変化の激しい社会のなかで、個人のキャリアは企業が用意するものではなく、個人が主体的に描く必要性が増しているようです。
キャリアプランは個人が持つキャリアの目標を達成するために、計画を立てることを指します。今回はキャリアプランの立て方や、キャリアプランを立てる際に役立つ考え方についてご紹介します。
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キャリアプランとは

キャリアプランとは、自分自身の仕事や働き方について、将来どのようなあり方を目指すかという具体的な目標を立て、目標達成のための計画を立てることを指します。
厚生労働省は、生涯を通じたキャリア・プランニングや職業能力証明ができるツール「ジョブ・カード」を推進しています。このようなツールを利用することもキャリアプランを考えるヒントになるでしょう。
キャリアパスとキャリアプランの違い

キャリアプランと似た言葉として「キャリアパス」があります。
引用:キャリアパスとは?「キャリアプラン」や「キャリアデザイン」との違いを解説|HRreview
キャリアプランは働く個人が計画するものである一方、キャリアパスはキャリアアップの道筋を企業が計画・提示するもの。たとえば「3年以内に昇格するためには、2年連続営業目標を達成し、関連資格を2つ取ること」などと企業側から社員に提示するものを、キャリアパスと呼びます。
キャリアプランはなぜ重要?

そもそもキャリアプランは、なぜ必要なのでしょうか。社員側・企業側それぞれの視点で解説していきます。
社員側:変化に対応できるキャリア形成のため
終身雇用が一般的だった時代は、会社から期待された仕事を遂行していれば、いつの間にか経験が積まれ、勤続年数や年齢などに応じてキャリアアップが保証されていた側面があります。
一方で現代は、変化の激しい世の中。年功序列制度のようなキャリアアップは保証されていないことも多くなっています。キャリアに対して受け身の姿勢では、いつの間にか居場所がなくなってしまうこともあるでしょう。自ら主体的にキャリアプランを描き、意欲的に経験やスキルをしっかりと身につけることで、予期せぬ変化にも対応できるようにすることが重要です。
ビズリーチの会員を対象にした調査では、92%が「企業に依存せずに自律的なキャリア形成が必要」と回答しています。
参考:新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、約6割がキャリア観に変化 うち9割以上が「企業に依存しないキャリア形成が必要」と回答|株式会社ビズリーチ プレスルーム
企業側:人材流出のリスクを下げるため
働く個人の視点では、会社が用意してくれるキャリアに依存するのではなく、主体的にキャリアプランを描く重要性が増しています。そして向上心の高い人材ほど、自身のキャリアを自律的に考え、形成する重要性を感じているでしょう。
これを企業側の観点から考えると、個人のキャリアプランを理解したり、支援したりすることは、優秀な人材の流出を防ぐことにつながると言えます。社員のキャリアプランを上司・会社が理解し、その実現に向けて配置や経験を設計することが大切なのです。
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キャリアプランの立て方と考え方
キャリアプランを立てる際には、「10年後にこうなっていたい」という大きな目標だけでなく、スモールステップで目標達成への道筋を一つ一つ設計しましょう。そのためには、これまでのキャリアの振り返りや、定期的な目標達成進捗の振り返りをすることが一つの手です。
ここからはキャリアプランの立て方および、キャリアプランを立てる際に役立つ考え方についてご紹介します。
参考:ビズリーチ社長・多田洋祐(2020年6月19日インタビュー)|GLOBIS 知見録
ビズリーチ代表取締役社長の多田洋祐氏に「コロナ禍でビジネスパーソンのキャリア観はどう変化しているのか」「Withコロナ時代にビジネスパーソンが身につけるべき能力とは」を聞く。
キャリアの振り返り・自己分析

まずは、キャリアの振り返りや自己分析をすることが、キャリアプランを立てる第一歩です。たとえば以下のようにこれまでのキャリアを見つめ直してみましょう。
- これまで経験した業務のなかで、やりがいを感じてきたものは何か
- これまで経験した業務における成果・実績は何か
- 現在の仕事で何が楽しい・やりがいになっているか
- 現在どのようなスキルを持っているか
- 今後どのような働き方をしたいか
- 今後どのように社会に貢献したいか
自己分析は、フレームワークを使って行うのが一つの手です。たとえば以下のようなフレームワークがあります。
- マインドマップ
- モチベーショングラフ
- SWOT分析
10年後の理想の姿をイメージする
これまでの振り返りができたら、未来について考えます。まずは10年後、どのような職位についているか、社会のなかでどのような役割を果たしているかなど、大まかな理想像をイメージしましょう。
10年後の理想像が描けたら、5年後、3年後、1年後…と徐々に短期的な計画に落とし込みます。計画の内容も徐々に細かくしていき、具体的なプランに落とし込むと良いでしょう。たとえば以下のようなことを考えてみます。
- 10年後の理想像を達成するには5年後、何ができている必要があるのか
- 目標を達成するには、どのようなスキル、資格、成績・成果が必要か
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エドガー・H・シャインの「キャリア・アンカー」
キャリアプランを考えるにあたっては、1978年に米国のエドガー・H・シャイン博士が提唱した理論「キャリア・アンカー」が参考になります。
この理論では、その人がどうしても譲れない価値観や欲求を船のアンカー(いかり)に例え、キャリア選択に大きな影響を与えるものとしています。キャリア・アンカーは、以下8つに分類されます。
- 【管理者】ジェネラル・マネジメント・コンピタンス
- 【専門能力・職人】テクニカル/ファンクショナル・コンプタンス
- 【安全・安定】セキュリティ/スタビリティ
- 【起業家的創造性】アントレプレヌール的クリエイティビティ
- 【自律と独立】オートノミー/インディペンダンス
- 【奉仕・社会貢献】サービス/大義への献身
- 【チャレンジ】ピュアなチャレンジ
- 【生活様式】ライフスタイル
プランド・ハップンスタンス理論
スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱した、比較的新しいキャリア論として、プランド・ハップンスタンス理論があります。日本語では「計画された偶発性」などと訳されます。
この理論は、変化の激しい現代社会では、キャリアの8割が偶然の出来事によって形成され、その偶然を利用してキャリア形成していこうという考え方を指します。「自ら偶然の出来事を引き寄せるアプローチ」を大切にすることで、積極的にキャリア形成の機会を得られます。実践するにあたっては、以下5つの行動指針があります。
- 好奇心
- 持続性
- 柔軟性
- 楽観性
- 冒険心
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社員のキャリアプランを支援するために、人事ができること

キャリアプランは働く個人が計画していくものですが、実現性を高めていくには企業や人事、上司による支援も重要となるでしょう。ここからは人事担当が社員のキャリアプランを支援するためにできることを紹介します。
情報の提供
まずできることは、キャリア形成に役立つ情報の提供でしょう。直接的にキャリアプランに役立つ情報だけでなく、会社の方向性や、他部門や社内制度の情報などを伝えることで、キャリアプランの計画・実践のサポートになります。
経験や研修などの機会を提供
社員が活躍できる場、成長できる場を計画的に与えることも、キャリアプラン支援の一つです。キャリアプラン構築に関する研修を実施をしたり、他部門の人材同士で交流したりすることで、キャリアプランを考えるきっかけや学ぶ機会になります。
制度による支援
個人のキャリアプランを、会社の制度で支援することも考えられます。異動の自己申告制度の設置をしたり、社内ベンチャー制度を設けたりすることで、社員のキャリアプラン実現にダイレクトに応えられるでしょう。
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