内定辞退の理由とは? 防ぐカギは「内定通知後の行動」にあり

内定辞退の理由とは? 防ぐカギは「内定通知後の行動」にあり

この記事をまとめると

・内定辞退率11.0%の中で「運輸・交通・物流・倉庫 」が最多(2021年)

・内定辞退理由は候補者とのコミュニケーション不足が一因

・内定辞退を防ぐには、選考中・内定通知後のフォローが大事

書類選考、さらには複数回の面接を重ねて出した内定。しかし、その内定を辞退されるケースも珍しくはないようです。企業としては再び採用活動に取り組まなくてはならず、費やした時間や採用コストは大きな負担となります。

そこで本記事では、中途採用の内定辞退が起こる理由と、防ぐための対策について解説します。


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内定辞退を避けるなら、知っておくべき基礎知識

内定辞退を避けるなら、知っておくべき基礎知識

そもそも「内定」とはどういった状態を指すのでしょうか。まずは内定の基礎知識についてみていきましょう。

内定の概要

求職者が企業の求人に応募すると、労働契約が企業に対して申し込まれたことになります。一般的には応募後に書類選考や面接などが行われ、最終的に企業が内定通知を出し、応募者が承諾した場合、つまり、入社して働くことについて双方が合意した採用日前の状態を「内定」と呼びます。

また労働者(内定者)には「職業選択の自由」があり、内定辞退が可能です。民法第627条に規定されている通り、解約の申し入れから2週間を過ぎると労働契約は終了となります。

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用元:第六百二十七条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ) | 民法 | e-Gov法令検索

上記のように、法的に認められているため、企業側は内定辞退を拒否できません。一方、企業側は、内定が成立した時点で、雇用契約が成立されたこととなるため、内定の取り消しは解雇に相当します。

内定辞退率

株式会社マイナビの「中途採用状況調査2022年版(2021年実績)」によると、中途採用における内定辞退率は全体で11.0%となっており、前年から4.7pt減少しています。業種別では「運輸・交通・物流・倉庫」が24.2%と最も多く、次いで「IT・通信・インターネット」が17.3%となっています。

さらに、面接手法別に見ると「Webと対面両方」が12.0%、「Webのみ」が10.3%、「対面のみ」が6.1%となっています。コロナ禍においてリモート面接を実施する企業も増えましたが、面接手法の見直しや工夫が求められる結果となりました。

今後も労働力人口の減少に伴って人手不足はさらに深刻になると予測されており、内定辞退も増えていく可能性があります。「内定が承諾されたら、終わり」ではなく、その後も内定辞退を防ぐための対策を取らなくてはなりません。


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候補者が内定辞退をする理由とは

候補者が内定辞退をする理由とは

面接ではいい雰囲気だったのに、なぜ内定辞退に――。そんな思いをした採用担当者も少なくないのではないでしょうか。ここでは、中途採用で起きやすい「内定辞退の理由」について解説します。

勤務地や給与など条件面の不一致

勤務地や給与など条件面の不一致は、内定辞退でよくある理由の一つです。面接時や内定後に条件が理由で辞退されないためにも、待遇をあらかじめ開示しておくことはもちろんのこと、提示した内容について不満や要望はないか候補者の「本心」をあらかじめしっかり確認しておきましょう。

面接官の印象が悪い

「面接官の印象が良かった」という理由で入社動機が高まるケースもあれば、逆に「面接官の印象が悪かった」という理由で、内定を辞退する人もいます。候補者にとっては、面接官が「その企業の代表」となります。横柄・高圧的な態度は、内定辞退はおろか「企業そのものの印象」を悪くします。経営層・現場部署など面接に関わる全ての人と、面接官としての心構えを、事前に共有しましょう。

他社との見比べ

複数社の転職サービスを使う人も多くいる中途採用市場では、1社から内定が出たとしても、候補者が転職サービスの利用を停止するまでは、さまざまな企業の求人情報を閲覧し、紹介やスカウトを受け取り続けます。そのため、内定後にも、他社の選考活動への参加を続け、新たに他社の採用内定を得ることも十分に考えられます。

