オンラインで動機付けをするための5つの対策|人材採用のニューノーマル vol.3


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新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、採用面接のオンライン化が進んでいます。距離、時間、さらには会議室の調整などさまざまな制約がなくなり、対面面接だけを実施していたころと比べて多くの面接に対応できるようになった企業も多いようです。

一方、オンライン面接を導入した企業の採用担当者からは「オンラインで、自社の魅力や思いを伝えるのが難しい」「候補者の反応がわかりづらく、手応えを感じない」といった「動機付け(アトラクト)」に関する悩みが寄せられています。

株式会社ビズリーチでは、ビズリーチ導入企業を対象としたオンライン勉強会「人材採用のニューノーマル『オンライン採用』の基本と実践」を開催。株式会社人材研究所代表の曽和利光氏、オンラインコミュニケーションについてアカデミックな知見を持つ株式会社ビジネスリサーチラボ代表取締役で採用学研究所所長の伊達洋駆氏を講師にお迎えし、3回目となる2020年7月9日は「オンライン面接での動機付け(アトラクト)」をテーマに、お話しいただきました。

曽和 利光氏

講師プロフィール曽和 利光氏

株式会社人材研究所 代表取締役社長

2011年に株式会社人材研究所を設立、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。
伊達 洋駆氏

講師プロフィール伊達 洋駆氏

株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役

株式会社ビジネスリサーチラボ代表取締役。採用学研究所所長。神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、データ分析や組織サーベイのサービスを提供している。

動機付けがうまくいかない原因は「会話のしにくさ」

Vol.2「オンライン面接での選考(ジャッジ)」では、アイコンタクトやアクセント、服装、表情などの「非言語的手がかり」が減少するために会話の中身に集中できるとお話ししました。さらに、面接の進め方や質問内容、評価の基準などをあらかじめ体系化する「面接の構造化」を行うと「オンライン面接は精度の高い見極めができる」ということがわかりました。

しかし、オンライン面接において「見極め」の前に立ちはだかる悩みが「動機付け(アトラクト)」の難しさです。

伊達:あくまでも対面面接との比較ではありますが、オンライン面接は一貫して「動機形成の効果が弱い」といわれています。例えば、オンライン面接を受けた候補者からは、「面接官に対して、親しみを感じにくい」「企業に魅力を感じにくい」「面接の評価結果に対して納得感を持ちにくい」といった声があがっています。

悪影響の例

曽和:候補者に企業への志望度が高まった要因をたずねた調査では、「面接官が与える印象が大きい」との回答が多く見られました。オンライン面接において、先ほどあげられたような、「面接官に親しみを感じない」「面接の結果に納得できない」といった傾向が強く出てしまうのは、採用担当者にとって見過ごせない結果ですね。

伊達:面接では、企業の代表者としての「面接官」と接することを通じて、候補者は「この会社はどんな会社だろうか」と推測するといわれています。特に日本の採用においては、入社後の仕事内容がそこまで明確に決まっていないケースも多く、より一層「面接官」が重視されているのでしょう。

さらに、対面面接を受けた候補者より、オンライン面接を受けた候補者のほうが「内定承諾率が低い」という研究もあります。最近は、企業の方から、「内定を出してから承諾を得るまでの期間が長くなっている」という話も聞きます。

曽和:内定承諾まで時間がかかるし、承諾率も下がっている。Vol.2「オンライン面接での選考(ジャッジ)」でお話しいただいた内容から、見極めの精度は高まる、つまり自社に「フィット」はしているはず。しかし、フィットしているにもかかわらず、相手に承諾してもらえない。ここにはどんな仮説が考えられるのでしょうか。

伊達:対面面接に比べると、オンライン面接は「会話がしにくい」という事実がありました。会話を円滑に進めるきっかけとなるジェスチャーやアイコンタクトなどの非言語的手がかりは、対面面接では多くなりますが、オンライン面接では減少する。「会話はしにくい」ものの、言語的情報に集中するので、見極めの精度が高まる、ということでした。

