日本企業の多くが、長年にわたって採用している年功序列制度に代わり、現在多くの企業が、成果主義を導入しています。それに伴い、若手人材を管理職や管理職候補として登用しようという動きが活発化。登用のための昇格試験を整備する企業も増えています。
管理職の昇格試験の導入等によって、勤続年数にかかわらず優秀な若いリーダーが活躍する機会を提供することが可能です。この記事では、企業の人事担当者が管理職の昇格試験制度を検討する際に考えておかなければならない、昇格試験の目的や評価基準について説明します。
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管理職の昇格試験について

そもそも管理職の昇格試験はなぜ必要なのでしょうか。管理職の昇格試験には、企業の財産である人材を育成し確保する目的があり、その目的に沿った審査があります。ここでは、昇格試験の目的と審査方法について説明します。
目的
管理職の昇格試験には、大きく3つの目的があります。
1つ目は、管理職の適性がある人材の見極めです。キャリアは、ある分野に特化したスペシャリストになる「専門職キャリア」と、メンバーの育成や広い知識・技術を用いてプロジェクトをマネジメントする「管理職キャリア」の2つに大別されます。後者の「管理職キャリア」は影響を与える範囲や人数が多く、管理職を担う社員にその適性があることが、組織運営上においても、非常に重要です。
2つ目は、管理職の登用における、公平性を保つことです。管理職やその候補を、上司の個人的な主観で抜てきした結果、その上司 にとっては問題ないと思っていても、企業や組織にとっては適正な人材ではなかったというケースも起こり得るのです。候補者全員に対し、同じ試験を実施して、同じ審査基準で適性を評価し、昇格させるかどうか判断することで公平性を保ち、候補者本人や周囲の納得を得ることができます。
3つ目は、候補者本人の成長機会を与えることです。試験という機会を通じ、よりレベルの高い視点で課題を捉えたり、部下の育成を考えたり、管理職として物事を認識したりすることによって、昇格の有無にかかわらず候補者自身の経験や成長機会につながります。

審査方法
昇格試験の審査内容は企業によって異なりますが、いくつか代表的な審査方法を紹介します。
- 筆記試験
筆記試験では、業務上必要な専門知識や一般常識などの試験に加え、適性検査を用いる企業も多くあります。適性検査は大きく「性格検査」と「能力検査」の2つに分類されます。
性格検査では管理職として求められる職種への適応力が判断されます。また、能力検査においては、論理的な思考力・発想力・一般常識などを測ることが多いようです。
- 論文
小論文では、論理的思考力や課題発見力があるかを判断できるテーマを課題に設定することがポイントです。課題に対して自分の考えを文章で述べてもらい、問題意識の高さや論理構成力などを評価します。
日々の情報収集能力に加え、説得性のある論理の構築や解決のための手段を選択する根拠など、候補者はロジカルシンキングができるタイプかどうか、それを相手に伝える能力が高いかどうかなどを見抜くことができます。
- 経営者や役員との面接
昇格の判断において、最終段階で実施されることが多いのが、経営者や役員との面接です。面接では、候補者が管理職に昇格したときに成果を出せるか、プレッシャーやストレスに耐えられるか、部下を育成できるかなどを見極めるため、多角的に質問することが大切です。責任感やリーダーシップなど、管理職に必要な素養やスキルがあるかを、面接での会話を通じ判断します。
▼管理職が部下をマネジメントする方法については、こちらの記事もご覧ください▼
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管理職の昇格試験で部門に共有・依頼しておくべき事項
管理職の昇格試験の実施は、候補者が所属している部門の上司も交えて決定されることが多いです。どの候補者も公平な条件のもと昇格試験に臨めるよう、人事部門は各部門長に対して、全体スケジュールをはじめ、各種情報を正しく周知しなくてはなりません。
次に、審査内容については、どのような審査が予定されているかを知らせておくことも必要です。これまでの人事評価、在籍年数、TOEICのスコアなど、昇格試験を受けるうえでの必須条件も、あらかじめ伝えておきましょう。

管理職の昇格試験──小論文の評価ポイント

小論文を評価する際のポイントについて説明します。なお、1回の審査で昇格できなかった人は次回以降も試験を受ける可能性がありますので、出題側は小論文のテーマを試験ごとに考える必要があるでしょう。
論理的思考力
小論文では、論理的思考力があるかどうかを見極めます。要点が端的にまとめられていて、読み手を引き込む内容になっているかがポイントです。
課題発見力
組織を俯瞰するうえで重要となるのが、何が問題で、何が課題なのかを明確にする力です。小論文でも、与えられたテーマに対し、制限時間内に、問題の本質を的確に捉えて、課題として的確に認識しているかをチェックします。
説得力
意見をただ列挙しただけでは、読み手に伝わらないケースもあります。小論文においては、説得力の高い文章を構成できるかが重要になります。
多角的視点
今のポジションから視座を上げ、経営的な視点を持つのはもちろんのこと、時には現状を疑うような視点も必要です。会社や組織の発展を推進する人材となり得るかを判断するうえで、評価に取り入れるとよいでしょう。

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管理職の昇格試験における注意点

最後に、昇格試験を実施する際の注意点を説明します。ポイントを押さえずに実施してしまうと、昇格試験が候補者となる社員のモチベーションを下げる原因になるなど、試験自体が組織にとってマイナスに働きかねません。昇格試験を実施する際には、以下のことに注意しましょう。
多角的な視点で審査する
昇格試験は、候補者本人にとっても、会社にとっても重要な人事制度です。的確な判断を行ううえで、多角的な視点で審査する必要があります。
面接では、候補者が知っている社員である場合に面接官自身の個人的な思い込みや相性が、評価に影響してしまう可能性もあります。できるだけ公正な審査を行うために、面接官は3人以上とし、多角的な視点や役割を持って、面接に臨むとよいでしょう。
不合格者には丁寧にフィードバックする
昇格試験を受けるにあたって、業務以外の時間も使って、試験に向けた準備する候補者もいます。候補者によっては、昇格できなかった場合の落胆が大きなものとなり、業務に対するモチベーションが下がる可能性もあるでしょう。
なぜ自分が落ちたのか腑に落ちないままでは、部門や会社への不信感や不満にもつながる可能性もあります。不合格の場合には、なぜ不合格になったかを、丁寧にフィードバックし、自身の足りなかった部分を認識させ、次回以降もう一度挑戦しようと思えるように、適切にフォローをすることが大切です。

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社内での育成だけでなく、優秀な管理職を採用する方法も

管理職は、企業にとって将来の事業成長を左右する重要な役割を担っています。多数の部下を持ち、周囲への影響力も強くなります。今回は、既に在籍している社員を、適正な昇格試験によって選抜する方法を紹介しましたが、社内で登用するだけではなく、社外から管理職にふさわしい人材を採用する方法も考えられます。データベースから直接アプローチできる「ビズリーチ・ダイレクト」で、自社に合った管理職候補を探してみるのもよいでしょう。
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