人材確保に有効な取り組み例を紹介! 苦戦する企業が抱えがちな課題とは

人材の採用がうまくいかず苦戦している企業や、採用しても定着せず、短期離職に頭を悩ませている企業は少なくありません。人材確保が難しくなっている背景には、社会的な理由のほかにも企業が個別に問題を抱えているケースもあります。

そこで本記事では、なぜ人材確保がうまくいかないのか、考えられる原因を紹介し、成功させるための方法があるのかを詳しく解説します。


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人材確保が難しくなっている社会的背景

人材確保が難しくなっている社会的背景

人材確保に頭を悩ませている企業が多いのはなぜなのでしょうか。まずは社会的背景として考えられるポイントを二つ紹介します。

少子高齢化にともなう労働力人口の減少

一つ目の理由として挙げられるのが、少子高齢化にともなう労働力人口の減少です。総務省がおこなっている国勢調査の統計情報によると、2000年代以降は15歳から64歳の労働力人口が減り続けている一方で、65歳以上の高齢者世代は年々増加傾向にあります。

求人を募集してもエントリーが集まらない企業も多く、厚生労働省の「労働経済動向調査」によると、特に運輸・郵便業や医療・福祉、宿泊・飲食サービス業などの分野で人手不足が深刻化していることが分かっています。

参考:労働経済動向調査|厚生労働省

企業における即戦力人材の需要増加

二つ目の理由として挙げられるのは、即戦力人材の需要が増加していることです。

労働力人口が減少すると、企業は限られた人員での事業運営を求められます。その結果、新人に対する教育を担う社員が減り、未経験者を育成する余裕がなくなるため即戦力人材を求める企業が増加することとなります。

しかし、スキルに見合った賃金を求めるケースなど、人材自らが自身のニーズに合った企業へ転職するケースが増えていること、高スキル人材や実務経験が豊富な人材ほど企業間での獲得競争は激しいこともあり、人材確保が難しくなっているのです。

企業の人材確保がうまくいかない主な理由

企業の人材確保がうまくいかない主な理由

人材確保がうまくいかない理由には、上記で挙げた社会的背景だけでなく、企業が抱えている課題や問題もあります。

具体的にどのような要因が挙げられるのか、代表的な五つのポイントをもとに解説しましょう。

人材要件の設定が不足している

一つ目のポイントは、どのような人材を採用すればよいのか、企業が設定する人材要件があいまいであることです。

たとえば、即戦力人材を採用したい場合、資格の有無や実務経験の年数、どのような業務の経験が求められるのかを定義しておかないと、採用基準も明確になりません。

募集要項にあいまいな要件を記載すると、候補者のなかには自分自身が対象となるのか判断ができず、エントリーを見送ってしまうこともあるでしょう。反対に、求める人材の要件に合わない候補者がエントリーしてきて、選考に時間を要してしまうケースも考えられます。

採用のミスマッチが起きている

二つ目のポイントは、要件に合わない候補者を採用してしまうなど、採用のミスマッチが発生することです。

多くのエントリーが集まり採用できても、採用のミスマッチが起こると入社後短期間で退職してしまい、一から採用活動をやり直さなければならなくなります。

背景には、あいまいな人材要件が設定されていることも要因として挙げられますが、採用担当者の面接におけるスキル不足が原因となっているケースも少なくありません。

離職理由を把握できていない

三つ目のポイントは、過去に自社を退職した社員がなぜ退職に至ったのか、正確に理由を把握できていないことです。

候補者を採用するだけでなく、すでに在籍している社員の定着率を高めることも人材確保においては重要なポイントです。

退職する社員のなかには、人間関係の問題や上司からのハラスメント行為、待遇に対する不満などを抱えているケースも少なくありません。しかし、トラブルを避けるために本当の退職理由を言わず、当たり障りのない理由を述べることもあります。

なぜ自社を去る決断をしたのか、本当の理由を把握できないと、企業の離職率は改善されないままとなってしまいます。結果として短期離職が増え、人材確保に苦戦するケースも多いのです。

多様化する働き方への対応不足

四つ目のポイントは、多様な働き方への対応が遅れたり不足していたりすることです。

働き方改革が注目されるようになり、多くの企業が労働環境の改善に取り組みはじめています。

長時間労働の是正はもちろんのこと、育児や介護との両立を実現するために時短勤務制度やフレックスタイム制、テレワークなどを導入する企業も少なくありません。

しかし、働き方が多様化するなかで、それに対応した制度やルール作りが遅れている企業は労働者から見て魅力的な職場に映りづらく、人材の確保に苦戦しやすい傾向にあります。

