プロフィール遠藤哲重氏

UiPath株式会社
プロフェッショナルサービス本部 副本部長

UiPath株式会社におけるプロフェッショナルサービス本部副責任者。インターネットサービス事業者でのエンジニア・アーキテクト経験を経て2018年11月にUiPathに参画。マネージャーとして、UiPath導入大規模プロジェクトにおける技術統括責任者を経て現職に至る。

現代の日本に「必要なサービス」と出会った

――まずは遠藤様がUiPathに入社した経緯から教えてください。

遠藤様(以下、遠藤):UiPathに入社する前は、SIerや大手インターネットサービス企業でキャリアを積んでいました。大きな企業だからこそ幅広いユーザーに向けてサービス提供を行うという貴重な経験ができたと思っていますが、その半面サービスが大きくなってくるとユーザーからいただく声を一つ一つ拾って解決していくことが難しく、求められている機能を提供しきれていないと感じるようになりました。

ちょうどその頃、むかし一緒に仕事をしていた同僚がUiPathに在籍しており、RPAで「システムを変えずに人間の業務をそのまま自動化できる」という話を聞きました。自分がサービス開発において抱えていた悩みを解決する非常に強力なツールであると感じ、RPAに興味を持ち始めました。

その頃は、「働き方改革」という言葉が世の中に浸透しはじめた時期でした。RPAには従業員が自らテクノロジーを使って自身の業務を自動化できるという側面があり、エンジニアだけでなく、働く全ての人に向けたものであるという部分が、世の中全体の課題解決の核心を突くテクノロジーだと感じ、興味を持ちました。最終的には面接で代表取締役の長谷川康一から「このテクノロジーを使って日本を変えていこうよ」と熱く語られ、入社を決意しました。

事業に対する「圧倒的当事者意識」の源泉

――大企業から、日本法人立ち上げ期の外資系企業への転職で感じた変化を教えてください。

遠藤:一番大きく感じた変化は風通しの良さと仲間との一体感です。大企業では機能ごとに部署が分かれており、特定の部分を切り取って仕事をすることになります。これは合理的なやり方である一方で、言葉を選ばずに言うならば、「歯車」になるような感覚を持つこともありました。

UiPathに来てからは全員で一つのビジネスをつくり上げていく一体感や、事業を成長させるためにさまざまな部署と連携して推進していく面白さを感じています。自分たちでビジネスをしているという感覚を強く感じられることにも面白みを感じています。

また成長フェーズの会社ということで異なるバックグラウンドを持った優秀な人材が入ってきており、多種多様な経験と知識がたくさん集まってきます。会社の規模は大手企業に比べると確かに小さいですが、さまざまなキャリアを歩んできた仲間と一緒に仕事をすることで自分自身を高められる環境にいると思っています。 大手企業の場合でも中途採用はしていますが、既存領域でビジネスをグロースさせるための採用が多いので、ある程度似たようなスキルやキャリアの人が集まる傾向があったように思います。しかしUiPathの場合は、RPAやAIに知見がある人材が世の中にまだ多くない分、さまざまな業界からRPAに興味がある人が集まってくるので、人材のバリエーションやダイバーシティーがあり、そういった同僚やメンバーと接することで今まで気づかなかったことの発見や成長ができて、世界が広がった感じがしています。

自ら事業に対する思いを伝え、候補者が抱える思いを受け止めたい

――遠藤様が採用に携わるようになったのはいつからでしょうか。

遠藤:採用に携わるようになったのは前職時代からで、2015年あたりだと記憶しています。当時は現場のリーダーをしており、1次面接の面接官としてスキルの確認をメインに行っていました。その後マネージャーになったことで2次面接の担当となり、価値観や人間性などを見ていく役割を担いました。UiPathでは採用したい人材の要件定義から最終面接までに関わっています。

――現在では人材サービス事業者への説明もご自身で対応しているそうですが、なぜそこまで採用にコミットされるのでしょうか。

遠藤:これに関してはあまり特別なことをしている感覚はなく、一緒に働く仲間を集める活動を自らが主体的に行うというのは当然のことだと考えています。採用する人材とも相互に納得して、お互いに受け入れ合って、一緒にお仕事をしたいと思っているので、われわれの思いを自分で直接伝えたいですし、相手の思いも自分の耳で聞きたいという気持ちがあり、最初から最後まで関わるようにしています。

