サバティカルとは? 休暇制度の効果やメリット・デメリット、導入時のポイントや導入事例について解説

サバティカルとは? 休暇制度の効果やメリット・デメリット、導入時のポイントや導入事例について解説

サバティカルとは、もとは大学の教員などに与えられる長期休暇のこと。近年では日本企業でも導入が進み、スキルやワークライフバランスの向上に寄与しています。

この記事では、サバティカルの定義や休暇制度のメリット・デメリットを紹介するとともに、企業で導入する際のポイントや実際の導入事例について解説します。

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サバティカル(サバティカル休暇)とは

サバティカル(サバティカル休暇)とは

はじめに「サバティカル」や「サバティカル休暇」という言葉の意味と、企業におけるサバティカル休暇の目的について解説します。

「サバティカル」の意味

「サバティカル」は英語のsabbaticalがもとになっている言葉です。英語のsabbaticalの意味は「長期休暇」「長期有給休暇」「長期充電休暇」「特別研究期間」などで、これは安息日を意味するラテン語「SABBATICUS(サバティクス)」に由来しています。

サバティカルは、もともとは大学の教員に定期的に与えられる長期休暇のことです。普段は講義や学生の指導で忙しい教員が、この休暇を利用することで、海外の研究機関での研究や、新しい分野の研究に取り組むことが可能となります。普段の職務を離れて自主的な調査研究に専念することで、知識や能力の向上を図っているのです。大学教員のサバティカルは、日本の大学でも広く取り入れられています。

 「サバティカル休暇」の意味

サバティカルという言葉には既に休暇の意味が含まれていますが、日本では「サバティカル休暇」という呼称も一般的で、その意味はサバティカルと同じです。

近年は一般企業でもサバティカル休暇の導入が増えているほか、俳優のライアン・レイノルズ氏など、芸能界でもサバティカルを宣言する人が現れ、より身近になりつつあります。

フランスでは2021年にJPモルガン・チェースのパリ拠点に所属するバンカー(投資銀行家)がサバティカルに入り、仏大統領選の極右候補支援を行うことがニュースになりました。

参考:
長期の育休に突入、ライアン・レイノルズが宣言!その宣言にライアン大好き俳優も乗り気 │ フロントロウ
JPモルガン行員が長期休暇取得、目的は仏大統領選の極右候補支援 │ Bloomberg

企業におけるサバティカル休暇の目的

サバティカル休暇を設けている一般企業では、おもに以下のような目的で設置しています。

  • ワークライフバランスを図る
  • 自身の専門分野の学び直し
  • 新しい分野の学習
  • 普段の業務を離れ、さまざまな経験をすることでキャリア形成につなげる

対象者は一定の勤続年数を経ている従業員で、期間は1カ月~1年が平均的であり、休暇中は無給であるケースがほとんどです。期間中の活動は海外留学、国内外の大学院への進学、資格取得、育児、介護、ボランティア参加など、各人に任せられています。

海外ではフランス、スウェーデン、フィンランドなど、企業におけるサバティカル休暇の制度が充実している国もあります。日本では経済産業省がサバティカル休暇の導入を企業に呼びかけているものの、まだ制度が充実しているとはいえない状況です。

参考:「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」(人材力研究会)報告書 │経済産業省

企業がサバティカル休暇を導入するメリット・デメリット

企業がサバティカル休暇を導入するメリット・デメリット

では、企業がサバティカル休暇を導入することにどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。従業員のメリット・デメリットも含めて解説します。

サバティカル休暇を導入するメリット

【企業のメリット】

  • 従業員のスキル向上が見込める
  • 従業員が新たな知見や価値観を得ることが業務上の成果につながる
  • 従業員のモチベーションを高める
  • 育児、介護、病気療養などによる離職を防ぐ
  • 企業イメージがアップする

サバティカル休暇を取得することで、従業員のスキル向上が見込めます。また、サバティカル休暇中に新たな知見や価値観を得て、それらを業務で生かし成果を上げることも期待できるでしょう。

