休職とは、従業員が病気やけが、ボランティアなどの都合によって働けなくなった際に、会社がその従業員の業務を免除、または拒否することです。本記事では休職の定義、休業と休暇の違いや、休職手当(私傷病手当)が給付される条件や手続き、人事としての対応などについて解説していきます。
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休職とは?

休職とは、従業員が労務(報酬を受ける目的での労働勤務)を提供できなくなった、あるいは働くには不適当な理由が生じた場合に、会社がその従業員の業務を免除、または拒否することを指します。休職中の従業員は労務を提供しないため、基本的に給料は発生しません(会社独自の給与補償制度がある場合を除く)。しかし、社会保険は継続しているため、会社側は会社負担分の社会保険料を支払い続ける必要があります。
休職制度は労働基準法やそのほかの法令に定められた制度ではありませんが、多くの企業で取り入れられている制度です。
休職制度を取り入れるメリットとして、従業員の雇用をできる限り維持するとともに、解雇の際のトラブルを避けられるという点が挙げられます。本来であれば従業員は会社に対して労務を提供する義務があるので、それが困難になった場合は労働契約を解消する、つまり解雇されるのが自然です。しかし、会社側が解雇の正当性を主張するのは簡単ではありません。
休職制度があれば、たとえばけがや病気で働けなくなった際、回復の見込みがある場合は休職して治療の機会を与えることが可能で、回復すれば復職させることができます。休職となった理由が一定期間たってもなくならない、つまり回復していない場合には「自然退職」となるように、あらかじめ就業規則などで規定しておけば、休職制度を活用して会社側も解雇を回避するための努力をしたと評価されるため、解雇に伴うトラブルをある程度回避できます。
休業とは
休業は何らかの事情があって働けない従業員が休暇を連続して取ることです。休業には大きく分けて会社の都合による休業と従業員の都合による休業があります。
会社の都合による休業の理由には、たとえば「工場の操業停止のための休業」などがあります。労働基準法第26条では、会社都合での休業の場合は平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払うことが義務付けられています。ただし、自然災害のような不可抗力の理由で休業せざるを得ない場合には、休業手当の支払いが免除されます。
また、従業員の都合による休業の理由には、育児、産前産後、介護などがあります。従業員都合の休業の場合、会社は必ずしも休業手当を支払う義務を負うわけではありません。その代わりに、加入している健康保険や雇用保険等から各種の給付金が従業員に支給されることが一般的です。
休業中も社会保険は継続していますが、出産および育児を理由とする休業の場合、申請をすれば会社負担分を含め、社会保険料が免除される制度があります。従業員から申し出を受け付け、会社が所定の年金事務所に「産前産後休業取得者申出書」を提出して申請します。


休職と休業の違い
休職と休業の大きな違いは、給料の支払い義務の有無です。休職の場合は給料の支払い義務は発生しませんが、会社都合による休業の場合は支払い義務が発生します。
そのほかの違いとしては、育児、産前産後、介護などの理由で法令の要件を満たす休業の場合、従業員側に休業の請求権が生じる場合があります。これに対し、休職は就業規則などに基づいて会社の命令あるいは従業員からの申し出により行われます。
休暇や欠勤との違い
休暇は、従業員が労働する義務がある日に、その義務を会社が免除することです。休暇には法律上一定の条件下で必ず付与しなければならない法定休暇(年次有給休暇など)と、会社が任意に付与する特別休暇(慶弔休暇や夏季・冬季休暇など)があります。
これは労働基準法で定められた週に1日以上の休日(法定休日)と、会社の就業規則等により定められた休日(所定休日)以外の、従業員に労働義務のある日に付与します。
欠勤は、従業員が労働する義務がある日に、業務に従事しない場合に使われる言葉です。有給の休暇とは異なり、給料は支払われません。また、無断での欠勤は労働契約違反であるため、懲戒処分を受けることもあります。
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主な休職の種類

休職の代表的な理由は私傷病によるものです。この他にも出向、ボランティア、留学などさまざまな休職理由があります。ここからは、休職として認められることの多い理由と、その内容を解説します。
私傷病休職
私傷病休職は、通勤や会社の業務とは関連性のない病気やけがによって一定期間働けなくなった際の休職を指す言葉です。通勤時や会社の業務時間中に病気やけがをした場合は私傷病休業ではなく労働災害(労災)として会社が責任を負います。
出向による休職
出向による休職は、従業員が会社との労働契約を維持したまま、グループ会社や関連会社に一時的に出向する際に、元の会社を休職扱いにすることです。
出向には元の会社に籍を残している在籍出向と、籍ごと転移する転籍出向があります。出向による休職が適用されるのは、在籍出向の場合です。
ボランティア休職
災害復興支援や、青年海外協力隊での奉仕活動などに取り組みたい従業員のための休職です。ボランティア活動への参加を支援している会社では、休職期間中の給与や賞与の補償を就業規則等に盛り込んでいる場合もあります。
留学休職
帰国後は留学先で学んだことを生かして会社で活躍するために、会社に籍を残したまま休職して留学することを留学休職と呼びます。キャリアアップの一環として留学休職制度を設けている会社もあり、留学休職として認められる期間や条件などは会社によって異なります。
上記以外に、特段の事情があって休職させることが適当と会社が認めた場合
上記の他に「地方議会議員などの公職に就任した」「刑事事件を起こして逮捕されている」「労働組合の役員として業務に専念する」などの事情がある場合にも、休職させることが適当だと会社が認めれば休職の理由となります。

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休職の期間に期限はある?

