限られた時間で候補者の人柄やスキル、実績を理解し、採用可否を決めるためには、ときに難しい判断が求められます。とくに、マネジメントポジションの即戦力採用などでは、一人の採用が会社全体に及ぼす影響は大きいでしょう。慎重に見極めたい一方、スピード感を持って決断しなければ他社への入社が決まってしまうリスクがあります。
そんな重大な決断を迫られる中途採用において、判断材料の一つとして注目されているリファレンスチェックです。
今回は、リファレンスチェックのメリットや進め方、質問例を解説するほか、導入企業へのインタビューを紹介します。
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リファレンスチェックとは

リファレンスチェック(Reference Check)とは、直訳すると「身元照会」を意味します。中途採用において、候補者の実績や人物像などを、前職や現職で一緒に働いている第三者(上司や先輩、同僚)に確認する手法を指します。
外資系企業では一般的に行われており、とくに経営陣や役員クラスなどの重要なポジションの採用において重要視される手法です。近年、日本でも導入する企業が増え、リファレンスチェックサービスを提供するIT企業もあります。
実施のタイミングは、選考の初期段階、最終面接前、内定前後と、企業によってさまざまですが、多くは内定を出す前の最終確認として行われます。
コロナ禍の影響によって採用活動のオンライン化が進むなか、人物像の見極めがより難しくなったとの声もあります。採用可否を決める情報収集の一環として、今後リファレンスチェックはますます注目されていくでしょう。

リファレンスチェックの目的
企業がリファレンスチェックを実施する目的は主に3つあります。
- ミスマッチを防ぐ
- 選考過程で分からなかった点を確認する
- 候補者と信頼関係を構築する
採用におけるミスマッチとは、企業が人材に求めていることと、人材が企業に求めていることとの間にギャップが生じている状態です。早期離職やモチベーションの低下につながる恐れがあるミスマッチを防ぐために、リファレンスチェックが活用されます。
企業は、候補者が所有するスキルや職務遂行能力、人柄などについてリファレンスチェックを通して客観的な視点から把握できます。その結果、自社にマッチする人材かどうかを判断しやすくなります。
選考過程で得られる候補者の情報では、採用の可否を決めるのに不十分というケースもあるでしょう。時間が限られている面接のなかで、確認すべきことを聞けなかったということも考えられます。こうした不足情報を補う目的でも、リファレンスチェックが用いられます。
また、リファレンスチェックを行うことで、経歴やスキルなどの情報に偽りがないことを裏付けられるため、企業は候補者に対して信頼感を持てます。一方、候補者も自らの申告内容にうそがないことを分かってもらえ、信頼関係を構築しやくなります。良好な関係を築けることから、入社後もスムーズに仕事に取り組んでもらえる可能性が高まるでしょう。
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リファレンスチェックの方法
リファレンスチェックを行う方法は大きく2つに分けられます。候補者がリファレンス先を紹介する方法と、企業がリファレンス先を探すパターン。いずれにおいても候補者の許可なく実施することはできないので、注意が必要です。
前者の場合、企業がリファレンス先を紹介してもらうよう候補者に求め、推薦された人物に企業が問合せを行い、リファレンスチェックを実施します。上司や同僚など、2名ほどを推薦してもらうことが多いです。候補者に対する質問をチェックシートにまとめて送付する、電話や面談を通して質問に回答してもらうケースもあります。
企業がリファレンス先を探す際は、候補者の許可を得たうえで、リファレンスチェックサービスを提供する企業や調査会社、転職エージェントに依頼するのが一般的です。
依頼する際は、リファレンスチェックにかかる工数を削減できるメリットがある一方、費用がかかることも把握しておきましょう。依頼先や調査内容によってさまざまですが、1回あたりの費用相場は1万円~3万円となっています。
前職調査との違い
リファレンスチェックと混合されやすい言葉に「前職調査」があります。この2つは、候補者を客観的に確認するという点は共通していますが、調べる内容に違いがあります。
リファレンスチェックは候補者のスキルや人柄、仕事への姿勢を中心に確認し、企業との相性を判断する一方、前職調査は経歴や身辺に関する調査が主となります。前職調査では、履歴書や職務経歴書、面接において申告された学歴・職歴に偽りがないか、金銭問題などのトラブルを抱えていないかなどを確認します。
現在は個人情報保護法が厳格化されたことにより、前職調査によって個人情報を入手することが難しくなったため、実施する企業は少なくなっているのが現状です。
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リファレンスチェックのメリット

