近年、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の重要性が増しています。ただ、企業内でDXを推進していくためには、DXを担う人材が必要です。しかし、海外と比べて日本では、DX人材の不足が大きな課題となっています。
本記事では、そもそもDX人材とはどのような人材を指すのか、経済産業省による定義や、具体的な7つの職種とそれぞれの役割を紹介します。
また、DX人材は外部から採用するだけでなく、自社で人材を育成していくことも大切です。どのようなスキル・知識が必要なのか、採用・育成のポイントを、わかりやすく解説します。
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DX・DX人材とは

DX人材とは、DXを推進するために必要な人材のことですが、そもそも、DXとは一体何なのでしょうか。
経済産業省は、「デジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)」のなかで、DXを以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
引用元:デジタルガバナンス・コード2.0(旧DX推進ガイドライン)|経済産業省
少々難しく感じますが、わかりやすく説明すると「デジタル技術を活用してより良いものへと変革すること」という意味になります。
DX人材の定義
経済産業省は、「『DX推進指標』とそのガイダンス」のなかで、「DX人材」を以下のように定義しています。
「デジタル技術やデータ活用に精通した人材」
「事業部門等において、顧客や市場、業務内容に精通しつつ、データやデジタル技術を使って何ができるかを理解し、DXの実行を担う人材」
引用元: 「DX推進指標」とそのガイダンス|経済産業省
つまりDX人材とは、単純に「デジタルに強い人」を指すのではなく、デジタル技術を活用してDXをリードする人材のことを指すのです。
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DX人材が必要とされる背景

グローバル化の進展により企業間でも国際的な競争が激化していますが、日本の企業は世界に比べてDX化が遅れているといわれています。その遅れている大きな理由は「人材不足」です。
総務省の「令和3年版情報通信白書」によると、「デジタル・トランスフォーメーションにおける課題」として「人材不足」と回答した割合は、日本が53.1%、米国が27.2%、ドイツが31.7%となっており、日本においては特に人材不足が大きな課題となっていることがわかります。

また、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の「DX白書2021」によると、人事戦略上の変革を担う人材の「量」が不足していると感じている日本企業は76%(「大幅に不足している」と「やや不足している」の合計)、米国企業は43.1%となっています。同じく「質」が不足していると感じている日本企業は77.9%、米国企業は49.3%と、こちらも大きな差があり、日本は人材の「量」と「質」ともに不足していることがわかります。


政府は、これらの課題を解決して企業のDX推進を後押しするために、デジタル庁の創設やDX推進指標の策定、DX推進銘柄の選定など、さまざまな施策を進めています。
参考:令和3年版情報通信白書「デジタル・トランスフォーメーションにおける課題」|総務省、DX白書2021_第3部_デジタル時代の人材 |IPA(PDF)
企業は採用と育成の2つのアクションが必要
先ほど紹介した経済産業省の定義にもあるとおり、DX人材は「確保」だけでなく「育成」に取り組むことが重要です。
「確保」には、DX人材の採用のほかに社外との連携も含まれますが、その分コストが増えることや、人材やノウハウが定着しない可能性があるといった点が長期的に見るとデメリットといえます。
また、DX人材にはデジタル技術に関するスキルだけでなく、自社のビジネスや業務内容への理解も求められます。そのため、自社に合ったDX人材を社内で育成することが、DXの成功につながりやすいといえるでしょう。
DX人材が担う7つの職種