しかし、今回のテーマである「動機付け」の難しさは、その「会話のしにくさ」が裏目に出てしまった結果なのです。

「相手のせい」にしてしまう、人間の心理

曽和:選考(ジャッジ)に続き、動機付け(アトラクト)でも「会話のしにくさ」がカギとなるのですね。でも、会話しにくくなっただけで、企業に対してネガティブな気持ちになってしまうなんて、正直「たったそれだけで?」と思ってしまったのですが、これは一体どういうメカニズムなのでしょうか。

伊達:「会話がしにくい」だけで、企業に対する印象が悪くなる。シンプル過ぎる気もしますが、その背後には人間の心理的なバイアスが機能しています。

研究のなかでは、オンライン面接で会話がしにくかったことで、自分の能力を十分に発揮できなかった、つまり「能力発揮感の低下」が生じるといわれています。そうなると、「ちゃんと自分のことを評価してもらえたのか」と、候補者は不安になります。

その理由としては

曽和:仮に候補者が不安な気持ちを抱えたまま、内定を受け取ったとします。すると、その候補者は「内定」をもらったにもかかわらず、「この内定は、きちんと自分を評価したものなのか? 自分のことをきちんと理解していないのに出した内定ではないか?」といった心理状況になってしまうということでしょうか。

伊達:その可能性はあると思います。「きちんと自分を見てもらえていない」と感じているわけですから。この不安や不満の部分、そして、それを発生させている「能力を発揮できなかった」という感覚が、「動機付け」にマイナスの影響を及ぼします。

人はうまくいかなかったときに「相手のせい」にしてしまうというバイアスを持っています。これは採用活動だけでなく、さまざまなシーンに当てはまるものです。面接において、候補者が自分の思うように話せなかった場合も、「面接官の人当たりが悪かったのではないか、能力が低かったのではないか」と考えてしまう。その結果、動機形成の効果が得られない、もしくはマイナスの状態になっています。

面接官のせいに

曽和:確かに「印象の悪かった面接」についてたずねるとき、候補者側の「面接官が自分に対して興味を持ってくれなかった」という意見はよく聞きますね。

伊達:円滑な会話ができないと、「自分に対して関心を持っていない、承認してくれなかった」という感覚になりやすいのかもしれません。

アトラクトとは、候補者側からすると「この会社に入ったら、自分はうまくやっていけそうか」を評価し、見極めることです。候補者が「入社後うまくやっていけそうか」を判断する際に、「自分のことを高く評価してもらえているか」という点は非常に大事な情報となるのです。

曽和:面接の場で印象や感想をフィードバックすることをタブー視している会社も多いのではないかと思いますが、オンライン面接の場合は、評価が高ければその場できちんと言葉にして候補者に伝える、つまり感情を伝えることが必要になっていくかもしれませんね。

伊達:おっしゃる通りだと思います。きちんとフィードバックをして、この会社とあなたは合っていますよという「フィット」をきちんと伝えないと、動機形成は難しいといえるでしょう。

オンライン面接で動機付けをするための5つの対策

曽和:これまで対面で行っていたことをただオンラインに載せ替えただけでは、動機形成は非常に難しい、それどころか候補者が企業にネガティブな印象を持ってしまう可能性が高いということがわかりました。それらを踏まえたうえで、企業はどのようにオンライン面接に取り組んでいくべきなのか。対策の研究もなされているのでしょうか。

伊達:はい、今回は研究知見をもとに考えられる対策について整理しました。対策の基本方針はシンプルです。候補者が「自分の能力を発揮できた」と感じられる環境を提供することです。こうした環境の構築を支援する対策をご紹介します。

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対策1:ガイドラインを提供する

伊達:まずは基本的なことですが、オンライン面接を始める前に「通信環境をチェック」しましょう。接続が不安定な場合は、電話による面接に切り替えるなど、その状況に応じたフォローが大事になります。「こんなことから始めるのか」と思った方がいらっしゃるかもしれませんが、能力発揮感を高めるには細かな点も大切になります。