面談、面接に加えてリファレンスチェックを行うメリットとは何でしょうか。3つの点から考えていきます。
候補者の人柄や勤務姿勢などを客観的に評価できる
応募書類や面接時の受け答えは本人の主観によるものです。企業に選んでもらうという立場上、候補者は誇張した表現をするなど、自らをよく見せようとするケースもあります。一方、リファレンスチェックでは、本人の働き方や強みや弱み、仕事に対する意欲などの評価を客観的に知ることができます。
同じ職場での仕事ぶりを間近で見ていた人からの評価は、採用担当者が判断するうえで貴重な材料となります。ミスマッチを防ぐ意味でも、客観的な評価は大切といえるでしょう。
選考スクリーニングの効率化
一つのポジションに対して似た経験、スキルセットを持つ候補者が複数いた場合など、採用判断を補強する情報としてリファレンスチェックは有効です。
経歴に問題がなかったとしても、リファレンスチェックにより本人の業務上の懸念や退職に至った経緯などに課題が見えてくれば、選考スクリーニングの一つの材料になります。これによって採用後のミスマッチの防止にもつなげられます。
候補者を自社に引きつける参考情報の収集
リファレンスチェックには、候補者に自社の魅力を伝える際のヒントがたくさん詰まっています。候補者がどのような業務にモチベーションを感じパフォーマンスを発揮するのか、どのような価値観でマネジメントをしているのかなど、人柄をより理解することで、自社の何を伝えるべきかが見えてきます。
候補者が求める働き方を自社は提供できるのか、どのようなポジションで何を任せたいのかを見極め、自社に引きつけるうえでも有効な情報になるでしょう。

リファレンスチェックの進め方

企業によってリファレンスチェックの進め方はさまざまですが、ここでは一般的な実施プロセスを紹介します。候補者にリファレンス先を紹介してもらうパターンについて、ステップごとに解説します。

候補者への説明・承諾
まずは、企業の採用担当者が候補者にリファレンスチェックに関する説明をして、承諾を得る必要があります。
実施の趣旨や具体的な方法を伝え、候補者の理解を得ます。その後、候補者からリファレンス回答者の推薦を受け、連絡先を教えてもらいます。
連絡・日程調整
リファレンス先に連絡し、リファレンスチェック実施の日程を調整します。
電話、オンライン、直接会う面談形式など、ヒアリング方法を相談するとともに、おおまかにどのような質問をするのかも伝えておくと、スムーズに実施できるでしょう。
質問内容の選定
日程が決まったら、実施日までに具体的な質問内容を決めます。
仕事の実績・スキル、人柄など、知りたい情報は候補者によってさまざまです。また、紹介されたリファレンス先は、上司、同僚、部下と、立場が異なる場合もあります。
同じ質問を用意するのではなく、それぞれに合わせた質問を設定することが大切です。
実施・関係者への共有
調整した日時に、リファレンスチェックを実施します。
用意した質問について、時間内ですべて回答を得られないケースも考えられます。大切なことを聞き漏らさないよう、質問内容に関して優先順位を設けておくとよいでしょう。
リファレンスチェックの結果はレポートにまとめておきます。質問・回答内容、担当者の総評などを選考にかかわるメンバーに共有し、採用判断に役立てます。
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リファレンスチェックの質問例

