リクルーター制度とは?中途採用における制度導入のポイントや成功パターン


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主に新卒採用において取り入れられてきたリクルーター制度。昨今では中途採用でもリクルーター制度を導入する企業が出てきています。

今回は株式会社人材研究所代表の曽和利光氏に、リクルーター制度が中途採用に用いられるようになった背景やリクルーターの育成、人選のポイントなどについて解説していただきました。

※この記事で扱うリクルーターは「社内の兼業リクルーター」を指します。

曽和 利光氏

講師プロフィール曽和 利光氏

株式会社人材研究所 代表取締役社長

2011年に株式会社人材研究所を設立、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。

中途採用においてリクルーター制度が導入される背景

リクルーターイメージ

新卒採用において多くの企業で導入されてきたリクルーター制度。昨今、中途採用にも導入が見られるようになった背景には、ダイレクトリクルーティングの普及にも要因があると感じています。ダイレクトリクルーティングは、外資系企業の日本法人・日本支社などから広まり、今では外資系企業のみならずさまざまな業界・企業で行われています。

採用市場の変化も背景の一つと考えられます。日本では長らく、人材の売り手市場や人手不足が続いていることから、転職希望者だけでなく、直近の転職は考えていない「転職潜在層」へのアプローチが鍵になってきているといえます。そこで採用戦略としてリクルーター制度を導入する企業が出てきているのです。

また、ダイレクトリクルーティングやリクルーター制度の導入は、SNSの普及によって推し進められている側面もあります。ビジネス系SNSなども含めた各種SNSでのつながりをきっかけとした採用がしやすくなっていることも背景の一つといえるでしょう。

参考:Works University「米国の人材ビジネス」

どのような場合にリクルーター制度を導入する?

リクルーター制度の導入

ここからは、中途採用におけるリクルーター制度の導入は、どのようなタイミングで行うといいかをご説明していきます。

即戦力人材や組織におけるキーパーソンを採用したいとき

リクルーター制度は、組織におけるキーパーソンを採用したいときに適しています。たとえばIT企業では、スキルの高いエンジニアが1人入社するだけで、組織が大きく成長する場合があります。ただし、そのようなスキルの高いエンジニアは転職市場になかなか現れず、現職の業務や報酬に満足していることが多いです。

したがって、一般的な求人広告や人材紹介会社経由での採用は難しいといえます。そのような場合には、リクルーター制度を整備したうえで、候補者との接点づくりから始めるのが一つの手です。

採用費用を削減したいとき

採用費用を削減したいとの思いからリクルーター制度を導入する企業もあります。あるグローバル企業では、アメリカ、中国など、さまざまな国において既にダイレクトリクルーティングが主流でした。日本法人は人材紹介会社経由がほとんどでしたが、3〜4年ほど前にリクルーター制度を導入し、主にダイレクトリクルーティングで採用するようになったところ、億単位の採用費用削減につながったそうです。

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リクルーター制度の成功パターンは、大きく2つ

リクルーター制度の成功パターン

リクルーター制度は導入するだけでは成果に結びつきません。社内リクルーターにどのような役割を担ってもらうかがポイントです。

リクルーターが担う役割において、成功しやすいパターンは大きく2つあります。1つ目は、リクルーターの役割を限定するパターン。2つ目は、候補者と接点を持つところから動機形成まで、一貫してリクルーターに任せるパターンです。

リクルーターの役割を限定する(低負荷パターン)

リクルーターの役割を限定するパターンでは、その役割を「候補人材を人事部に紹介する」というシンプルなものにとどめます。リクルーターから人材を紹介してもらったあとは人事部側で、カジュアルな面談や動機形成などを行います。

この場合、リクルーターは面談などを担当しないため「候補者とどのようにコミュニケーションをとればいいかわからない」という社員でも取り組みやすく、業務負荷も高くないのがポイントです。

リクルーターが「接点から動機形成まで」全てを担う(高負荷パターン)

一方で、リクルーターが候補者との接点を持つ、自社について説明する、動機形成するなど、全般的な役割を担うパターンもあります。ある外資系生命保険会社では、支社長の一番のミッションは営業担当のリクルーティングともいわれています。

このパターンはリクルーターへの業務負荷が高いため、リクルーター業務に対して評価や報酬につながる仕組みを構築することが大切です。加えて、組織の文化として「採用に、当たり前に協力する文化」を醸成できると、高負荷でも成功する確率が高まります。

リクルーター制度の成功は、「社員のエンゲージメントが高い」ことが大前提

リクルーター制度成功のカギ

ここまで、リクルーター制度の導入パターンをご紹介してきましたが、そもそもリクルーター制度を成功させるためには大前提があります。それは、社員のエンゲージメントが高いこと。エンゲージメントとは、会社との間に信頼関係(働き方や目指す理想などについての心理的な契約)がきちんと結ばれており、会社に対する愛着や思い入れのことを指します。つまり、リクルーターになる社員自身が、自社を好きかどうか、友人・知人に自社への入社をすすめられるくらい愛着・思い入れがあることが重要です。