休職期間について法律上の規制はないため、会社ごとに期限を規定します。長いケースでは1年半という期限を定めていることも。これは健康保険の「傷病手当金」の最長支給期間が、1年6カ月と決められていることに関連していると考えられます。
休職期間を定める際、解雇猶予の観点から期間が短すぎるのは望ましくありません。勤続年数によって休職期間の上限を変えている会社も多くあります。短めに設定する代わりに延長規定を設ける会社もあります。
休職手当金(傷病手当金)とは? 医師の診断書は必要?

休職期間とも関連のある「休職手当金(傷病手当金)」。診断書の要不要や申請手順などを解説します。
休職手当金(傷病手当金)とは? 休職中の給与は?
休職手当金は、会社の業務とは関係のない病気やけがで働けなくなった場合(私傷病)に健康保険から給付されるもので「傷病手当金」と呼ばれます。
傷病手当金は以下の条件を満たす場合に、毎月の給料(標準報酬月額)の3分の2相当額を受け取ることができます。
- 会社員や公務員などで、勤務先で社会保険制度に加入している
- 業務外の病気やけがで療養中である
- 療養のため、労務不能である
- 4日以上仕事を休んでいる(療養のために仕事を休み始めた日から連続した3日間=待機期間=を除いて、4日目から支給対象)
- 給与の支払いがない(給与が一部支給されている場合は、傷病手当金から給与支給分を減額)
医師の診断書は必要?
傷病手当金を申請する際、医師の診断書は必要ありません。ただし、傷病手当金申請書の該当ページに「病気やけがにより仕事ができない状態」であることを療養担当者(医師)が記入する必要があります。
会社が従業員の休職を判断するための資料として、医師の診断書が必要になるケースが一般的です。
休職手当金(傷病手当金)がもらえる期間は?
休職手当金(傷病手当金)の支給期間は最長で1年6カ月です。支給される期間は所属している健康保険や共済組合によって算出方法が異なり、支給開始日から起算して1年6カ月の場合や、通算して1年6カ月の場合があります。
休職手当金(傷病手当金)を申請する手順・必要書類
一般的には会社を経由して申請します。手順は以下の通りです。
- 加入している公的医療保険の窓口に問い合わせて、申請書を取り寄せる
- 「被保険者記入用」部分を本人(従業員)が記入する
- 「療養担当者(担当医師)記入用」部分を医師が記入する
- 「事業主記入用」部分を事業主(会社)が記入する
- 本人(従業員)が記入する2枚、医師が記入する1枚、事業主(会社)が記入する1枚の計4ページの書類と、条件によって必要となる書類を提出する
参考:健康保険傷病手当金支給申請書│全国健康保険協会 協会けんぽ
退職後も休職手当金(傷病手当金)の受給を希望された場合
休職している従業員のなかには、復職は難しいと判断して退職を申し出ることもあります。退職後も休職手当金を受給したいと希望された場合、以下の条件を確認しましょう。
- 被保険者の資格喪失をした日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間 (健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。
- 資格喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。
上記2点の条件を満たしている場合は最長支給期間である1年6カ月の残期間のみ、退職後も引き続き休職手当金を受給できます。ただし、退職日に出勤した場合は継続給付の条件を満たさないため、資格喪失後(退職日の翌日)以降の休職手当金は受給できません。
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従業員が休職する場合の対応方法

従業員が休職する場合、人事担当者はどのように対応するとよいのでしょうか。人事から従業員に休職を促す場合と、従業員から休職を希望された場合に分けて解説します。
人事から従業員に休職を促す場合
人事から従業員へ休職を促す例としては、メンタルヘルスの分野で不調を抱えている場合があります。
- 遅刻・早退や欠勤を繰り返す
- ミスや能率低下で普段よりもパフォーマンスが低くなる
- ネガティブな発言が多い
- 辞めたい・この仕事から降りたいと言う
上記のような言動は、メンタルヘルス分野の不調の可能性があります。まずは直属の上司から「最近よく眠れている?」などと声を掛け、従業員の状況を確認しましょう。
従業員に不調が認められた場合、程度によっては業務量を減らすなどの対応で様子を見ることもできます。しかし、医療機関を受診することが望ましい状況の場合は、従業員に受診を勧めます。上司が医療機関の受診や相談を勧めることは、業務命令権(※)に属するため、今後の業務を遂行するうえで受診が必要と判断した旨を、従業員に伝えましょう。
※業務命令権とは、労働契約の内容を実現するために、特定の行為を従業員に命ずること。
受診後は医師の診断結果に従い、必要があれば休職を促します。「休めない」「休んだら迷惑を掛ける」と言って、本人が休職しようとしないケースもありますが、放置するのは危険です。「今のあなたの仕事は休むこと」と、義務感や責任感に訴えて休んでもらうようにします。
また、有給休暇を使い切ってから休職する人もいると思いますが、復帰後のためにできる限り有給休暇は残しておくように促しましょう。
従業員から休職したいと言われた場合
従業員から「休職したい」と申し出があった場合、まずは休職の理由について話を聞きます。私傷病が理由である場合は医師の診断書を見て判断しましょう。その際、会社側から受診する医師や医療機関を指定することもできます。
医師や医療機関を指定する場合は、あらかじめ「休職の必要を判断するためには、会社が指定する医師・医療機関を受診しなければならない」と就業規則に定めておきましょう。
休職させる場合は現場の責任者とも連携し、休職による欠員の調整も併せて行います。
従業員の休職から復帰までのフロー

