基幹職・即戦力人材の早期の採用を実現した、「仕組み化・標準化」とは

愛知県刈谷市に本社を置く、世界トップレベルのブレーキシステムサプライヤーである株式会社アドヴィックス。人材紹介会社経由での採用が主だった同社は、2021年7月にビズリーチを導入し、部門主体の採用を進めた結果、導入から1年ほどで9名の基幹職・即戦力人材の採用に成功しました。どのように部門を巻き込み、採用成功につなげていったのか。人事部の岡崎亜弥氏と工藤啓介氏にお話を伺いました。

岡崎亜弥氏

取材対象者プロフィール岡崎亜弥氏

株式会社アドヴィックス採用・育成グループキャリア採用担当

2018年に入社し、工場の生産管理業務に従事後、2019年より人事部へ異動。
有期雇用社員の管理を複数担当しながら、キャリア採用を担当し、効率的かつ実行力ある企画を推進。
工藤啓介氏

取材対象者プロフィール工藤啓介氏

株式会社アドヴィックス採用・育成グループ キャリア採用担当

2015年に新卒社員として入社し、人事部に配属。
6年間企業労務管理業務に従事後、現グループへ異動。新卒採用業務およびキャリア採用業務を担当。

企業認知度という課題解決に向け、良い人材に早期に出会える手法を模索

株式会社アドヴィックス採用・育成グループキャリア採用担当 岡崎亜弥氏

──はじめに、アドヴィックスの事業概要について教えてください。

岡崎:当社は、株式会社アイシン、株式会社デンソー、住友電気工業株式会社、トヨタ自動車株式会社の合弁会社として2001年に誕生しました。自動車用ブレーキシステムと、その電子制御システムを構成する部品の開発・生産・販売を一気通貫で手掛けています。日本で生産される自動車の2台に1台(国内1位)、世界で生産される自動車の10台に1台(世界3位)に、当社のブレーキシステムが搭載されています。

──2021年7月にビズリーチを導入し、ダイレクトリクルーティングに取り組み始めたとのことですが、その背景についてお聞かせください。

岡崎:当社では年間約70名を目標に、技術職が6割、事務系が3割、残り1割が工場の設備保全職などの技能系の中途採用を行っています。導入以前は人材紹介会社からの紹介を中心とした「待ちの採用」を行っており、潜在層にのみアプローチしていました。しかし今、自動車業界は自動運転化・EV(電気自動車)化などといったCASE(※)の実現に向けて、ブレーキ技術の重要性が高まっています。当社事業の規模拡大はもちろん、車両統合運動制御システムの旗振り役として新たな技術領域への拡充が求められており、これまでにない専門性を持った人材の採用が課題となっています。

※CASE:Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字を取ったもの

また、当社がある愛知県刈谷市には同業他社が多く、周囲のメガサプライヤーも採用競合ですが、知名度で劣る当社は、中部圏外にはほとんど知られていないというのが現状です。他社より先にいい人材を発掘でき、かつ面談を通してアドヴィックスを知っていただける手法を取り入れたい。その際、候補者に直接アプローチできるビズリーチは試す価値があると考え、導入を決めました。

──ビズリーチの導入と同時に部門主体の採用へ切り替えたとのことですが、社内の反応はいかがでしたか。

岡崎:どの部門も前向きに協力してくれました。その背景には人材獲得の難航を部門も共通認識として持っていたからです。

実際に「人材採用紹介からの紹介以外の手法にもチャレンジしていかないと、もはや見つけられないのでは」という声も現場から上がってきていました。ビズリーチなら、データベースを自分たちが見て、合う人材を自分たちで見つけにいけますので、「一緒に使ってみませんか」というアプローチで各部門に導入していきました。

詳細なマニュアルの作り込みなど、「仕組み化・標準化」が部門主体の採用を実現

──部門主体のダイレクトリクルーティングの初期導入を具体的にどのように進めていったのでしょうか。

岡崎:最初はスモールスタートで、いくつかの部の部長に相談・説明し、フロー構築を進めていきました。中部圏での対象人数が少ないソフトウエア開発経験者などのIT人材を求めている部門や管理職を採用している部門など、採用ニーズが高く、かつ採用難度が高いポジションを選定しました。

導入時に意識していたのは、採用の市場観を伝えることです。「今はこんな採用市況なので、自分たちで動かないと採用ができない」と話し、よりニーズに近い人にアプローチするための候補者検索のポイントなども、一緒に取り組みながら伝えていきました。

──ダイレクトリクルーティングを推進する際、重点的に行ったことはありましたか。

岡崎:人事・部門の双方で誰が採用担当になっても取り組みを維持できるように、「仕組み化・標準化」を意識して進めました。具体的には、カジュアルな面談(マッチング面談)・面接時に伺う内容のテンプレート化や、当社独自のビズリーチの操作マニュアルを作成し、担当が変わったとしても採用活動ができる状態を目指しました。

なかでも、自ら候補者を探すという新たな採用フローが出てきましたので、ビズリーチの操作マニュアル作成には注力して取り組みました。「ビズリーチ導入の背景・市場観の説明」から始まり、人事と部門の役割分担を明確にした「選考フローの一覧図」を入れ、その後は操作手順を解説しています。

