応募してきた求職者、面接をした候補者が、自社の求める人材ではなかった場合に作成・送付する不採用通知。通知を受けた相手は、不採用が決まったことに少なからず落胆するものでしょう。企業側としてはそのような候補者の心情に配慮し、不採用通知を作成・送付する際にはできるだけ相手にマイナスの印象を与えないようにすることが大事です。
今回は、候補者に良い印象を残す「不採用の伝え方」のコツ、文例を紹介します。
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不採用通知の重要性

不採用になったとはいえ、候補者は、自社に興味を抱き、選考過程に進んでくれた貴重な存在です。不採用通知は「候補者と自社の今後をつなぐもの」と位置づけて作成・送付すると良いでしょう。採用活動を通じての出会いをきっかけに、自社のファンになってもらったり、顧客であり続けてもらえたりするように心がけるのも大切です。
特にスカウト型採用の場合、候補者は自ら応募してきたわけではなく、企業側から声をかけたことで選考が始まります。不採用を伝える際の対応によっては、企業にマイナスのイメージを与えかねません。経験やスキルの観点で、採用見送りになった場合も、きちんとしたフォローが不可欠です。
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不採用を伝える手段

不採用を伝える手段には、いくつかの選択肢があります。ここでは主なものを紹介します。
メール
企業側も候補者も都合が良いタイミングで送信・確認することができるうえに、形にも残るため、現在では最も一般的な連絡手段でしょう。企業にとっては、他の手段より手間を軽減でき、コストを抑えられるというメリットもあります。
電話
少しでも早く候補者に伝えたい場合、電話で連絡する方法もあります。より誠意が伝わりやすい一方で、候補者が仕事中などですぐに連絡がつかない場合も考えられます。
Web(ビデオ)電話
近年、面談や面接でWeb(ビデオ)電話を活用している企業は増えており、不採用を伝える選択肢の1つに挙げられます。画面越しとはいえ、顔を見ながら不採用を伝えることができるので、候補者に誠実な印象を与えることが期待できます。
手紙(書面)
メールが普及する以前、不採用通知は郵送するのが一般的でした。現在も「正式な書類は郵送する」という企業もありますが、メールでも悪印象を抱く候補者は少ないでしょう。ただ、履歴書や作品集などを返却する場合は、不採用通知と一緒に封書で送ることをおすすめします。応募書類を送付せずに不採用通知だけ送る場合も、あまり他人には知られたくないデリケートな内容なので、ハガキではなく封書で送ります。

不採用通知を作成する際のポイント

次に、不採用通知を作成する際の具体的なポイントを紹介します。メールでの連絡を想定していますが、「候補者への配慮が不可欠」「選考結果を端的に伝える」などの考え方やスタンスは他の手段でも同様です。
候補者への配慮が不可欠
最も大切なのは候補者への配慮を忘れないことです。採用担当者は忙しさを理由に、つい選考過程を通過した人への対応を優先しがちです。一方で、不採用となった候補者は、心理的な負担を感じやすくなります。候補者が自社に対するイメージを損なうことなく、次の就職・転職活動に進むためにも、不採用通知の内容、送付のタイミングなどには十分な配慮を意識しましょう。
タイミングごとに内容を整理する
不採用通知は、書類選考、1次面接や筆記試験、最終面接など、候補者の選考ごとに作成・送付することになります。それぞれのフェーズでどのような内容を送るのが適切なのか、整理することが大事です(具体的な文面は最後に紹介しますので、参考にしてください)。
一目で選考結果だとわかる件名にする
候補者は、複数の会社に応募しているケースもあり、また就職・転職活動以外にも日々多くのメールを受け取っていることもあります。そのため、一目で自社の選考結果だとわかるような件名にすることが大事です。
例えば、
のような件名にすると、受信ボックスの一覧や、他のメールに紛れてしまう可能性を抑えられるでしょう。
宛名をきちんと明記する
文面の冒頭には宛名を記載し、苗字だけではなくフルネームを書くようにしましょう。「佐藤」「高橋」など全国に多い苗字は、候補者が複数いる場合もあるため、候補者の取り違いを防ぐことができます。また、氏名の漢字を間違えないよう、応募書類などを確認しながら正確に入力することも大切です。
選考結果を端的に伝える
不採用通知は選考結果を伝えるためのものなので、結果を端的に伝えることが大事です。しかし、ただ「不採用」とそのまま書くときつい印象を与えてしまいます。「今回はご希望に添えない結果となりました」「採用を見合わせていただくことになりました」などと表現を和らげつつも、相手に不採用であることがきちんと伝わる表現を選びましょう。不採用となった理由は特に記載しなくて構いません。
応募書類の取り扱いについて記載する
履歴書には候補者の生年月日や住所、学歴や職歴など多くの個人情報が記載されています。郵送で返却しない場合は、「弊社で責任を持って破棄する」旨を明記し、適切に処理することが大事です。

