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人材とは 意味や人財との違い、採用・育成方法を解説


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「人材」は、企業活動に欠かすことのできない大切な「人的資源」です。近年では、人材は育成のための投資を行い、価値を高めていく「人的資本」であるという考え方も生まれています。

この記事では人材という言葉の意味から解説し、「人財」との違いや自社に必要な人材を定義する方法、人材戦略の柱となる「採用」「育成」「定着」のポイントについて解説します。

「人材」とは

人材のイメージ

「ジンザイ」には4つの表記があり、そのなかの一つである「人材」は、組織のなかで適切に対応可能な人物のことを指します。

ここでは人材が持つ意味のほか、その他の「ジンザイ」との違いを紹介します。

「人材」の意味

人材の「材」という字には、原料、材料、木材といった意味のほかに素養、才能のある人といった意味があります。

「人材」は「才知ある人物。役に立つ人物」という意味を持ち、企業における「人材」は、仕事を遂行する能力を備えていて、かつ企業活動に貢献する才能のある人を指します。仕事をしっかりとこなし、組織のなかで適切な対応をとれる人物と言い換えられるでしょう。

また、将来的な可能性というニュアンスも持っており、新入社員のほか、これから教育を受ける予定の内定者も人材に含まれます。

人材は英語でいうと「human resource」にあたる概念です。企業活動のための単なる材料ではなく、大切な価値のある「人的資源」という意味合いがあります。

「人財」との違い

近年は、「人材」の代わりに「人財」という漢字を使う企業もあります。2021年に全面改訂された三省堂国語辞典に「人財」という言葉が収録され、話題となりました。

「財」という字には宝、値打ちのある物、金銭といった意味があるため、人財は企業が従業員を宝だと考えているという思いが込められた言葉だといえます。

人財を英語でいうと「human capital」となります。育成のための投資を行って価値を高めていく「人的資本」という意味合いがあるため、従業員の育成にコストをかけて成長を促している企業は、そうした意味を込めて人財という言葉を使用することがあります。

ただし、「人財」は当て字であり、本来の書き方は「人材」です。人材という言葉を使っていても実際の従業員への思いや理念は「人財」という言葉に近い場合もあり、使い分けは企業ごとの判断によるのが実情です。

また、従業員を大切にするという思いから「人財」という表記を使用することで、従業員のモチベーションアップなどが期待できる一方、実態が伴っていないと不信感をもたれかねません。使用する際は注意が必要でしょう。

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その他の「ジンザイ」

ジンザイには4つの表記があり、「人材」「人財」のほか、「人罪」「人在」という言葉も使用されることがあります。

人罪には罪という漢字が用いられており、企業にとって不要な人員のことを表します。過去の実績がない、現在も目立った活躍をしていない、将来的な成長も見込めないといった人に使用されます。

「人在」という言葉は、将来性がない人のことを表現しています。過去に実績を残していたが、今は在(あ)るだけで、今後の利益に結び付くことが期待できない状態です。4つのジンザイの意味をまとめると、下図のとおりになります。

4つのジンザイ

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自社に必要な人材を定義する方法

自社に必要な人材を定義する方法

企業において必要な人材は、どのような考えに基づいて定義すればよいのでしょうか。ここでは主な方法を2つ解説します。

人材ポートフォリオを活用する

ポートフォリオはもともと「お札を入れる財布」という意味のイタリア語が語源です。現在はさまざまな意味で使われていて、たとえばカメラマンやイラストレーターは自分が制作してきた作品集という意味で使い、投資家は保有している金融商品の構成という意味で使っています。

人事の世界で用いられる人材ポートフォリオは、組織に必要となる人のタイプ・レベルとその構成比を表すものです。人材ポートフォリオによって、企業は組織を構成する人材についての方針を規定します。作成することで、人材配置の最適化、キャリア形成のサポート、人材の過不足の把握ができるとして、近年注目を集めています。

