テレワークとは? 期待される効果や導入時のポイントを解説

テレワークとは? 期待される効果や導入時のポイントを解説

働き方改革を実現するための代表的な施策として定着しつつある「テレワーク」は、企業にとってさまざまなメリットがある一方で、導入時に注意しなければならないポイントもあります。また、テレワークを導入したいという意向はあるものの、具体的にどのように進めていけばよいのか分からないという企業も少なくないでしょう。

そこで今回の記事では、企業にとってテレワークにはどのようなメリットがあるのかを紹介するとともに、テレワークの導入手順や導入時に注意すべきポイントも合わせて詳しく解説します。

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テレワークとは

テレワークとは

はじめに、テレワークとはどのような働き方を指すのか、その定義や導入方法を紹介するとともに、テレワークと同様に用いられることの多い「リモートワーク」とは、何が異なるのかについても解説します。

テレワークの定義・意味

総務省や一般社団法人日本テレワーク協会によると、テレワーク(telework)とは、「ICT技術やツールを活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」と定義されています。

そもそもテレワークの「テレ(tele)」とは、ギリシャ語で「遠隔」または「遠方の」という意味を表し、「テレフォン」や「テレビジョン」などもテレワークと同じ「テレ(tele)」が語源となっています。

すなわち、「オフィスとは離れた場所、遠い場所で働く」という意味を表す言葉として「テレワーク」が生まれました。

参考:テレワークの意義・効果│総務省
参考:テレワークとは|一般社団法人日本テレワーク協会

テレワークとリモートワークの違い

テレワークと同じニュアンスをもつ言葉として、「リモートワーク(remotework)」があります。リモートワークもテレワークと同様、離れた(リモート)場所で働くという意味で使われる言葉ですが、リモートワークはテレワークとは異なり総務省などの公的機関では定義されていません。そのため、テレワークとリモートワークは、同義として扱われることが一般的です。

テレワークの種類

テレワークの種類

テレワークには、自宅で勤務するパターンや自宅以外のさまざまな場所で働く方法があります。働く場所によって、テレワークは4つの種類に分けられます。

在宅勤務

自宅で勤務する働き方を在宅勤務とよびます。在宅勤務は通勤の必要がなくプライベートの時間を確保しやすくなりますが、自宅でインターネット回線を確保する必要があるほか、仕事に集中しやすい環境をつくることも重要です。

モバイルワーク

電車や飛行機、タクシーの中など、移動時間を有効活用して仕事をする働き方をモバイルワークとよびます。

ほかにも、出張先や外回り中の喫茶店やレストラン、ホテルなどで仕事をすることもモバイルワークにあたるでしょう。

サテライトオフィス、コワーキングスペース勤務

企業が拠点として開設したサテライトオフィスや、不特定多数のワーカーが利用できるコワーキングスペースなどで仕事をする働き方もあります。オフィスのようにWi-Fi環境やデスク、チェアなどが完備されており、在宅勤務やモバイルワークよりも仕事に集中しやすい環境といえます。

ワーケーション

ワーケーションとは、「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた言葉で、「働きながら休暇をとる」という新しい働き方です。たとえば、長期休暇を利用して旅行へ出掛けた際に、一定時間現地で仕事をし、その後は休暇を楽しむこともできます。

企業がテレワークを導入する目的とメリット

企業がテレワークを導入する目的とメリット

企業によってテレワークを導入する目的はさまざまです。ここからは、テレワークの導入にはどのような目的が挙げられるのか、メリットも合わせて解説します。

人材採用・定着

通勤が必要なく自宅でも働けるテレワークは、時間を有効に活用できるため、社員にとって働きやすい手段といえます。

また、子育てや介護の必要な家族がいる社員にとっても、それらの事情を理由に会社を退職することなく継続的にキャリアを積み重ねられます。企業にとっては人材採用がしやすくなるほか、長期的な人材育成も可能になるメリットがあります。

