「35歳限界説」はもう古い?35歳以上の採用が急増している4つの理由

「35歳限界説」はもう古い? 35歳以上の採用が急増している4つの理由

人材不足に不安を抱える企業が増えつつあるなか、近年では35歳以上の、いわゆる「ミドル人材」の採用が活発化しています。

今なぜ、35歳以上の人材を積極的に採用したいという企業が増えているのか。転職市場に存在する「35歳限界説」が崩壊するなかで、どのように企業の採用活動が変化しているのか。これらを踏まえ、本資料では35歳以上のミドル人材を採用する企業が増えている理由について解説していきます。


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「35歳以上」ミドル世代の人材採用が活発化

転職市場では、35歳以上を対象とした求人は非常に少なく、35歳を超えてからの転職は難しいという「35歳限界説」があります。その他にも「年齢を重ねてからの転職は苦労する」など、さまざまな説がささやかれています。 しかし、実際には35歳以上の人材を対象とした求人の数は増えており、今企業による35歳以上の人材を対象とした採用活動は活発化しています。

これを示すデータの一つに、日本人材紹介事業協会が年2回発表している「職業紹介会社大手3社 転職紹介実績」があります。

同調査によれば、 2012年度上期は3社合計の転職紹介人数が1万6,999人、そのうち「36~40歳」「41歳以上」の区分を合わせた36歳以上の転職紹介人数は3,202人。36歳以上のシェアは18.8%でした。

対して、2018年度上期の3社合計の転職紹介人数は37,275人。うち36歳以上の転職紹介人数は8,500人。36歳以上のシェアは22.8%と約4ポイントの増加。全体の転職紹介人数が増加するなかで、36歳以上の転職はそれ以上の勢いで増えていることが報じられています。

36歳以上の転職紹介人数の比較

その他にも、総務省統計局が出している「年齢階級別転職者数及び転職者比率」で、2012年から2017年まで6年間の転職者数の推移を年齢別に見ると、転職市場で「売れる」とされてきた25〜34歳は、実は2万人の減少。一方、35歳限界説を超える35歳〜44歳は2万人の増加。45歳〜54歳が10万人も増加、55歳〜64歳でも4万人増加していることが報告されています。

また「エン 人事のミカタ」が、2017年に企業を対象に実施した「ミドル人材(35歳~55歳)の採用」に関するアンケート調査では、86%がミドル人材の中途採用に関して「採用したい」と回答しています。

ビズリーチが2018年に中途採用担当経験者400人に対して実施したアンケート調査では、回答者が中途採用で募集していた(あるいは募集している)年代は30代が95.8%、40代で79%、50代は39%、60歳以上でも17.5%であることがわかっています。

Q.今後、ミドル人材を中途採用すうrことについて、どのようにお考えですか?

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なぜ「35歳以上」を採用する企業が増えているのか

理由1:働き手の減少 〜15年間で800万人近くの労働力人口減少の予測も〜

最近では団塊世代が70歳を超え始め、日本は5人に1人が75歳以上、 3人に1人が65歳以上という超高齢社会になる「2025年問題」がよく議論になっています。医療と介護の文脈で語られることが多いこの問題ですが、2010年をピークに日本の人口は減少しており、2015年から2030年で約800万人もの労働力人口の減少が予想されます。

また、総務省の「我が国の高齢化の推移と将来推計」によれば、国内の65歳以上人口が総人口に占める割合を示す高齢化率では2010年で23.0%、2015年は26.6%、2030年には31.2%になるとの調査結果が出ており、若者は減り続けていく状況が懸念されています。