人材ポートフォリオは会社の状況、企業風土、事業モデルなどに応じて策定していきます。具体的には「社内のどこに」「どんな人材を」「どのくらいの人数」配置すればよいかを分析、設計します。

2つの軸を用意してセグメント分けを行うのですが、軸を何にするかが重要です。下記は普遍性の高い「チーム↔個人」と「新しい価値↔既存の手法」の軸を用いた人材ポートフォリオのイメージ図です。軸を決めたら、セグメントごとの構成比を決めます。

人材ポートフォリオのイメージ図

参考: 曽和利光著『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』p.24, 図1-6, ソシム刊

個人プレーがあまりない会社の場合は、「チーム↔個人」の軸の代わりに「短期↔長期」や「コミュニケーション↔論理的思考」など、自社の事業戦略に沿った独自の軸を設定するとよいでしょう。

人材ポートフォリオは一度策定すれば永年活用できるものではありません。組織の成長段階によって、事業戦略は変わります。そうすると連動して人事戦略も変わるため、人材ポートフォリオは見直しが必要になります。

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人材フロー戦略を策定する

人材フローとは、組織における人の流れを表したものです。新しい人員をどの段階からどの程度採用し、どの段階でどのようにして出す(退職させる)かをパーセンテージで示し、表すのが人材フローです。

人材フロー戦略を策定するには、まず自社では人材ポートフォリオの各セグメントにどのくらいの人材が在籍しているのかを概算し、現状を把握します。そこで理想の構成比率とのギャップを認識したうえで、ギャップを埋めるための施策として人材フロー戦略を考えていきます。

人材フローを検討する際は、採用比率、外部流動性、内部流動性の考え方を決めていきます。

採用比率は新卒と中途採用や、正規社員と非正規社員の割合。外部流動性は外資系のように「Up or Out」(昇進するか、退職するか)的な入れ替わりの激しい組織をよしとするか、従来の日本企業のように長く所属し続けるような組織をよしとするかの違いです。

内部流動性は、一人の人材を同一部署や同じ職種内で異動・昇進させるか、部署や組織をまたぐ横移動の配置転換をするかの違いです。昇格率についても、ここで検討します。

その後、新卒採用や中途採用の目標値を設定すれば、具体的な採用の目標数や採用したい人物像が自動的に浮かび上がってきます。

下記は人材フローの考え方を図式化したものです。企業によって、それぞれの矢印のなかに入るパーセンテージは異なってきます。

人材ポートフォリオのイメージ図

参考:曽和利光著『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』p.27, 図1-10, ソシム刊

人材ポートフォリオ、人材フローを策定することで、自社に必要な人材を明確に定義でき、その後の人材戦略も効果的に行えます。


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人材はどのように採用すべきか?

人材の育て方

企業の人材戦略において柱を担うのが「採用」「育成」「定着」です。ここでは、人材の採用について取り上げ、採用活動を行う際に決めておきたい採用ポートフォリオについても解説します。

採用を最も重視すべき理由

人材戦略においては、採用が最も重視すべき項目です。優秀な人材を採用できれば、能力を発揮できる適切な配置を行うだけで成果を上げてくれる可能性が高まるでしょう。そのような人材が持つ特徴には、以下のようなものが挙げられます。

  • 自分のスキルを磨いている
  • 自分の役割を理解している
  • 会社に利益をもたらす仕事ができる
  • 部下の育成ができる
  • 5年、10年先を見据えて仕事ができる
  • 円滑な人間関係を築ける
  • 企業ブランドに依存しない
  • 明確な目標を持っている
  • 謙虚で誠実である
  • 前向きな思考を持っている
  • ストレス耐性が高い

一方、優秀な人材を採用できなかった場合は配置や育成に苦労し、思うように成果が上がらない可能性もあります。優秀な人材を採用することが事業戦略を実現するために一番効率がよく、かつ実現可能性を高められる方法のため、採用は人材戦略のなかでも重要なウエートを占めています。

