労働力人口のさらなる減少が予測され、売り手市場が続くなか、採用活動を取り巻く状況は厳しさを増しています。そこで注目されているのが、採用課題の解決に有効な新たな採用チャネルや手法です。こうした情報を押さえ、自社の採用活動を発展させるための取り組みを行う企業も増加しています。
本記事では、採用の全責任を人事部門が担う従来のやり方とは異なり、現場部門の主体的な採用を可能にする「ハイヤリングマネージャー制度 」についてまとめました。
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厳しさを増す採用市場、優秀な人材からの応募確保は困難に
人材獲得競争が激しさを増す近年、より効果的かつ効率的な採用活動の実現に向け、多くの企業がその方法を模索しています。売り手市場という厳しい状況下で、自社の発展に寄与する人材を採用することは、人事部門だけの課題ではなく、現場部門を含む全社的なテーマです。
一方で、採用活動の前線に立つ人事担当者のなかには
- 現場部門からの要求レベルが高く、要件を満たす人材からの応募が集まらない
- 入社後に現場部門から「要件定義は満たしているが、思うように活躍してくれない」と言われた
このような悩みを抱えている人も少なくないようです。
こうした事態を打開するには、採用市場の厳しい現状、人材確保の困難さに対する認識を全社で共有するとともに、「本当に必要な人材像」を最もよく知る現場部門の社員の力を有効に活用できる施策が必要です。
その一つとして押さえておきたいのが、今回紹介する「ハイヤリングマネージャー制度」です。採用先進国といわれる米国などで多く用いられており、日本国内においても外資系企業など一部の企業で導入が広がっています。
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ハイヤリングマネージャー制度の基本
次に、ハイヤリングマネージャー制度とは何か、これまでの人事部門主体の一般的な採用活動とどのように違うのかについて、説明します。
ハイヤリングマネージャーとは
ハイヤリングマネージャーとは、採用の決裁を行う人のことを指します。ハイヤリングマネージャー制度を導入した採用活動では、新しい社員を採用する部門のトップや、募集ポジションの上司にあたる社員(実際の業務に適した人物を、最も詳細かつ具体的にイメージできる立場にある人)が、ハイヤリングマネージャーとして選ばれます。
これまでの人事部門主体の一般的な採用活動との大きな違いとしては、人事部門が主導するのではなく、求人が発生している部署の部門長や管理職などが、その採用の責任者となり、権限を持って主体的に活動する点が挙げられます。
ハイヤリングマネージャー制度導入のメリット
採用の主体が現場部門となるハイヤリングマネージャー制度を導入することにより、次のようなさまざまなメリットが得られます。
〈導入メリット〉
- 人事部門とハイヤリングマネージャーが一緒に採用を進めるため、現場との接点が増え、人事部門の事業内容や現場への理解が深まる
- 現場部門の社員に、採用市場の厳しさ、採用の難しさを分かってもらえる
- ハイヤリングマネージャーが面談・面接の責任者となることで、業務をよく知る現場の社員が、候補者の自社への関心や転職意欲の向上施策に向き合うようになる
- 人事部門の人手不足による作業の遅れを解消できる。また、面接官との日程調整作業などを短縮できるため、採用スピードが上がる
これらメリットから、ハイヤリングマネージャー制度は、以下のような課題を解決したい企業・組織にお勧めです。
〈解決したい課題〉
- 現場の要求レベルが高く、応募者のなかに該当する人材が少ない
- 採用はしたものの、求めるスキルや経験が足りない人材だった
- 職場の雰囲気や考え方になじめない人を採用してしまった
- 人事部門が人手不足のため採用活動の進みが遅く、他社に入社されてしまった
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ハイヤリングマネージャー制度導入のコツ
ハイヤリングマネージャー制度の導入は、現場部門から選出するハイヤリングマネージャーに採用の責任を負ってもらうことから始まります。「責任は人事部門にあるが、採用の最終決定は現場部門にある」という、責任と権限がばらばらの状態を改め、責任と権限を一致させる手法だという認識の統一を図ることが重要です。
ここでは、導入のポイントと注意点について、説明します。
ハイヤリングマネージャー制度を導入する際の3つのポイント
全てをすぐに実行することは難しいかもしれませんが、以下の3点を押さえておくと、ハイヤリングマネージャー制度の導入でより大きな効果が期待できます。人事部門がサポートしながら、現場部門の意識や行動をより良い方向へ促していきましょう。
【ポイント1】ハイヤリングマネージャーに数値目標を設定する
現場部門にも採用目標を持ってもらい、自分たちが採用の責任を負っているという意識をより明確にします。
【ポイント2】候補者一人一人のストーリー設計を現場の社員で行う
現場部門が面接で話す内容など、採用活動の詳細設計を行ってもらうことで、その業務を実際に担う気持ちをより理解できる立場を生かした、質の高いストーリーの作成を期待できます。
【ポイント3】人事担当者とハイヤリングマネージャーの意識を合わせる
月に2回程度など、定期的に人事部門とハイヤリングマネージャーで互いに意識を合わせる場を設けます。採用要件の見直しや選考結果のフィードバックなどから、必要な改善策を見極め、PDCAサイクルを回します。
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ハイヤリングマネージャー制度を導入する際の注意点
前述した通り、ハイヤリングマネージャー制度にはメリットがいくつもありますが、円滑に運用するには注意すべきポイントがあります。
負担の増加が要因で現場部門に不満が生じる可能性
ハイヤリングマネージャー制度の導入により、現場部門で採用に関する工数が増えることは避けられません。負担の増加から不満が生じ、人事部門が採用の仕事を放棄したと誤解されることを避けるため、現場部門と人事部門が共に採用活動を進めていく必要があります。人事部門が事務局のように丁寧にフォローし、コミュニケーションをとる体制を整えましょう。
他部署で必要な人材が不採用になる可能性
現場部門のハイヤリングマネージャーが責任者となり採用活動を行うため、「自分の部署とは合わない」と判断され不採用となった候補者が、他部署にとっては求めている人材だったという事態も起こりかねません。ハイヤリングマネージャー同士で求める人材の情報を共有し、自分の部署でポジションのない候補者でも、他部署で活躍してもらえる可能性がないか確認できる体制が必要です。
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ITツールの活用で、現場部門と人事部門の連携強化を実現
採用の責任がハイヤリングマネージャーに移っても、採用の成功には専門家である人事部門の力が必要不可欠です。チャットやメーリングリストなどのITツールを使い、適切に報告できる体制を整えることで、双方に負担なく、情報共有や採用活動のスピードアップが期待できます。
また、採用ブログなどを使って、現場部門が主体となり、業務の複雑・高度な点について情報発信するのも、効果的です。候補者にとっては、より具体的な業務内容が理解できるだけでなく、人事部門の担当者にとっても、現場の業務を理解するきっかけになるからです。
人事部門だけの採用活動に限界を感じている方は、ハイヤリングマネージャー制度と相性が良さそうな部署などで、部分的に導入していただき、現場部門を採用活動に巻き込んでいくことを検討してみてはいかがでしょうか。
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