リファレンスチェックを行う際の質問は候補者によって異なるため、さまざまですが、「勤務関連」「人物像」「スキル」の項目を尋ねるのが一般的です。
まずは基本的な事実確認を行い、勤務の実態を聞きます。業務においていかに高い成果を上げていても、勤勉でないと周囲から信頼されないでしょう。「勤務関連」についての質問は、以下のようなものが考えられます。
■勤務関連の質問例
- 勤務期間や役職を教えてください
- 遅刻や欠席など、勤怠が乱れることはありましたか?
- 周囲への連絡や報告を怠ることはなかったですか?
- 納期や締切りをしっかり守っていましたか?
- 前職の退職理由について間違いはありませんか?
続いては、採用のミスマッチを防ぐうえでも重要な人物像の把握です。リーダーシップはあるのか、自ら考えて行動するタイプなのかを聞き人物像を深掘りしていくことで、社風に合っているか確認できます。
■人物像の質問例
- 周囲とのコミュニケーションは良好でしたか?
- リーダーシップを発揮した機会があれば教えてください
- 仕事を進めるうえでチームと個人、どちらが向いていると感じますか?
- 主体的に動く、指示を受けて取り組む、どちらのタイプでしたか?
- また一緒に働きたいと思いますか?
中途採用者が入社後、早期に活躍してもらうためには、所有スキルや実績をしっかり把握しておく必要があります。以下のような質問をするとよいでしょう。
■スキルの質問例
- 使用していたビジネスツールを十分に使いこなしていましたか?
- 資格を取得するなど、スキルアップに対して積極的でしたか?
- 問題解決能力はありましたか?
- トラブルが発生した際の対応力はありましたか?
- 最も評価している実績を教えてください
いずれの項目においても、自社が求める人物像に合致しているかが重要となります。質問を決める前に、求める人物像を具体的に示した採用ペルソナを設定しておくのも有効です。
リファレンスチェックの注意点

リファレンスチェックを行う際、企業の担当者が注意しておかなければいけないがあります。ここでは、注意すべきポイント3つについて解説します。
候補者の同意を得る
リファレンスチェックを行う際に最も重要なのは、候補者本人の合意なく行うことは違法となる点です。
「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)において、本人の同意なしに第三者が個人情報を提供することは禁止されています。リファレンス先の個人情報も、本人の同意なしで教えてもらうことができません。
利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去することや、漏えいや滅失することがないよう、安全管理のために必要な措置を講じる必要もあります。
また、リファレンスチェック実施に際して、候補者の同意が得られないケースも想定しておくべきでしょう。リファレンスチェックの実施により、転職活動が現在の職場にバレてしまうのではないかと考える候補者もいます。
実施が難しい場合、以前候補者と一緒に働いていた人にリファレンスチェックを依頼して現在の職場に分からないような配慮をする、実際の業務を経験してもらう「ワークサンプル」を活用して候補者を評価するなど、柔軟な対応が求められます。
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内定取り消しは難しい
内定とは、採用プロセスを経て候補者と企業が雇用条件などに合意し、労働契約が締結された状態。労働契約法第6条に定められている「労働契約の成立」に該当します。
企業の都合による内定取り消しは契約の一方的破棄にあたるため、内定後のリファレンスチェックを理由に取り消しが認められるケースは極めて限定的です。経歴詐称などが発覚した場合、認められることもありますが、合理的な理由がないまま取り消した場合、訴訟問題に発展する可能性もあります。
トラブルを避けるためにもリファレンスチェックは、内定前に行う必要があるといえるでしょう。
聞いてはいけない質問事項
厚生労働省は、公正な採用活動を実現するために「採用選考時に配慮すべき事項」を掲げています。リファレンスチェックの際も同事項にもとづき、基本的人権や就職差別につながる質問は、避ける必要があります。
厚生労働省が掲げている「採用選考時に配慮すべき事項」の内容は以下の通りです。
■本人に責任のない事項の把握
- 本籍・出生地に関すること
- 家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
- 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
- 生活環境・家庭環境などに関すること
■本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握
- 宗教に関すること
- 支持政党に関すること
- 人生観、生活信条に関すること
- 尊敬する人物に関すること
- 思想に関すること
- 労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
- 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
これらの質問はリファレンスチェックの目的とは異なるため、基本的にしないことが想定されます。しかし、話の流れなどでうっかり聞いてしまうケースもないとはいえないため、担当者は各項目を把握し、質問することのないよう気を配りましょう。
【導入事例インタビュー】株式会社Holmes様