当社では、採用の進捗管理をするために、スカウト送信や返信対応は人事で対応しています。そこで、人事に任せてほしいところと、部門で担当してほしいところを明記。部門が「自分たちはここをやればいいんだ」と分かるように工夫しました。

検索条件の工夫ポイントを入れたり、試験導入の部門から出ていた質問内容を「よくあるQ&A」としてまとめたりしたほか、「『本日のピックアップ候補者』の機能は候補者のレコメンド精度が高い」というフィードバックを参考に、積極的に活用するようおすすめしました。

工藤:岡崎が部門の部長一人一人と丁寧に接し、そこで市場観ややり方を伝えるなど、細かな積み重ねがスムーズな部門導入につながっていると思います。新たなシステムや仕組みを導入する際は、「自分たちは何をやればいいんですか」という問い合わせは多くなりがちです。しかし、マニュアル作成後、人事に直接問い合わせが来ることはありませんでしたね。

──採用プロセスにおける特徴は何かありますか。

岡崎:選考前に実施するマッチング面談は特徴的だと思っています。各求人を見てご応募いただいた候補者に対して、「本当にその職種に合っているのか」「候補者がやりたいことは何か」を確認し、部門のニーズとすり合わせをします。1次面接以降の辞退率の低下や、入社後のミスマッチの予防につながっています。

工藤:マッチング面談では、候補者の転職におけるこだわりや技術領域などを深掘りし、「どの部門なら最終面接の合格まで至るか」という目線で見ています。選考に進んでからズレがあれば、通過率が落ち、面接工数も増えてしまいます。仕事の魅力は人事では言い切れないところも多いので、人柄やスキルなどでどれくらいが合格レベルかをしっかり見極めるようにしています。

候補者の気持ちを変える、部門だからこそ伝えられることがある

株式会社アドヴィックス採用・育成グループ キャリア採用担当 工藤啓氏

──実際の採用の成果についてお聞かせください。

岡崎:導入からの約1年で、基幹職3名と即戦力人材6名のハイクラス人材が採用できました。基幹職採用では、もともとポジションがなかった部門に「こんな素晴らしい人材がいますよ」と相談して、採用に至りました。マネジメント人材を発掘できる手法ができたという社内認識が広がっています。

また、ビズリーチ導入当初はトライの位置づけからスタートしていました。しかし、数カ月で基幹職の2名採用が決まり、これなら継続できると判断し、次の契約時に上位プランに切り替えましたので、これからますます採用を強化していきたいです。

──部門主体での採用活動を通して社内の変化などは何かありましたか。

工藤:部門の採用への意識は大きく変わっています。以前は、「いい人が来て当たり前」「ピンポイントで応募が来るのが当たり前」というイメージがありました。そうしたなか、ダイレクトリクルーティングを通して採用活動を体験したことで、「なかなか採れないのなら、もう少し若手を採用して育成に力を入れよう」「部門内の異動も考えよう」など、さまざまな選択肢を現場が主体的に考えるきっかけになったかと思います。

岡崎:人事の部門の理解も進み、レベルアップできたことがあります。マッチング面談に人事と部門双方が入ることでコミュニケーションが増え、現場の課題や業務内容をよりリアルに知ることができました。以前は、人事が求人を見ながらイメージでお伝えしていることもありましたが、今は候補者に訴求できる材料が増えたと感じています。

──今後、採用活動においてさらに注力していきたいことや、すでに取り組み始めていることについてお聞かせください。

岡崎:「HRMOS採用」を導入しているので、入社後のタレントマネジメント、ローテーション、育成、評価などを、会社全体を巻き込んで進めていきたいです。技術職のメンバーは数字で説明されると納得度が高まるので、データを活用し、採用戦略につなげていきたいですね。

工藤:入社後の「育成」を含めた人材採用・活用を考えていきたいと考えています。せっかく入ったのに活躍できないという事態をなくすためにも、部門と連携していきたいと考えています。

──最後に、この記事を読んでいる方に向けて、部門主体による採用を推進する良さや、部門主体での採用を進めるにあたってのアドバイスなどをお聞かせください。

工藤:マッチング面談をしていると、部門のメンバーが話したときに候補者の表情が変わるのを肌で感じます。具体的な業務内容や範囲、部門特有の風土、キャリアの可能性など、現場だから語れる話に対して、候補者の表情が真剣になり、前のめりになっていくのを感じています。こうしたことからも部門主体の採用には意味があると実感していますので、実践してみることをおすすめしたいですね。

岡崎:今の採用市場観として、待つだけでは採れない時代になっています。当社のように全国的な認知度を向上させたいと思っている企業では、部門を巻き込んで、採用ブランド力を高めていく必要があるでしょう。その際、直接候補者にアプローチできるダイレクトリクルーティングは非常に有効だと思います。そして、そのダイレクトリクルーティングは人事だけでなく、部門と推進することでより良い採用が実現できることを実感していますので、「攻めの採用」を目指している方はぜひ挑戦していただければと思います。


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著者プロフィールBizReach withHR編集部

先進企業の人事担当者へのインタビューや登壇イベントなどを中心に執筆。企業成長に役立つ「先進企業の人事・採用関連の事例」や、 事業を加速させる「採用などの現場ですぐに活用できる具体策」など、価値ある多様なコンテンツをお届けしていきます。