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生産性の向上

生産性の向上を目的としてテレワークを実施するケースも少なくありません。テレワークに対応した業務プロセスや業務フローへ改善する過程で、これまでの業務におけるムダや非効率的なポイントが可視化され、業務効率化につながります。

また、社内申請やさまざまな手続きもペーパーレス化が前提になるため、デジタル化によって非効率的な業務フローを見直すきっかけとなり、結果として生産性の向上につながることが期待できます。

固定費の削減

テレワークによってオフィスへの通勤が不要になることで、社員の通勤定期代が削減できます。

また、これまでのように社員の人数分の座席を確保する必要もなくなるため、オフィスの縮小化にもつながるでしょう。これによって、オフィスの賃貸料や光熱費、通信費などの削減も可能です。

社員のワークライフバランスの向上

通勤時間の削減によって社員はゆとりをもった私生活を送れるようになり、ワークライフバランスはオフィスワークよりも改善することが期待されます。

労働時間の適切な管理ができており、テレワークによって生産性が向上している場合には、十分な睡眠時間を確保できるため、疲労が蓄積されにくくなります。その結果、集中力がアップし仕事の質も向上するでしょう。また、趣味やスキルアップのために時間を確保でき、社員満足度が高まると考えられます。

BCP(事業継続計画)対策

テレワーク環境が整備されていれば、感染症の流行時や災害時でもオフィスへ出勤せずに自宅で通常業務がおこなえ、BCP(事業継続計画)対策につながります。

台風や大雨、大雪など、日本では多くの大規模災害が発生しています。都心部・地方を問わず災害が発生するリスクがあるため、企業としてテレワーク環境を整備し、BCPを立てておくことは重要といえるでしょう。特に2020年は新型コロナウイルスの感染症拡大にともない、BCP対策としてテレワークを導入する企業が大幅に増加しました。

ただし、自然災害の規模や範囲によっては、ネットワークやサーバーが平常通りに稼働できないケースも考えられます。そのため、テレワークはあくまでもBCP対策の選択肢のひとつとして留意しておかなければなりません。

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企業がテレワークを導入するデメリットと課題

企業がテレワークを導入するデメリットと課題

テレワークの導入にあたっては、企業にとってデメリットや課題も存在します。

社内コミュニケーションの低下

テレワークはオフィスワークと異なり、対面でのコミュニケーション頻度が低下しがちです。同僚や部下が今どのような仕事をしているのか状況を把握しづらく、その結果、チームや部署での連携がとりづらくなり、業務に支障をきたすことも考えられます。さらに、テレワーク環境にうまく適応できずメンタルヘルスに不調をきたしたり、バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥ったりするケースもあります。

テレワーク環境下でも社内コミュニケーションを緊密にとるためには、複数のコミュニケーションツールを用意し、緊急度や業務の優先度に応じて使い分けることが重要といえます。

職場マネジメントの複雑化

テレワークを導入することで、インターネットを介して上司が部下を管理することが必要になり、職場マネジメントが複雑化します。そのため、マネージャーの仕事を定義したうえで、職場マネジメントを再定義する必要があります。

マネージャーの仕事を定義するには、マネージャーの存在目的、存在価値、役割、職責、業務範囲などを明文化することが重要です。そのうえで、「そもそもマネジメントとは何か?(目的)」「マネジメントは誰がどのようにおこなうべきか?(マネージャーが介在する範囲とその価値)」「マネジメントのインプットとアウトプットは何か?(成果の意味付け)」「マネジメントの結果をどのように評価するべきか? そもそも評価する必要があるのか? 評価したいマネジメントとは何か?」などの職場マネジメントについて再定義します。

職場マネジメントについての検討は、評価基準や評価プロセスなどの成果の計測方法を考えることにもつながります。職場マネジメントが複雑化してもマネジメントをおこなえるように、人事担当者が定義を明確にする必要があります。

