就業規則とは? 作成・届出方法や変更時の注意点などを解説

就業規則とは? 作成・届出方法や変更時の注意点などを解説

就業規則は、一定の基準を満たす職場で規定されているルールブックのようなものです。就業規則には具体的に何が定められているのか、その必要性や、作成・届出の手順、就業規則の内容を変更する際に注意すべきポイントなどについて解説します。

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就業規則とは

就業規則とは

就業規則とは、職場の基本的なルールが記載された文書です。労働時間や賃金などの「労働条件」と、職場の秩序を保つために、社員が守るべき「服務規律」などが定められています。

労働基準法第89条に基づき、常時10人以上の労働者を使用する企業は、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届出をしなくてはなりません。また、就業規則を変更する際も、その都度届出をしなければいけません。労働者が10人未満であれば義務ではありませんが、トラブルを防ぐためにも、作成しておくことが望ましいでしょう。

就業規則の必要性・役割

就業規則の必要性・役割

就業規則の必要性・役割は、大きく分けて、「義務」「トラブル対策」「企業の利益を守る」「企業の秩序を保つ」の4つです。それぞれについて解説します。

企業の義務

就業規則は、「作成」するだけでなく、「届出」をし、「周知」することが義務となっています。この3つの義務について解説します。

1.作成義務
常時10人以上の労働者を使用する事業者は、就業規則を作成する義務があります(労働基準法第89条)。

2.届出義務
常時10人以上の労働者を使用する事業者は、作成した就業規則を行政官庁に届け出る義務があります(労働基準法第89条)。就業規則を変更する場合も、その都度届出の義務があります。

3.周知義務
作成した就業規則は、見えやすい場所に掲示する、いつでも見ることができる場所に備え付ける、書面を交付するなどして、労働者に周知させる義務があります(労働基準法第106条)。

トラブル対策

就業規則には、トラブルを防ぐ、またはトラブルが起きたときに適切に対処するための役割もあります。職場で起こりうるトラブルの例としては、パワハラやセクハラ等のハラスメント、長時間労働の問題、残業代の未払い、解雇に関すること、労働災害などが挙げられます。

これらのトラブルが生じた際に、企業としての定めがなければ、どこからがルール違反なのか判断できず、また不祥事を起こした社員に対しても処分を下せません。その結果、より大きなトラブルに発展してしまう可能性もあるのです。

企業としてのルールや判断基準をつくり、社員に正しく理解してもらうことで、トラブルを未然に防ぐだけでなく、トラブルが起こったときに適切に対応できます。

企業の利益を守る

前述したようなトラブルが、裁判に発展してしまうケースもあります。そうなれば、裁判に費用が必要となるだけでなく、企業イメージにも影響が出てくるでしょう。その結果、取引先との関係が悪化、人材採用の面でも不利になるなど、さまざまな不利益がもたらされます。

また近年は、企業の情報漏えい事件も後をたちません。セキュリティ対策を強化するとともに、情報の取り扱い方を定めておくことで、ヒューマンエラーを防げます。

このように就業規則には、企業の利益を守り、不利益を最小限に抑えるという役割もあります。

企業の秩序を保つ

トラブルが発生したときに適切に対処できないと、働く社員は企業に対して不信感を抱くようになり、職場の雰囲気や労使関係の悪化、モチベーションの低下、優秀な人材の流出などにつながってしまう可能性があります。

また、基本的なルールを定め、誰もがいきいきと働ける環境をつくることで、円滑に業務を進めていけるでしょう。就業規則は企業の秩序を保つためにも重要です。

就業規則に関係する罰則

就業規則に関係する罰則

「常時10人以上の労働者を使用する事業者」に該当するにもかかわらず、就業規則の作成・届出・周知の3つの義務を果たしていなかった場合、労働基準法違反となります。新規作成だけでなく、内容を変更する場合も同様です。