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不採用通知を送付する(伝える)際のポイント

候補者に不採用通知を送る際には、迅速で正確な対応が大切です。特に以下の4つのポイントに気を付けましょう。電話などで不採用を伝える場合も、これらを意識することが重要です。
候補者全員に送付する(伝える)ことが望ましい
不採用となった候補者に良い印象を残すためには、少し手間がかかっても全員に送付することが望ましいです。とはいえ、応募者が多いケースでは難しいかもしれません。その場合、書類選考などの初期段階では「通過者のみ○営業日以内に連絡します」とすることもやむを得ないですが、面談や面接に進んだ候補者に対しては、必ず送付することをおすすめします。
期日を守り、迅速に対応する
候補者にとって、選考の合否は一刻も早く知りたいものです。そのため期日を守って連絡することはもちろん、結果が決まり次第、迅速に対応することが大切です。誠実に対応することで、不採用となっても候補者に良い印象を残せるでしょう。
連絡先を間違えていないか、慎重にチェックする
連絡する前に、別の候補者と間違えていないか、慎重にチェックしましょう。多忙のなか確認が不十分だったために、選考過程を通過した候補者に誤って不採用通知を送ってしまったという事故は、残念ながら全くないわけではありません。他にも、同じ人に2度送付してしまうなどという事態も避けたいところです。
人材紹介会社を経由している場合は、人材紹介会社に連絡する
人材紹介会社を経由している場合は、本人ではなく人材紹介会社に連絡します。その際には、今後、自社が求める人材を紹介してもらうためにも、不採用となった判断理由をしっかり伝えた方が良い場合もあります。
候補者として面談・面接などでお会いした以上は、人材紹介会社に任せっぱなしにするのではなく、自社の誠意を候補者にも伝えてもらえるよう依頼することが、企業イメージの向上にもつながるでしょう。
不採用通知の文例

最後に、不採用通知の文例を紹介します。まずは、どの選考過程においても書くべき要素をまとめました。そのうえで、選考段階を(1)書類選考(2)選考過程の初期(3)最終面接と3段階に分け、それぞれについて、書類返却がある場合とない場合の6パターンの文例を示しますので、参考にしてください。
必要な要素
先ほどのおさらいになる項目もありますが、以下の6要素はいずれのケースでも必ず書くようにしましょう。
- 件名
- 宛名
- 応募や面接・面談へのお礼
- 不採用である旨
- 応募書類の取り扱い
- 締めの挨拶
(1)書類選考の段階
書類選考で不採用となった候補者に対しても、丁寧に結果を伝えることが大事です。ただ、あまり丁寧になりすぎるとかえって無礼になってしまい、受け手の感情を損ねかねません。最低限のビジネスメールを意識すると良いでしょう。
○○ ○○様(候補者のフルネーム)
この度は、多くの企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。
ご応募いただいた書類について厳正なる選考の結果、
誠に恐れ入りますが、ご希望に添いかねる結果となりました。
なお、応募書類につきましては、弊社で責任を持って破棄いたします。
○○様の今後のご活躍とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
○○ ○○様(候補者のフルネーム)
この度は、多くの企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。
ご応募いただいた書類について厳正なる選考の結果、
誠に恐れ入りますが、ご希望に添いかねる結果となりました。
なお、お送りいただいた履歴書や作品集につきましては、履歴書に記載されている住所へ郵送にて返送させていただきます。
○○様の今後のご活躍とご健勝を心よりお祈り申し上げます。