曽和:確かに、「Zoom」のようなオンラインツールに慣れてきた人も増えてきたと思いますが、それでも今日のような勉強会などで、丁寧にガイドしてチャットへの投稿などを呼び掛けているケースがあります。面接でもそうした丁寧なフォローが必要ということですよね。

伊達:企業のスタンスにもよりますが、「こんなことを質問します、ご準備ください」「オンライン面接中に技術的なトラブルが起きたときはこのように対処してください」といった情報を事前に送っておくと、候補者は安心して面接に臨むことができ、「能力を発揮できた」という感覚も得やすいといわれています。

ガイドラインの構成案

特にオンライン面接に慣れていない候補者に対しては、より丁寧に事前の働きかけを行うようにしていただきたいですね。

曽和:最近聞いた事例なのですが、最終面接に入る10~15分前に、人事が練習相手をしてから、本番に送り出すケースもあるようです。これも「慣れ」をつくっているということですよね。

伊達:そうですね。また、候補者に対してだけでなく、オンライン面接に「慣れていない面接官」向けにもガイドラインを用意すると効果的です。例えば、最終面接を行うような職位の高い方は、面接回数は少ないけれど、動機形成に大きな影響力を持っていますから。

対策2:自分の顔を見せない

伊達:2つ目ですが、「候補者が自分自身の顔を見られないような状況にしたほうがいい」といわれています。人は自分の顔が見えると気になってしまい、パフォーマンスが落ちてしまう。無意識のうちに自分をモニタリングしてしまい、そちらに自分の能力の一部を使ってしまうのです。

曽和:そもそも対面面接の場合は自分の顔なんて見えていないわけですから、不要ですよね。

伊達:自分の顔が見えているということは、対面面接でたとえるなら自分の目の前に鏡が置かれているような状態です。想像すると、かなり違和感がありますよね。オンラインとはいえ、能力を発揮してもらうためには、こういったことにも気を付ける必要があるのです。

自分の顔を見せない

※「Zoom」の場合、「セルフビューを非表示」を選択すると、自分のディスプレーから、自分自身の画面を非表示にすることが可能。詳細な設定方法はこちら(日商エレクトロニクス株式会社のサイトに移動します)。

対策3:電話も活用する

伊達:3つ目は「面接後の電話活用」です。これは研究の結果を見ていただくとわかりやすいと思うのですが、面接官に対する好感度が面接の手法によってどれほど異なるのかを検証した研究があります。

電話面接の方が良い

オンライン面接と対面面接の比較のなかで、オンライン面接のほうが面接官に対する好感度が低いことはすでにご説明しましたが、注目すべきは真ん中にある「電話面接」です。電話面接のほうが、オンライン面接よりも好感度が高く、そして対面面接と同程度であるというのは非常に興味深い結果です。

例えば、電話をしていると、お互いの声がぶつかることはあまりないと思います。先ほども私と曽和さんで何度かありましたが、ビデオ通話でのコミュニケーションは、声がぶつかってしまうことがあると思いませんか。

曽和:確かに。電話のほうがオンライン(ビデオ通話)に比べて得られる情報は減るはずなのに、どうしてでしょうか。

伊達:電話のほうが限られた情報に集中するから、という理由が考えられます。あとは、電話でのコミュニケーションのほうが慣れ親しんでいる、というのもあるかもしれません。

曽和:なるほど。しかし、これは2001年の研究のようなので、もしかするとここから少し変化している可能性がありますね。最近の若者は電話を嫌う傾向があるともいわれているなかで、今後は文化的なメディアリテラシーの変遷も含めて考える必要があるかもしれません。

対策4:面接を「構造化」する

伊達:4つ目は面接の「構造化」です。オンライン面接において構造化が重要であることは一貫していわれていることですが、「見極めの精度が高まる」だけでなく「動機形成にもつながる」というのが、興味深い点だと思います。

曽和:これは前回の驚きポイントでしたよね。

伊達:本日初めて参加された方向けに「構造化」について簡単にご説明します。「構造化」とは、「構造化面接法」という面接手法を指し、候補者に行う質問の内容を共通にしたり、評価の基準を共通にしたりするなど、事前に体系的に準備して、面接を進めていくものです。