従業員の休職から復帰までの対応は、休職理由が出向やボランティア、留学などの場合では事前の面談や配置調整の他にそれほど注意すべき点はありません。しかし、私傷病休職の場合、特にメンタルヘルスの不調による休職から復帰するケースは慎重に対応する必要があります。
厚生労働省による「改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を参考に、5つのステップに分けて解説します。
休職から復帰までの流れ
下記の図は休職から復帰までの流れを5つのステップで示したものです。職場復帰を果たしたらそれで終わりではなく、その後のフォローアップも必要なことが分かります。

出典:『改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』厚生労働省 中央労働災害防止協会
〈第1ステップ〉病気休業開始および休業中のケア
病気休業(休職)が開始されたら、以下のような項目について情報を提供して、休職する従業員を支援します。安心して療養に専念できるように環境を整えましょう。
- 傷病手当金などの経済的な補償
- 不安、悩みの相談先の紹介
- 公的、または民間の職場復帰支援サービス
- 休業の最長期間の告知 など
休職期間満了までに復職可能な状況になっていない場合は、そのまま退職に至るケースが多いです。休職中は定期的に連絡を取り、休職期間の延長や短縮、復職や退職の意向についてヒアリングも行いましょう。
また、後のトラブルを回避するために、休職に関する誓約書を交わしておくことも大切です。誓約書には以下のような内容を盛り込みましょう。
- 休職期間中に他社での就業やアルバイトをしない
- 面談日や訪問日の指定に従う
- 毎月の状況報告を期日までに行う
- 社会保険料の本人負担分を期日までに振り込む など
〈第2ステップ〉主治医による職場復帰可能の判断
会社は、従業員から職場復帰の意思を伝えられたら、主治医に職場復帰の可否を判断してもらうように従業員に伝え、診断書を会社に提出してもらいます。また、復職後の就業にはどのような配慮をすべきか、主治医の具体的な意見を記入してもらいます。
主治医の診察では、日常生活における病状の回復程度=職場復帰の可否として判断することが多いため、職場で求められる業務遂行能力まで回復しているかどうかは、産業医などが精査し、復帰後の対応を判断することも必要です。
〈第3ステップ〉職場復帰の可否の判断および職場復帰支援プランの作成
職場復帰に際して、会社は以下のような必要な情報を集めて評価を行い、職場復帰の可否を判断します。
- 従業員の職場復帰の意思確認
- 産業医、主治医からの意見収集
- 従業員の状況の把握
- 職場環境の評価(従業員と職場との適合性や支援準備状況) など
職場復帰が可能であると判断できた場合、職場復帰支援プランを作成します。プランには以下のような点を盛り込み、産業保険スタッフ、管理監督者、休職中の従業員とよく連携を取りながら作成します。
- 職場復帰日
- 就業上の配慮
- 人事労務管理上の対応
- 産業医などからの意見
- フォローアップの時期や方法について など
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〈第4ステップ〉最終的な職場復帰の決定
第3ステップを踏まえて最終決定を行います。最終決定前にデイケアなどで模擬的な軽作業を行う「模擬出勤」や、自宅から職場の付近まで移動し、一定時間過ごして帰宅する「通勤訓練」、本来の職場などに試験的に一定期間続けて出勤する「試し出勤」などを行い、最終決定の判断材料としてもよいでしょう。職場復帰は元の慣れた職場への復帰が原則ですが、休職の理由によっては再休職や退職につながる可能性があるので、配置転換や異動をした方がよい場合もあります。
〈第5ステップ〉職場復帰後のフォローアップ
職場復帰後は観察と支援を続けながら、フォローアップします。復帰直後は労働負荷を軽くし、段階的に元へ戻しながら、産業医や産業保健スタッフなどによるフォローアップで職場復帰支援プランの評価や見直しを行います。見直す際は以下のような点を検討します。
- 疾患が再発していないか、復帰後の治療状況はどうか
- 新たな問題が発生していないか
- 勤務状況や業務遂行能力は問題ないか
- 職場復帰支援プランは計画通り実施されているか など

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休職制度を正しく理解して的確な対応を

休職は法律で定められた制度ではありませんが、多くの会社で取り入れられているシステムです。うまく活用して、従業員がスムーズに職場復帰できるようサポートしていきましょう。
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