(2)選考過程初期の段階
書類選考を通過し、1次面接や2次面接、筆記試験などの段階で不採用となった候補者に対しては、書類選考で不採用となった候補者よりも丁寧な文面にし、面接などを受けてくれたことにも謝意を伝えると良いでしょう。
○○ ○○様(候補者のフルネーム)
この度は、多くの企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。
また先日は弊社までご足労いただき、重ねて御礼申し上げます。
○○様との面接や筆記試験の結果を踏まえ、社内で慎重に検討いたしましたところ、
誠に恐れ入りますが、今回はご希望に添いかねる結果となりました。
せっかくご応募いただいたにも関わらず、申し訳ございません。
なお、応募書類につきましては、弊社で責任を持って破棄いたします。
メールにて大変失礼とは存じますが、何卒ご了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。
○○様の今後のご活躍とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
○○ ○○様(候補者のフルネーム)
この度は、多くの企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。
また先日は弊社までご足労いただき、重ねて御礼申し上げます。
○○様との面接や筆記試験の結果を踏まえ、社内で慎重に検討いたしましたところ、
誠に恐れ入りますが、今回はご希望に添いかねる結果となりました。
せっかくご応募いただいたにも関わらず、申し訳ございません。
なお、お送りいただいた履歴書や作品集につきましては、履歴書に記載されている住所へ郵送にて返送させていただきます。
○○様の今後のご活躍とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
(3)最終面接の段階
最終選考で不採用となる候補者には、これまで面接や筆記試験などで何回も時間を割いてくれたことを踏まえ、特に丁寧な文面を意識しましょう。
○○ ○○様(候補者のフルネーム)
この度は、多くの企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。
また、面談や面接などで度々お時間を割いていただき、重ねて御礼申し上げます。
○○様との面接でのお話などを踏まえ、社内で慎重に検討いたしましたところ、
誠に恐れ入りますが、今回はご希望に添いかねる結果となりました。
何度もご足労いただいたにも関わらず、大変申し訳ございません。
なお、応募書類につきましては、弊社で責任を持って破棄させていただきます。
メールにて大変失礼とは存じますが、何卒ご了承いただきますよう、よろしくお願いいたします。
○○様の今後のご活躍とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
○○ ○○様(候補者のフルネーム)
この度は、多くの企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。
また、面談や面接などで度々お時間を割いていただき、重ねて御礼申し上げます。
○○様との面接でのお話などを踏まえ、社内で慎重に検討いたしましたところ、
誠に恐れ入りますが、今回はご希望に添いかねる結果となりました。
何度もご足労いただいたにも関わらず、大変申し訳ございません。
なお、お送りいただいた履歴書や作品集につきましては、履歴書に記載されている住所へ郵送にて返送させていただきます。
○○様の今後のご活躍とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
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1度不採用にした候補者に、再度コンタクトをとる際のポイント

1度は「不採用」としたものの、何らかの要因で急な求人ニーズが発生し、候補者に再度コンタクトをとるケースも考えられます。その際は、最初にお詫びをしたうえで、自社への入社を検討してほしい旨を謙虚に、丁寧に伝えることが大事です。まずはメールで一報を入れ、あらためて電話をするのも効果的でしょう。
採用担当者は自らを「企業の顔」と意識し、採用を見送った候補者を「自社には関係のない相手」と思わず、最後まで丁寧に接することが大切です。その積み重ねが企業イメージをつくることを忘れないようにしてください。
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