バイアス(bias)とは一般的に「先入観」や、物事に対する考え方の「偏り」をいいます。考え方に違いがあるのは悪いことではありません。しかし、さまざまな考え方や立場の人材が集まる企業においては、誰かのバイアスが他の人にとって受けいれられないこともあります。特に人事・採用担当者のバイアスは職場や企業に大きな影響を与える可能性もあるため、バイアスについて知っておくとよいでしょう。
この記事ではビジネスシーンに関わるバイアスの種類と影響、そしてバイアスとどう向き合うか、企業事例を交えた対策方法を紹介します。
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ビジネスにおけるバイアス
バイアスは「先入観」や「偏り」、もしくは「思い込み」などが該当します。このような判断に関するバイアスは、誰しも持っているものです。ただし、バイアスが悪く作用してしまうと、企業活動に悪い影響を与えかねません。
企業とは通常、さまざまな年代・性別・考え方の人が集まり企業目標に向かって仕事を進めていく組織です。つまり、多様な人材が力を合わせてこそ企業経営が成り立つといえます。そのなかで、先入観や思い込みといった「バイアス」は本人にその気がなくとも企業コンプライアンスに抵触してしまう恐れがあります。
例えば企業において、「年代が上だからITリテラシーが低いに違いない」「非正規社員だから責任感がない」などの判断は、思い込みを根拠にしており、相手を正当に評価していません。このような発言は人間関係を悪くするだけでなく、年代や雇用形態の異なる人を差別しているとも取られかねません。知らず知らずのうちにこのような発言や判断をしてしまわないように、次からは無意識のバイアス(アンコンシャス・バイアス)について紹介していきます。
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「アンコンシャス・バイアス」とは
「アンコンシャス・バイアス(unconscious bias)」とは、「アンコンシャス(無意識)」と「バイアス」の組み合わせで、「無意識におけるバイアス」を指す言葉です。具体的には知らずに心のなかに持っている偏見・考え方、もしくは根拠のない思い込みなどを指し、無意識であるがゆえに気付きにくいとされます。
考え方や捉え方の違いは当然あるように、アンコンシャス・バイアスも誰にでもあるものです。そのため、思い込みそのものが「悪い」とはいえず、過度に排除する必要はないでしょう。
しかし無意識にその人の性格や適性を決めつけてしまう、もしくは自分の考えに当てはめて物事を判断してしまう可能性があり、それによって意図せずに相手を傷つけ、苦しめてしまっているかもしれません。相手を苦しめているのはもちろん良くない状態ですが、そのことに本人が無自覚であることが、さらなる問題といえます。

アンコンシャス・バイアスの事例
次に、業務に支障をもたらしかねないアンコンシャス・バイアスの事例をいくつか紹介します。
ステレオタイプ
ステレオタイプとは、年代・性別・国籍など、その人の属性をもとにした先入観を持ち、それによってその人のことを決めつけてしまう状態を指します。
例えば「女性だから営業は難しい」「取引先の新担当が20代の若者なので、大きい取引はできないだろう」などがあります。
正常性バイアス
正常性バイアスとは、データや状況から問題が読み取れるにもかかわらず、自分にとって都合の悪い情報を無視・過小評価することで「大丈夫」と思い込んでしまうことです。正しい状況判断ができず、業務や事業を危うくするリスクがあります。
確証バイアス
確証バイアスとは、自分の意見や手法、仮説などを正当化・補強する情報ばかりを探してしまうことです。それ以外のデータや実績は見ないため、業務において方向性や判断を誤ってしまう可能性があります。
集団同調性バイアス
集団同調性バイアスとは、従来のやり方や、多くの人が取っている行動に同調して行動しようとすることです。少数派の意見が採用されず、活発な意見交換を妨げます。事業や業務の方向性については既存路線を継承することになり、イノベーションが生まれにくくなるでしょう。
ハロー効果
ハロー効果とは、ある人物・事象を評価する際、第一印象や対象の目立つポイントに注視してしまうことで評価がゆがめられ、偏った判断をしてしまうことをいいます。
例えば本来、学歴が高いことと仕事ができることは別の話なのに「学歴が高いのだから、仕事もこなせるだろう」と考えてしまう。もしくは「おとなしいから、人間関係の構築が苦手だろう」のように、おとなしいという性質とコミュニケーション能力を同一視してしまうようなことをいいます。
バイアスが人事・採用に及ぼす影響
人事異動・評価・採用に関わる人事・採用担当者は職場の人間関係やその人のキャリア構築などに影響を与える可能性があるため、特にバイアスには注意したいです。ここからは人事と採用におけるバイアスの弊害を紹介します。
人事におけるバイアスの弊害
バイアスによる主な弊害は次の2つです。
- 人材判断の視野を狭める
- 人材に対して挑戦や成⾧の機会を与えにくくなる
