グローバル競争の激化、テクノロジーの進化、組織のダイバーシティ(多様性)意識の高まり……。
売り手市場が続き、思うように応募者が集まらない、また将来の労働力減少や求人倍率の上昇による、さらなる人材獲得競争激化への懸念など、さまざまな環境変化を受けて、いま企業の採用活動の現場では大幅な変更が行われています。
- 多様化する採用手法から自社に最適な選択肢を選び、業務を効率化したい
- 採用の問題点を正確に把握し、採用計画と施策実行の精度を高めたい
- ミスや無駄を減らし、選考スピード遅延による人材獲得の機会損失を防ぎたい
さらなる成長に向けた戦略的な採用活動を実現するため、より顕著になる上記のニーズに応えるのに重要となるのが、数値管理。いわゆるKPI(重要業績評価指標)で採用業務の進捗を計測し、パフォーマンスを改善していくことです。データを基軸とした適切な計画とプロセス、そしてこれを実現するテクノロジーの活用が肝となります。
上記を踏まえ本コラムでは、KPI管理(数値管理)が求められる理由とその基本的な考え方、実践に向けてテクノロジーが注目される背景についてご説明します。
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採用に強い企業が注目するKPIとは何か?
多様化する採用手法のなかから、考え得る最も確実性の高いシナリオを選択し、無駄のない効率的な採用活動を実現するために不可欠になるのが「KPI管理」です。
KPI(Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指標」の訳であり、簡潔にいうと、「目的を達成するまでの各プロセスの業績を評価する指標」のことです。最終ゴールに対する達成度合いを確認するために用いられます。
実際、株式会社ビズリーチが運営する「HRMOS(ハーモス)採用」が2017年の6月に実施した「採用に強い企業の成功ポイント」に関する調査でも、採用に強い企業のうち67%が「採用活動をデータで可視化」していることがわかっています。
営業やマーケティングでは当たり前のように目標に対するパイプラインの状況などを把握しています。採用活動においてもKPIを定義し、目標における実績や採用プロセスの進捗を数値で管理していくことが重要なのです。
では、なぜKPIを基軸とした数字の管理が求められるのか、その理由を3つの視点で解説します。
KPIがなければ、ゴールまでの最短ルートを走れない
長く険しい採用活動のゴールまでの道のりにおいて、目印となるフラグがあれば、採用担当者は今どの地点を走っているのかを把握することができます。そして、この目印となる旗をKPIとして捉えることができます。
たとえば旅の途中、目印となるフラグ(KPI)がなければ、適切なルートから外れ、迷い、暗中模索しながらゴールを目指すことになってしまうのは想像に難くないと思います。必要な距離を大幅に超過し、多大な労力を要する事態に陥ることにもなりかねません。
これと同様に、採用活動においてはKPIがなければ、「行き当たりばったり」の、無駄の伴う施策が横行してしまう可能性があるのです。
また、KPIという数値化された共通の指針がなければチーム全体の行動に整合性を持たせることは困難です。チームで同じ目標に向かって一体感を持って走るためにもKPI管理は重要です。
KPIがなければ、「いつまでにどのような採用手順を踏むべきか」採用計画の確実性を裏付けることができない
予算、時間、人的リソースの適切な見積りは、計画立案・進行の成否を握る必須要件です。採用施策を実行する前に、精度の高い採用目標達成のシナリオを想定・計画することは、最短ルートで優秀な人材と出会う確実性を高める重要事項になります。勘や経験、記憶を採用活動に生かすことが一概に悪いことだとは言えませんが、属人的な判断のみに頼った採用計画では、施策成功の再現性を不確定要素に委ねる側面が大きくなってしまいます。
そこで重要となるのが、過去に実施した採用活動の各プロセスの実績を募集経路ごとに数値化して目標から逆算し、KPIを設計することです。過去の数値を管理していない場合は、まず過去の募集経路ごとの母集団形成に対して、書類審査通過率、面接通過率、入社率などの数字を出してみることをおすすめします。
具体的にどのように行えばよいかの参考例を、ここでは簡単にお伝えします。
たとえば、過去に「既存サービスの営業職を1名、仲間に迎える」という目標を掲げて、人材紹介会社経由で採用活動を行ったことがある場合、以下の採用プロセスの遷移率の実績から、同人材紹介会社経由では次回10名の母集団を形成する必要があることがわかります。

10名の母集団から書類選考を通過したのが5名であれば、人材紹介会社経由での書類選考通過率は50%ということです。ここでは説明のためごくシンプルに記載していますが、1名を獲得するという目的のため、プロセスごとのいくつかのアクションにKPIを設定することができます。
これらを募集経路ごと、採用プロセスごとに数値で割り出すことで、必要な予算や人材など配分の目安を算出することが可能です。自社に興味を持ってもらうため、どのような手段で何人にアプローチできたのか、その結果、何人が書類選考を通過し、何人が採用面接を受けにきたのか、そのうち何人が内定を承諾したのかというように数値管理を行って、はじめて確実な採用計画を練ることができるのです。
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KPIがなければ、適切な改善サイクルを回せない