情報セキュリティのリスク増大

PCやスマートフォンの紛失、マルウェアなどの感染によって起きる情報漏えいが懸念されます。

これを防ぐためには、PC持ち出しのルール策定やシステムのアップデート、セキュリティ対策ソフトウエアのインストールなどはもちろんですが、情報セキュリティに関するガイドラインに沿って対象業務を慎重に見極めることも重要です。

テレワークの実施割合

テレワークの実施割合

総務省では毎年、「通信利用動向調査」を実施しており、2020年の時点で「テレワークを導入している」と回答した企業は47.5%、「今後導入予定がある」と回答した企業は10.7%にのぼりました。導入見込みがある企業も合わせると、58.2%もの企業がテレワークに前向きに取り組んでいることが分かります。ちなみに、2019年の調査では導入済みが20.2%、導入見込みが9.4%であったため、わずか1年で倍増したことになります。

もちろん、すべての企業や社員がテレワークに対応できるとはかぎらず、業種や職種によっては物理的に難しいケースもあるでしょう。

産業別の導入状況を見ると、もっとも導入割合が高いのが情報通信業の92.7%で、次いで不動産業の68.1%、金融・保険業の67.6%と続きます。反対に、実施割合が低い業種としては、運輸・郵便業の30.4%、サービス業・その他が34.7%となっています。

参考:令和2年通信利用動向調査の結果|総務省

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テレワークの導入方法・手順

テレワークの導入方法・手順

ここからは、テレワークの導入方法として、以下の8つのステップを詳しく解説します。

テレワークを推進する体制の構築

テレワークの導入は人事や総務部門だけでなく、経営企画部門や情報システム部門などさまざまな部署と連携して進めていく必要があります。そのため、これらを統括しスムーズにテレワークを推進できるよう、部門を超えて連携がとれるような体制の構築が重要です。

たとえば、経営層や部門のリーダーなどをトップとしたテレワーク推進部門やチームを編成するのもひとつの方法といえるでしょう。

テレワークを導入する目的の確認

テレワークを導入して自社のどのような問題や課題を解決したいのか、導入目的を明確化します。

たとえば、生産性の向上を目的とする場合と、BCP対策を最大の目的とする場合とでは、対象業務の選定や業務フローなどの検討方法も変わってくるはずです。自社にとって優先すべき目的や解決したい課題などを十分吟味したうえで設定しましょう。

労務管理制度の確認

オフィスへの出勤が不要となるテレワークでは、従来の労務管理制度や就業規則では運用できないケースも想定されます。

そこで、変更すべき制度や運用を見直さなければならない制度を確認し、テレワークに対応したガイドラインを検討しましょう。

テレワークの実施範囲・対象業務の検討

全社員を対象にテレワークを実施することが理想ですが、必ずしもすべての社員や部署がテレワークに対応できるとはかぎりません。

そこで、まずは業務の棚卸しをおこない、テレワークで対応できる業務とそうでない業務を切り分けることから始めましょう。以下の3つに分けることで、実施範囲や対象業務が検討しやすくなります。

  1. 現状の業務をそのままテレワークに適応できるもの
  2. 業務フローやプロセスを工夫することで対応できるようになるもの
  3. 物理的にテレワークへ移行できない業務

テレワーク時の業務フローの検討

テレワークの実施範囲や対象業務が選定できたら、実際にテレワークに対応するために業務フローやプロセスの変更を検討しましょう。現状の業務フローをそのままテレワークへ移行できるのであれば問題ありませんが、業務フローやプロセスの変更が必要になるケースも多いはずです。

たとえば、書類でやりとりしている業務をワークフローシステムへ移行したり、効率化できる業務がある場合にはテレワークへの移行にともない削減したりすることも検討しましょう。

情報セキュリティのガイドライン制定

個人情報や機密情報などを取り扱う業務の場合、情報セキュリティに関するガイドラインの策定が求められます。情報漏えいが懸念される業務や、万が一情報漏えいが発生した場合のリスクが大きすぎる業務については、あえてテレワークの対象から外してオフィスワークに限定するなど、柔軟に検討しましょう。