違反した場合、労働基準法第120条に基づき、30万円以下の罰金が科されます。

就業規則を作成する義務のある企業規模

「常時10人以上の労働者を使用する事業者」とは、どのような企業に該当するのでしょうか。

まず「常時10人」とは、時として10人未満になることがあっても、常態として10人以上の労働者を使用しているということです。例えば、通常8人体制の勤務であっても、10人以上でローテーションを組んで業務することがあるのであれば「常時10人以上」となります。また、「労働者」には正社員だけでなくパート・アルバイト等、雇用契約を結ぶすべての人が含まれます。

そして、人数は「事業場」ごとにカウントされ、同じ企業であっても、本店、支店、営業所などがある場合、それぞれを一つの事業場として数えます。

就業規則と労働契約の関係性

就業規則と労働契約の関係性

就業規則と労働契約の関係性について、図を用いて解説します。

就業規則と労働契約の関係性の図

上の図は、「労働基準法」「就業規則」「労働契約」の関係を表したものです。企業で働くすべての労働者に対する基本的なルールである「就業規則」とは別に、事業主はそれぞれの労働者と、個別に「労働契約」を結びます。

個別の労働契約は、就業規則とは異なるルールを定めることができますが、就業規則に違反する内容は認められません。また、就業規則についても、労働基準法といった関連法規に違反する内容は無効となります。つまり、労働者にとっては最も有利な条件が有効になるということです。

労働条件通知書と雇用契約書の違い

労働条件通知書と雇用契約書の違い

労働条件通知書と雇用契約書の違いについても理解しておきましょう。2つの違いをまとめると、以下のようになります。

労働条件通知書雇用契約書
適用される法律労働基準法 パートタイム・有期雇用労働法民法
明示義務あり(原則書面)なし(任意)
合意の必要性なし(事業主→労働者へ一方的な通知)双方の合意が必要

ここからはそれぞれについて、詳しく紹介します。

労働条件通知書

労働基準法第15条に基づき、事業主は、労働契約を締結する際、労働者に労働条件を明示しなければなりません。このときの作成する書面を「労働条件通知書」といいます。事業主の義務は「明示すること」のみであり、労働者の合意は必要ありません。

労働者へ必ず明示しなければならない事項は、以下の通りです。

  1. 労働契約の期間
  2. 有期労働契約の更新の基準
  3. 就業場所・従事すべき業務
  4. 始業・就業時刻、所定労働時間を超えての労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制等に関すること
  5. 賃金の決め方、計算方法、締め日、支払い方法と支払い時期、昇給に関すること
  6. 退職に関すること(解雇を含む)

原則、書面にて明示しますが、労働基準法施行規則の改正により、労働者が希望した場合は、FAXやEメール、SNSメッセージ機能等で明示することも可能となりました。ただし、出力して書面を作成できるものに限られます。また、第三者が閲覧できるような個人のブログやホームページへの書き込みによる明示は認められません。

雇用契約書

雇用契約書は、民法第623条に基づいた契約書であり、書面での締結は義務付けられていません。事業主・労働者双方の合意があれば、口頭でも契約は成立します。

しかし、トラブルを避けるために、書面で作成し双方が署名・押印することが一般的です。労働条件通知書と合わせた「労働条件通知書兼雇用契約書」という書式を活用している企業もあります。

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就業規則の法的効力

就業規則の法的効力

就業規則は法律上どのように位置づけられているのでしょうか。事例とともに解説します。

法律違反の就業規則は無効

労働基準法第92条に基づき、就業規則の内容が、法令または労働協約に反するものである場合、その部分については無効となります。

労働基準法には、所定労働時間、時間外労働に対する割増賃金、減給処分に関することなど、労働に関するあらゆる基準が定められています。これらに反する内容は、就業規則として認められません。

また、労働協約の内容を下回る部分についても同様です。労働協約とは、企業と労働組合が労働条件等について合意したことを文書化したものを指します。

無効になった事例

法律違反のために就業規則が無効となった事例として、平成15年の「フジ興産事件」を紹介します。

届出されて間もない新しい就業規則に基づき懲戒解雇された元社員が、「新就業規則はまだ周知されていなかったため、解雇は違法である」として、損害賠償を求めて提訴したものです。

