カジュアルな面談とは?面接との違いや実施するメリット、活用方法を解説

労働力人口の減少などにともない、優秀な人材の採用はよりハードルが高くなっています。そのため各企業はさまざまな試みで、よりスピーディーに求める人材と接したいと考えています。

そうしたなかで注目を集めているのが、「カジュアルな面談」です。最近、よく聞く「カジュアルな面談」とは、どんな内容なのでしょうか?本記事ではカジュアルな面談の意味や面接との違い、実施するメリットや活用方法を解説します。


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カジュアルな面談とは

カジュアルな面談とは

カジュアルな面談とは、応募者と企業の担当者がお互いのことを知るために行う情報交換の場です。文字通りカジュアルな雰囲気で行われるのが特徴です。

多くの場合、面接などの選考が始まる前の段階で行われます。応募者の中には、まだどこの企業にエントリーするか、就職や転職の意思が固まっていない人材もおり、企業側が自社をアピールするために利用する場合もあります。

企業側が「欲しい」人材を採用するために、企業自身が選択できる手段を主体的に考え、能動的に実行する採用活動である「ダイレクトリクルーティング」の手法として、カジュアルな面談を実施する企業も増えています。


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 面接とカジュアルな面談の違い

 面接とカジュアルな面談の違い
面談とカジュアル面談の違い

カジュアルな面談と聞いて、内容や目的がよく分からない、選考の延長線上にあるのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし選考を目的とした「面接」とカジュアルな面談には大きな違いがあります。面接とカジュアルな面談の違いを、以下に挙げる3つの側面から紹介します。

  • 合否の判定
  • 服装と場所
  • 持ち物

合否の判定

カジュアルな面談と面接の最大の違いは「合否に関係があるかないか」です。

企業側が応募者を評価し、合否の判断を行う場が面接です。一方、カジュアルな面談は企業側と求職者が直接意見交換をしながらお互いを知る場として活用されています。カジュアルな面談の目的は「相互理解を深める」ことで、合否に直接関係がないことが一般的です。

面接は基本的に企業側から質問する形で行われますが、カジュアルな面談は双方が気兼ねなく会話することが多いです。

服装と場所

応募者の服装も、面接とカジュアルな面談で異なる点です。

面接の場合、スーツを着用するのが一般的です。しかしカジュアルな面談は文字通り、カジュアルな雰囲気で実施されるため服装も自由、ないしはジャケット着用程度のオフィスカジュアルな服装で行われます。

面接は基本的に企業内に設けられた面接室で行われますが、カジュアルな面談はカフェなど、企業外部の飲食店などで実施されることもあります。服装から環境まで、リラックスした状態をつくりだすことが重視されているのです。

持ち物

カジュアルな面談は正式な選考の前段階で実施されるケースが多いため、一般的に履歴書や職務経歴書の提出は行われません。しかし、応募者が選考に進む意欲が高い場合、企業の担当者に履歴書などを渡すこともあるでしょう。

もし企業側が履歴書などを必要と判断した場合、提出してほしい旨を応募者に事前に伝える必要があります。

カジュアルな面談を行うメリット・目的

近年、カジュアルな面談を導入する企業が増加しています。理由は企業側、参加者側ともに、メリットがあるからです。本記事では、カジュアルな面談を導入する企業側にとってのメリットを3つ紹介します。

  • 気軽にお互いの情報を交換できる
  • ミスマッチの防止につながる
  • より多くの人材にアプローチできる

気軽にお互いの情報を交換できる

1つ目のメリットは、リラックスした状態で情報を交換することで本音を伝えたり引き出したりできる点です。

ホームページや求人サイトに書かれた表向きの情報だけではなく、企業の本音や情報をカジュアルな面談では伝えられます。また、合否に関係がないことが前提のため、より本音に近い声を応募者から引き出すこともできます。

面接では合否に関わると考え、応募者は企業について気になることがあっても、気軽に質問できないまま終わってしまうかもしれません。しかしカジュアルな面談では、そういった心配がないため、気になる点を気軽に尋ねられます。

気になる点がクリアになった状態で応募してくれるため、内定後の辞退率などの低下につながります。

ミスマッチの防止につながる

2つ目のメリットは、ミスマッチの防止につながる点です。

従来のような面接だけの採用では、企業と応募者のあいだでギャップが生じることがありました。たとえば、応募者が企業に入社したところ、イメージしていた雰囲気や仕事内容と違うなどの違和感を抱き、早期に離職してしまう事態が起きていました。

