新任管理職が陥りがちな失敗とは? 着任1年目の教科書

新任管理職が陥りがちな失敗とは? 着任1年目に身に付けたい基礎知識やスキル

管理職に昇進したのに、急なプレッシャーから気が重くなる、部下とどう接したらいいかわからない──。そんな経験をしている新任管理職も少なくないようです。

そのような新任管理職が目の前に立ちはだかる壁を乗り越えるために、特に着任1年目では、管理職に必要な基礎知識やスキルを身に付けていく必要があります。新任管理職が陥りがちな失敗、また失敗を起こさないための心構えなどを紹介していきます。


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▼管理職のマネジメント手法については、こちらの記事もご覧ください▼

新任管理職が1年目で学ぶべき知識やスキル

管理職1年目は、壁にぶつかりながらも、マネジメントに必要な知識・スキルを身に付けていく時期です。ここではその代表的なものを紹介します。

組織マネジメント

管理職の重要な役割の一つに、組織マネジメントが挙げられます。組織マネジメントを簡単に説明すると、人材を適材適所で動かして自社の経営を行っていく経営戦略、またはその能力のことです。具体的にいうと、自社の経営方針のもと、組織に必要な目標を設定したり目標を達成するための計画を策定したりして、その計画の遂行や見直しなどをしていきます。もちろん、業務を遂行するうえで問題が起こった場合には、迅速に物事を判断することも重要です。

人材を適材適所で動かし、問題を解決しながら目標を達成していく戦略的な能力が管理職には求められます。 組織マネジメントは、多様化する社会に対応するうえで必要なスキルといえるでしょう。国籍や人種、性別、さらには非正規社員や業務委託など契約形態を問わず、さまざまな人材を適材適所で動かすことで、社会の変化に柔軟に対応できるのです。

人材育成の方法

コーチングスキルをはじめ、管理職は部下を育成するために必要な知識やスキルを身に付ける必要があります。人材育成の方法を確立することで、仕事を通して部下が成長を実感できる機会を提供できるでしょう。また、労働環境が変化するなかで、ワークライフバランスを重視する人も増えています。さまざまな価値観を持つ部下に対し、仕事を通して満足感を得られるような組織・職場づくりをする必要性があるのです。

また、自発的に行動できるように部下を育成していくことで、事業の目標が達成できるだけでなく、組織内でのコミュニケーションが円滑になることも期待できます。さらには、組織全体の底力が向上することで、さらに高い目標を設定することも可能になります。人材育成の方法を学ぶことは、個人と組織の双方にとってメリットといえるでしょう。

人事評価

人材育成の次は、部下一人一人の仕事を適切に評価することも管理職に求められます。人事評価は、それぞれの報酬や昇進などに影響するため、部下のモチベーションに大きな影響を与えます。 部下を評価する際の対象は、業績だけではありません。担当業務への意欲や責任感、新たな仕事に直面したときの取り組む姿勢、組織に協力する姿勢なども評価対象に取り入れるケースもあります。数値化された結果だけではなく、プロセスにも注目すると、目的達成に向けてすべき行動が明確になり、部下の自発的な行動につながります。

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管理職1年目で陥りがちな失敗と解決方法

次に、新任管理職が1年目に陥りがちな失敗例を挙げます。また、管理職としてどのような心構えで取り組めばそのような失敗を回避できるかも紹介します。

目標を達成できない部下を一方的に叱る

設定した目標を達成することは、事業を運営していくうえで必要不可欠なことです。しかし、必ずしも誰もがみな掲げた目標を達成できるとは限りません。社員の業務態度などにもよりますが、達成できなかったからといってその社員を一方的に叱ることが当然のこととはいえないのです。また、最近では、叱り方によっては「パワハラ」と受け止められ、叱られた側よりも、叱った側のほうが問題視されるケースもあります。

次に、叱る際のポイントについて、説明します。 叱ることも時には必要なことですが、叱るうえではいくつかの点に注意しなければなりません。まず、前提として相手の人格を否定してはいけません。相手の言い分をしっかりと聞き、感情的にならずに的確に改善点を述べることが大切です。

また「他者と比較して叱る」ようなこともしてはいけません。これも「〇〇さんはできているのに、あなたはできていない」という人格の否定につながるからです。話題を広げずに、一つ一つの問題に対して丁寧に向き合い、その解決方法を相手の意思を尊重しながらともに考えることが、信頼関係を築くうえでも重要なことです。

部下に仕事を任せられない

仕事を誰かに頼むことは、説明やそのための資料づくりなどを行う必要もあり、案外手間のかかるものです。いざ管理職になって部下ができても、その準備の時間をつくることが難しい場合に、自分で仕事を進めてしまうこともあるでしょう。また、「まだ任せられるだけの能力が部下にない」と考えてしまい、人に任せるということを決断できない新任管理職の方もいるようです。