原審では懲戒解雇が有効とされたものの、元社員が上告。最高裁は、就業規則が効力を持つためには、労働基準法第106条に基づき労働者へ周知させることが義務であり、この点の審理を尽くしていない判断は違法であるとして破棄・差し戻しとしました。

この「フジ興産事件」のように、労働基準法第106条の「周知」義務が不十分であるため無効になったケースはほかにもあります。就業規則作成および変更にあたっては、3つの義務をしっかりと果たさなければなりません。

参考:就業規則の変更等に関する判例・裁判例 –カワムラ社労士事務所

最低基準効

最低基準効とは、労働契約において定めた労働条件が、就業規則で定める基準よりも労働者にとって不利な場合、その部分については無効となり、就業規則で定める基準を適用することです。下記で、最低基準効が定められている労働契約法第12条と、具体的な事例を紹介します。

労働契約法第12条とは

労働契約法第12条、「就業規則違反の労働契約」には、以下のように定められています。

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

引用元:労働契約法

この条項によって、就業規則の基準を下回る労働条件で労働契約を結ぶことはできません。

具体例

具体的な事例として、「北海道国際航空事件」を紹介します。

平成13年7月18日、同社は経営不振を理由として、課長以上の役職者の賃金を同月以降引き下げることを通告しました。この減額が違法であるとして労働者側が、7月以降の賃金減額分の支払いを求めて提訴したものです。

就業規則の賃金規定には、「月の途中において基本賃金を変更又は指定した場合は、当月分の基本賃金は新旧いずれか高額の基本賃金を支払う」と定められていたため、7月分の減額は違法とされ、労働者側の勝訴となりました。

しかし、労働者は賃金減額に対して抗議を行っていたものの、異議を申し出ることなく賃金を受け取っていたため、7月分以降については「同意していた」と判断されました。

参考:【就業規則】就業規則による労働条件の最低基準の設定|雇用関係紛争判例集|労働政策研究・研修機構(JILPT)

就業規則の記載事項の種類

就業規則の記載事項の種類

就業規則には、具体的にどのようなことを記載するのでしょうか。記載事項は、「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」「任意的記載事項」の3種類に分類されます。それぞれについて解説します。

絶対的必要記載事項

絶対的必要記載事項とは、労働基準法第89条に定められている、就業規則に必ず記載しなければいけない事項のことです。絶対的必要記載事項は、以下の3つに分類されます。

1.労働時間に関すること
(始業・終業時刻、休憩時間・休日・休暇、交代制の場合は就業時転換に関すること)

2.賃金に関すること
(賃金の決め方、計算方法、締め日、支払い方法と支払い時期、昇給に関すること)

3.退職に関すること
(退職時のルール、解雇の事由など)

相対的必要記載事項

相対的必要記載事項とは、企業にその制度が設けられている場合、必ず記載しなければならない事項のことです。絶対的必要記載事項と同じく、労働基準法第89条に定められています。相対的必要記載事項は、以下の8つです。

1.退職手当に関すること
(対象範囲、決め方、計算方法、支払い方法と支払い時期)

2.臨時の賃金(賞与)・最低賃金額に関すること

3.費用負担に関すること
(労働者が食費や作業用品等の費用を負担することになった場合のルール)

4.安全衛生に関すること

5.職業訓練に関すること

6.災害補償・業務外の傷病扶助に関すること

7.表彰・制裁に関すること

8.その他、事業場の労働者すべてに適用されるルール
(服務規定、休職に関することなど)

任意的記載事項

任意的記載事項とは、絶対的必要事項と相対的必要記載事項にあてはまらない事項で、企業が任意に定めることができるものです。例えば、就業規則を作成した目的や経営理念、行動指針、また条文の解釈などが該当します。

しかしこれらについても、守るべき「ルール」として記載すれば相対的必要記載事項に含まれると捉えることができますし、服務規定などを任意的記載事項に分類する場合もあります。

