深刻な人手不足により、人材の採用がうまくいかずに悩んでいる人事担当者も増えているのではないでしょうか。人材採用で成功を収めるためには、採用戦略をしっかり立てることが 重要です。今回は「採用戦略を立てることはなぜ重要なのか」「どのように採用戦略を立てたらよいか」などについてお伝えします。
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採用戦略とは

採用戦略とは、企業が自社の求める優秀な人材を獲得するために立てる戦略のことです。企業が安定して成長を続けるためには、人材の獲得が欠かせません。そのため、経営戦略のなかでも特に重要な位置付けにあります。
企業経営では数年先まで見据えた経営戦略の策定が求められます。したがって、採用戦略も数年後を見据えた計画を立てる必要があります。採用戦略は、新卒採用に注力するものと、中途採用に注力するものの2つに大別できます。自社に最適な採用戦略を選ぶことが重要です。
中期的な視点で採用戦略を立てることはなぜ重要か
採用戦略の立案では短期的なニーズを満たすだけではなく、中期的な視点を持つことが重要です。日本では「少子高齢化」「求職者の大手企業への集中」がみられます。少子高齢化で若い働き手は減少傾向にあり、深刻な労働力不足が続いています。今後もこの 傾向は続くとみられており、中期的な視点を持って採用戦略を立てなければ、この先さらに人材採用は難しくなっていくことでしょう。
採用戦略を立てること、それ自体には「人材の採用や育成に対する社員の意識が高まり、会社全体の組織力が強化される」というメリットもあるため、企業全体で採用戦略に取り組むことが大切です。
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採用戦略の立て方

これまで解説してきたさまざまな問題を未然に防ぎ、採用活動を成功させるには、採用戦略が非常に重要です。ここでは、採用戦略を立てるための具体的なステップについて紹介します。
全社体制の構築
採用戦略を立てるためには、全社体制の構築が必要不可欠です。人材採用は、会社の将来を左右する重要なテーマ。経営層を含めた会社全体で取り組まなければならないという意識を浸透させる必要があります。そのためには、事業計画や育成計画と連動した戦略を立てることが成功のコツです。
新人を長期的に育成していくなら新卒採用重視の戦略、現行の事業に関する緊急のニーズを満たすのであれば中途採用重視の戦略といったように、方向性を明確にします。
求める人材像の設定
採用計画の方向性が決まったら、求める人材像を明確にします。採用後のミスマッチが生じないよう、所持スキル、経歴、性格、勤務条件など、自社の求める人材像をできるだけ明確に設定していきます。下記のようにペルソナを設定しましょう。
【ITエンジニアのペルソナ(例)】
- 年齢:28歳
- 職業:モバイル向けアプリケーション開発のプログラマーとして従事
- 経歴:JavaおよびC#によるアプリケーション開発を5年以上経験し、現在はチームリーダーとしてメンバーの育成とマネジメントを2年以上経験
- 実現したいこと:サーバーサイドエンジニアとしての専門スキルを生かしながら、事業戦略や営業戦略など関連する他部署との調整にも挑戦し、プロダクトづくりをしたい
- 会社の成長とともに自分自身も成長し、将来的には経営幹部となりたい
ただし、あまりに条件を厳しくし過ぎてしまうと、条件に該当する人材が見つからずに、誰も採用できない事態になってしまうため、バランスを取ることが大切です。自社で活躍している社員をロールモデルにするのもおすすめです。
採用人数・職種・スケジュールの設定
求める人材像が決まったら、次に採用人数・職種・スケジュールを設定します。各部署が必要とする人材の種類や人数を把握し、「どのような人材を何人採用するか」を決定しましょう。
就職情報サイトや求人誌への掲載依頼、説明会やインターンシップ、書類審査、面接などのスケジュールを設定していきます。スケジュールと目標値を持つことで、効率的な採用活動が可能になるため、しっかりと計画を決めることが肝要です。
自社のアピールポイントの整理
求職者にどんな点をアピールするか決めておくことも、大切なステップの一つです。実態がよく分からない会社へ応募する人はいないため、明快で充実した情報を公開する必要があります。そのためには、自社のアピールポイントを整理し、仕事内容、給与、雇用条件、福利厚生などに関して正確な情報を用意しておきましょう。
また、身に付けられるスキル、得られるやりがい、会社の雰囲気など、アピールすべき点について各種媒体を通じて伝えられるよう、整理しておきます。そうすることによって、自社にマッチする人材からの応募が期待できるでしょう。
自社のアピールポイントを整理する際に活用できるフレームワークが「3C分析」や「SWOT分析」です。
【3C分析】
3C分析は、「Company=自社」「Competitor=競合」「Customer=顧客(ただし採用においては、求職者・候補者)」という3つの視点から、自社の取り巻く環境を分析するフレームワークです。求職者・候補者にとって、自社と競合他社ではどのような点が差別化ポイントとなるかを分析することで、採用戦略を立てる際に活用できます。
【SWOT分析】
SWOT分析は、「Strength=強み」「Weakness=弱み」「Opportunity=機会」「Threat=脅威」の4つのカテゴリーで要因分析するフレームワークです。自社の強みと弱みを洗い出し、市場の機会を生かすにはどうしたらよいか、排除すべき脅威は何かを分析できます。3C分析と組み合わせることで、自社の強みと弱みをさらに可視化できるフレームワークです。
採用手法の選定
募集する人材や自社のアピールポイントなどが整理できたところで、募集・採用をどのような手法で行うかという採用手法の選定を行います。具体的には、ハローワーク、就職情報サイト、自社サイト、Web広告、求人誌など、募集を行う手段を選定しましょう。
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面接官の任命・育成
採用活動では、応募者の実務能力やコミュニケーション能力、性格、将来性を正確に見定め、評価する面接官が採用成功のカギを握るといっても過言ではないでしょう。面接官によって採用活動の成果が大きく変わることもあるため、面接官の任命は重要です。
もし面接官の面接スキルが不足しているようであれば、育成計画を立てて育成を図りましょう。必要に応じて、面接のマニュアルや面接時に用いる質問のテンプレートといった整備を並行します。
受け入れ体制の整備
内定後・採用後の受け入れ体制の整備も忘れてはいけません。内定後に懇親会や勉強会などを開催してフォローを続けることで、内定辞退を防ぎやすくなります。入社後の教育体制の整備では、仕事を教えるだけでなく、褒めたり励ましたり相談に乗ったりして精神面でフォローできる体制をつくることも大切になります。
その他にも、教育担当の社員などの負担を軽減できるようにフォローできる体制づくりも重要なポイントです。
採用戦略を実行する際に気を付けるポイント
採用戦略を立てたあとは、下記の点に気を付けて実行していきましょう。
- 採用戦略を共有する
- 必要な人事体制を確認する
- PDCAを回して精度を高める
ここからは、採用戦略を実行する際に気を付けるべきポイントについて詳しく解説します。
採用戦略を共有する
採用活動は人事部のみが受け持つものではなく、会社全体で取り組み、進めていくことが重要です。自社が求める人材を採用するためには、必要な人材についての採用要件を各部門とコミュニケーションを取りながら決めていきましょう。また、立案した採用戦略を関係する各部署に共有し、採用計画に対する共通認識を持つようにしましょう。
必要な人事体制を確認する
採用戦略の実行に向けて、人事体制を整えておくことも大切です。計画通りに進めるためには、不足しているリソースを調整・強化する必要があります。
社内リソースで補えない場合は、採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)を活用し、外部パートナーに委託することも検討しましょう。
PDCAを回して精度を高める
立案した採用戦略が正しかったのか、PDCAサイクルを回して効果を検証していくことが大切です。半期・年度ごとに、採用活動の成果や手順についてフィードバックを行い、採用戦略を見直します。課題や改善ポイントを洗い出し、次回の採用活動に生かしていくことで、採用戦略の精度を高められます。
採用活動でありがちな問題点