具体的には次のように決めつけてしまうケースが考えられます。
- 社交的ではないというだけで「交渉は向かない」と判断
- 運動が苦手な人を「外回りのある営業はできない」と判断
- 長く1つの職種で働いている人材に対し「長年総務でやってきたのだから、この人材は総務にいるのが一番」などと判断
このようなケースは、本当は適しているのにそれに気が付かないことや、新たな可能性をつぶしてしまう可能性があります。チャレンジさせる人事異動ができないため、職場や人材の活性化を見込めなくなります。
採用におけるバイアスの弊害
自分の物差しで相手を決めつけてしまうと求職者を正しく見極めることができません。
例えば「社内に多い〇〇大学の出身だから社風に合う」といった判断は本人の適性や能力を正しく評価しているとはいえず、入社後のミスマッチにつながりかねません。また、良い人材を見逃してしまう可能性もあります。

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バイアスへの対策方法
過去の出来事や見聞きしたことが自身を形づくるため、アンコンシャス・バイアス自体を悪く思う必要はありません。しかしそれで業務に支障が出てしまったり、職場関係に悪影響を及ぼしたりするのは避けなければなりません。
バイアスが悪い方向に作用するのを防止するために、バイアスの対策と企業事例を紹介します。
自分のなかのバイアスを意識する
まずは自分のなかにバイアス(アンコンシャス・バイアス)があることを「知る」ことが重要です。自身のバイアスに気付けば、判断の際にバイアスを介入させないように意識することが可能だからです。自身のバイアスを知るためには、例えば、物事や人を「女性・男性」「20代、30代、40代……」「社員・パート」などカテゴリに分け、それぞれどのように評価したのかメモを取り、後から見返してみることが有効です。また、次のような段階を意識するとよいでしょう。
- 第一段階 事実と意見を切り分けることで第三者的な視点で自身の評価をする
- 第二段階 自身の思考における特徴やくせを分析し、アンコンシャス・バイアスに気付く
- 第三段階 常に自分の判断基準が「公正であるか」を疑う下地をつくり、内面的な印象や直感だけに頼ることの危険性を認識する
これらの意識により、自分の感覚だけに頼らない「判断軸」をつくることができます。
バイアスの影響を受けにくくする体制をつくる
個人の意識変化は有効だとしても、無意識であるがゆえに認識しにくく、すぐに効果がでるとは限りません。また新たな判断軸の必要性を感じたとしても、自身ではなかなか構築できないこともあるでしょう。
そのためバイアスの影響を抑えられるように、人事・採用の基準や要素を明確化することが有効です。例えば、人事や採用のフローに均一な基準を構築することや、多様な意見が反映されるよう、複数の担当者で話し合える体制を整えることなどが挙げられます。
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企業事例:ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社の「ブラインド採用」
取り組みの事例としてユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社で取り入れている「ブラインド採用」について紹介します。同社が展開するヘアケアブランド「LUX(ラックス)」が調査したところ、採用において性別への先入観が存在することや、履歴書の顔写真が、採用結果に影響を与えることが分かりました。そこでLUXでは2020年3月6日の採用選考から新卒・中途に関わらず、以下の項目を排除した採用活動を実施しました。
- 性別に関する項目
- 顔写真の提出
これらの排除により、性別や見た目(写真)によるバイアスの影響を抑え、個人の適性や能力による採用がかないやすくなりました。
先述したような個人発の意識改革は重要ではありますが、時間を要します。このように採用の仕組みから改革が行われること自体が、社内の意識改革を促す効果も持つでしょう。
参考:「LUX Social Damage Care Project」始動 | ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社
個人でバイアスを意識していくとともに、社内の体制変化も検討しよう
バイアスは誰にでもあるものなので過度に排除する必要はありませんが、先入観や思考の偏りがあると自ら意識することが大切です。それによって、バイアスのために職場の人間関係が悪化したり、業務に影響が生じたりすることを避けていきましょう。
特に、採用においては人材の見極めを正確なものから遠ざけ、人事においては公平性が欠落しかねません。人事・採用を担当する場合は、バイアスの有無を強く意識して業務にあたっていくことが必要です。さらに企業としても、バイアスの影響を排除していける体制の構築を目指していくといいでしょう。
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