カジュアルな面談を通して、お互いの価値観や企業のホームページでは分からない社風、実際の働き方、仕事内容を理解してギャップを埋めることで、ミスマッチを減らすことができ、早期離職を防ぐことにもつながります。

またカジュアルな面談を通して、応募者にマッチする部署を判断できます。応募者が希望している部署よりもマッチする部署があると判断できれば、そちらを提案して応募前にミスマッチを防ぐことができるかもしれません。

より多くの人材にアプローチできる

3つ目のメリットは、より多くの人材にアプローチできる点です。

一般的に「待ち」の採用では、企業は主体的に求める人材と接点を持てません。積極的な「攻め」の採用をしたい場合、より多くの人材にアプローチできる手段を選択するケースが多いでしょう。

カジュアルな面談は、合否に直接関係がないため、応募者にとっても心理的なハードルが低い手法です。そのため、いい会社があれば転職しようと思っている転職潜在層などに参加してもらいやすく、多くの人材にアプローチすることが可能です。たとえ選考に進まなかったとしても、企業に好印象を抱いてもらえば、別の機会に転職先の候補として検討してもらえる可能性があります。


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カジュアルな面談に向けて準備すること

カジュアルな面談に向けて準備すること

合否に関係のないカジュアルな面談ですが、事前にしっかりと準備が必要な点はほかの選考過程と変わりません。応募者に好印象を抱いてもらえるか、うまく自社をアピールできるか、などは準備次第ともいえます。そこで、カジュアルな面談に向けて企業が準備すべきことを以下で紹介します。

  • 企業の情報を事前に共有する
  • 出席者の調整
  • 質問をまとめておく

企業の情報を事前に共有する

企業の概要など、企業に対する理解を深められる資料を事前に応募者に送付、共有しておくようにしましょう。企業のホームページでも公開している情報を当日伝えるのでは、カジュアルな面談の時間がもったいないからです。

また、企業の概要とともに、当日に面談を行う担当者の情報を応募者に伝えるのも有効です。入社何年目、どんな部署、どんな業務を担当しているのか、などの情報をもとにすることで、応募者は質問が浮かびやすくなります。

出席者の調整

応募者が希望する部署の社員に同席してもらうように調整しておくとよいでしょう。希望がない場合は、応募者と年齢や経歴などが近い社員に同席してもらうのも有効です。

なぜなら、応募者が求めるのは実際に働いている社員の声だからです。エンジニアなど専門性の高い職種の場合、学びの機会や働く環境の詳しい状況を聞きたいと思う応募者も多いと考えられます。また、カジュアルな面談に参加した社員の雰囲気から、部署の雰囲気や価値観もつかめます。

また、参加する社員にはカジュアルな面談の目的を事前に説明しておく必要があります。応募者に、企業に好印象を抱いてもらい、選考のステップに進んでもらうための場であることを伝えておきましょう。

質問をまとめておく

カジュアルな面談の際に聞き忘れることがないよう、応募者への質問をまとめておきます。事前にリスト化しておくとよいでしょう。

選考に進んだ場合、表面的な回答になる可能性が高い質問はカジュアルな面談で聞いておくことをおすすめします。ミスマッチを防ぐためにも、選考前の段階だからこそ聞ける本音を把握しておくのは重要です。ざっくばらんに情報交換を行えば、有意義にカジュアルな面談を行えます。

カジュアルな面談を行ううえで注意するポイント

カジュアルな面談を行ううえで注意するポイント

カジュアルな面談にはより多くの人材にアプローチできるなどのメリットもありますが、必ずしもうまく結果に結びつくわけではありません。カジュアルな面談を行ううえで注意すべき点を以下の項目にわけて紹介しますので、ポイントをしっかり押さえて実施しましょう。

  • 雰囲気づくり
  • 正確な情報の提供
  • 企業について知ってほしいというスタンスで臨む

雰囲気づくり

カジュアルな面談で重要なのは雰囲気づくりです。志望動機など、面接で聞かれるような質問をすると、応募者から合否判定があるかのように受け取られかねないので、注意が必要です。