多様化する働き方
・時短勤務制度(1日の勤務時間を通常よりも短縮する)
・フレックスタイム制(労働者が日々の労働時間の長さなどを決められる)
・テレワーク(時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方)

組織が抱える課題の認識不足

五つ目のポイントは、企業や組織がどのような課題を抱えているのかを把握できておらず、認識が不足していることです。

根本的な課題を認識しないまま放置しておくと、社員の離職率が高まったり、新たな人材を採用しにくくなったりするケースもあるでしょう。

社員が組織に対して抱える不満はさまざまなものがありますが、なかでも根強いのが賃金や評価に対する納得感です。たとえば、評価基準があいまいな場合、社員の不満は高まり離職につながりやすく、人材確保が難しくなる場合も少なくありません。


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人材確保を成功させるためのポイント

人材確保を成功させるためのポイント

では、上記で紹介した人材確保における課題を解消するためには、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。五つのポイントをもとに紹介します。

求める人材要件の定義

人材要件をあらためて見直し、あいまいな部分がないかを振り返りつつ定義しましょう。

スキルや資格、実務経験といった内容はもちろん、自社の社風や文化にマッチするかも人材要件を定義するうえで重要な要素です。ただし、社風や文化という言葉だけでは抽象的であり、候補者自身がその企業にマッチしているか、捉え方が異なるケースも考えられます。

そこで、たとえば「チャレンジ精神」や「実力主義」などのように、自社の社風や文化を言語化することで、それらにマッチした候補者のエントリーが増加し、人材確保がしやすくなると期待できます。

自社の魅力・強みの整理

人材確保につなげるためには、自社の課題や問題点を把握することが重要ですが、それと同時に魅力や強みも把握しておく必要があります。

整理する過程のなかで、これまで認識していなかった課題や問題点が見えてくることもあるでしょう。また、自社の魅力や強みを正確に把握できていれば、募集要項を作成する際の材料にもなり、多くの候補者にエントリーしてもらえるようになります。

なお、自社の魅力や強みを把握するために有効な手法として、「3C分析」と「SWOT分析」というフレームワークがあります。

3C分析は、「Company(自社)」、「Competitor(競合)」、「Customer(顧客)」(採用においては、求職者・候補者))の三つの視点をもとに、自社と周囲の環境を分析でき、他社との差別化のポイントが把握できるようになります

また、SWOT分析は、「Strength(強み)」、「Weakness(弱み)」、「Opportunity(機会)」、「Threat(脅威)」の4項目から要因を分析するもので、自社の強みと弱みを洗い出せます。さらに、3C分析と組み合わせることで自社の強みと弱みをより明確化できます。

採用担当者のスキルアップ

採用のミスマッチを防ぐうえでは、採用担当者のスキルアップは欠かせない要素です。

面接において候補者の本音を引き出す質問やコミュニケーションのテクニックを身につけさせることはもちろんですが、エントリーシートや面接から候補者の特性や性格、考え方などを見極めるスキルも求められるでしょう。

自社にマッチしている人材であるかを判断するためには、採用担当者の育成が不可欠といえます。

社員の本音を引き出すコミュニケーション

離職率を改善するためには、自社を退職する社員から本音で退職理由をヒアリングすることが求められます。また、労働環境を改善するためにも、現在在籍している社員から働き方について聞き取りをしなければならないこともあるでしょう。

しかし、経営層や管理職と一般社員との間でコミュニケーションが不足していると、社員は本音を言い出せず、企業にとっては改善すべき内容が把握しにくくなります。

社員が安心して本音を言えるよう、経営層や管理職は一般社員と定期的に1on1の面談をおこなうなどして、日頃から密なコミュニケーションを心がけましょう。

なお、社員から退職理由をヒアリングする際には、以下の記事で紹介されているポイントも参考にしてください。

参考:退職理由を聞く際のポイント|真の退職理由を探る「エグジットインタビュー」「エグジットサーベイ」とは

柔軟で多様な働き方の制度設計

社員に安心して働いてもらえるよう、柔軟で多様な働き方の制度設計を検討することも重要です。

たとえば、以前から運用されてきた就業規則のままで、社員から特に不満の声が上がっていないという企業も少なくありません。

しかし、「社員からの声が上がっていない=問題がない」と安易に判断することは危険です。態度で示したりすることはなくても、潜在的に不満を抱えている社員がいる可能性も否定できないためです。

他社の取り組みなども参考にしながら、働き方に関する制度は今のままでよいのか、より良い働き方に向けてつねに検討する姿勢は企業として重要です。

人材確保に有効な取り組み例

人材確保に有効な取り組み例

人材確保を成功させるために、企業として具体的に取り組むべき内容は何があるのでしょうか。7項目をピックアップして紹介します。

■人材確保に有効な7項目

  1. 採用者の幅を広げる
  2. 募集方法の見直し
  3. 採用担当者向けの研修
  4. 評価制度の見直し
  5. 研修制度の拡充
  6. 福利厚生制度の充実
  7. 労働環境の改善