採用ポートフォリオを作る

採用活動を行う際は、どのような人をどのくらい採用するのかを決めた採用ポートフォリオを作るとよいでしょう。人材ポートフォリオと人材フローをもとにして、必要な人材を定義し、合致する条件をどの程度採用するかを表したものが採用ポートフォリオです。

採用ポートフォリオを作る際は退職者もセットで考えておくことが重要です。人材ポートフォリオを実現しそのバランスを維持するためには、退職する人も考慮する必要があるからです。

作成した採用ポートフォリオをもとに採用計画を策定し、一連の流れを可視化した採用フローも作るとよいでしょう。各工程における歩留まりを把握することで、次回以降の採用活動の問題点も明らかになる可能性が上がります。

一般的な採用フローと歩留まりのイメージを示したものは、下図のとおりになります。

一般的な採用フロー
採用フローを作成し歩留まり率を明確にする
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最適な採用手法を選定する

求める人材からの応募を集めるためには、自社に適した採用手法を選定する必要があります。

人材不足などを理由に、求職者に有利な売り手市場が続いています。企業間の人材採用競争も激しさを増し、採用手法も多様化しています。下図は代表的な採用手法13種類について、それぞれの特徴を表したものです。

代表的な13の採用手法

企業側が「欲しい」人材を採用するために、企業自身が採れる手段を主体的に考え、能動的に実行する採用活動を指す「ダイレクトリクルーティング」のほか、自社の魅力を自由に発信する採用オウンドメディアを活用する企業も増えています。

採用スピードを重視したい場合は人材紹介会社を利用するのも有効でしょう。自社の採用計画に基づき、コストやスピード、母集団形成など重視する項目を把握したうえで、採用手法を選ぶことが大切です。

また、複数の採用手法は一つにこだわる必要はなく、組み合わせることで効果を発揮するケースもあります。

たとえば、母集団形成に有効な求人サイトに求人広告を掲載しつつ、オウンドメディアでじっくり、自社についての魅力的な情報を発信します。求人サイトの興味を抱いた人材がオウンドメディアを訪問し自社についてより深く知ることで、応募につながる可能性が高まるでしょう。

自社に合った中途採用手法についてはこちらの資料でも詳しく解説しております

人材はどのように育成すべきか?

人材の育成

企業の人材戦略においては、採用だけでなく育成もまた重要であることに変わりはありません。人材育成の主な方法とフレームワークとともに、育成のなかで重視すべき項目の一つである配置について解説します。

人材育成の主な方法

従業員を企業の成長に貢献できる人材へと成長させる人材育成。

主な方法には、OJT(On the Job Training)やOff-JT(Off the Job Training)をはじめとした研修のほか、従業員の教育のために戦略的に人事異動や配置転換を行うジョブローテーション制度、知識・経験の豊富な先輩自従業員が、経験の浅い従業員をサポートするメンター制度などもあります。

人材育成の主な手法

企業として人材を成長させるためには、上図のような機会を設けて、実践する機会を与えることも大切となります。学んだことを生かせる機会を与えることで、従業員自身も成長したと実感し、さらなる飛躍も期待できるでしょう。

人材育成のフレームワーク

人材育成に使われるフレームワークに、「ギャップ分析」「721の原則」があります。

理想の状態と現状を比較し、そのギャップを埋めるためには必要なことを洗い出すのがギャップ分析。下記のようなステップで行うのが一般的です。

  1. 理想を言語化する
  2. 現状を整理し、言語化する
  3. 理想と現状の差を書き出す
  4. 差を埋めるための解決策、優先順位を考える
  5. タスクに落とし込みスケジューリングする

「721の原則」とは、仕事で人が成長するためには、7割が実務経験、2割が上司からのアドバイスやフィードバック、1割が研修などのトレーニングから学ぶのがベストであるという考え方です。