採用活動は事業運営における重大な要素

――「採用のことは採用担当に任せて、自身は事業に集中する」という選択肢もあるなかで、なぜそこまで採用にコミットされるのでしょうか。

遠藤:なかには事業責任者として事業に集中することが大事だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私の場合は事業運営において人材が何より大事であり、採用活動は事業活動の一部であると捉えています。採用に直接関わらず、事業活動にだけ集中するという考えはありません。

われわれのビジネスは技術コンサルティングをユーザー様に提供することですので、ユーザー様に喜んでもらいたいというマインドを持つ優秀な人材が集まってくることが最重要事項となります。

そのため、入社してくれた優秀な人たちが気持ちよく、継続的に活躍してくれると自然と事業も伸びていくのではないかと思っています。この考え方であれば事業責任者としては採用こそが最優先の仕事になります。もちろんサービスのリーダーとして「ビジネスをつくる」という仕事も重要なことではありますが、この部分については協力して推進してくれる仲間が多くいますし、委譲出来る個所も多いです。しかしながら人材に関する責任はサービス責任者である私こそが果たすべき領域ですので、自ら取り組むべき仕事だと思っています。

――主体的に採用活動に取り組むことで得られたものはありますか。

遠藤:最近感銘を受けた言葉に「早く行きたければ一人で進め、遠くへ行きたければみんなで進め」ということわざがあります。
まさに事業運営もこの言葉通りだなと感じています。自分自身の今までの経験から得た知識やスキルを活用するだけでは、一時的にうまくいってもどこかで頭打ちになり停滞してしまいます。一方で、自分以外の人と一緒に考えてみると、想いもよらぬアイデアが湧き、施策が洗練され、組織として持続的に成長していけるのだと思います。

やはり一人で抱え込んで仕事をするよりも、さまざまな人が関わる形で仕事をしていくほうが物事がうまく進んでいきます。これは新たな人材を採用し続けることでしか得られない価値なので、採用を続けていてよかったと思います。

また採用が進み、自分が抱え込んでいた業務を新しい仲間と分担して進める様になると、さまざまな波及効果がありました。まず、バックグラウンドの異なるメンバーが異なるアプローチでビジネス課題に取り組むなかで、組織として対応出来る内容に厚みが出てきました。変化が激しく急成長する業界に適応していく上で、これはとても重要なことです。また、自分とは異なる経験・スキルを持つ同僚との間で、互いに教え合い、学び合う文化が生まれてきました。こういった経験が一人一人の成長実感ややりがいに繋がり、活気がうまれ、仲間たちと楽しく働ける環境が出来上がって行くのだと実感しています。

事業の責任を持ちながら、うまく採用を進めるために

――事業主導で採用を進める際に、人事との連携で気をつけていることはありますか。

遠藤:PDCAというか、うまくいっていないことをきちんと振り返って、より良くしていくために、常に人事と話し合いながら進めることが非常に重要だと思っています。例えば人材紹介会社からの紹介が想定よりも少ないのであれば、なぜ少ないのかを一緒に考えて、「人材紹介会社への説明を一緒に行いましょう」と提案したり、当社に興味を持ってくれている候補者を集めた採用イベントなどの企画を一緒に考えたりと、任せっきりにせずに課題を共有し合いながら解決に向けて話し合っています。

もともと当社では、採用活動は人事の専門的なスキルや経験を持つ人事チームが主導して行っていたので、口を出してはいけないと思っていたのですが、事業側の目線で「こういう人材ではなくて、こういった人材を求めています」と採用に関する自分の考えを伝えてみたところ、「現場からそういう要望をもっと聞きたい」と歓迎してもらえたのです。それからはこちらの声をしっかり届けて、建設的に話し合うようにしています。

――今後の事業運営において事業と人事の関係はどのようなものであるとよいとお考えでしょうか。

遠藤:これからの事業と人事の関係性として、「採用の責任を事業側が持つ」ということが非常に大事だと思います。事業としては、人事に任せっきりにしてしまうとどんな人材を採用したいのか曖昧になってしまうし、多くの候補者を集めることが目的になってしまうという懸念もあります。「事業をきちんと正しい方向へ成長させるために、どういう組織をつくっていきたいのか」をしっかりと描き事業側が責任を持つと、その目的のために採用活動を行えるので、自然と採用自体の精度も上がっていくと思います。

また、事業側が人材に関しても責任を負う意識を持つことで、人材要件や採用活動について真剣になります。事業を成長させ、マーケットにムーブメントを起こすチームをつくっていくためにも、事業側が採用の責任を持ち、サポートしてくれる人事と協力し、アドバイスをもらいながら一つのチームとして採用活動をしていくことが重要だと思います。


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