採用者の幅を広げる

人手不足を解消するためには、従来の採用方針を見直し、採用者の幅を広げることも検討しましょう。

たとえば、高校や大学の新卒者だけでなく、海外留学から帰国した学生も第二新卒として採用したり、外国人採用枠を設けたりすることも有効な方法の一つです。

募集方法の見直し

採用方法には求人サイトやエージェント、ハローワークなどといった方法のほかにも、多種多様な方法があります。

特に、近年では多くの企業でエントリー数が減少傾向にあることもあり、候補者からのエントリーを待つのではなく、企業側から候補者に対して個別にアプローチをかける「攻めの採用」をおこなっている企業も見られます。

募集方法によってもターゲットとなる層は変わることから、従来の募集方法を見直すことで人材確保につながるケースもあるでしょう。


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採用担当者向けの研修

採用担当者のスキルアップを促すためには、採用担当者向けの研修を実施することも有効です。

候補者の本音を引き出しやすいコミュニケーション方法や、自社の魅力や強みを候補者に伝えるためのコツを学んだりすることで採用力を強化し、自社にマッチした人材を選考できるようになります。

評価制度の見直し

人材確保に有効な施策の一つとして、給与や待遇の改善が挙げられます。しかし、給与を上げれば人材確保につながるとは分かっているものの、企業の業績によってはしたくてもできないケースも少なくありません。

そこで重要なのは、社員に対して納得感のある待遇を実現することですが、そのための方策として評価制度が適切なものであるかを見直すことが重要となります。

経営層や上司からの属人的な評価ではなく、社員の成果や努力が可視化され、それが評価結果に直結する仕組みを作ることで社員の納得感が得られるようになるでしょう。

研修制度の拡充

新たな人材を採用するのと同時に、今いる社員を大切にするという意味で人材育成も重要な取り組みの一つといえます。

企業としてどのような人材を求めているのか、具体的な要件を明確化したうえで、キャリアアップに役立つ研修制度を拡充しましょう。

研修制度を拡充することにより、社員はどのようなスキルを身につければ今の会社でキャリアアップが見込めるのかが分かり、前向きに努力できるようになります

また、転職者の短期離職を防ぐためには、転職者に対するOJT(On the Job Training)などの研修も充実させることが求められます。実務経験がある場合でも、企業によって仕事の進め方やルールは異なるため、OJTなどの研修を充実させることで人材育成に注力している企業という印象を与えられ、人材確保につながります。

福利厚生制度の充実

人材確保を実現するために重要なポイントの一つとして、社員にとって魅力的な職場をつくることが挙げられます。

その一環として、福利厚生制度の充実に取り組む企業も少なくありません。福利厚生制度の充実によって自社が魅力的な職場に映り、エントリー数の増加につながるでしょう。

また、自社に在籍中の社員に対しては、今後もこの会社で働き続けたいといったモチベーションの向上が期待できます

労働環境の改善

労働環境改善の一環として、長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスを実現させることも企業にとって重要な取り組みの一つです。

社員のなかには、育児や介護といった家庭の事情で退職に至るケースも少なくありません。長時間労働が慢性化している職場では育児や介護との両立は難しく、退職を余儀なくされる社員もいるでしょう。

そこで、仕事と家庭の両立を実現するために、時短勤務制度やフレックスタイム制、テレワークなどを導入することで労働環境の改善につながるケースもあります。

労働環境を改善することで、社員の仕事に対するモチベーションが向上し、人材確保にもつなげられます。


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人材確保の課題を正確に把握し、有効な取り組みを始めよう

人材確保の課題を正確に把握し、有効な取り組みを始めよう

「求人募集をかけてもエントリーが集まらず、新たな人材が確保できない」、または「社員の離職率が高く悩んでいる」といった企業には、課題や問題が潜んでいることが多いものです。

まずは人材確保において何が原因となっているのかを正確に把握したうえで、有効な対策を講じることが求められます。

今回紹介した、採用対象者の拡充や評価制度の見直し、研修制度および福利厚生制度の拡充、労働環境の改善などの取り組み例も参考にしながら、自社にとって有効な取り組みは何かを考え、実行しましょう。

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著者プロフィール株式会社IKUSA

デジタルマーケティング事業を展開し、Webサイトの制作・運用・分析、記事・DL資料・メールマガジンなどのコンテンツ制作などを行う。2021年12月時点、自社で7つのオウンドメディアを運用し、月間合計600件を超えるコンバージョン数を達成。