このような状況から、多くの企業は自社の成長における不安材料として「人材不足」があり、採用人材の年齢幅を広げざるを得なくなっています。

2030年までの労働力人口の将来推計

理由2:企業の中核人材不足が深刻化

前述した働き手の減少に起因することとして、「中核人材の不足」による経営への影響に関する懸念が高まっていることも挙げられます。

2017年に中小企業庁が発表した「中小企業白書」の報告によると、成長・拡大を方針とする約60%の企業が、自社の成長を担う中核人材が不足していると回答しました。

中核人材が不足することで、企業の経営において重要な新規分野への参入、需要への対応といった事業環境や、社員の育成などへの影響に懸念が生じることが報じられています。組織の管理や複数の人員の指導など、組織における各部門の中枢として難度の高い業務を担う人材には一定以上の経験・スキルが必要です。

このような背景から、事業の中核的な業務を任せることのできる経験・スキルを備えた即戦力人材、すなわち35歳以上のミドル人材への採用ニーズが高まっています。

中核人材の過不足状況、中核人材の不足による経営・職場への影響

理由3:柔軟な対応力を備えたミドル人材の増加

「35歳限界説」が市場に存在する背景として、ある程度の年齢を重ねた人材は、過去の成功体験やこれまでの経験に固執して柔軟な対応力に欠けることを採用企業が懸念していることがあります。

エン・ジャパンが2017年に実施した調査(エン 人事のミカタ「人事担当者に聞く『ミドル人材の採用』実態調査」)でも、35歳から55歳の人材を「採用したくない」理由として「自分のやり方、これまでのやり方に固執する」に65%の回答が集まっています。

しかし、そうした思い込みは一概に正しいとは言えないのが実態です。 事実、ビズリーチが実施した調査では、30代、40代の中途採用に携わった人事担当者のうち、8割以上が採用した中途人材は「活躍している」と回答しています。

また、ひと昔前は一定以上の年齢を重ねた人材は管理職に昇格した後、現場を離れるというケースも少なくありませんでしたが、現在では現場感を失っていない人材が多い傾向にあります。

産業能率大学が実施した調査によれば、プレーヤーとしての役割が全くない上場企業の課長はわずか 0.8%しかおらず、99.2%の課長がプレーヤーとマネージャーを兼務しているとの報告もあります。現場での柔軟な対応力を備えた人材が増えていることは、企業による35歳以上の人材を採用する動きが活発化している要因の一つです。

上場企業の課長99.2%がプレーイングマネージャー

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理由4:人材ビジネスの発達、人材採用支援サービスの進化

新卒採用がこれだけ定着した背景には、外部労働市場(転職市場)が未発達だったために、中途採用で良い人材の採用が困難であったという事情が影響しています。

従来では、日本の転職市場は可視化されていなかったため、特にハイクラス人材の採用は企業が主体的に行いにくく、求職者も限られた選択肢から次のキャリアを見つけるしかありませんでした。不透明な求職者市場(どのような人材が登録されているのかが不透明)が原因となり、中途人材における採用の「ミスマッチ」が発生しているケースも少なくありませんでした。

そうした環境下で採用支援市場は進化し、企業が求職者へ自らアプローチできるプラットフォームを提供する採用支援企業が登場しました。「欲しい」人材を獲得するためのあらゆる手段を主体的に考え、能動的に実行する採用活動「ダイレクトリクルーティング」を実践できるサービスです。

現在では「ダイレクトリクルーティング」サービスは細分化し、優秀なミドル人材を含む即戦力人材の採用支援に特化した人材データベースを、人材紹介会社のみならず企業にも公開するサービスもあります。

これらにより、現在ではスキルと経験を持つ即戦力人材がタイムリーに採用できるので、新卒採用をする必然性は相対的に低下していることも、35歳以上のハイクラス人材を採用する企業が増加している要因に挙げられます。

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著者プロフィールBizReach withHR編集部

先進企業の人事担当者へのインタビューや登壇イベントなどを中心に執筆。企業成長に役立つ「先進企業の人事・採用関連の事例」や、 事業を加速させる「採用などの現場ですぐに活用できる具体策」など、価値ある多様なコンテンツをお届けしていきます。