企業のダイバーシティを推進していくにあたり、LGBTフレンドリーな職場づくりは喫緊の課題です。LGBT理解の必要性や取り組みたいLGBT施策、HR担当者としてのLGBTに関する心構えについて、LGBTへの支援活動を行う「Allies Connect」の代表で、人事のスペシャリストでもある東由紀さんにお話をうかがいました。
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東 由紀(ひがし・ゆき)氏
Allies Connect 代表
LGBTとは何か
近年、よく耳にするようになったLGBTという言葉。この記事では、LGBTの定義を説明しながら、LGBTをめぐる社会の動向についても解説していきます。
LGBTの定義
LGBTは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)の頭文字をとった言葉です。セクシュアルマイノリティー(性的少数者)を表す総称の一つとしても使われることがあります。
LGBTI、LGBTQ、LGBTQ+、LGBTsとの違いは?
それぞれの言葉は以下のように区分されています。
- LGBTI:
LGBTにIntersex(性別を特定する染色体のパターンが一般的なものと合致せず、生殖器の発育が未分化であること)の「I」を加えた言葉。
- LGBTQ:
LGBTにQueer(クィア、性的少数者の総称)やQuestioning(クエスチョニング、性的指向や性自認が定まっていない人)を表す「Q」を加えた言葉。
- LGBTQ+、LGBTs:
アセクシュアル(他者に性的にひかれることがない人)や、Xジェンダー(エックスジェンダー、性自認が男女いずれにも規定されていない人)などを含め、性のあり方は多様であるという意味を込めた言葉。
LGBTをめぐる社会の動向
戸籍上同性のカップルに対して、二人のパートナーシップが婚姻と同等であると承認し、自治体独自の証明書を発行するなどの「パートナーシップ制度」を2015年に渋谷区と世田谷区が開始して以降、LGBTをめぐる社会の動向はここ数年で急速に変化してきました。地方自治体によるパートナーシップ制度は広がりを見せ、現在(2021年10月)では130以上の自治体で施行されています。
引用:渋谷区・虹色ダイバーシティ全国パートナーシップ制度共同調査│NIJI BRIDGE
また、日本経済団体連合会の提言「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」や国連の企業行動基準「LGBTI の人々に対する差別への取組み-企業のための行動基準」など、LGBTに関する提言や行動基準も発せられているほか、「東京レインボープライド」などのLGBT関連イベントも日本の各地で開催されています。毎年6月は「プライド月間」とされ、LGBTQ+の権利や文化を啓発する活動やイベントが実施されるため、企業の取り組みなどを目にする機会も増えます。
さらに、日本政府の取り組みも2010年以降、さまざまな検討や施策が活発化しています。2019年5月に成立した改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)においては、新たに規定されたパワーハラスメントに対する雇用管理上の措置義務のなかで、性的指向・性自認(SOGI※)に関するハラスメントおよび性的指向・性自認の望まぬ暴露(アウティング)もパワーハラスメントに含まれることとなりました。大企業は2020年6月から、中小企業は2022年4月からハラスメントの防止対策が義務づけられます。
※SOGI…性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の頭文字をとったもの。
同性婚はLGBTをめぐる大きなトピックです。同性婚の法令化を求める動きは大きく、「同性婚が認められていないことが憲法に違反する」などとした訴訟も提起されています。
また、ビジネスにおいても、日本で同性婚が認められていないことによってさまざまな不都合が生じています。例えば海外駐在の赴任地で外国人のパートナーに出会って同性婚をしたが、パートナーと共に日本に帰国するとパートナーに配偶者ビザが出ないため、パートナーは日本で就労できなくなってしまうという問題に直面し、帰国を断念するケースが見られます。