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就業規則は雇用の種別ごとに作成する必要がある

就業規則は雇用の種別ごとに作成する必要がある

就業規則は、雇用するすべての労働者について定める必要があります。

パートタイム労働者などの一部の労働者について、正社員とは異なる労働条件を定める必要がある場合は、別の就業規則を作成しましょう。その際は、一般の就業規則に以下の2点を明記します。

  • 一部の労働者については一般の就業規則は適用されないこと
  • その労働者に対する就業規則は別に定めること

令和2年4月に正社員と非正規社員で不合理な待遇差が生じないように「パートタイム・有期雇用労働法」が施行されました。一部の労働者に対して別個の就業規則を作成する場合は、正社員との間に不合理な待遇差が生じないように注意しましょう。

就業規則の申請・作成(変更)にかかわる3ステップ

就業規則の申請・作成(変更)にかかわる3ステップ

就業規則の作成(変更)にかかわる3ステップを、ポイントとともに解説します。

就業規則を作成する

就業規則を作成する際に注意すべきポイントは、以下の2点です。

  • 法令または労働協約を遵守する(労働基準法第92条)
  • 労働者の意見を聞く(労働基準法第90条)

法令や労働協約に反する内容は規則として認められません。労働者の意見を聞くことについては、同意までは求められていませんが、できるだけ労働者の意見を尊重することが望ましいでしょう。

労働基準監督署に届出をする

作成した就業規則は、労働基準監督署に届出をしなければなりません。提出方法は、持参、郵送のほか、厚生労働省はe-Govを利用した電子申請も推奨しています。

労働者に周知する

作成した就業規則は、職場で働くすべての労働者に周知しなければなりません。書面で一人一人に配布することが望ましいですが、各職場の見えやすい場所に掲示する、いつでも見ることができる場所に備え付けるなどして、確実に、速やかに周知しましょう。

具体的な就業規則の作成方法

具体的な就業規則の作成方法

就業規則を作成する方法は、大きく2つあります。

  1. 社労士や弁護士に依頼する
  2. 社内で作成する

それぞれの方法について解説します。

社労士や弁護士に作成を依頼する

就業規則の作成を外部に依頼する場合、社労士か弁護士のどちらかになるでしょう。社労士(社会保険労務士)は、労働社会保険手続きや労務管理の相談指導、年金相談などの業務を行う、まさに人材に関するスペシャリストといえます。

対して弁護士は、法律のスペシャリストです。一口に弁護士といっても、それぞれに得意分野があります。就業規則の作成を依頼するなら、労務問題の経験が豊富で、自社の業界に詳しい弁護士に依頼するのがおすすめです。

作成費用の相場

就業規則作成費用の相場は、10万円~50万円程度といわれています。就業規則のボリュームや、特殊な業務の有無によっても料金は異なり、本則のほかに別個の規定を設ける場合などは、その分費用も高くなります。

なかには、就業規則の項目ごとに料金を設定し、ホームページで公開している社労士事務所などもあります。就業規則の作成期間についても、ボリュームや調査内容によって異なりますが、1~3カ月ほどかかる場合が多いようです。

社内で作成する

社内で就業規則を作成する場合、まずは以下の2点が大切です。

  • 就業規則の基本的なルール、盛り込みたい制度を理解すること
  • 現在の企業の状況を把握すること

一から就業規則を作成するためには、さまざまなルールや制度を理解する必要があります。社内で作成する場合も、現行の法律に対応しているか、さまざまな基準を満たしているかなど、外部の専門家にアドバイスをもらうことをおすすめします。現段階で運用している就業規則等の制度や規定をすべて洗い出し、自社の課題や、社員のニーズを把握し、より良い制度となるよう議論を重ねていきましょう。

また、作成にあたっては、厚生労働省のポータルサイト「スタートアップ労働条件」内の「就業規則作成支援ツール」が活用できます。入力フォームに必要事項を入力し、印刷することで簡単に就業規則を作成できるというツールです。

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厚生労働省のひな型(モデル就業規則)