曽和:簡単にいうと「面接のマニュアル化」ですよね。

伊達:そうです。でも「マニュアル化すると、自社に魅力を感じてもらいやすくなる」というのは、よくわからない感じがしませんか。

ただ、対面面接を「構造化」した場合より、オンライン面接を「構造化」した場合のほうが、候補者がその企業に引かれる度合いが高くなるという結果が出ています。動機形成において、オンライン面接と対面面接では「構造化」による影響が真逆になるわけです。

企業魅力への影響

※グラフに関する注記
実線が「対面面接」、点線が「オンライン面接」を表す。縦軸は「候補者が面接を受けている企業に対して魅力的に思う気持ちの度合い」を示す。オンライン面接(点線)では「Unstructured(構造化されていない)」から「Structured(構造化された)」において、魅力的に思う度合いが右肩上がりになっている。

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オンライン面接についてお話しする前に、対面面接を「構造化」すると「選考(ジャッジ)の精度は高まる」のに、なぜ「動機付け(アトラクト)は低くなる」のかを説明しますね。

これは、本来、候補者と面接官が普通に会話をしようと思えばできる状態のところに、「構造化」が加わることで、会話が不自然になったり、途切れやすくなったりすることが原因です。それによって、候補者はぎこちない印象や、自分がテストされているような感覚を受け、企業に対する印象に悪影響を与えるのです。

他方、オンライン面接では、そもそも円滑に会話がしにくい状況なので、むしろきちんと構造化したほうが、会話がしやすいうえに、能力を発揮できたという感覚を得やすい。その結果、自社に引きつけることにつながるのです。

対策5:フィードバックをする

伊達:最後の対策は「フィードバック」です。なかでも有効なフィードバックだといわれているのが、「P-O fitが高い」ことを候補者に伝える手法です。「P-O fit」とは、「Person-Organization fit」の略で、採用面接においては「候補者と企業がマッチしている」状態のことです。

曽和:それは「あなたはうちの会社に合っているよ」ということを伝えるわけであって、「あなたはすごい」のような、単に良いところを褒めるフィードバックではないということですよね?

伊達:おっしゃる通りです。候補者は「入社後にうまくやっていけそうか」を判断したいため、たとえ自分が「すごい」と言われたとしても、その会社で能力を発揮できなさそうと感じれば「うまくやっていけない」と判断してしまいます。面接官が「あなたならうちの会社でうまくやっていけますよ」と、自社への「フィット」を伝えることが、フィードバックのなかでも有効といえます。

「フィット」にはいくつか種類があるのですが、研究のなかでよくいわれるものが3つあります。1つ目は「Supplementary fit」で、類似度を指します。例えば、「うちの会社は穏やかな社風なので、あなたのように穏やかな性格の人は合っている」といったことです。2つ目は、「Need-Supply fit」で、「候補者が求めることを企業が提供できる」という意味での「フィット」です。そして、3つ目の「Demand-Ability fit」は、2つ目とは反対に「企業が求めることを候補者が持っているか」を指します。

P-O fitの種類

曽和:動機形成にP-O fitは使っていましたね。「うちの会社はこういう人を求めているんだ」と話して、少し会話をした後に、「あなたはそういうところがあるよね」と伝えてみたり。この「少し間隔を空ける」のがポイントなのですが、間髪入れずに伝えると、どうしても取ってつけたように感じられてしまうと思うんですよね。

伊達:なるほど。企業が候補者に「フィット」をすぐに全て伝えることもできますが、間隔を空けることで、候補者に考えさせたり、感じてもらったりすることもできるのですね。

採用研究のメタ分析(※)においても、P-O fitは求職意思を高めるのに効果的であると検証されています。求職意思というのは、候補者の「その企業の選考を受け続ける気持ち」、つまり選考から離脱しないという意思です。選考プロセスにおいては、初期・中期あたりで大事になってきますので、フィードバックもこのタイミングに手厚くしておくと有効でしょう。