IPAは、DX人材が担う具体的な職種として、以下の7つを挙げています。
- プロダクトマネージャー
- ビジネスデザイナー
- テックリード
- データサイエンティスト
- 先端技術エンジニア
- UI/UXデザイナー
- エンジニア/プログラマ
1つずつ詳しく紹介します。
プロダクトマネージャー
プロダクトマネージャーは、DXやデジタルビジネスの実現を主導する人材です。チームを先導するリーダー的な役割を担います。業務にかかわるさまざまな職種をまとめなければならないので、後述するプロジェクトマネジメントスキルやUI/UXに関する知識など、幅広い能力が求められます。
IPAの調査では、ユーザー企業、IT企業いずれにおいても、7つの職種のなかで共通して重要度が高いのがプロダクトマネージャーという結果が出ています。
【プロダクトマネージャーに求められる能力】
- プロジェクトマネジメントスキル
- UI/UXに関する知識
- リーダー的な役割を担うため幅広い能力が求められる
ビジネスデザイナー
ビジネスデザイナーは、DXやマーケティングを含むデジタルビジネスの企画・立案・推進等をおこなう人材です。
ユーザーのニーズから新たなアイデアを生み出す企画力・構築力のほか、議論の場で多様な意見をまとめるファシリテーションスキルなどが求められます。
【ビジネスデザイナーに求められる能力】
- アイデアを生み出す企画力や構築力
- 話し合いをスムーズに進めるためのファシリテーションスキル
テックリード
テックリードは、DXやデジタルビジネスに関するシステムの設計から実装までをおこなえる人材です。エンジニアのマネジメントをおこなうエンジニアリングマネージャーや、Webシステムの基盤を設計するアーキテクトなどが含まれます。
チームをまとめたり他部署と連携したりするためのコミュニケーションスキル、システムを作り上げるためのマネジメントスキル、さらに経営判断にもかかわる領域であるため、経営視点も必要です。
【テックリードに求められる能力】
- コミュニケーションスキル
- マネジメントスキル
- 経営視点
データサイエンティスト
データサイエンティストは、事業や業務に精通したデータを解析・分析できる人材です。
ビッグデータを解析・分析するための統計解析スキルや、数学とITに関する知識、プログラミングスキルのほか、データを自社のビジネスにどういかせるかを考える力も求められます。
【データサイエンティストに求められる能力】
- 統計解析スキル数学とITに関する知識
- プログラミングスキル
- データをどういかせるかを考える力
先端技術エンジニア
先端技術エンジニアは、先進的なデジタル技術を扱う人材です。
AI(人工知能)や機械学習、ブロックチェーン(データをブロック単位で鎖のようにつなげて保管する技術)などの先端技術に関する知識はもちろん、常に新しい情報をキャッチしようとする情報感度の高さも求められます。
【先端技術エンジニアに求められる能力】
- AIや機械学習、ブロックチェーンなど最新技術への知識
- 情報感度の高さ
UI/UXデザイナー
UI/UXデザイナーは、DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材です。見た目が美しいだけでなく、ユーザーが理解しやすく使いやすいデザインを作ることが求められます。
トレンドを押さえたデザイン力やテクノロジー情報収集力のほか、できあがったデザインをエンジニアなどの関係者と共有するためのコミュニケーションスキルも必要です。
【UI/UXデザイナーに求められるスキル】
- デザイン力・テクノロジー情報収集力
- コミュニケーションスキル
エンジニア/プログラマ
エンジニア/プログラマは、システムの実装、インフラの構築・保守などをおこなう人材です。
DXの場合は一般的なエンジニア/プログラマと違い、店舗・製造・物流などの現場のデジタルシステムが存在しているため、対応範囲が広くなってきています。そのため、ソフトウエアとハードウエアの両方の知識が必要です。
【エンジニア/プログラマに求められるスキル】
- システムの実装、インフラの構築・保守に関する知識
- ソフトウエアとハードウエア両方の知識
DX人材に求められるスキル・知識