厚生労働省のひな型(モデル就業規則)

就業規則を作成する際は、厚生労働省が公開している就業規則のひな型「モデル就業規則」を活用するのもよいでしょう。日本語だけでなく、外国人労働者向けに、英語・中国語・ポルトガル語・ベトナム語、やさしい日本語版も作成されています。

モデル就業規則は、正規雇用の労働者への適用を想定してつくられています。そのため、このひな型を用いる場合は、パートタイム労働者や有期雇用労働者に対しては別個の規則を作成する必要があります。

また、就業規則の内容は、自社の職場の実態に合ったものに変更するようにしましょう。

ひな型を活用して就業規則を作成する際の注意点

ひな型を活用して就業規則を作成する際の注意点

厚生労働省の「モデル就業規則」をはじめ、インターネット等で入手できる就業規則のひな型は、あくまでひとつの見本です。これらを使用する際に注意すべきポイントについて解説します。

(注意点1)現行の法律に対応しているか

毎年、さまざまな法改正が行われています。例えば、「パートタイム・有期雇用労働法」の施行(令和2年4月)や、「高齢者者雇用安定法」の改正(令和3年4月)なども記憶に新しく、令和4年4月からは「育児・介護休業法」が改正され、段階的に施行されることになっています。

しかし、インターネット等で入手できる就業規則のひな型は、なかには現行の法律に対応できていないものが多く存在しています。ひな型を活用する際には、作成された日付ができるだけ新しいものを選び、現行の法律に対応しているかをよく確認しましょう。

(注意点2)内容が自社に合っているか

守るべきルールや労働条件は、職場によって異なります。ひな型をそのまま使用すると、自社の実態とかけ離れたものになり、かえってトラブルのもとになりかねません。

ひな型を使用する場合であっても、現段階で運用している制度や規則等、職場の実態を整理し、どのような課題やニーズがあるのか、内容を検討し書き換えていく必要があります。

(注意点3)内容はわかりやすく明確か

就業規則は、作成・届出だけでなく、すべての労働者に周知することが事業主の義務となっています。そのため、誰でも理解できるように、わかりやすく明確なものとしなければなりません。内容が複雑であったり、抽象的であったりする場合、誤解からトラブルに発展してしまう可能性があります。

例えば、「夏季の賞与は算定対象期間を1月1日~6月30日とし、7月20日に支給する」というような規定があったとします。

この場合、下記の点が明確ではありません。

  • 賞与の対象者
  • 賞与は必ず支給されるのか

「支給日に在籍している労働者に限る」「業績の低下等、その他やむを得ない事情がある場合には、支給の額を縮小又は見送る場合がある」といった内容も記載しておくべきでしょう。

就業規則の届出方法

就業規則の届出方法

作成した就業規則の届出方法について、詳しく解説します。

労働基準監督署に届出をする

労働基準監督署とは、全国に321署ある厚生労働省の第一線機関で、署の規模などによっても異なりますが、主に以下4つの課で構成されています。

  • 方面(監督課)……各種届出の受付、監督指導など
  • 安全衛生課……機械や設備の設置等に関する届出の審査、安全衛生指導など
  • 労災課……労災保険の適用・徴収など
  • 業務課……会計処理など

就業規則は、事業場の拠点がある地域を管轄する労働基準監督署の署長宛てに届け出をします。

必要になる書類

就業規則の届出の際に提出しなければならない書類は、以下の通りです。

【就業規則】

パートタイム労働者等の一部の労働者に対する規則や、賃金規定などの別規定を作成した場合は、それらも忘れずに添付しましょう。

なお就業規則の変更の場合は、変更の要点のみを記載した「新旧対照表」でも差し支えありません。

【就業規則(変更)届】

就業規則を作成(変更)した旨を記載した文書です。決まった様式は特にありません。事業場の名称・事業場の所在地・使用者の氏名等を記載して、この書類を一番上にして提出します。