選考初期に、他社への応募状況をたずねても、そこから状況は変化し続けます。選考中はもちろんのこと、内定通知後も候補者へのヒアリングをしっかりと行いましょう。

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内定辞退を防止するためにできること

内定辞退を防止するためにできること

入社意欲を高め、内定辞退を防ぐうえで、選考中の候補者とのコミュニケーションは非常に大切ですが、それだけやっていれば安心というわけではありません。先ほど紹介した通り、内定通知後も「他社との見比べ」は続いている可能性があるのです。

ここでは、内定辞退を防ぐために企業ができることについて解説します。

役割を決めて候補者の入社意欲を高める

内定辞退の防止策を講じるうえで、欠かすことができないのが候補者の入社意欲を上げ続けることです。なお、ここで気を付けたいのが、内定が決まった時点で対策を開始しても遅いという点です。選考過程の初期から、候補者との関係を構築し、入社意欲を高めていくことが大切です。

特に重要な役割を担うのは、採用担当者や面接官など候補者と直接接触する人物です。単に親切に対応するのではなく、候補者それぞれに対して、採用シナリオを考え、個々の希望に沿うように、その時々に応じて適切な役割を果たすことが求められます。

とはいえ、採用プロセスにおいて企業側の担当者が果たすべき役割は多岐にわたり、そのすべてを1人で担い、候補者の入社意欲を最後まで高め続けるのは困難です。チームを設けて複数人で対応するなど、さまざまな立場の担当者がフォローする体制が好ましいです。

たとえば株式会社ビズリーチでは、採用プロセスの始まりから終わりまで候補者に寄り添い味方に徹する「フォロワー」、候補者の描く将来像を察して志望動機を形成するなど入社意欲を高める「モチベーター」、候補者になかった視点を与えて、自社の印象付けやこの会社で働きたいという強い動機付けを行う「インパクター」、候補者に入社を決断させる「クローザー」というように、採用に関わる人材の役割を明確にしています。

これはそれぞれに最適な人材をアサインすることで、効果的かつ継続的に入社意欲を高める手法です。

内定承諾に連絡期日を設ける

最終面接後の迅速な内定通知は、企業の熱意が伝わります。時間がかかってしまうと候補者が「何か懸念する点があったのか」「他の候補者と比較しているのか」など不安な気持ちになり、他社の選考活動へ積極的に進むことが考えられるからです。

候補者も企業側も「長く待った揚げ句、見送りとなった」という事態は避けたいところです。迅速な内定通知に対して「いつまでに返事(内定承諾)をもらえるか」を最終面接時にその場で決めておくのもよいでしょう。返事に時間が必要な理由を候補者にたずねることで、他社の選考状況や懸念する点などを早い段階で把握することができ、企業側も次なる対策を練ることができます。


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内定通知後のコミュニケーション

内定通知後も丁寧にフォローしましょう。長期間連絡を取らないことで応募者が不安を覚えてしまい、結果として辞退につながってしまうこともあります。職場見学や同じ職場となるメンバーとのコミュニケーションを通して、職場の雰囲気に触れ、社員の名前を覚えることで、入社初日の安心感につながるでしょう。

また、実務的な目的も兼ねて、勉強会やイベントに招待することも有効です。先輩となる予定の社員などに接触できる機会を増やしましょう。会社で実施する対外的なセミナーへの参加、懇親会や職場見学などはその代表的な存在です。

こうしたイベントへの参加は、入社前に先輩や上司となる社員と接することができるだけでなく候補者自身にその組織の一員になったときの姿をイメージさせる効果があり、「御社」ではなく「当社」という帰属意識を持ってもらえます。さらにロールモデルとなり得る社員を実際に目にすることで、候補者が「自分も将来はこうなれる」というイメージを抱きやすくなる点もメリットです。内定通知後は採用担当者だけではなく、配属部署にも積極的に協力してもらい、コミュニケーションがとれる機会を設けるとよいでしょう。