上記のように職種によっても必要なスキル・知識は異なりますが、以下の7つは、DX人材に求められる基本的なスキル・知識と言えるでしょう。1つずつ解説していきます。
プロジェクトマネジメントスキル
プロジェクトマネジメントスキルとは、プロジェクトを成功させるためにプロジェクトの推進を管理するスキルのことです。
プロジェクトの成功とは、「当初予定していたQuality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)を順守し、かつ利益を出すこと」指します。
DXは新しいITツールを導入したらそれで終わりではなく、社内のこれまでの体制や文化が大きく変わるような全社的なプロジェクトとなります。PDCAを繰り返しながら開発を進めるスキルが必要です。
具体的には、コミュニケーションスキルや問題解決スキル、ビジネス課題を見抜く視点、スケジュール管理スキルなどが求められます。これらは、DX関連の経験の有無にかかわらず、通常のプロジェクトマネジメントにおいて培った経験が役立ちます。
企画力・構築力
企画力とは、自社のDX戦略に沿って具体的な企画を立案するスキルのことです。デジタル技術を活用して何を実現したいのか、目的と課題、やるべきこととやらなくてよいことを整理しながら進めていきます。
構築力とは、企画をもとにビジネスモデル(どうやって利益を生み出すのか)や、ビジネススキーム(ビジネスの全体的な枠組み)を構築するスキルのことです。ビジネスデザイナーや現場担当者ともコミュニケーションを取りながら進めていかなければなりません。
IT関連の基礎知識
一口に「IT関連の基礎知識」といってもさまざまなものがありますが、例えば、Webやアプリケーションの基本的な仕組みに関する知識や、AIやブロックチェーンなどの先端技術に関する知識、ITリテラシーなどが挙げられます。
ITリテラシーとは、IT技術を安全に活用する能力です。正しい情報を選び活用するスキル、セキュリティやネットワークに関する知識、IT技術を活用するうえでのモラルなども含まれます。直接的にIT技術を利用することがないビジネスデザイナーであっても、技術職との共通言語として必要です。
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デジタル活用能力
デジタル技術は、日々進化を続けています。変化に対応していくためには、業界全体の最新技術やトレンドを常にキャッチアップしていくことが重要です。
しかし、それらをすべてキャッチアップするのは現実的ではありません。あふれる情報のなかから自社に必要なものを見つけ出し、ビジネスにどういかせるかを考えて実行するスキルが求められます。
企業が競争優位性を確立するためには、デジタル技術を導入するだけでなく、それらを活用できる人材が必要なのです。
データサイエンススキル
データサイエンスとは、ビッグデータや機械学習などのさまざまなデータから価値を引き出し、社会課題や経営課題の解決に役立てることをいいます。データサイエンスには、以下のようなスキルが求められます。
- ITスキル(プログラミングスキル、データ運用スキルなど)
→データの収集・格納・処理・加工に必要 - 統計学の知識
→データ解析に必要 - ビジネススキル(業務内容への理解、論理的思考力、プレゼンスキルなど)
→データの活用方法をほかのメンバーに提案するために必要
UI/UXに関する知識
UI(ユーザーインターフェース)とは「ユーザーとの接点」のこと、UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、「ユーザー体験」のことを指します。
Webサイトであれば、デザインやフォントなどユーザーが目にするすべての情報がUI、ユーザーがWebサイトを通じて得られる一連の体験がUXです。
最先端技術を取り入れたサービスやシステムを開発しても、ユーザーにとってわかりやすく使いやすいものでなければ、利用率はなかなか伸びないでしょう。ユーザーのニーズを捉え、ユーザー目線で考えることが重要です。
UI/UXデザイナーはもちろんですが、ほかの職種も基礎知識として備えておくべきでしょう。
ファシリテーションスキル
ファシリテーションスキルとは、会議やミーティングなどで話し合いをスムーズに進めるための技法です。話しやすい雰囲気をつくったり質問を投げかけたりして意見を引き出す、多様な意見をまとめて全員が納得する答えを出すなどの役割もあります。
どんなに良い企画を立てても、1人では実行できません。関係者の理解を得て、実際に動いてもらうためには、ファシリテーションスキルが必要です。
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DX人材に必要なマインドセット

DX人材には、スキルや知識だけでなくマインドセットも求められます。
マインドセットとは、その人の基本的な考え方や行動パターンのことです。これまでの経験・知識などから形成され、意識や習慣化によって変えていくことも可能です。
ここでは、DX人材に必要なマインドセットを紹介します。
巻き込み
DXは、これまでの社内体制や文化が大きく変わるような全社的なプロジェクトとなります。経営層や一部の社員だけでは、DX化の実現は難しいでしょう。
周囲の意見を取り入れる、他領域と連携する、新たな人材を集めるなど、多くの人を巻き込んで全社で取り組む必要があります。
課題発見
DXは、前述のようにわかりやすくいうと「デジタル技術を活用してより良いものへと変革すること」です。
自社にどのような変革が必要なのか、課題を見つける力が求められます。適切な課題を設定し、仮説検証をおこない、解決までの道筋を立てていきます。
また、デジタル技術は日々進化を続けています。これからの変化を先読みし、今後の課題を予測する力も必要です。
挑戦
DXにおいて最も重要なマインドが、「現状を変えたい」「挑戦したい」という欲求です。
グローバル化や労働力人口の減少など、企業を取り巻く環境は日々変化しています。現状維持で満足していては、気づかないうちに時代に取り残されてしまうかもしれません。
常にアンテナを張って最新の情報やトレンドをキャッチアップし、変化に対応しながら成長しようとする姿勢が求められます。
IPAが示すDX人材の6つの適性