実際にリファレンスチェックを行っている企業では、リファレンスチェックによってどのような採用課題を解決して、どのような部分にメリットを感じているのでしょうか。
2019年からリファレンスチェックを導入している、株式会社Holmesで採用責任者を務める増井隆文様にお話を伺いました。

取材対象者プロフィール増井 隆文氏
株式会社Holmes 採用責任者
導入の経緯
──Holmes様は2019年ごろから、リファレンスチェックを導入していらっしゃいます。元々どのような採用課題があったのでしょうか?
採用のスクリーニングやエントリーマネジメントをどうするべきか、社内でよく議論していました。採用基準の設定や面接の想定問答マニュアル作成なども進めてきましたが、初めてお会いした候補者との1時間ほどの面接だけで、自社とマッチしているかを見極めるのは難しく、自信を持って内定を出すにあたり、実際の仕事ぶりを知りたいという気持ちがありました。
そもそも、相手の人柄などを知る方法として「共通の友人にどんな人物なのかを聞く」のは誰もがやることだと思います。同じ感覚で、気軽にリファレンスチェックができたらいいなと考えていました。
ちょうどそのタイミングで、「back check」というリファレンスチェックサービスがあると知り、これを導入しながらリファレンスチェックの設計をしました。それまでのリファレンスチェックといえば、調査会社に何十万円も支払って一人の身辺調査をするものが多く時間もかかる……というもので、スタートアップ企業であるわれわれには、導入できるものではありませんでした。
このサービスであれば、比較的安価かつ、1週間ほどでリファラー(推薦者)からの回答が戻ってくるスピード感だったことも導入した要因です。
進め方
──具体的にどのような方法でリファレンスチェックを進めていますか?
勤務態度や人柄に関する網羅的な質問例を参考に、そのうち重要だと思う20問を選定しチェックシートを作成。候補者を通じて、その方の元上司や元同僚の方などに質問項目をお送りし、回答していただきました。
例えば、「候補者の強み、弱みは何ですか?」など定性コメントを求める質問は候補者の人柄を示す材料となります。
それぞれの質問項目に対して、定量的な点数と、定性的なコメントの両方を回答していただいております。私はコメントの中身に加えて、コメントの量も見ていました。コメントの内容がマイナス評価でも、十分な量のコメントをもらえているということは、深い人間関係が築けている証拠とも捉えられます。
当社は最終面接前にリファレンスチェックを行っています。最終面接当日に面接者がその内容を確認しながら本人を評価できるよう、プラスアルファの補強材料として活用しています。
懸念事項
──導入するにあたり懸念などはありましたか?
候補者の中には、前職や現職に対して何らかの不満や不安を抱えている方もいらっしゃいます。過去の経歴を深追いされるのを嫌がる方は一定数いるかなと思っていました。
ですが、ふたを開けてみると、これまで9割以上の方には積極的にご協力いただいている状況です。これは、評価を担当するリファラーを自分で選べる仕組みになっているのが要因として大きいと思います。
──候補者がリファラーを選べると、ポジティブな内容が多くなると思いますが、評価を決める情報としての信頼性に懸念は出ませんか?
あまりないですね。それはリファレンスチェックが、合否に直接影響することがほとんどないからです。
元々リファレンスチェックの導入は、私たちが行った面接での評価がきちんと本質をとらえているのかを確認したい、という思いで始めました。実際に、面接で感じた強みや弱みの認識がリファレンスチェックの結果と共通していることは多く「やっぱりこの部分が強みなんだな」と確認ができます。
またポジティブなコメントが多い一方、厳しい意見を真摯に書いてくださる上司の方もいらっしゃいます。例えば、「頑固で自分の意見を押し通すことがあるので、少し軋轢あつれきを生むことがあります」などですね。
むしろこういったコメントは、自分の軸や意見を持って仕事ができる自立型の人材であることの裏返しですし、誠実な上司に恵まれ仕事をしていたんだと評価を上げるものになります。
こういった定性的なコメントが多いと、「転職していく候補者のためにこんなに一生懸命回答してくださるなんて…」と候補者の人望の厚さを感じます。内容もそうですが、答え方にも、候補者が培ってきた人間関係が垣間見られるので、とても興味深いです。
■回答コメントと評価のイメージ