そのため、カジュアルな面談では応募者自身の人柄に関することを聞くようにします。たとえば、「将来、どんな仕事がしたいか」「どんな人と働きたいか」などの質問をして、和やかな雰囲気をつくることを意識しましょう。

正確な情報の提供

次に重要なポイントは、企業側が自社の情報を正確に応募者に伝えることです。

カジュアルな面談の目的に、「ミスマッチの防止」があるように、伝えづらい情報を隠したりすると、応募者と企業のあいだでミスマッチが生じる可能性が高くなります。応募者が不安に感じていることはなにか、企業について知りたいことはなにか、などを意識したうえでしっかりとした情報を伝えるようにしましょう。

もちろん外部にまだ出せない情報や、ユーザーの顧客情報など、企業が秘密にすべき情報まで伝える必要はありません。

企業について知ってほしいというスタンスで臨む

「カジュアルな面談は応募者に企業について知ってもらう場であること」を意識することも重要です。

カジュアルな面談の段階では、必ずしも応募者は企業の選考を受けたいわけではありません。入社した後の具体的な業務内容や社内の雰囲気を把握したいという応募者もいるでしょう。そのため、面談のあいだに応募者にどれだけ興味を抱いてもらえるかがカギになります。どんな社風か、どんな事業に力を入れているか、などを知ってもらうよい機会と考えましょう。


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カジュアルな面談の進め方

カジュアルな面談で重要なのは、雰囲気づくりです。交流しやすい雰囲気をつくるうえで、面談の流れがとても大切です。面談を進めていく流れを、以下の5つの段階にわけて紹介します。

  1. アイスブレイクを兼ねた自己紹介
  2. 合否に関わらない旨を改めて伝える
  3. 応募者の状況をヒアリング
  4. 質問に答えながら情報を交換
  5. 次のステップへの案内

アイスブレイクを兼ねた自己紹介

「アイスブレイク」とは、応募者の緊張を緩和するために用いられる手法です。企業の情報とは関連のない気候・天気の話題をはさむなど場を和ませたうえで、挨拶・自己紹介をしましょう。

冒頭のアイスブレイクで話しやすい雰囲気をつくれるかが、カジュアルな面談の質を左右します。応募者の心理的なハードルを下げるために、人柄や趣味など、仕事と関係のない話題を話すのも有効です。双方向のコミュニケーションであることを意識し、雑談を交えて応募者の緊張をほぐせるようにしましょう。

合否に関わらない旨を改めて伝える

本題に入る前に、改めて合否とは関係ない面談である旨を応募者に伝えます。

カジュアルな面談に慣れていない応募者の場合、「これも選考の一部ではないか?」と緊張を与えてしまい、本音を聞き出せない可能性などがあるからです。そうした緊張、不安を取り除くために、選考ではないことを強調しましょう。

応募者の状況をヒアリング

応募者の現在の状況や「自社に聞きたいこと」をヒアリングすることで、応募者がカジュアルな面談に参加した目的を把握します。

応募者が職場の雰囲気や働き方を知りたいと感じているにもかかわらず、企業側が企業の取り組みなどを伝えても響きません。応募者の状況や、要望にあわせて、自社の魅力や情報を伝えるようにします。

質問に答えながら情報を交換

応募者の欲しい情報に答えながら、情報を交換します。

その際、事実と異なることを伝えることは避けましょう。もし応募者が採用されても、入社後のギャップになって早期に離職する原因になりかねません。同席してもらった現場の社員にも、実際に働いている人間でないと分からない職場の雰囲気などを話してもらうようにします。その際、「どんな人材が働いているか」「大切にしている価値観」についても伝えると企業への理解が深めてもらえます。

ミスマッチを防ぐために、応募者の質問に答え、自社のリアルな魅力をアピールします。

次のステップへの案内

お互いに情報交換が終わった後、選考に進んでほしいと感じたら、その思いを応募者に伝えます。時間が経過するにつれ、自社への興味が薄れてしまうため、できれば当日中など、スピードを重視して応募者に連絡するようにしましょう。選考フローも応募者にあわせて柔軟に調整できるようにします。

また、選考に進まない応募者でも、連絡先は交換しておくとよいでしょう。そのときは採用につながらなくても、もしカジュアルな面談で企業に好印象を抱いてくれれば、別の機会に応募してくれる可能性があります。