反対に、部下が優秀であれば「自分より良い結果を部下が出す」ことへの不安や、仕事を部下に振ることで「部下から嫌われるのではないか」などの懸念から、任せられないケースもあります。 しかし、部下に仕事を任せることは、人材育成や業務を効率的に進めるうえで非常に重要です。期限を設けたり、優先順位をつけたり、中間報告のタイミングをつくることで、円滑なコミュニケーションを取りながら、仕事を任せてみましょう。

部下に自分の考えを押し付ける

管理職となり一定の権限を持つと、それを「自分の能力」だと勘違いし、つい「自分の意見、やり方が正しい」と思い込んで部下と接してしまう人がいます。「部下のために」と思って一方的に自分の経験ややり方を伝えても、相手が求めていないアドバイスの場合、部下に迷惑だと思われてしまうこともありえなくはありません。

また、「部下は、上司が言った通りにすればいい」というスタンスで自分の考えを押し付けてしまうと、部下が「自分で考える機会」を奪うことにもなってしまいます。仕事の仕方や得意・不得意は人それぞれであることを理解したうえで、部下の考えを引き出すことも大切です。

上層部の指示を伝えるだけの「伝書鳩」になる

管理職として上層部の指示を部下に伝えなくてはならない状況は多々あるでしょう。しかし、ただ上層部から言われたことをそのまま部下に伝達するのは、言葉の通り「伝書鳩」です。経営方針や経営者の意向をしっかりと理解したうえで、部下が納得する言葉に置き換え、何のためにやるのか、そのためには何をすればいいのか具体的な説明を伝えるようにしましょう。「伝書鳩」ではなく「翻訳家」となり、上層部や会社の意向を伝えることは、部下からの信頼を得ることにもつながります。

失敗を部下の責任にする

「指示は出すが、失敗したらその結果は部下の責任にする」ような上司は、当然部下から信頼されません。その結果、組織のチームワークが崩れ、離職につながったり、業績に影響したりすることも危惧されます。たとえ当初期待していた通りの結果とならなかった場合でも、自分の部下の行動や結果に対し、管理職の立場として責任を持つことが大切です。部下を育て、組織を引っ張るリーダーとしての役割や責任を意識しましょう。


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着任1年目の管理職が押さえておきたいポイント

部下と向き合い、組織をまとめるために、管理職1年目は特にどのようなことを押さえたらよいか、そのポイントを紹介します。

部下一人一人のことをよく知る

組織全体のメンバーをよく知っておくことは、適材適所で人材を振り分けるうえで非常に大切です。人には得手・不得手があるので、できないことを非難したり、できる人に何でも任せたりするのではなく、管理職はそれぞれが得意とする能力を発揮する場を提供するできるように取り組みましょう。適材適所のアサインは、業務配分に公平さをもたらし、社員のモチベーション低下を防ぎます。

自分の言動に責任を持つ

自分の発言や仕事に取り組む姿勢が、部下に大きな影響を与えているという意識を持つことが大切です。部下に指示したことや承認したことなどには、責任を持つようにしましょう。思いつきの発言や一貫性のない言動は、周囲に混乱を招くだけでなく、部下からの信頼度を下げてしまうことでしょう。プレッシャーを感じすぎる必要はありませんが、発言したことは自ら行動で示し、言動を一致させることが信頼向上につながるのです。

成果だけでなくプロセスにも注目する

成果を出すことが強く求められる業界では、成果のみを評価対象とすることもあり得るでしょう。しかし、業務の成果のみを評価対象にしていては、一部の部下のモチベーション低下にもつながってしまう可能性があります。成果だけではなく、成果を生み出すためにした行動、つまりプロセスにも注目し、評価することが大切です。

成果を出すために評価を行い、評価をもとに育成し、さらに次の成果につなげていく。これが、評価制度の目的です。成果を出すため、自分には何が必要なのかを一人一人が考え、プロセスを改善することは、問題を発見する力や解決する力を養うことにもつながるでしょう。

サブリーダーを育てる

どんなに優秀な人でも、一人でできる仕事には限りがあります。自分一人で全てを抱え込まず、管理職を補佐する役割を担う「サブリーダー」を育てて、自分一人では抱えきれない部分を補完してもらうのもよいでしょう。 また、サブリーダーを置くメリットは、管理職がある部下(メンバー)を叱責した後に、サブリーダーがメンバーのフォローをしてモチベーションの維持を図るなど、役割分担ができるようになることです。

さらに、サブリーダーに権限を委譲し仕事を任せることで、サブリーダーの責任感や使命感の向上につながり、次期管理職候補が育つのです 自分が部下を見ている何倍もの関心を持って、部下は上司を見ています。部下の意見に耳を傾け、時には力を借りながら信頼関係をつくり上げることが、新任管理職に求められることです。


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著者プロフィールBizReach withHR編集部

先進企業の人事担当者へのインタビューや登壇イベントなどを中心に執筆。企業成長に役立つ「先進企業の人事・採用関連の事例」や、 事業を加速させる「採用などの現場ですぐに活用できる具体策」など、価値ある多様なコンテンツをお届けしていきます。