しっかりとした戦略を立てなければ、採用におけるさまざまな問題の解決は難しいでしょう。ここでは、採用担当者が抱えやすいいくつかの問題点について解説します。
そもそも応募がない
採用担当者が直面する問題の一つに、「そもそも自社の選考を希望する人材が見つからない」ということがあります。会社の知名度が高くないなどの理由により、応募者が集まらないことがあります。応募があれば必ずその人材が自社やポジションにマッチするとは限りませんが、相手がいないことには、選考のスタートラインに立つこともできません。
内定を辞退される
内定を出しても辞退されてしまうことが、採用担当者を悩ませる問題の一つです。求職者は売り手市場の状況にあり、就活中の学生や求職者は複数の企業から内定をもらうことが多くなっています。
入社後にミスマッチが発覚する
入社後にミスマッチが発覚することも、採用担当者にとって大きな問題です。応募や候補となる人材が少ないなかで採用を決めるなどさまざまな要因により、採用した人物が入社後に会社が求める能力を持っていないと判明することがあります。「社風が合わない」「与えられた仕事の内容が自分の希望と異なる」などの理由ですぐ辞めてしまうケースや、賃金や雇用条件に納得できずに退職に至るケースもあるでしょう。採用後のミスマッチは、企業にとって採用コストや育成コストなど、その損失は大きなものとなります。
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中途採用を重視する戦略のメリット

前述の通り、採用戦略には新卒採用重視と中途採用重視の2種類が存在します。ここでは、そのうちの一つ「中途採用」のメリットについて紹介します。
即戦力が得られる
中途採用の最大の魅力は、即戦力が得られる点でしょう。中途採用では、必要なスキルを持つ経験豊富な人材を採用できます。そのため、育成コストを抑えることも可能でしょう。短期間で事業の成長に貢献してくれることも期待できます。
選考時期や期間に融通が利く
選考期間を自由に決められるのも中途採用ならではのメリットです。新卒採用の就活スケジュールにも近年変化が表れてはいますが、対象が学生になるため、ある程度の配慮が必要になります。しかし、中途採用の場合は、自社が必要とする時期にいつでも行えるため、条件によっては短期間での採用活動も可能です。
新たな知識や視点を会社にもたらしてくれる
中途採用では、採用した人材が新たな知識や視点を会社にもたらし、イノベーションの原動力になるというメリットもあります。中途採用では、これまで自社にはなかった分野の知識を、中途採用者が持っていることも少なくありません。その知識とアイデアによって、自社の常識を覆すような新しい視点を得る可能性があります。
また、自社に対する客観的な視点は、新事業の展開や業務改善を生み出すことも期待できるでしょう。
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採用がうまくいかない場合、まずは会社全体で採用に取り組む体制をつくり、採用戦略をしっかり立てることを意識するとよいでしょう。中途採用には即戦力の確保やコスト削減など、新卒採用にはないさまざまなメリットがあります。中途採用を行うなら、「即戦力人材」が多く登録するビズリーチがおすすめです。
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