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カジュアルな面談の活用方法

カジュアルな面談の活用方法

緊張感のある面接とは異なり、カジュアルな面談はさまざまな場面で取り入れられています。では、どのようにカジュアルな面談を取り入れるとより効果的でしょうか?その活用方法を紹介します。

選考との組み合わせ

活用方法の一つは、選考と組み合わせることです。

カジュアルな面談は合否に関わらない場とはいえ、「働いてほしい」と感じた応募者には、面接を行いたい旨を伝えましょう。

特に、面談を通して「ぜひとも選考に参加してほしい」と感じた応募者に対しては、その旨を伝えたうえで特別な選考フローへ案内するなど、選考と組み合わせることが有効です。カジュアルな面談で人柄も分かっているので、選考の際、面接の1つを省略できる可能性もあります。

能動的なアプローチ

カジュアルな面談は、人材への能動的なアプローチとしても有効です。

優秀な人材に対して、自社の採用に応募してほしいと誘っても、いきなり選考を受けるのは応募者にとって心理的ハードルが高いはずです。しかしカジュアルな面談であれば選考ではないため、優秀な人材が参加の呼びかけに応じてくれるケースもあるでしょう。

カジュアルな面談を通して、企業について深く知ってもらうチャンスが生まれます。

カジュアルな面談を導入した企業の事例

カジュアルな面談を導入している企業は年々、増えており、その運用方法はさまざまです。導入例として、以下の2つの企業を紹介します。企業ごとに、カジュアルな面談にも個性が表れているのが理解できるのではないでしょうか。

カジュアルな面談を導入した企業の事例

株式会社ROUTE06

デジタルプロダクト開発、DX(デジタルトランスフォーメーション)コンサルティング、エンタープライズソフトウエアサービスなどを提供する株式会社ROUTE06(ルートシックス)は、2020年6月ごろからオンライン会議ツールを利用し、カジュアルな面談の運用を開始しました。自社サイトでは「ROUTE06についてより詳しく話を聞いてみたい!という方、ぜひカジュアル面談でお話しましょう。幅広くお答えさせていただきます」と呼びかけています。

さらに、カジュアルな面談の前段階で、さらに気軽な接点を応募者と持つために、Twitterスペースで開催する「ルートシックスラジオ」もスタートさせました。隔週金曜日のランチタイムを使ってZoomのウェビナー形式で実施し、会社説明や社員同士の雑談を配信しています。「トークテーマは毎回変わり、ラジオ感覚で参加できますので『ROUTE06の雰囲気を知りたい』『カジュアル面談を受けるほどじゃないけど興味がある』という方は、どなたでもお気軽にご参加ください」と告知しています。

参考:ROUTE06-採用情報/ルートシックスラジオ

株式会社メルカリ

プラットフォームを活用したカジュアルな面談の好事例として知られるのは、株式会社メルカリです。

メルカリは、2021年夏ごろからカジュアルな面談のプラットフォームである「Meety」を活用しはじめました。メルカリはこれまでにも自社に在籍している社員の友人や知人などを紹介してもらい、採用につなげるリファーラル採用を積極的に実施しており、複数のメンバーが同時多発的にカジュアルな面談を実施することが多くありました。

そして、カジュアルな面談をより気軽に実施するためにプラットフォームを導入しはじめたのです。社員が「Meety」を利用して「カジュアル面談では、データ分析のプロセス、現場のメンバーとのコミュニケーション、チーム作り、リサーチの設計と運用など幅広いテーマでお話できたらと思います」などとコメントを寄せ、カジュアルな面談への参加者を募っています。

参考:メルカリ採用情報サイト/mercari careers


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まとめ

選考の前に実施されることの多いカジュアルな面談。面接よりもリラックスした雰囲気で応募者と企業の担当者がコミュニケーションをとることで、応募者本来の姿も見えてくるなど、さまざまなメリットがあります。

現在、採用した後のミスマッチに頭を悩ませている企業や自社を積極的にアピールし採用につなげたい企業は、本記事を参考にして導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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著者プロフィール株式会社ケイ・ライターズクラブ

書籍やムック、企業系冊子、Web記事、動画など、さまざまな教養の実用書籍から企業・大学案内、エンタメ系ムック、官公庁や地方自体のWEB記事など、幅広いジャンルのコンテンツ制作をワンステップで行う編集プロダクション。採用や人事、マネジメント、転職などに関するコンテンツも多数制作している。