そのほか、自社で働くことのモチベーションを高めたり、育児、介護、病気療養などプライベートな理由で離職するケースを防いだりすることもできるため、人材の流出を防ぐことが期待されます。

加えて、サバティカル休暇という先進的な制度を取り入れていることは、企業イメージのアップにつながるでしょう。

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【従業員のメリット】

  • 専門知識の向上や、スキルアップが見込める
  • 新たな分野の学びを開始できる
  • 海外留学や大学院進学のチャンスが生まれる
  • 業務から離れ、まとまった休暇を取ることでリフレッシュできる
  • 育児、介護、病気療養などにじっくり取り組める
  • ボランティアに従事することで新たな知見を得られる

従業員は、サバティカル休暇の取得によって自身の専門知識をさらに向上させたり、持っているスキルを習熟させたりできます。また、普段は業務で忙しく、取り組む余裕がなかった新たな分野の学習も開始できるでしょう。海外留学や大学院への進学なども可能です。

また、まとまった休暇を取ってリフレッシュしたり、育児、介護、病気療養(持病の手術など)に専念したり、ボランティア活動を通して新たな知見を得たりすることもできます。総じて、ワークライフバランスの向上が見込めるでしょう。

サバティカル休暇を導入するデメリット

【企業のデメリット】

  • 人員の調整が必要
  • 休暇を取ることで業務の遂行力が落ちる可能性がある
  • 離職に至る可能性がある

従業員がサバティカル休暇を取得している間、企業は欠員を補充しなければなりません。その従業員の担当する職務が属人的・専門的である場合は、調整に手間取ることも考えられます。

また、長期間職務を離れ、休暇から戻った従業員は、復帰直後から以前と同じ業務遂行力を発揮できるとは限りません。通常業務に慣れるまで多少時間がかかることを考慮したうえで人員調整を行っておく必要があります。

加えて、サバティカル休暇は新しい環境や価値観、人脈に出合う機会が多いものです。離職して新たな道に進みたいと考える従業員が一定数出てくる可能性も考慮しておきましょう。

【従業員のデメリット】

  • 休暇中は無給
  • 復帰後は業務の感覚を取り戻すまでに時間がかかる

日本では、サバティカル休暇中は無給であるケースがほとんどです。休暇中の生活費などについては、休暇取得までにあらかじめ工面しておく必要があります。また、復帰後に業務の感覚を取り戻すまでに時間がかかる場合もあることを知っておきましょう。

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サバティカル休暇制度の導入におけるポイント

サバティカル休暇制度の導入におけるポイント

ここからは、サバティカル休暇を自社で導入する際のポイントを解説します。従業員の離職防止や、休暇中、休暇取得後のトラブルを防ぐための施策をまとめています。

休暇の目的を事前に把握する

まず、何のためにサバティカル休暇を取得したいのか、従業員の休暇の目的を事前に把握しましょう。取得申請書に申請理由の項目を設けるのがおすすめです。

離職を防ぐためには、スキルアップやリフレッシュを目的とした取得を推奨すると効果的でしょう。

推奨したい過ごし方の例としては、以下のようなものがあります。

  • 大学や大学院、研究機関等で学び直す
  • 業務に関連する資格取得に専念する
  • 新しいスキルを習得する
  • 長期旅行をする
  • ボランティア活動に参加する
  • 育児、介護などをしながら家族と過ごす
  • 持病の治療のために入院や手術などをして、自身の体調を整える

いずれの場合も、従業員がサバティカル休暇の目的と目標を具体的にして、それを達成するように取り組むことが重要です。休暇後にレポートの提出を求める企業もあります。

休暇中の給与・社会保険の取り扱いについて定める

現在、日本ではサバティカル休暇に関する法律上の規定はありません休暇中の給与や社会保険についてどのように取り扱うか、あらかじめ社内で定めておきましょう。

「給与は支給しないが一定の金額の休暇手当を支給する」「留学や大学院進学の場合は学費を補助する」「サバティカル休暇取得の目的に応じて支給の有無を決める」「有給休暇と組み合わせて休暇中も給与を受け取れるようにする」などの方法もあります。

