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本連載では、ダイレクトリクルーティングを積極的に取り入れ、「プロ・リクルーター」として活躍、実績を挙げている企業の経営者や人事担当者を表彰させていただき、人事業務に対するポリシーや取り組みを伺います。
第5回は、「テクノロジーで新しい価値を創造し、クライアントの成功を共に創る」をミッションに掲げ、企業の収益拡大・生産性向上などさまざまな課題解決につながるマーケティングテクノロジーを開発・提供する株式会社ジーニー。同社で人事部マネージャーを務める藤本友仁様です。

取材対象者プロフィール藤本 友仁氏
株式会社ジーニー 人事部 マネージャー
※所属・役職等は制作時点のものとなります
【受賞理由】
中途採用の体制・プロセスを一から見直すため、採用管理システムの数字データをもとに、社内・社外・候補者への徹底したヒアリング・分析を実行。内定承諾率を上げるために採用プロセスを簡略化する企業も多いなか、「自社とのマッチ」を最重要事項とし、面談から内定までのステップをさらに追加するという、一見真逆とも思われる改革を進められました。
しかし、その結果、約1年後には内定承諾率は当初の2倍以上にまで向上。ロジカルな戦略、徹底した行動量に加え、「現場を巻き込む前に、まずは自分たち人事がこれ以上ないほど全力を尽くす」という藤本様の強い意志が、大きな改善成果を生みました。
全ての工程を「見える化」し、改善活動がスタート
私が2016年11月に入社した当時、ジーニーは新卒採用においては成果を出せているものの、中途採用については積極的な取り組みがなされていませんでした。その年の新卒採用の活動が一段落ついたところで、中途採用を一から作り直すことにしました。
各プロセスの目的・役割を明確化
まず課題を「見える化」するために、採用管理システムからさまざまな数字を出しました。数字を見てみると、「面接後の辞退」や「面接後の連絡不通」といった件数が、想像以上に多いことが明らかになりました。つまり、私たちは「面接をしても、内定を出すことができない」という、とても生産性の低い状態だったのです。これまでの採用フローを抜本的に見直し、各プロセスの目的や関係者の役割を明確にすることが必要でした。
まずは、「一次面接後の二次面接選考辞退」について、原因を分析しました。そして出した仮説が、「一次面接での魅力付け不足」です。そこで、一次面接は必ず人事が担当し、「候補者にジーニーに興味を持ってもらい、ファンになってもらう」という目的を明確にしました。現場へ「何を話せばこの候補者に響くか」「業界への高い関心はあるか」など話すべき内容をヒアリングし、面接に生かしました。また、スカウトの承諾率が上がるよう、一人一人に合わせたメール文面を作るなど、改善を重ねました。結果として、二次面接への選考希望率も次第に上がっていきました。
最終面接前に必ず行う「情報共有」により、内定承諾率を改善
次の課題は、内定承諾率を上げることでした。当時の承諾率は33%。つまり10名に内定を出しても3、4名しか採用できないという状況だったのです。この原因を探るためには、内定辞退した理由を詳細に聞くしかありません。
そこで、内定辞退者やエージェントにヒアリングを行った結果、明らかになったのが、「業務内容がイメージできない」や「期待されていることがわからない」など、候補者が求めている情報を伝えきれていないことでした。そこで、直接応募された方は人事が、またエージェント経由の場合はエージェントを通して、その方の現在の気持ちや懸念事項、転職軸、他社のオファー状況などを最終面接前に必ずヒアリングするようにしました。
そして、最終面接官である社長にその内容を報告し、「こういう考えを持っている方だ」「どのような話をしたらよいか」などの情報を、事前に共有し、認識を合わせることで、面接という限られた時間のなかでの会話の質を上げた結果、内定承諾率が改善されていきました。