自社に対して満足していなかったり、よく思っていなかったりする社員が、リクルーターとして活躍することはまずないでしょう。リクルーター制度を導入する前に、社員のエンゲージメントはどのような状況か、意識を向ける必要があります。低いと考えるならば、それを高める施策を行うことがリクルーター制度を成功させるための第一歩です。

リクルーターを選ぶポイント

リクルーターを選ぶポイント

リクルーターおよびリクルーター候補の人選には、いくつかポイントがあります。

リクルーターは、「成績が良い」というだけで選ばない

中途採用のリクルーターに適しているのは「普段の業務で成果を上げている社員」というイメージがあるのではないでしょうか。しかし、リクルーターの人選をハイパフォーマーであるかどうかだけで行うのは注意が必要です。ハイパフォーマーだけれど自社へのエンゲージメントが低い社員は、候補者を尊重したコミュニケーションができない場合もあるからです。

リクルーターの人選は、ハイパフォーマーであるかどうかというだけで選ぶのではなく、エンゲージメントが高いかどうか、共感力があるかどうかなどでも検討するといいでしょう。

エンゲージメントが高い状態の社員かどうか

リクルーターを任せる社員がどのような状況にあるかという点にも注意が必要です。エンゲージメントが高い状態の社員でも、業務負荷が高まっていたり、自社への不満が高まっていたりすると、候補者とのコミュニケーションがネガティブになってしまうかもしれません。こういった場合は、対象者にパルスチェックを実施するなど、エンゲージメントが高い状態であるかについて確認するようにしましょう。

傾聴できる・共感力がある社員を選ぶ

業務成果が突出していなくても、傾聴力や共感力がある人材はリクルーターに適している可能性があります。まだ志望意欲や入社意欲が高まっていない人材と接し、関係を築くには、聴く力が特に重要だからです。そのため、入社間もない人や若手や新人でもリクルーターとして成果を上げる人はたくさんいます。必ずしもベテランでないといけないというわけではありません。

リクルーターが活躍する場面はさまざまにあるため一概にはいえませんが、成績が良いだけでリクルーターにすべきとは考えず、人柄やコミュニケーションの傾向なども勘案しましょう。

リクルーターを育成するポイント

リクルーター育成するポイント

リクルーター制度の運用にあたっては、リクルーターの人選や育成が必要です。ここからはリクルーターの育成について解説していきます。

「全社員リクルーター文化」を醸成する

先ほど触れたように、採用に当たり前に協力する文化や、全社員がリクルーターであるといった意識が社員に根付くことが、リクルーター育成の土台になります。リクルーターとしての業務をどのように評価するか検討するだけでなく、そもそも組織の体制として採用に協力する文化を醸成することが大切です。経営陣が率先して「採用に関心を持ち、協力することは社員としてとても重要だ」というメッセージを発信し続けてください。

インナーブランディングを行う

インナーブランディングへの取り組みも、リクルーターの育成につながります。インナーブランディングとは、社外ではなく、社員に向けてブランディング活動をすることです。

リクルーター制度を導入する前に、改めて事業の意義や仕事の面白さ、顧客にどのような価値を提供しているのかなどを言語化したり、再定義したりする。そうすることで、リクルーター自身のエンゲージメントも上がり、それが候補者とのコミュニケーション内容にも反映されるでしょう。

ロールプレイングや、質問に対する想定回答の作成

リクルーターの育成としてイメージしやすいものとして、面談のロールプレイングや、候補者からの質問にどのように回答するか想定させておくことなどが挙げられます。

ただ、実態としては、リクルーターを育成するにあたってここまで取り組めている企業はあまりありません。現状では、コミュニケーションが比較的得意な社員など、リクルーターに適した人材が元々持っている能力に頼ってリクルーター制度を運用している企業が多いと感じます。しかし、だからこそ、組織的にリクルーターの能力向上を図ることができれば、採用上の競争優位性を作ることができるのです。

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リクルーター制度で、ダイレクトリクルーティングの一歩を

リクルーターを活用した採用活動は、ダイレクトリクルーティングの一つです。ダイレクトリクルーティングとは、企業側が「欲しい」人材を獲得するために、企業自身が選択できる手段を主体的に考え、能動的に実行する採用活動です。リクルーター制度を導入することで、「攻め」の採用活動の一歩となるのではないでしょうか。

執筆:佐藤 由佳、編集:立野 公彦(HRreview編集部)

ダイレクトリクルーティングを成功に導くには?

ダイレクトリクルーティング成功術

「攻め」の採用活動で優秀な人材を獲得するには、人事担当者だけでなく経営者や社員を巻き込むことが鍵となります。

全社一丸となって採用に取り組むために必要なこととは──株式会社ビズリーチ執行役員(当時)の佐藤和男がお伝えします。

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