社会保険に関しては、企業に在籍している間はサバティカル休暇中であっても加入が必須であり、保険料や住民税は納めなければなりません。そのため、給与を支給しない場合は社会保険料のうち本人が負担する分や住民税は、従業員が会社の口座へ毎月振り込みを行うこととなります。

復職に関する就業規則を定める

サバティカル休暇終了後に従業員が出社しない、というリスクに対応するために、あらかじめ復職に関する就業規則を定めておきます。復職予定日以降に従業員が一定期間出社しない場合には、労働契約が終了するといった旨を就業規則に盛り込んでおくとよいでしょう。

サバティカル休暇の期間を設定する

サバティカル休暇の期間は1カ月~1年が平均的ですが、長期間業務を離れる場合は業務や人員の調整などが必要なため、導入は容易ではありません。

しかし近年浸透してきた「ワーケーション」であれば、比較的導入は容易です。ワーケーションは「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を合わせた造語で、観光地や帰省などの休暇先でリモートワークを行うことです。ワーケーションの場合は業務を完全に離れるわけではないため、場合によっては人員の調整も必要なく、取得のハードルはぐっと下がります。リフレッシュを目的として休暇を取りたい従業員には効果的でしょう。

サバティカル休暇を取得しやすい環境をつくる

既述のようにサバティカル休暇を取得するには各方面との調整が必要であり、取得のハードルが低いとはいえません。社内でサバティカル休暇の取得を推進するためには、サバティカル休暇を取得しやすい環境をつくる必要があります。

例えば、

  • 社内でサバティカル休暇制度を周知し、取得を推奨する
  • 業績やほかの社員に影響が出ないよう、人員調整するシステムを構築する

というような施策を通じて取得を推進していきましょう。

サバティカル休暇を取得する手順

サバティカル休暇を取得する手順

サバティカル休暇を取得する際には、どのようなステップで進めるとよいでしょうか。従業員の視点から、取得の流れを解説します。

取得条件について確認する

まずはサバティカル休暇についての社内規定を確認し、その取得条件について上司と相談します。

勤続年数や取得できる期間、その間の給与の有無、休暇手当の有無、社会保険料の取り扱い、復職の規定など、ルール化されているものに関して一通り確認しておきます。

サバティカル休暇の取得に向けて準備をはじめる

自身がサバティカル休暇の取得条件を満たしており、上司から休暇取得の許可が得られたら、準備を進めましょう。留学/進学する場合はその手続き、旅行や入院などで長期間家を空ける場合はその準備など、サバティカル休暇中の活動に応じて準備しておきます。

また、休暇中に給与が支給されない場合は、休暇期間中の生活費の工面も必要です。

サバティカル休暇中の業務について相談する

準備とともに、サバティカル休暇中の業務についてもあらかじめ上司と相談しておきましょう。業務を他の人に引き継ぐ、他の人が参照できるように資料をまとめておく、関係各所へ休暇取得の連絡をするなど、職場を空けている間も支障がないように準備を整えておきます。

また、復職後にすぐ業務に戻れるよう、休暇中の情報の共有方法についてもあらかじめ同僚と相談しておくとスムーズです。

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サバティカル休暇制度を導入している企業の事例

サバティカル休暇制度を導入している企業の事例

日本でサバティカル休暇を導入している企業の事例を紹介します。導入している企業としてはヤフーやソニーが有名ですが、2021年には全日本空輸(ANA)も導入を発表し、注目されています。

全日本空輸株式会社(ANA)

全日本空輸株式会社は2021年4月からサバティカル休暇制度を導入しました。これは理由を問わずに最大2年間休職できるもので、国内のほかの企業と比較しても長期間であるといえます。

取得にあたっては勤続1年以上の正社員が対象で、年齢制限はありません。給与は支給されませんが、休業・休職期間中も会社が社会保険料を負担し、1年以上の休暇を取得する場合は留学などの補助金として20万円が支給されます。取得期間は1~5カ月、1年、1年半、2年から選択できます。

同社には介護や不妊治療、社業への貢献を前提とした進学や留学による休暇制度が以前からあり、目的ごとにさまざまな名称がつけられていました。これらの名称や制度を一本化し、使い道が自由な長期休みとして「サバティカル休暇制度」が導入されました。