「スピード」よりも「自社とのマッチ」が何よりも優先
本来採用活動とは内定承諾が上がればいいわけではなく、「入社後に活躍してもらうこと」がゴールです。しかし、当時は入社数カ月で辞めていく人が少なくありませんでした。
面談から内定までのステップは増えたが、辞退率は低下
入社数カ月での退職希望者と面談をすると、「面接で聞いていたことと、実際の業務が異なっている」などの声があがりました。一方で、現場側も「入社前に本人が話していた内容と、入社後のパフォーマンスが異なる」という評価をしており、互いにギャップを感じていることがわかりました。
そこで、面接で話す内容を見直し、一つ一つの質問の意味・目的や、その回答に対する判断を明確にし、現場面接官と共有できる状態にしました。一次面接は必ず人事が担当するようになったのも、この改善活動の一つです。
その結果、一次面接、二次面接、SPI、リファレンス、最終面接と採用プロセスは当初よりも長くなりましたが、途中の離脱率・辞退率は減り、内定承諾率は当初の33%から、現在では平均60~70%を保てるようになりました。
入社後のささいなつまずきを解消する「First 90days Programs」
エージェントのなかには、「二次面接と最終面接を一緒にした方が内定承諾されやすいです」、「採用成功にはとにかくスピードです」と提案する担当者もいました。当然、面接回数を減らしたり、一次面接から内定までの期間を短くしたりした方が、採用成功の確率が上がることはわかるのですが、何よりも避けたいリスクなのは「入社後に自社にマッチしない方を採用してしまう」ということです。
そのリスクを回避するため、弊社は採用プロセスにおける一つ一つの工程を丁寧に、また、人事・現場・社長など複数の目での確認を徹底することにしました。
そして、入社後に確実に活躍してもらうための「First 90days Programs」という3カ月間のフォローアッププログラムを用意しました。このプログラムでは、チェックシートに書かれた項目に対し、問題がない場合は「〇」を付けていただいたうえで、1カ月ごとに人事が面談し、できていないところをフォローします。
このプログラムを用意してから、中途入社者のなかには、「誰とコンセンサスをとったらいいのかわからない」「会議体の種類がわからない」「資料の置き場がわからない」など、ささいなことでつまずいている人が多くいることが明らかになりました。一つ一つは小さなストレスでも、それが積み重なることで、その人のパフォーマンスは発揮されず、最悪のケースでは「退職」という結果につながってしまいます。
採用手法やテクノロジーが変化するなかで、人事の存在価値も変化
人事がこれ以上ないほど全力を尽くしたからこそ得られる現場の理解と協力
改善活動を始動した当初は、エージェントにコンタクトをとる荷電本数もKPIを設定していたので、人事が常に電話をしているようなこともありました。その様子を見て、営業から「営業よりも、営業っぽいですね」と言われることもあったほどです。
現場が採用活動に協力的なのは、私たち人事がまずあらゆる手を尽くしてやりきり、それによる変化を現場も感じ取っているという理由もあるのではないかと思います。
人事が全力を尽くさず、「現場が求める人材要件が高すぎるから決まらない」や「現場面接官の態度が悪いから辞退率が高いんだ」と不満を言っていても、状況が改善されることはないでしょう。また、現場に協力を依頼することは簡単かもしれませんが、それによって事業のスピードが遅くなるのは会社として望ましくありません。まずは自分たち人事がこれ以上ないほど全力を尽くす。それをやり遂げて現場にも協力を依頼すべきと思っています。
会社を成長させて、「ジーニーに入りたい」というファンを増やしたい
さまざまな採用手法が増えていくなかで、求人サイトやエージェントに登録しない求職者も増えてきているように感じています。これまでは、人事がアプローチする人数や頻度を上げれば会いたい人材に会えましたが、やがてそれだけでは「確実に会える」とは言えない日がくるのだろうと考えています。
そのためにも、リファラル採用(リファーラル採用)が進むような風土づくりをしていきたいですし、「ジーニーに入ってみたい」と思われ、自然に応募がされるような憧れの就職先の一つとなるような会社づくりも必要だと感じています。
HRテックやAIが発達してきたら、人事がやっている業務もどんどん自動化されるでしょう。むしろ私たちがやっていたときよりも、よりスピーディーで精度の高い仕事を、テクノロジーが解決してくれる日がくるはずです。そのようななかで、あらためて人事の存在意義を考えると、「仕組みを構築して運用していく」という役割から、「さまざまな人と接点を持ち、ジーニーのファンになってもらい、応募につなげる」という役割が重要になってくると考えています。今後はより一層、採用ブランディングを強化していきたいです。

右から 株式会社ジーニー人事部 マネージャー 藤本 友仁様、株式会社ビズリーチ 執行役員 酒井哲也
日本最大級の「即戦力人材データベース」の特長を紹介

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