【意見書】

労働者の代表の意見をまとめた書類です。就業規則を作成(変更)するときは、労働者の知らない間に一方的に労働条件や服務規律などが作成・変更されることのないように、労働組合または「労働者の過半数を代表する者」の意見を聞くことが義務付けられています。

紙ベースで提出する場合は、これらを一式ホチキスなどでつづって提出します。2部提出すれば、受付印を押印された1部が事業場用として返却されますので、社内で保管をしましょう。

厚生労働省は、受付窓口の混雑緩和などのために、e-Govを利用した電子申請も推奨しています。詳細は、最寄りの監督署にお問い合わせください。

届出の期間

就業規則を作成または変更した場合は、その都度「遅滞なく」届け出ることが義務付けられています。そのため、数回の変更をまとめて届け出るということはできません。

事業所(事業場)ごとに届出をする

就業規則は事業場ごとに作成し、それぞれの管轄する労働基準監督署に届出をします。ただし、本社と各事業場で就業規則の内容が同じ場合、本社を管轄する労働基準監督署に一括で届け出ることも可能です。

就業規則の変更時に気を付けたい「不利益変更」とは

就業規則の変更時に気を付けたい「不利益変更」とは

就業規則を変更する際に気を付けなければならないのが、「不利益変更」です。不利益変更とは、現在の労働条件を、労働者にとって不利なものに、一方的に変更することをいいます。

双方の合意があれば、労働契約を変更すること自体は可能です。不利益変更は基本的に禁止されていますが、以下の場合は例外的に認められるケースもあります。

労働条件や待遇を不利益変更する条件

労働条件や待遇をやむを得ず不利益変更する場合、以下の2つの条件を満たしていなければなりません。

  • 変更後の就業規則が労働者に周知されていること
  • 労働者の不利益の程度、変更の必要性や相当性が、さまざまな状況や事情に照らし合わせて合理的なものであること

不利益変更はあくまで「例外的」なものです。無用なトラブルを防ぐためにも、変更の際はしっかりと話し合いの場を持ち、労働者の合意を得るべきでしょう。

就業規則は雇用関係助成金の申請にも関係する

就業規則は雇用関係助成金の申請にも関係する

就業規則は、助成金を申請する際に必要となる書類でもあります。提出が必要な雇用関係助成金は、主に以下の5つです。

  • キャリアアップ助成金
  • 人材開発支援助成金
  • 人材確保等支援助成金
  • 両立支援等助成金
  • 働き方改革推進支援助成金

就業規則の作成・改定自体が取り組みの一部となっている助成金もあります。その例として、キャリアアップ助成金を紹介します。

※この情報は令和3年度のものです。助成金の受給要件や申請方法は変更されることがありますので、最新の情報をチェックしてください。

就業規則が必要な助成金の一例(キャリアアップ助成金)

キャリアアップ助成金は、非正規社員の正規雇用や処遇改善に取り組む企業が受給できる助成金です。

諸手当制度等共通化コース、賃金規定等共通化コースは、就業規則の作成・改定自体が取り組みの一部となっています。申請の際には、改定前と改定後の就業規則または労働協約の提出が必要です。

就業規則を見直し、良好な労使関係を築いていこう

就業規則を見直し、良好な労使関係を築いていこう

就業規則は、常時10人以上の労働者を使用する事業者の義務であり、10人未満の企業であっても、良好な労使関係を維持していくために作成することが望ましいものです。

一度作成した就業規則は一定期間ごとに見直しを行い、現在の自社の実態に合っているか、法律に対応できているかなどを確認し、アップデートしていくことも大切です。

また、就業規則の3つの義務「作成」「届出」「周知」のうち、周知義務が不十分となっているケースが多く見られます。就業規則を作成または変更したら、その都度しっかりと3つの義務を果たしましょう。

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著者プロフィール株式会社IKUSA

デジタルマーケティング事業を展開し、Webサイトの制作・運用・分析、記事・DL資料・メールマガジンなどのコンテンツ制作などを行う。2021年12月時点、自社で7つのオウンドメディアを運用し、月間合計600件を超えるコンバージョン数を達成。