参考:全日空が「サバティカル休暇制度」導入 4月から無給休職、最長で2年可能に │ SankeiBiz

MSD株式会社

医療用医薬品やワクチンの開発・輸入・製造・販売を行うMSD株式会社には、サバティカル休暇に相当する休暇制度である「ディスカバリー休暇があります。これは従業員からの「自己研さんのための社外活動をしたい」という提案から生まれたもので、年間40日まで連続で、あるいは断続的に無給で取得できます。利用目的は問われません。

2016年から試験的に運用をはじめたディスカバリー休暇は、2018年に制度化。導入以来約40人の従業員が利用しました。過去の取得事例としては、短期海外留学、大学院への通学、副業、異業種交流、ボランティア、子どもと向き合うために学校の夏休みに合わせた長期休暇の取得、などがあります。

参考:特別休暇制度導入事例集2020 p17,18│厚生労働省

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社のサバティカル制度は、勤続10年以上の正社員が対象で、2~3カ月の範囲で取得可能です。休暇中の一定期間は、支援金が支給されます。自らのキャリアや経験、働き方を見つめなおし、考える機会をつくるための制度と位置付けています。

同社には、サバティカル制度のほかにも勉学休職制度があり、これは普段の業務を離れ、専門的な知識や語学力を集中的に習得できる機会を提供するための休職制度です。勤続3年以上の正社員を対象に最長2年の期間で取得できます。

参考:福利厚生 │ ヤフー株式会社

ソニー株式会社

ソニー株式会社には、「フレキシブルキャリア休職制度があります。これは2種類のケースに分かれていて、ひとつは(1)配偶者の海外赴任や留学に同行するケース、もうひとつは(2)仕事に生かせる専門スキルを身につけるために、国内外に最長2年私費で就学するケースです。

どちらも休職期間中に給与の支給はありませんが、社会保険料は会社が支給します。さらに、(2)の場合は就学にかかる初期費用を最大50万円まで会社が支給します。2020年10月までの利用者数は配偶者同行が約50名、私費就学が約20名にのぼっています。

この休職制度では、社員が職務を離れ、さまざまな経験を積んでスキルを磨くことで、イノベーションや気づきを社にもたらすことが期待されています。

参考:多様性を推進する取り組み│ソニー株式会社

株式会社ブレインパッド

ビッグデータの活用サービスやデジタルマーケティングサービスを行う株式会社ブレインパッドでは、勤続5年以上の従業員を対象としたサバティカル休暇制度があります。これは休職の理由を問わず、最長3カ月の休職を取得できるものです。

職務を離れてさまざまな経験をする機会をつくることで、その経験を復職後の業務に生かすことが期待されています。

参考:ブレインパッドの福利厚生を紹介します!~社員のスキルアップを支援する制度編~ │ Platinum Data Blog by BrainPad

株式会社リクルート

株式会社リクルートは、心身のリフレッシュを目的とした「STEP休暇を設けており、在籍3年ごとに1度取得できる独自の休暇制度です。

休暇期間は休日を含む14~28日の範囲で任意に取得でき、連続で取得することが必須となっています。

参考:福利厚生 | 株式会社リクルート

株式会社ぐるなび

株式会社ぐるなびには「プチ・サバティカル休暇」があり、これは勤続5年で3日間の連続休暇が付与されるものです。

連続休暇を通じて新たな学びやキャリアの振り返りを行うことが目的で、活動支援金として2万円が支給されます。

参考:福利厚生|株式会社ぐるなび

従業員の目標や目的実現のために活用したいサバティカル休暇

従業員の目標や目的実現のために活用したいサバティカル休暇

日本ではまだ知名度の低いサバティカル休暇ですが、スキル開発やワークライフバランスの向上の観点からもメリットが多いため、徐々に導入する企業が増えています。

サバティカル休暇やそれに相当する制度を備えているかどうかは、従業員にとってひとつのEVP(Employee Value Proposition=企業が従業員に提供できる価値)として今後ますます注目されるのではないでしょうか。

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