IPAは、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」のなかで、以下の6つをDX人材の適性に関する仮説としてあげています。
仮説 | 概要 |
---|---|
1.不確実な未来への創造力 | より良い未来のために挑戦する姿勢、課題設定力 |
2.臨機応変/柔軟な対応力 | 計画にこだわりすぎず、状況に応じて軌道修正しながら進めていく力 |
3.社外や異種の巻き込み力 | 外部の人間とも積極的にかかわりを持ち、自分のプラスにできる力 |
4.失敗したときの姿勢/思考 | 失敗を恐れない・前向きに捉える思考 |
5.モチベーション/意味づけする力 | 主体性や好奇心、前向きに取り組む姿勢 |
6.いざというときの自身の突破力 | 困難な状況を打破する力、リーダーシップ、責任感 |
これらは2019年の調査時点での仮説であり、企業風土や文化などの影響による変化を見極める必要があるとしています。また、DXに取り組んでいるIT企業とユーザー企業、デジタルビジネス推進企業がこのなかで最も重視しているのは、職種によらず「2.臨機応変/柔軟な対応力」であるという結果が出ています。
参考:デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査~概要編~|IPA 情報処理推進機構(PDF)
ユーザー企業とベンダー企業に求められるDX人材

ユーザー企業とベンダー企業では、DX推進のかかわり方が異なります。それぞれの企業にどのような人材が求められるのか、詳しく見てみましょう。
ユーザー企業のDX人材
ユーザー企業とは、メーカー、商社、飲食など、ITを事業としない企業を指します。DX推進のためにユーザー企業に求められるのは、以下のような人材です。
- システム刷新をビジネス変革につなげられるトップ人材(CDO:Chief Digital Officer)
- 自社の業務内容に精通しており、かつITを活用して何ができるかを考え、実行できる人材
- 各事業部門においてどのような変革が必要かを明確にできる人材
- AI等の先端技術を活用できる人材
ベンダー企業のDX人材
ベンダー(vendor)は、「販売業者」や「売り主」の意味を持つ英単語です。ベンダー企業とは、システムやサービスを提供する企業を指します。DX推進のためにベンダー企業に求められるのは、以下のような人材です。
- 受託開発だけでなく、自社の技術を活(い)かした成長戦略を描き、実行できる人材
- ユーザー企業の求める要件を形にできる人材(新技術・手法の活用、UXの設計等)
- 目まぐるしく変化するデジタル技術を詳しく理解し、かつ業務内容にも精通しているITエンジニア
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DX人材を採用するポイント

テクノロジーの急速な進展、地震や異常気象などの災害、感染症の拡大など、これまでには考えられなかったような大きな変化が次々と起こっている現代は、「VUCA時代」とも呼ばれています。VUCAは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったものです。
企業がこのような変化に対応し、DX人材を含め優秀な人材を採用し続けていくためには、「HRBP(戦略人事)」が必要です。HRBPとは、「Human Resource Business Partner」の略称で、事業成長を人事・ビジネスの両面からサポートする役割を担います。例えば、経営者のビジョンを深く理解し社内に浸透させる、現場の問題点を経営側につなぎ解決を図るなどです。
そのためには、「人事戦略の見識」と「経営的な視点」が欠かせません。まずは、人事や採用担当者がこういった考え方を身につけることが重要です。
そのほかに押さえておくべきポイントとしては、以下の3つが挙げられます。
- 自社に必要な人材の要件を明確にする
自社の課題を洗い出し、DX人材にどのようなスキルを求めるのか、採用後はどのようなポジションを任せるのかを明確にします。 - 自社の魅力をアピールする
理念やビジョン、職場環境、待遇など、求職者に自社の魅力が伝わるようにわかりやすく発信します。 - マネジメント制度を整備する
DX人材に求められるスキルは多岐にわたります。適切に評価するためのマネジメント制度も整備しておきましょう。
DX人材を育成するポイント