ほかにも、日本で働いている日本人が外国人と同性カップルになったが、日本では同性婚ができないため、日本の会社を辞めて同性婚が認められている相手方の国へ移住し結婚するというケースもあります。どちらも企業にとっては優秀な人材を喪失してしまう大きな問題です。

LGBTフレンドリーな職場づくりのための、現状の課題
LGBTフレンドリーな職場づくりにおいては課題が多くあります。ここからは現状の課題を整理していきます。
LGBT当事者が感じる、就職活動における困難
就職活動においては、戸籍上の性別や名前と見た目が異なることで、選考で不利になるのではないか、採用されないのではないかという不安や、内定後にトランスジェンダーであることを明かしたら内定を取り消されるのではないかという不安から、就職活動に困難が生じることがあります。また、自認している性別を隠して就職活動をすることで、着用する服装や髪型がLGBT当事者にとって苦痛な場合もあります。
LGBTフレンドリーな企業に就職したいと希望していても、LGBTフレンドリーであることを公称している大企業以外の、特に中小企業では、そうした会社を見つけることが難しいのが実情です。
LGBT当事者が感じる、職場での困難
職場で問題となる主なことの一つにLGBT当事者への差別的な言動があります。以下は、当事者が困難や苦痛を感じる可能性のある言動の例です。
- 未婚者へのからかい
- 結婚や子どもについて聞くこと
- 好きな芸能人や異性のタイプを聞くこと
- 男らしさや女らしさの押しつけ
- 「オネエ」などの蔑視的な表現
- 宴会での女装・男装やLGBT有名人のものまね
- 性別や性的指向を探る
- LGBTに対する偏見
- 「うちにはLGBTの従業員はいない」など、LGBT当事者の存在否定 など
これらは当事者に直接向けられた言動だけでなく、テレビに出演しているLGBT当事者のことを話題にする場合などでも同じです。直接言われたわけではなくても傷つき、失望し、「ここでは自分のことを話さないでいよう」とあきらめてしまうケースも少なくありません。
職場内にアライ(LGBTなど性的マイノリティーについて理解し、活動をともに支援する仲間のこと)が少ない、あるいはいないという状況も問題です。社内に相談先やアライの存在があると、職場で何か困難や苦痛を抱えたときに相談できるかもしれないという安心感につながります。
出典:アライの役割と意義・価値(PDF)│Allies Connect
トランスジェンダーやXジェンダーの人の中には、望む性別の在り方で働けないことにも大きな問題が伴う場合もあります。職場では服装、トイレ、更衣室などが男女で分かれているものが多く、望む性別ではない状態で困難や苦痛を抱えながら働く人も存在します。Xジェンダーの人にとっては、職場において性別が男性と女性の2種類しかないこと自体に困難や苦痛を感じる場合があります。

LGBT施策の実施状況
2019年度の厚生労働省の委託事業「職場におけるダイバーシティ推進事業」の報告書では、企業アンケートの結果が報告されています。「性的マイノリティーに対する配慮や対応を意図した取り組みの実施状況」の調査において、1,000人以上の従業員がいる企業では取り組みを「実施している」との回答が43.1%にのぼりました。しかし、100人から999人の従業員がいる企業では「実施している」の回答は10.0%、99人以下の従業員がいる企業では3.8%となっています。
現状では、1,000人以上の従業員がいる大企業においては取り組みを実施する企業が多いものの、従業員の数が999人以下の中小企業においてはまだまだ少ないといえます。
ただし、大企業はLGBT施策を実施するだけの人的リソースや資産があるものの、従業員が何万人という規模の企業ともなると、現場の隅々まで施策を浸透させることは難しいという課題があります。対して中小企業は、大企業に比べて従業員の数がそれほど多くないことから、スピード感をもって施策を浸透させやすいでしょう。
参考:「職場におけるダイバーシティ推進事業 報告書」P.219│厚生労働省
LGBTに対するハラスメントの問題
LGBT当事者へのハラスメントを防止することはLGBTフレンドリーな職場づくりという観点のみではなく、コンプライアンスやリスクマネジメントの観点からも必須といえます。ここではハラスメントの対応義務と、対応方法について解説します。
ハラスメントはLGBTの従業員が日常で強く苦痛を感じることの一つ