実務経験と上司からのアドバイスはOJTで得られるでしょう。研修はeラーニング、Off-JTなどで学ぶ機会を設けます。組織に必要な人材を効率的に育成するために、これらのフレームワークを取り入れることも有効です。

人材配置を重視すべき理由

人材育成のなか重視すべきことに、配置が挙げられます。

短期的には配置転換をせず現状を維持することが最も成果を上げやすいため、現場は配置転換を嫌がります。しかし、配置転換によって人は新しい環境に適応し、新しい能力や考え方を身につけられるため、中長期的には配置転換を行い、内部の流動性を高めることが組織全体の成長につながります

そうした人材が増えると従業員が成長し、ひいては組織全体の成長につながります。また、それまで成果を上げられなかった人が、配置転換により新たな適性を発見し、活躍することもあります。

たとえ現場から反対の声が上がったとしても、中長期的な視点で配置転換を提言することが人事担当者の役割といえるでしょう。

一般的に、配置転換をする際は個人の能力や志向、職務の適性が重視されますが、これらに加えて配属先の構成員やチームとの相性も大切な要素です。

転職理由のアンケートを採ると、人間関係が挙げられることがよくあります。多くの日本人は「何をするか」よりも「誰と働くか」を重視しているのです。そのため、上司や同僚との相性を第一に考えて配置をすることが重要といえます。


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人材の定着率を高めるには?

人材の定着率を高めるには

採用・育成した人材が離職してしまえば、人材戦略が成功したとはいえません。ここで大切となるのが、定着のフェーズです。以下に採用した人材がどの程度定着しているかを示す「定着率」を上げる方法を3つ紹介します。

働き方・労働環境の見直し

働き方改革の推進に取り組む企業が増加し、「仕事と生活の調和」を意味するワークライフバランスが注目されています。テレワーク、時短勤務制度やフレックスタイム制などを導入し、多様な働き方を示すほか、残業や休日出勤を減らすなど、労働環境を整えることで定着率の向上が見込めます。

一方、それらに対応したルール作りが十分でない場合、魅力的な企業に映りづらく、離職につながるケースもあるでしょう。従業員がどのような環境なら働きやすいかを考え、時代に合った制度を導入することが大切です。

適切な人事評価制度の導入

仕事で上げた成果に対して正しい評価がなされなければ、従業員のモチベーションが下がり、離職につながることもあります。

それを防ぐためには適切な人事評価制度を設定し、公正な評価をすることが重要です。人事評価制度を導入する際は評価項目と評価基準を明確にして、従業員に納得感を持ってもらいましょう。

近年では、従業員の情報を一元管理し、人事評価を効率的かつ公正に行える人事評価システムを導入する企業も増えています。客観的な評価が可能となることで、従業員満足度の向上が見込め、定着率も上昇するでしょう。

キャリア支援

従業員のキャリアを支えていくことも、定着率を向上させるうえで大切なことです。希望していた業務ができていない、このままでは自分の将来が描けないというケースでは、従業員が「この会社にいてもよいのか」と感じ、離職を考えてしまうことがあります。

一方、中長期的なキャリアを描けている場合、「将来のために役立つ」など、置かれている状況をポジティブに考えられます。キャリアを支援することで従業員のモチベーションを保つことが重要です。

具体的には、1on1ミーティングを行いキャリアに関する相談に乗る、キャリア形成をサポートする研修を設けるという施策が考えられるでしょう。キャリアアップを達成するためへの道のりを示したキャリアパスを提示することも、定着向上につながります。

まとめ

人材は組織の資本

人材を組織の活動の資本と考えるならば、人材のポートフォリオやそのフローを策定することは必須です。それをもとに必要な人材の採用を行い、時間とコストをかけて成長や定着を促していきましょう。

人材を大切にして、従業員とともに成長していける企業を目指していくために、自社の人材要件を改めて定義してみてはいかがでしょうか。

参考:曽和利光著『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』ソシム刊

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