具体的な事例
──リファレンスチェックによって自信を持って内定を出せたケースでどのようなコメントが得られたのか、具体的な事例があれば教えてください。
リファレンスチェックの価値は、履歴書・職務経歴書には表れない、生々しい実例ベースのエピソードがわかるところです。
例えば、仕事の実績を聞いたアンケートでは、「大きな商談コンペの際、プレゼン担当のメンバーが動きやすいよう、障害になるようなことを関係者との調整や他部署との連携を通じて事前に解消し、チームメンバーを支える立てる役割に徹した。結果、メンバーが高いパフォーマンスを発揮し大型コンペに勝つこと受注を獲得することができた」など、泥臭い仕事内容を詳細に記してくださった上司の方もいらっしゃいました。
プロジェクトの実績だけではなく、本人がどういう役割で、どのように周りに貢献したのかをファクトベースで書いてくださる。第三者ならではの視点です。
こうしたエピソードは、面接で本人に聞いても、自分では当たり前のことだと思っているのでアピールポイントとして出てこないことが往々にしてあります。自己評価と他己評価は違います。周りが評価しているポイントは実はこんなところだった、という発見があるのは面白いですね。
導入後の課題
──リファレンスチェックを導入後、課題に感じていることは何ですか?
採用の難しいところは、職場環境や人間関係が変わればパフォーマンスも変わるということです。リファレンスチェックで高い評価だった方でも、転職後の人間関係によってパフォーマンスを発揮できるまで時間がかかるケースはありますし、その逆も然り。リファレンスチェックはあくまでも参考材料の一つだと思います。
ようやく今、リファレンスチェックという、人柄やキャリアの「信頼残高」を確認するという考え方が広がっているという実感があります。転職が当たり前になるなか、履歴書や職務経歴書だけでは読み取れない、立体的な人材像を知るツールとして、リファレンスチェックは一つの選択肢になりうると思いますし、人を多角的に評価する手法や考え方は今後もっと成熟していくでしょう。
■履歴書・職務経歴書とリファレンスチェックの違い

今後の活用予定
──Holmes様は今後、リファレンスチェックをどのように活用していく予定でしょうか?
幹部クラスなど、経営上のインパクトが大きいポジションの採用においては、今後も必須だと思っています。 採用においてもっとも難しいのはアトラクト(魅力づけ)です。自社の魅力をどう本人に伝えるのかが最大の課題であり、コロナ禍の影響により対面採用が難しい今、アトラクトに頭を悩ませている企業は多いのではないかと思います。
リファレンスチェックは、本人の前職(現職)での活躍をもとにした素材であり、自社のどの素材をかけ合わせれば本人にとっていい環境を作れるのかを考えるヒントになります。本人の強みややりたいこと、パフォーマンスを発揮しやすい環境要因を理解したうえでアトラクトを考えられるのは、採用側にとって大きなメリットでしょう。
また、当社のようなスタートアップ企業では、志思いや理念に共鳴できるかが非常に重要です。リファレンスチェックは、その見極めのツールの一つになっていると思います。
ただ、採用において最も大事なのは「この人と一緒に働きたいと思うか」です。一緒に働いてよかったと思っている人にアンケートをとるのがリファレンスチェックなので、その意味でも、一緒に働いていた方からの評価や意見を伺うのは非常に重要なことだと思います。
まとめ
リファレンスチェックは見極めのツールとして、面接での評価のサポートとして用いることができるとわかりました。履歴書や職務経歴書を「自己評価」とすると、リファレンスチェックでは周りの方からの「他己評価」を確認でき、より多角的な視点で候補者を理解できます。
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