LGBTに対するハラスメントとは、偏見にもとづいた発言やLGBTをやゆするような言動、LGBTであることを理由に不利な配置転換や評価をすることに代表される行為です。LGBT当事者が直接ハラスメントとなる言動を受けることもありますが、LGBTとカミングアウトしていない当事者は職場に多く存在しているため、職場で交わされるハラスメント発言を聞いて、人知れず傷つくケースもあります。さらに、傷つくだけではなく、職場にいづらくなって退職したり、うつ病などの精神疾患にかかったり、自殺にまでつながってしまうなど、大きな問題が生じます。
最近では、ハラスメントが労働災害と認定されたり、ハラスメントを受けた従業員が加害者(ハラスメントを行った従業員や企業)に対して民事上の損害賠償責任を請求したりするケースが発生しています。
ハラスメントへの対応義務
職場のハラスメントに関しては、いくつかの法令で対応義務が示されています。ハラスメントについての対応を怠れば、労働基準監督署の指導の対象となるだけでなく、虚偽の報告や報告書の不提出は刑罰に処せられたり、企業名の公表につながったりする可能性があります。
男女雇用機会均等法11条
セクシュアルハラスメントに関し、雇用管理上で必要な措置を講じるよう義務づけています。被害者の性的指向または性自認にかかわらず、措置義務の対象となる旨が規定されています。
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)
パワーハラスメントに対する雇用管理上の措置義務が規定され、大企業は2020年6月から、中小企業は2022年4月から義務づけられます。この法令では、性的指向・性自認(SOGI)に関するハラスメントおよび性的指向・性自認の望まぬ暴露(アウティング)がパワーハラスメントに含まれています。
参考:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)│厚生労働省
厚生労働省のモデル就業規則
こうした流れを受けて、厚生労働省が示す「モデル就業規則」では、服務規律において「性的指向・性自認に関する言動によるものなど職場のあらゆるハラスメントにより、ほかの労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない」という条項を設けています。
ハラスメント防止と対応
ハラスメントを防止するためには、何がハラスメントとみなされるのかという定義とともに、ハラスメントを行ってはならないという方針を明確に示す必要があります。就業規則等でハラスメントを禁止する旨やその処分について規定し、研修や教育によって周知・啓発します。
また、あらかじめ相談窓口を設け、適切な対応ができるように窓口の担当者を教育しておくことも大切です。ハラスメントが発生したら、迅速かつ適切に対応し、あわせて再発防止の措置を実施します。
これらの対応はLGBT当事者へのハラスメントに限らず、ハラスメント全般の対応としても有効です。
なぜLGBTフレンドリーな職場づくりが必要なのか
出典:アライの役割と意義・価値(PDF)│Allies Connect
電通ダイバーシティ・ラボによる2020年の調査によれば、回答者のうちLGBTQ+層の割合は8.9%。L・G・B・T以外のQ(クエスチョニング)やアセクシュアル、Xジェンダーといった多様なセクシュアリティーも含まれています。
8.9%という数字は、日本にいる左利きの人の割合とほぼ同じといえます。このように考えると、LGBTQ+当事者は社内にも顧客にも当然存在するという認識をもち、理解を深め、差別や働きづらさを解消していくべきであることがわかります。
また、LGBTフレンドリーな職場づくりを行うことにより、幅広い応募者のなかから優秀な人材を採用し、採用した人材が定着しやすくなります。こうした取り組みを公表することで企業ブランドの価値向上やステークホルダーからの評価向上も期待できます。

企業がLGBTフレンドリーであることで、LGBT関連のサービス提供へとつなげられるという側面もあります。例えば携帯電話キャリアでファミリー割引にLGBTパートナーを含めたり、航空会社のマイレージ会員で家族会員にLGBTパートナーを含めたりと、LGBT当事者向けのサービスが始まっています。
参考:電通、「LGBTQ+調査2020」を実施│株式会社電通
企業が取り組みたいLGBT施策
LGBTフレンドリーな職場を構築するために企業が取り組みたいLGBT施策は、大きく以下の7つの分野に分けられます。すべてを実行できずとも、一歩一歩、まずは始められるところからスタートしましょう。