人材育成は、短時間で成果が得られるものではありません。どのような人材を育てたいのかを明確にし、長期的な計画を立てて取り組んでいきましょう。
DXにも向き・不向きがあります。まずは、社員のなかからDXに向いている人材を見極めることが重要です。
DX人材は、デジタル技術やデータ活用に精通していることが求められるため、エンジニアやプログラマなどの専門分野の人材から候補者を選出します。また、自社のビジネスや業務内容を理解している人材を幅広く集めることも大切です。経営状態や経営方針を候補者と共有し、経営的な視点でDXに取り組める人材かどうかを見極めましょう。
そのほかに押さえておくべきポイントとしては、以下の3つが挙げられます。
- 座学で知識とマインドセットを学ぶ機会を与える
ハンズオン講座(体験学習)でテクノロジーの活用法を学ぶ、社外講師を招いてマインドセットを身につけるなどの方法があります。 - OJTの機会を与える
OJT(On The Job Training)とは、実務を通した研修です。座学で学んだことを実践して、実行力を身につけます。 - 社内外のネットワークを構築する
最新情報やトレンドをキャッチアップするために、SNSで情報収集する、社外コミュニティーに参加するなどして、社内外にネットワークを構築しましょう。
DX人材の育成事例

最後に、DX人材の育成に取り組む企業の事例を紹介します。
丸紅株式会社
丸紅株式会社では「人材」を「人財」と呼び、高い「ビジネスナレッジ」「データサイエンス」「デザイン思考」を有したデジタル人財の育成に取り組んでいます。以下は施策の一部です。
【ビジネスナレッジ(マネジメントスキル、事業変革をけん引する能力など)】
- 丸紅アカデミア(イノベーションを体験できるセッション)
- 各種デジタル研修
【データサイエンス(専門的スキル)】
- デジチャレ(実践に重きを置いたデジタル技術習得プログラム)
- デジタルコミュニティ(情報交換プラットフォーム)
【デザイン思考(ユーザー思考、柔軟な発想力など)】
- ビジネスモデルキャンバス(300以上のビジネスモデルを可視化したもの)
- ビジコン(社内公募型のビジネス提案・育成プログラム)
2023年までに、デジタル人財を200人(本社)育成することを目指しています
参考: 丸紅株式会社 DX戦略
ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社では、成長戦略「Beyond Carrier」の中核を担うデジタル人材の育成に取り組んでいます。その1つが、「ソフトバンクユニバーシティTech」です。専門分野の社員だけでなく、全社員がテクノロジーやデータ活用について学習できるよう、研修を体系化しました。
また、2017年に立ち上げたデジタルトランスフォーメーション本部では、社会課題の解決を担うプロジェクトをリードする人材を「事業プロデューサー」と定義し、育成する制度を導入。育成の対象者には、定期的な1on1面談やOJTやOff-JTを実施しています。
デジタルトランスフォーメーション本部は、立ち上げ当初は120人でしたが、約3年半で400人まで拡大しました。日本が抱える社会課題を解決するため、デジタル技術を活用したさまざまな新規事業を進めています。
採用・育成の2アクションでDX化を実現しよう!

DX人材とは、単にデジタルに強い人材を指すのではありません。自社のビジネスや業務内容への理解も非常に重要ですので、採用だけでなく育成に取り組み、自社に合ったDX人材を育てていくことが大切です。
また、DX人材にはデジタル技術に関するスキルだけでなく、プロジェクトマネジメントスキルやファシリテーションスキルなどのビジネススキル、巻き込み・課題発見・挑戦といったマインドセットも求められます。これらは、短期で身につくものではありません。計画を立て、長期的な視点で育成に取り組んでいきましょう。
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