※メタ分析:同じ研究課題について公表された多数の研究結果を収集し、さまざまな角度からそれらを統計的に分析する方法

「玉ねぎモデル」で、相手と釣り合う自己開示を

伊達:さらに、候補者との信頼を形成するのに有効となるのが「面接官の自己開示」です。自己開示には「玉ねぎモデル」という手法があります。玉ねぎは皮があって、どんどんむいていくと芯にたどり着きますよね。自己開示も玉ねぎのように、表から順番に、要は浅い情報から順番に伝えていくことが大切です。徐々に相手との距離を詰めていくイメージです。

少しずつ開示する

曽和:「コアパーソナリティ」の「最もプライベートな情報」というのは「家庭環境」「持病」などを指すのでしょうか。

伊達:そうですね。ただ、採用活動においてはこの辺りに触れることはあまりないでしょう。仮に面接官から開示されたとしても、候補者がリアクションをとりにくく、動機付けにはつながらない。逆にネガティブな影響を与えかねません。

自己開示は相手とのバランスがとれているかということが非常に大切です。自分と相手の開示の程度が釣り合っていないと、相手に対する好意度やコミュニケーションの心地よさが低くなってしまいます。

この点は、特に面接というシチュエーションでは気を付けたいところです。面接官は候補者に対していろいろ質問をして開示を求めますが、同時に面接官自身も積極的に開示していかないと、自己開示の程度が釣り合わなくなってしまう恐れがあります。候補者が「自分だけが丸裸にされた」と感じるのは良い状態ではないということです。

また、もう1つ自己開示を促す手段とされているのが「協調的な関係」、つまり「私と面接官は仲間なんだ」と感じてもらう関係づくりをすることです。就職活動において注意したいのは、「対策本」なども出ていますが、候補者が「攻略しよう」というスタンスになってしまうことです。

仲間になるためには、共通のゴールをつくること。目指すところが一緒であれば、そこへ共に向かうことができる仲間になれるので、自己開示も進みやすくなると考えられます。

共通のゴール
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WHATではなくWHYで「入社動機」を語ろう

曽和:最後に私から「自己開示のポイント」について、より実践的にご説明したいと思います。先ほどの玉ねぎモデルの話の通り、いきなり深い話を始めてしまっても、相手は引いてしまうので、タイミングや流れが重要です。そこで私がいつも唱えているのが「入社動機を語るときが、自己開示のチャンス」です。

実践的には「入社動機」が自己開示のチャンス

入社動機を話す機会は、採用に携わる方なら度々あると思うのですが、「WHAT」つまり「何が好きなのか」の話しかしない方が結構多いです。候補者に「なぜこの会社に入ったのですか」と聞かれたときに、「自社の好きなところ」の話しかしない。しかし、どんなに自分が共感した「会社の理念やビジョン」について語っても、候補者にとっては、それはただの「会社説明」にすぎないのです。

でもそこに「WHY」を加える。例えば「なぜ、その理念をいいと思ったのか」。自身の価値観の理由を、生い立ちや経験をベースに、自然なかたちで自己開示をしながら語るのが「入社動機」なのです。

「入社動機のブラッシュアップ」は、面接官トレーニングでもよく取り組むコンテンツの一つです。本日参加された皆さんもぜひ実践していただけたらと思います。

◆        ◆        ◆

勉強会の冒頭では、オンライン面接は動機形成の効果が低く、内定承諾率も低いという、企業にとっては厳しい調査結果が伝えられました。しかし、それらの要因となるオンライン面接における「会話のしにくさ」をリカバリーする対策、動機形成の効果を高める方法はいくつもあることが明らかになりました。

本勉強会の最終回となるVol.4では「オンライン面接での入社オンボーディング(パフォーマンス)」をテーマに、オンボーディングの重要性や、入社前後における各施策の効果・注意点をご紹介します。

▼ 本勉強会の内容を、動画でご覧いただくことができます ▼
(記事にはない資料・解説も視聴いただけます)

執筆:瀬戸 香菜子(HRreview編集部)、編集:立野 公彦(HRreview編集部)

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