- 性的指向・性自認に対する差別禁止規定を策定する
- 職場で実行するためのガイドラインを策定する
- 理解を促進するための研修を実施する
- 制度や方針を整備する
- 職場の環境を整備する
- キャリア形成を整備する
- コミュニティーをつくる
7つの分野について、1つずつ解説します。
1.性的指向・性自認に対する差別禁止規定を策定する
就業規則や倫理規定などにおいて差別を規定している文章に、性的指向、性自認についての規定を明記します。これにより、今まで「いないもの」として存在を否定・無視されてきたLGBTの従業員の存在を会社として認識していることと、その差別を許さないという姿勢を表明できます。
2.職場で実行するためのガイドラインを策定する
1で策定した差別禁止規定について、どのようなことをすると差別とみなされるのか、また、どのような行動が求められているのかを明確にするためにガイドラインを策定します。従業員が対応に迷わないよう、できる限り具体的に書き出しましょう。
3.理解を促進するための研修を実施する
人事、法務、総務、管理職、その他全従業員向けなどに研修を実施し、差別禁止規定やガイドラインの周知と理解を促進します。
4.制度や方針を整備する
戸籍の性別や配偶者に制限して適用される法的な制度以外の、企業の判断で適用範囲を広げられる制度に関しては、自認する性別や同性パートナーにも適用範囲を拡大します。同時に、男女で差がある制度も見直します。
5.職場の環境を整備する
男女別になっているトイレ、更衣室、従業員の寮、制服、男女表記などのハード面を整備します。トイレなどの施設は改装などの措置が難しい場合もありますが、「性自認に応じて使いたいトイレを使う」という会社の方針を周知する施策はすぐに実施できます。また、更衣室は、例えば入り口の近くにカーテンで仕切ったスペースをつくり、利用できるようにしておくなど、コスト面の工夫もできます。
男女表記や座席表などに使われる男女の色分けは、本当にそれが必要かどうかを見直してみると、慣習でなんとなく男女表記をしているだけだったというケースも多く見つかります。
ドレスコード、健康診断の受診ルール、名前の呼び方などのソフト面も整備します。名前の呼び方は、性別にかかわらず「さん」付けに統一するという方法があります。
6.キャリア形成を整備する
また、人事プロセスで差別による不利益が生じないように、採用、育成、評価、昇格、配置転換などにおいて理解の促進、差別禁止の徹底などを行い、公正な判断が行われるように整備します。特に、同性愛や両性愛であることはプライベートなこととして関係がないとみなされがちで、就労時の困難が見落とされる場合があるため、注意が必要です。
7.コミュニティーをつくる
LGBT当事者とアライによる社内ネットワークを構築することで、情報交換、課題の共有、理解の促進、ニーズの把握などを行います。コミュニティー内で勉強会を行ったり、LGBTイベントへ参加したりといった活動も有効です。
出典:アライの役割と意義・価値(PDF)│Allies Connect
LGBT施策を開始する際に想定されること
LGBT施策を開始したいと考えた際に、社内の反応としてよくある声が「女性活躍推進もまだまだ。従業員の半分近くは女性なので、そちらの優先度が高いのでは?」というものです。
もちろん担当者の人員リソース、予算、時間には限りがあるため、どんな施策も際限なく進めるというわけにはいかないでしょう。しかし、LGBT施策と女性活躍推進はどちらも「ダイバーシティを推進する」という点で共通しており、こうしたマイノリティーの課題に大きく優先順位を付けることは、ダイバーシティの理念と相いれないといえます。
会社としてダイバーシティを推進することを大上段のメッセージとして掲げ、そのうえで今ある課題を明らかにして、それらの課題に対してどのように予算や人員を配置し、解決していくのかを考えていくと、社内の理解を得られやすいでしょう。
また、LGBT施策と女性活躍推進はとても相性がよく、並行して進めやすいという面もあります。「仕事の能力に性別は関係ない。そもそも男女で分けることに意味がない」という考え方のもとに、並行して施策を進めていけるからです。
部署やチームレベルでできるLGBT施策