個人対個人の信頼関係を築く

個人的な相談相手は、内定者が欲するタイミングですぐに対応することで、内定辞退につながる芽を摘むことができ、内定辞退の防止に大きな役割を果たします。そのため前述したフォロワーに当たる人物(主に採用担当者)には、候補者と密に連絡が取れる関係性が求められます。採用活動の序盤から、「採用担当者」対「多数の候補者」、または「企業」対「候補者」ではない、個人対個人の信頼関係の構築を心がけることが重要です。

内定が決まった後も通り一遍の対応ではなく、「入社前にこういう方(内定者の業務に関連する人物など)とお会いしませんか?」「(他社でも内定が出ている場合)当社で働くと、あなたがやりたいことがこのように実現できます」など、候補者一人一人に適した提案を行い、さらに絆を深めることが大切です。

内定辞退の伝え方とマナー

内定辞退の伝え方とマナー

ここからは、内定辞退をしたい求職者に向けて解説します。複数社から内定をもらっており、他の企業の内定を承諾する場合など、やむを得ず内定辞退をすることもあるでしょう。ここで大事なポイントは、誰にいつまでにどんな手段で内定辞退を伝えるかということです。

まず、内定辞退は企業の担当者に、電話で連絡することがマナーです。内定辞退の連絡は気が引けるかもしれませんが、企業は採用活動を再開しなければならないこともあるため、連絡をせずに無断で辞退することは絶対に避けましょう。

内定を辞退することが確定した時点でなるべく早く連絡します。遅くとも内定通知を受けた日から1週間以内には連絡するようにしましょう。基本的には電話で連絡しますが、場合によってはメールや手紙で連絡する方法もあります。それぞれの方法についてみていきましょう。

電話

人材紹介会社などを利用した場合は人材紹介会社を経由して内定辞退の申し出をするのが一般的ですが、求人サイトなどから自身で応募した場合は、企業の担当者宛てに直接電話で連絡をします。

相手の都合を考えて、出社・退社間際や、お昼時の時間帯を避けて電話しましょう。

まずは内定通知に対するお礼をしてから、「内定を辞退させていただきたい」と明確に伝えます。このとき、他社の内定を受けるため内定を辞退したいと伝えても問題ありませんが、社名を出すのは控えましょう。

メール

電話で数回連絡したものの、担当者が不在だった場合には、メールで内定辞退の旨を伝えます。「先ほどお電話いたしましたが、ご多忙のようでしたのでメールにて失礼いたします」など、事前に連絡を入れていたことも伝えておきましょう。

内定辞退のメールは、「お礼」「辞退したい旨と理由」「お詫び」「結び」の構成で簡潔に伝えます。定型文になりがちなため、自分の言葉を添えて誠意を伝えるようにしましょう。

また、件名も「【内定辞退のご連絡】○○ ○○(氏名)」のようにすると内容がわかりやすく、見落としも防げます。

手紙

知人からの紹介や、礼儀を重んじる企業の場合、手紙で内定辞退の連絡をするケースもあります。

手書きの文章は丁寧で誠実な印象を与えるため、電話やメールでの連絡に気が引ける場合にもよい方法といえます。メールと同様に、定型文にならないように自分の言葉を添えるようにしましょう。

まとめ

まとめ

内定辞退の理由は候補者によってさまざまですが、選考中や内定通知後の行動で防ぐこともできます。候補者から選ばれる企業であるためにも、面接の段階から信頼関係を築いていくコミュニケーションを意識して、候補者の入社意欲を上げていくフォロー体制を整えましょう。

企業と候補者が直接コミュニケーションできるビズリーチ・ダイレクトなら、候補者と何度でも気軽な連絡が可能です。「ちょっとした連絡不足」が、候補者の不安につながり、内定辞退を招くこともあります。ぜひ一度、サービスの特長をご覧ください。

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著者プロフィールBizReach withHR編集部

先進企業の人事担当者へのインタビューや登壇イベントなどを中心に執筆。企業成長に役立つ「先進企業の人事・採用関連の事例」や、 事業を加速させる「採用などの現場ですぐに活用できる具体策」など、価値ある多様なコンテンツをお届けしていきます。