通常、採用施策と各プロセスの有効性の向上は、戦略・計画の策定から各施策を実施、評価することで課題を発見し「改善」を繰り返す、一連のPDCAサイクルにより成り立ちます。
しかし、実績をきちんと評価するための指標(KPI)を基に各採用プロセスを継続的にモニタリングしていなければ、目標と戦略の実現において、何がボトルネックになっているのか、失敗要因から導く仮説に客観性や裏付けを持たせることができません。それでは改善案が不確実性の高いものになってしまいます。
「不確実性を減らし、変化に対応する」ことは、今日の経営環境から人材獲得競争が激化する現在の採用環境において、自社の戦略やビジョンに適合する人材を獲得する必須要件です。
採用決定数や採用目標に対する達成率から、母集団形成のために利用した採用手法や媒体ごとの分析、募集人材像である「採用基準」に照らし合わせた「質」の評価、また部門別・職種別の採用を行った場合、その観点から結果はどうであったのか、出身校や前職、業界などの応募者の情報を掛け合わせた分析、事実に基づいた客観的なデータで可視化、分析し把握すること。また採用施策成功の再現性を検証し、改善案を妥当性の高いものにしていくこと。これらが鍵を握ります。
KPI管理を妨げる現場のオペレーション業務の課題。戦略的な採用業務に集中できる「環境づくり」が重要
KPI管理(数値管理)による戦略的な採用活動が必要とはいえ、採用に伴う業務は煩雑です。正確さも要求されるため、採用部門の苦労は大変なものです。詳細な分析や改善が重要だと頭ではわかっていても、なかなか実行に移せないでいるのが現状ではないでしょうか。
たとえば、下記のようなオペレーション業務に追われ、疲弊し、それだけで一日が終わることも少なくありません。
- 求人票の作成・人材紹介会社への共有・採用ホームページへの反映
- 点在する応募者情報を「Excel」などに集約する業務
- 募集経路ごとに行う候補者のステータス管理
- レジュメ(職務経歴書)のダウンロード、パスワード解除、情報入力、印刷
- 面接結果の管理、面接官の評価の回収・とりまとめをして「Excel」などへ集約する業務
- 面接官・候補者との日程調整
- 社内関係者に対するタスクのリマインド
紙や「Excel」などによる煩雑な管理では限界があるので、現場のさまざまな場面で問題が起こり、多大な手間が発生しているのが実態です。
- 募集経路が多数あって管理が大変。応募数が多く対応しきれない
- 採用ノウハウや知識、情報が属人化しており組織的に管理・共有されていない
- 一部のデータに抜け漏れがあり、募集経路ごとのパフォーマンス分析が正確にできない
- 選考情報の一元管理ができないために候補者のステータスが曖昧に
- 選考結果連絡の遅延や面接設定等のミスにより選考スピードが遅延する
こうしたオペレーション業務に忙殺されていたのでは、人材採用プランの立案、候補者ごとの採用決定までのシナリオづくり、選考フローの決定など、「戦略的な採用活動」に十分な時間を割くことができません。
自社の状況を一目で把握できない状況ではデータの分析は容易ではなく、採用の課題が応募数にあるのか、面接の通過率にあるのか、または内定者のフォローにあるのかなど、正確な判断は困難です。原因がわからないようでは、採用目標達成に向けた各施策の改善活動に時間を割いても、思うような成果は得られません。採用担当者をオペレーション業務から解放し、戦略的な業務に専念できる環境を構築することが必要です。
そこでご紹介したいのが、前述したような採用活動を取り巻く課題をHRテック(HR × テクノロジー)で解決に導く採用管理システムの導入です。
勘に頼らない、データを基軸としたより戦略的な採用活動を実現する「HRMOS採用」とは
株式会社ビズリーチは、「HRテックで採用を強くする」をコンセプトに、募集経路ごとのあらゆる採用工程を一元管理する「HRMOS(ハーモス)採用」というクラウドサービスを提供しています。候補者とのメールのやりとりや日程調整、履歴書の管理や面接評価データの収集など、採用に関するあらゆる業務が「HRMOS採用」で完結するので、採用業務がシンプルになります。
【KPI管理、振り返り、改善すべき点がすぐにわかるように】
採用に関連する業務を一元的に管理することで、HRMOS採用にはあらゆるデータが蓄積されます。リアルタイムで集約し、チーム全体に共有・可視化されるデータを分析することにより、採用目標に対する募集経路ごとのKPIに対する進捗はもちろん、それぞれのROIや各施策の効果などもすぐに分析できます。
【採用に関するあらゆる業務を一元管理。ダッシュボードでわかりやすく表示】
また、ダッシュボードでは、「書類選考」「最終面接」「内定」といった候補者の各プロセスの進捗状況から、担当者のタスクもひと目で把握できます。誰でも見やすく、直感的に操作しやすいUI、UXにより、チームの生産性を高め、戦略的な採用活動の実践に時間を割けるようになります。
そのほかにも、求人媒体からの候補者データの自動取り込みや、人材紹介会社からのHRMOS採用へのダイレクトな候補者情報登録など、さまざまな機能により、エクセルなどでコピー&ペーストを繰り返すといった従来の事務作業にありがちな、面倒な業務から担当者を解放します。
データに基づいた、勘に頼らない戦略的な採用活動をサポートするHRMOS採用。詳細については、以下の製品・サービスサイトをご覧ください。
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