とはいえ、すぐに会社レベルでLGBT施策を始められない場合もあります。そんなとき、部署やチームのレベルでもすぐにできることがあります。その一例が、部会や課でのチームミーティングでLGBTの勉強会を行うことです。LGBTに関する書籍や記事を読んで意見を交わします。
その際、「こういう記事(LGBTに関する記事)を読んだんだけど、知ってる? とても大事なことだよね」というように、管理職などの上の立場の人から話をすることが有効です。上の立場の人から話すことで、チームメンバーも、このチームではLGBTに対してどのような考え方が推奨されるのかを把握できるからです。また、チームのなかにカミングアウトしていないLGBT当事者がいて、支えになれる可能性もあります。
LGBTに関する企業の取り組みの例
LGBTに関する企業の取り組みとしては、以下のような例があります。
- NTT東日本(東日本電信電話株式会社)
2007年から女性活躍推進をはじめとしたダイバーシティ&インクルージョンを推進し、その後事業のグローバル化、お客様ニーズへの対応、多様性への需要や配慮ができる組織風土醸成の観点から、LGBTの対応も開始しました。
- 株式会社セブン-イレブン・ジャパン
2012年に全社プロジェクトとしてダイバーシティ推進を開始。当時は女性活躍が中心でしたが、LGBT当事者の数を知ったことから、LGBT施策を急速に進めています。
- ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
職場でカミングアウトしているLGBT当事者の提案により、従業員の当事者グループ結成が実現。現在はグループが社内の理解促進やニーズくみ上げの役目を担っています。
参考:LGBTとアライのための法律家ネットワーク(LLAN)著「法律家が教える LGBTフレンドリーな職場づくりガイド」(法研、2019年)
さらに、「Business for Marriage Equality」というキャンペーンでは婚姻の平等(同性婚の法制化)に賛同する企業が集まっています。日本の同性婚の法制化に対して企業が声を上げ始めていることは、近年の特徴的な事象といえます。
参考:Business for Marriage Equality
HR担当者としてのLGBTに関する心構え
LGBTフレンドリーな職場づくりのために必要な、HR担当者としての心構えをまとめました。
- LGBTは性的な話、道徳的な話ではなく、人権の問題ととらえる
- セクシュアリティーと、能力や人間性に関係はない
- 恋愛、結婚、子育てを当然のものとして考えない
LGBTは人権の問題であり、法令遵守の問題でもあります。HR担当者がLGBTへの差別的な感情や誤った認識をもっていると、LGBT当事者の人生を壊してしまうことにつながり、同時に会社が訴えられるような法的なリスクも負うこととなります。「知らなかった」では済まされない課題であることを十分に意識し、LGBTフレンドリーな職場づくりや、それにかかわる業務の推進が求められます。
個別の対応を行いつつ、LGBTフレンドリーな職場づくりの方針や制度をできる部分から整備していく
LGBTといっても、L(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシュアル)の性的指向に関する課題と、T(トランスジェンダー)の性自認と性表現に関する課題は異なります。また、クエスチョニング、Xジェンダー、アセクシュアル、インターセクシュアルなどLGBT以外のセクシュアリティー固有の課題もあります。そして、同じセクシュアリティーでも個人によって抱える問題や困難、希望する対応は千差万別であり、画一的な対応は適切とはいえません。
LGBT当事者との対話を通して、性的指向、性自認、性表現にかかわらず働きやすい職場環境をつくること、そのために会社としての方針や制度をできる部分から整備していくことが重要です。
参考書籍:LGBTとアライのための法律家ネットワーク(LLAN)著「法律家が教える LGBTフレンドリーな職場づくりガイド」(法研、2019年)
LGBT施策を行うことには、幅広く優秀な人材を採用できるようになるというメリットもあります。「企業が従業員(求職者)に何を提供できるか」という視点に立った採用を実現する、EVPについての資料も参考にしてください。
執筆:鮫島 沙織、編集:立野 公彦(HRreview編集部)
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