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採用選考において採用基準の項目をどのように設定するかで、選考の質が変わってきます。
今回は、採用基準の重要性と重視すべき項目、さらに自社に合った項目を選出する際のポイントを説明します。
採用基準とは
採用基準とは、自社にとって必要かつ最適な人材を採用するために、採用選考において必要とされる指標です。面接を行う社員の主観的な判断によって差が出ないよう、策定します。採用活動を始めるにあたり、あらかじめどういった人材を求めているのか、基準を言語化し、マッチング精度を向上させる「採用活動のマニュアルの一部」ともいえるでしょう。
採用基準の重要性
選考プロセスの透明性は、選考を受ける側にとっても、迎え入れる社員にとっても、安心感や納得感をもたらす重要な要素です。透明性の担保には、採用に関する基準が必要であり、その基準によって公平に判断されたことが明白にならなければなりません。
採用活動が長期間にわたる場合や、複数の担当者が関わる場合でも、一貫性を持った基準で採用活動を行うことが重要です。採用基準がない場合、採用はできたとしても、入社後にミスマッチだったことに気付くといった事態も招きかねません。
採用基準で重視されている項目
採用基準ではさまざまな項目が候補としてあがりますが、その中でも特に重視される項目について説明します。採用基準は新卒採用と中途採用で異なることに注目すると、成果が期待できる項目を選び出すことができるでしょう。
新卒採用の場合
一般社団法人日本経済団体連合会の「2018年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」によると、「選考にあたって特に重視した点」の第1位は「コミュニケーション能力」となりました。「コミュニケーション能力」は16年連続で第1位にあげられており、新卒採用の場合はもっとも重視すべき項目といえるでしょう。第2位には、10年連続で「主体性」があげられ、「チャレンジ精神」は3年連続で第3位を維持しています。
社会人経験のない新卒採用の場合は、人柄や潜在能力といった将来の可能性に魅力を見出す傾向にあります。
中途採用
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「企業の多様な採用に関する調査」によると、2016年度に中途採用を実施した企業において、中途採用を実施する主な理由は「専門分野の高度な知識やスキルを持つ人が欲しいから」(53.9%)がもっとも高い結果となりました。また、調査結果からは、規模の大きな企業は「専門分野の高度な知識・スキルがある人」「ポテンシャルがある人」を、規模の小さな企業は「若年層の人」を、求める傾向が高いことがわかりました。
中途採用を実施する企業では、これまでの業務を通じて得たスキルや知識への期待がもっとも重視されています。しかし必ずしもそれだけではなく、入社後の成長なども期待して採用されていることがうかがえます。
採用基準の項目、選定ポイント
採用基準の項目を選定する際、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか。ここでは、2つの選定ポイントを紹介します。
コンピテンシーを活用
コンピテンシーとは、高い成果や業績をあげている社員に共通して見られる思考の傾向や行動特性のことです。自社で優れた成果をあげている社員など高く評価されている社員を分析し、そのコンピテンシーを言語化しましょう。これらは、社員を育成する際の目標になるだけでなく、採用基準の項目として活用できます。コンピテンシーを作成する際は「どのような行動をすれば、成果につながるか」という行動特性を言語化しますが、その際、実際に行動した内容ではなく、なぜそのような行動に至ったのかという思考の部分に着目することが大切です。
社会人基礎力の活用
採用基準の項目を決める際には、「社会人基礎力」を参考にすることもおすすめです。社会人基礎力とは、職場や地域社会などで多様な人々と仕事をしていくうえで必要となる基礎的な力として、経済産業省が2006年に提唱したものです。
社会人基礎力は、3つの能力に区分され、その構成要素として12の能力要素が定められています。3つの能力とその構成要素は、以下のように分けられています。これらの要素を採用基準の項目に用いるのもよいでしょう。
1.前に踏み出す力(アクション):一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力
〈構成する能力要素〉
- 主体性:物事に進んで取り組む力
- 働きかけ力:他人に働きかけ巻き込む力
- 実行力:目的を設定し確実に行動する力
2. 考え抜く力(シンキング):疑問を持ち、考え抜く力
〈構成する能力要素〉
- 課題発見力:現状を分析し目的や課題を明らかにする力
- 計画力:課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力
- 創造力:新しい価値を生み出す力
3.チームで働く力(チームワーク):多様な人々とともに、目標に向けて協力する力
〈構成する能力要素〉
- 発信力:自分の意見をわかりやすく伝える力
- 傾聴力:相手の意見を丁寧に聴く力
- 柔軟性:意見の違いや立場の違いを理解する力
- 情況把握力:自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
- 規律性:社会のルールや人との約束を守る力
- ストレスコントロール力:ストレスの発生源に対応する力
採用基準の項目に関する注意点
採用基準の項目に関して、いくつか注意すべき点がありますので紹介していきます。
禁止されている項目を含めない
法律上、採用基準に含めることが禁止されている事項があります。合理的な理由もなく、性別や年齢、身長・体重、障害・病気の有無、転居要件などを採用基準とすることは禁止されています。
配慮を求められる項目を含めない
適性や能力に関係のない個人情報を把握しようとする行為は、差別につながるおそれがあります。以下にあげる事項は、採用基準ではなくても、面接でつい聞いてしまうケースもありえます。個人への配慮には十分注意しましょう。
- 本人には責任のない事項
本籍・出身地に関すること、家族に関すること、住宅状況、生活環境・家庭環境など
- 本来自由であるべき事項
宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合などの加入状況や活動歴、学生運動などの社会運動など
人事と現場で認識合わせをする
採用基準の項目は人事部門が主管となり作成するケースが多いですが、入社後のミスマッチを防ぐためには各現場の意見を取り入れることも大切です。採用された人材がともに働く現場の上司や責任者、スタッフからヒアリングした要件や人物像を採用基準の項目に含め、マッチング精度を向上させましょう。一度作成したら終わりではなく、組織や事業の変化に合わせて、定期的に見直すようにしましょう。
明確な言葉で定義する
採用基準の項目は、明確な言葉で定義します。人によって異なる解釈をしてしまうようなあいまいな言葉では、採用基準の項目として機能しないおそれがあります。さらに評価項目に対し、どれくらい合致するかを測るためにも、5段階や7段階など尺度を設定し、それぞれの段階がどのような状態であるかも、言葉で明確に定義するとよいでしょう。「ある」「ない」の2択ではなく、段階を設けることで、採用対象となる人物の枠を広げることも可能です。
候補者を公平に見極める。「面接」の手法を見直そう

採用活動における課題の一つが、面接官による評価のばらつき。「面接手法」を改めて見直し、判断基準を標準化しましょう。
本資料では「構造化面接法」と「インシデントプロセス面接」をご紹介します。