中途社員の「早期離職」はなぜ? 原因と防止策を紹介

早期離職はなぜ起きる? 中途社員の離職率や理由別対応策を紹介

早期離職とは、企業に就職もしくは転職してから数年以内に離職することをいい、多くの場合は、3年以内に離職した場合を「早期離職」と定義します。時間やコストをかけて確保した人材が早期離職をしてしまうと、その損失だけでなく、受け入れをした社員のモチベーション低下など、企業側にとっての損失は大きなものです。

本記事では、中途社員における早期離職の実態およびその理由、さらには、早期離職の防止策について紹介します。

1. 早期離職の理由とは

ビズリーチでは、働き盛りのミドル層における「早期離職」の実態を把握するため、35~49歳で転職を経験したビジネスパーソン(正社員/首都圏在住/個人年収500万円以上)を対象に独自調査を実施しました。

その結果、35~49歳で転職を経験した人の離職要因として最も多いのは「給与に不満があった」となりました。しかし、在籍期間別にみると、早期離職者(在籍期間3年未満)では「社風、所属先の慣習があわなかった」が最も多く、前職在籍期間が1年未満の人では4割を超えました。

2. 中途社員の離職率

厚生労働省では毎年、新卒での就職者の「学歴別卒業後3年以内離職率」を発表しており、その結果から「新入社員の3人に1人は早期離職している」という話題を目にした方もいるかと思います。しかしながら、中途の転職市場も活発な現代において「早期離職」は新卒での就職者だけの問題なのでしょうか。

【参考】新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)

ビズリーチの独自調査によると、35~49歳で転職を経験した人のうち、前職が在籍3年未満となる「早期離職者」は39.0%。年代別にみると、35~39歳では早期離職者が約半数に迫りました。早期離職は新卒での就職者だけの問題ではないようです。

まずは自社の離職率について、在籍年数別、部署別、年代別などの視点からも、実態を把握しておきましょう。

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3. 早期離職による企業の損失

中途社員が早期離職してしまうことは、単に「人員が減る」だけではありません。早期離職によって企業が受ける3つの損失について説明します。

3-1.採用コストの損失

採用手法はさまざまであり、かかるコストも異なりますが、いずれにしても「人を採用する」ということは、要件定義、求人票作成、募集、面接、オファーレターの作成、入社手続き等、多くの人の時間と労力を必要とするものです。また、離職者にかけたコストや時間、労力が失われてしまうだけでなく、欠員を補充するために採用活動を行うため、新たに費用が必要となる可能性もあります。早期離職が与える企業の採用コストの負荷は、非常に大きいといえるでしょう。

3-2.教育コストの損失

中途社員が独り立ちするまでにかける時間やコストは、将来的に戦力となってもらうことを想定した「投資」といえます。その期間中に離職されてしまうと、教育にかけた時間やコストはもちろんのこと、教育を担当した社員の時間や労力が失われてしまいます。OJT(On the Job Training)期間中は教育を担当する社員側の生産性が低下することもあるため、事業活動やほかの社員のモチベーションなどへもマイナスの影響を及ぼすことがあるでしょう。

3-3. 企業イメージのダウン

早期離職の理由はさまざまであり、一概に企業側に原因があるとはいえませんが、「早期離職者が多い会社」という認知が広まると、企業イメージの低下につながる可能性があります。求職者は事前に企業の評判を口コミサイトなどで調べる場合もあるため、応募意欲を低下させる原因になることもあるでしょう。

4. 早期離職の理由別対応策

中途社員が早期離職をしてしまう理由を把握し、理由にあったアプローチを行っていくことが大切です。よくある離職の理由の例と、その対応策について、よくある例を紹介します。

4-1. 入社前後のギャップが大きい

早期離職の理由によくあげられるのが、入社前に抱いていた期待と現実とのギャップです。職場の雰囲気や環境は入社してみないとわからない部分もありますが、入社前に聞いていたことやイメージしていたことと大きく異なれば、不安や不満の要因になることは避けられません。

選考時は、応募意欲を高めるために、つい会社の良い点ばかりを説明してしまうこともあるかもしれません。しかし、「入社前後のギャップ」をできる限り埋めるのであれば、良いことだけでなく、組織が抱えている課題なども包み隠さず伝えておくことも大切でしょう。長く在籍する社員にとっては気付きづらい部分もあるかもしれません。入社後も人事部門などが定期的にヒアリングをし、どのような点にギャップを感じたか聞くのもよいでしょう。

4-2. 人間関係がうまくいかない

日々の業務を進めるうえでは、直属の上司や部署の同僚などとのコミュニケーションが大切です。特に中途採用の場合、同期入社がいないことも少なくありません。直属の上司しか相談できる人が社内にいない場合など、職場内において孤立感を抱いてしまうこともあります。

同じ月ではなくとも、近い月に入社した中途社員同士が「同期」のような横のつながりを持てるようサポートする、人事が定期的にフォロー面談を実施して気軽に相談できる場をつくるなど、所属部署以外での人間関係を構築できるような仕組みを設けるとよいでしょう。

4-3. 仕事量に不満がある

中途社員は就労経験を積んできているとはいえ、入社してからしばらくのあいだは、新しい職場環境や業務そのものに慣れていない状態です。即戦力としての活躍を期待しているとしても、業務の量や任せ方には十分注意しましょう。本人の経験や能力を把握したうえで、適切に対応していきましょう。

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5. 早期離職を防ぐカギは採用にあり

一度離職を希望した社員に対し、慰留のための交渉をするのは非常に難しく、労力もかかるものです。早期離職を防ぐには、採用段階でのコミュニケーションがカギとなるのです。

5-1. 良い点も悪い点も伝える

中途社員が入社後にギャップやミスマッチを感じてしまうと早期離職につながります。したがって、事前に何をどのように伝えるかが重要となるのです。面接では、就業条件はもちろんのこと、業務内容や仕事量、報酬などについて企業側・候補者側の双方が本音で話し、合意を取るのが理想です。

候補者に対して説明を行うときの大切なポイントは、良い点だけでなく悪い点も伝えることです。自社の魅力や強みなど良い点ばかりを伝えがちですが、業界内で置かれている状況や自社が抱える問題点についても、できる限り包み隠さずに伝えるとよいでしょう。募集の背景や会社の置かれている状況などを理解することで、入社意欲が高まる候補者もいます。

また、企業側もスキル面だけでなく、マインドや価値観において自社に適した人材であるのかをよく見極める必要があります。その人自身の評価だけでなく、自社のカルチャーにフィットするか、チームのメンバーと連携して業務ができそうかなど、入社後のイメージも重ねて、検討してみましょう。

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5-2. 採用活動の段階から、現場を巻き込む

企業が直接人材データベースを検索し、候補者へメッセージを送る「スカウト型採用」の場合は、候補者を検索するところから現場に任せるケースもあります。中途社員の上司となる社員に対しても、採用活動の段階で、どのように育成していくのかをイメージしておいてもらうことで、入社後のミスマッチを防ぐことができるでしょう。さらに「自分が採用に関与した」という意識を高めてもらい、育成に対する責任感を持ってもらうことが大切です。

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