また、PCやスマートフォンを紛失した場合のフローや、セキュリティ対策ソフトのインストール、クラウドシステムを使用する際の条件なども情報セキュリティのガイドラインに明確に定めておくことが重要です。

ICTツールの選定・導入

業務に必要なICTツールやシステムには、どのようなものがあるかを確認しておきましょう。

たとえば、社内コミュニケーションを目的としたツールとしては、Web会議システムやチャットツールなどが考えられるほか、勤怠管理の課題を解決するためにはクラウド勤怠管理システムの導入も必要でしょう。また、稟議(りんぎ)などの社内申請をペーパーレス化しテレワークに対応させるためには、ワークフローシステムの導入も求められます。

振り返り・改善

テレワークを実際に導入してから一定期間が経過したら、それまでの振り返りをおこないます。テレワークでは業務効率化や生産性の向上、社員満足度の向上などのメリットが見込める一方で、実際に運用してみると改善すべき課題が見えてくることも多いものです。特に、テレワークでは社内コミュニケーションが減る傾向にあるほか、業務フローやプロセスが変わることで戸惑う社員も出てくるでしょう。そのような社員にどのようにフォローをすべきかを検討します。

また、テレワークの対象範囲やルール、ICTツールなどについても必要に応じて見直しましょう。


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企業がテレワークを導入する際のポイント

企業がテレワークを導入する際のポイント

テレワークをスムーズに導入するためには、どのような点に注意すべきなのでしょうか。ここでは3つのポイントに絞って解説します。

社員への説明や話し合いの場を設ける

テレワークを導入する前に、すべての社員に対して十分な説明をおこない、導入目的や実施範囲、導入業務などを正確に理解してもらうことが重要です。

また、テレワークの実施範囲や業務については、業務への支障をきたさないよう、現場で働く社員からの意見も参考にしたほうがよいため、企業や組織としてテレワークのルールづくりをおこなう前に社員からのヒアリングや話し合いの場を設けるようにしましょう。

業務フローや評価制度の見直し

部下の様子が常に見えるオフィスワークでは、普段の働きぶりなどを評価の指標とするケースもあります。しかし、テレワークでは環境が異なるため、評価の指標や基準を見直したほうがよい場合も考えられます。

たとえば、業務の進ちょくをワークフローシステムなどで管理し、仕事に対する進ちょくや成果を定量的に評価できるようにしておくことなども検討しておきましょう。

また、テレワークで生産性を向上できるよう、業務フローを見直すことも重要です。代表的な一例としては、従来おこなわれていた決裁承認のフローにおいて、承認ルートや承認者が適切であるかを見直すと同時に、ワークフローシステムへ組み込むことも生産性向上につながるポイントといえます。

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テレワークに対応できるツールの導入

テレワークへ円滑に移行するためには、ICTツールやシステムの選定は重要なポイントです。ハードウエアの選定ポイントとしては、業務に適したスペック(ストレージやメモリの容量など)を備えたパソコンはもちろんですが、サブモニターやヘッドホンといったアクセサリー類の貸与をするのかも重要です。ソフトウエアの選定にあたっては、自宅などオフィス以外の場所でも利用できるクラウドシステムがおすすめです。用途や目的に応じて複数のシステムを比較しながら、使い心地や使い勝手を検討しましょう。

さらに、情報セキュリティ対策としてVPNの導入や、生体認証に対応したデバイスを選ぶことも重要なポイントのひとつです。

テレワークの導入目的を明確化し効果を最大化させよう

テレワークの導入目的を明確化し効果を最大化させよう

企業によってテレワークの導入目的はさまざまで、生産性向上を第一の目的としているケースもあれば、BCP対策を第一優先に検討するケースもあります。目的に対しテレワークの効果を最大化するためには、テレワークの導入範囲や対象業務、業務フローなどの見直しが不可欠です。

今回紹介したテレワークの導入手順やポイントを参考に、自社へのテレワーク導入の際に役立ててみてはいかがでしょうか。

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