「幹部候補」という言葉は求人票でよく用いられますが、人材を採用した後、実際に経営幹部となったか否かを調査し、その結果を人事施策へつなげられている企業は多いとはいえないようです。採用後に、すぐ幹部にできるような人材が採用できればよいのですが、必ずしもそううまくはいきません。実際には自社の風土に慣れてもらい、必要な人脈を構築したり、経験を積んでもらったりと「幹部候補」を「幹部」にするためには必要なプロセスが発生するケースが少なくありません。
そこで今回は、幹部候補の基礎知識や求められる資質、人材発掘と育成のポイントについてご紹介します。
あなたの面接にあてはまる「ダメ習慣」はありませんか?
ダメ面接官から卒業するための解説資料をダウンロード⇒こちらから
幹部候補の基礎知識

求人広告でよく見られる「幹部候補」の定義と、幹部候補が必要な理由をご説明します。
幹部候補とは
一般的に幹部候補とは「将来的に上位管理職や企業経営者などの重要な役職に就き、大きな成果を出すことを期待されている人材」であると考えられます。幹部候補という言葉は多義的であり、私企業以外でも自衛隊や公務員などの組織において用いられています。今回は、私企業に属する会社員を対象とした幹部候補についてご説明します。
もちろん私企業とはいっても、その規模や方針によって幹部候補に含まれる範囲は異なります。そのため、自社がどの階層の従業員にどのようなありようを求めるか、方針をはっきりさせることで、幹部候補の範囲も明確になるでしょう。
幹部候補として社員を採用したり任命したりすることで、自分が経営に関わっていくという認識を広めることにより、成長を促す効果が期待できます。
幹部候補が必要な理由
幹部候補が求められるのは、企業には経営者視点で経営を考えられる人材が必要だからです。経営者が判断に迷ったときに、自身の経験も生かしながら広い視野で意見を伝えられる幹部がいれば、事業の成長を目指す経営者にとっては非常に心強い存在です。
また、経営者を支える幹部候補の採用と育成は、企業の存続にとって喫緊の課題となっています。東京商工リサーチによると、2018年度には後継者不足を理由とした企業倒産が269件発生しています。幹部候補を絶えず採用・育成しておけば、いざというときに企業の存続につながるのです。
◎ダメ面接官から卒業するための解説資料をダウンロード⇒こちらから
幹部候補に必要とされる主な資質

幹部候補となる社員は、どのように選出したらよいのでしょうか。幹部候補に求められる資質をいくつか挙げます。自社で選出される際の参考にしてください。
柔軟性
柔軟性は既存の方針・習慣にとらわれず、そのときの状況や相対する顧客・パートナーなどに応じて最適と思われる対応方針を定められる能力を指します。企業を取り巻く環境変化はスピードを増し、多様化が進んでいます。国や地域、業種など異なる価値観を持つ相手と一緒に仕事をする機会は、さらに今後も増えていくでしょう。
このような環境下で固定観念にとらわれては、事業の進行や意志決定の正確さ・スピードなどに支障をきたすリスクが高まってしまいます。相手に合わせるだけではなく、柔軟かつスピーディーに適確な判断をくだせる資質は、幹部候補に欠かせないといえるでしょう。
胆力
胆力は、逆境にくじけず業務を推進できる力であり、対立や競争のなかでも自分の意見を貫けることでもあります。社内において経営方針をめぐる対立や、社外においては競合他社・他業界などとの競争によって、経営者にはさまざまな課題が日々突きつけられるでしょう。幹部候補には、必要に応じて自分の業務や思いを貫く強さも必要です。ただし、ひとりよがりでは周囲がついてきません。先に挙げた「柔軟性」も兼ね揃えていることが望ましいでしょう。
コミュニケーション能力
経営者は、社内外において、広くコミュニケーションを求められるケースがあります。経営に関する折衝もあれば、従業員と働き方についての意見交換など、内容は多岐に及びます。このように、多様な立場の人と目線を合わせられるようなコミュニケーション能力は、幹部候補がぜひとも鍛えておきたい能力です。
視野の広さ
自社や自社グループ全体の経営状態を総合的に把握するためには、経営や会計、人事といったバックオフィスから、営業や開発といった現場まで、多角的な視点を持つことが必要です。また、国内外の政治や経済にも目を向けて、常に自社の置かれた立場を把握する意識も求められます。
ダメな面接官に共通する特徴をピックアップし、面接の質を向上させませんか?
◎ダメ面接官から卒業するための解説資料をダウンロード⇒こちらから
幹部候補を見つけるための3つの方法

幹部候補を見つける方法としては、いくつかありますが、企業・組織が抱えている課題や育成期間から逆算して、決めるのがよいでしょう。ここでは3つの方法について、簡単に説明します。
社内公募
社内公募では、社内から幹部候補となるべき人材を選出します。
社内公募のメリットは、社員のモチベーション向上と既存知識・経験を生かせる可能性の高さです。社内でキャリアアップを目指す道が明確に示されるわけですから、社員がこれまでより高い意識で働いてくれる可能性があります。また公募する立場から見ても、自発的に応募してくる社員は育成しやすいですし、これまで社内で働いてきた経験を生かしやすいです。
リファラル採用(リファーラル採用)
社員の紹介によって人材を探し、採用するのがリファラル採用(リファーラル採用)です。SNSなどコミュニケーションツールの発達・普及もあり、以前に比べてリファーラル採用がしやすい環境になったたといえるでしょう。
リファラル採用における候補者は、自社を理解した社員からの推薦のため、会社の方針から大きく外れた人材が挙がってくるリスクは低いと考えられます。
中途採用
新たな風を組織に吹かせるべく、外部から人材を登用する企業も少なくないようです。
職務経歴やスキルだけではなく、自社の風土にマッチする人材であるかを確認することが大切です。求人メディアや人材紹介会社、ヘッドハンターなどさまざまな採用チャネルがありますが、求める人材像と自社の採用予算に合わせて選定しましょう。
ダメな面接官に共通する特徴をピックアップし、面接の質を向上させませんか?
◎ダメ面接官から卒業するための解説資料をダウンロード⇒こちらから
幹部候補の育成プラン

幹部候補を見つけた後に大切になるのが、育成プランです。
育成方法には、一律的な答えがあるわけではありません。将来的に経営上の重要な領域を任せるわけですから、外部の研修機関や講師を活用したり、OJTなどを通じ、経験を積ませたりしましょう。
ロールモデルを示す
育成のゴールを共有するためにも、自社(経営者)の求める幹部像を示すべきでしょう。面談やメンター制度などを活用し、現在の幹部と幹部候補が交流する機会を設けるのもよい方法です。
成長を可視化する
幹部候補が順調に成長しているか、定期的に評価し、フィードバックしましょう。想定通りのスピードで成長できているか、周囲を納得させられる成果を上げているかなどを明らかにしましょう。
フォロー体制を整える
強いストレスを感じる幹部候補もいます。プレッシャーや不安を軽減するフォロー体制を用意しましょう。定期的なストレスチェックやカウンセリングなども必要です。
企業は幹部候補を戦略的に育成する必要があります。そして育成には時間がかかることも考慮しなくてはなりません。まずは幹部候補の育成の必要性を社内全体で共有し、どのように見つけ出すか、さらには育成プランについて話し合ってみてはいかがでしょうか。
5年後の組織を思い描けますか?

人材不足が深刻化するなか「必要になってから人材を採用しよう」としてもそう簡単にはいきません。
「未来を見据えた採用」によって、組織や事業は変わります。
本資料を参考に、5年後を見据えた人材採用計画について考えてみましょう。