【BIZREACH Channel】企業と社員のパーパスを両立するSOMPOの人材戦略

【イベントレポート】企業と社員のパーパスを両立するSOMPOの人材戦略

2022年6月30日、株式会社ビズリーチは「企業と社員のパーパスを両立するSOMPOの人材戦略」と題したWebセミナーを開催しました。

SOMPOホールディングス株式会社 グループCHRO執行役専務の原 伸一様にご登壇いただき、人材戦略の具体的な取り組みについてお話しいただきました。モデレーターは、株式会社ビズリーチ 代表取締役社長の酒井哲也が務めました。

原 伸一氏

登壇者プロフィール原 伸一氏

SOMPOホールディングス株式会社
グループCHRO執行役専務

SOMPOホールディングス グループCHRO執行役専務。2019年4月より現職。
過去には資産運用部門に長く身を置き、さらにIR責任者、海外事業担当役員など、幅広い経験も持つ。
人事領域の最高責任者として、同社の中期経営計画における3つの基本戦略の1つである「SOMPOの働き方改革」を推し進める。
社員一人ひとりが自身の「MYパーパス」を明確にし、やりがいと幸せを感じながら働き、飛躍的に生産性を高めることの重要性を、社内外で強く発信している。
MYパーパスは「社員が幸せな会社を創る。それは、社員が自らの志を実現するために、自律的に行動し、強みを発揮できる場としての会社。」
酒井 哲也氏

モデレータープロフィール酒井 哲也氏

株式会社ビズリーチ
代表取締役社長
ビズリーチ事業部 事業部長

2003年、慶應義塾大学商学部卒業後、株式会社日本スポーツビジョンに入社。その後、株式会社リクルートキャリアで営業、事業開発を経て、中途採用領域の営業部門長などを務める。2015年11月、株式会社ビズリーチに入社し、ビズリーチ事業本部長、リクルーティングプラットフォーム統括本部長などを歴任。2022年7月、現職に就任。

SOMPOグループの概要

SOMPOグループは、国内損保、海外保険、国内生保、介護・シニア、デジタルと5つの事業をグローバルに展開しています。

SOMPOグループの概要

当社の源流は、明治20年に生まれた日本初の火災保険会社「東京火災」にあります。当時の社会課題だった火災からお客様を守るために「東京火災消防組」を明治26年に結成。正式に許可された唯一の私設消防団でした。

身をていしてまで契約者を守った使命感は、「安心・安全・健康」を掲げる、SOMPOの原点になっています。

創業時の火災保険発売以来、変化する社会課題の解決に向き合い成長してきたSOMPO。気候変動をはじめとした新たなリスクや、少子高齢化による課題など、われわれを取り巻く環境の変化に応じて、損保の価値や存在意義は何かを考え抜いてきました。

社会課題への対応

その結果としてたどり着いたのが、SOMPOのパーパスです。

SOMPOでは、

“安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する

をパーパスに定めています。

大切なのは、このパーパスを社員一人ひとりが「自分事」化することです。人事の重大なミッションは、社員のMYパーパスとSOMPOのパーパスを融合させることだと考えています。

SOMPOのパーパス

企業と社員のパーパスを共に実現する人材戦略

では、企業と社員のパーパスをどう実現していくのか。パーパス浸透のための具体的な取り組みをご紹介します。

SOMPO人材戦略のすべての土台となるのは「MYパーパスの追求」です。

SOMPO人材戦略

MYパーパスとは、社員一人ひとりの人生におけるパーパスのこと。SOMPOのパーパス浸透と、MYパーパスの策定による自律的なキャリア形成を実現し、「3つの人材コアバリュー(ミッション・ドリブン、プロフェッショナリズム、ダイバーシティ&インクルージョン)を共有する人材集団の実現」を目指しています。

「自分事」化するには社員一人ひとりの意識改革が欠かせません。

そこでSOMPOでは、「会社の中の自分の人生」から「自分の人生の中の会社、仕事」 という考え方へ、抜本的な意識改革を図ってきました。

自分の人生の中に会社が入ってくるべきだと考え、社員には「まずは自分の人生が一番大事。その人生の目的を達成するために会社という場を大いに利用してほしい」と常に伝えています。

パラダイムシフト

そのパラダイムシフトを実現するために目指しているのが、グループ全社員のMYパーパスを活用した働き方の実践・定着です。

MYパーパスは自らを突き動かすようなパッションや思いです。

  • もっともわくわくした瞬間「WANT」
  • 憤りや悲しみから解決すべきだと感じた社会課題「MUST」
  • 修羅場体験によって身に付けた能力「CAN」

この3つが重なった領域がMYパーパスであり、SOMPOのパーパスと重なりあう部分を見ていきます。自分で考え設定できる状態になることで、SOMPOのパーパスを「自分事」化できると考えています。

MYパーパスの追求

では、パーパス浸透に向けた社内での具体的な取り組みを紹介していきます。

取り組みは大きく3つあります。

  • グループCEO自らが語り、パーパス浸透に向け共通メッセージを発信する「トップの発信」
  • 上司と部下との対話を通じて、浸透・「自分事」化を図る「現場の取り組み」
  • エンゲージメントサーベイによる「浸透の測定」

エンゲージメントは、2022年よりグループ共通のKPIにしており、今後は、全役員の業績評価にも反映させる予定です。

パーパス浸透に向けた取組み

「トップの発信」では、トップが継続的に発信する場としてタウンホールミーティングをオンラインで開催し、これまで計7回、のべ1万人の社員が参加しています。

グループCEOが自らMYパーパスを語り、「大事なのは社員の皆さん自身の人生のパーパスである」というメッセージを発信。「会社は皆さん自身のパーパスを実現するための舞台、道具にすぎない。ぜひ使い倒してほしい」と伝え続けています。

チャットによるリアルタイムの双方向のやりとりも行われ、「自分のパーパスを考える機会になった」という声が上がっています。

トップの発信│タウンホールミーティング

現場の取り組みにおいては、「MYパーパス1on1」を行い、グループ全社員がMYパーパスと向き合い、自律的な働き方へとつなげる場をつくっています。2022年度からは、各事業会社のマネジメント層に向け、1on1を支援するプログラム提供を開始しています。

現場の取組み│MYパーパスを活用した1on1

パーパス浸透のための取り組みでは、役員のMYパーパス開示を進めています。グループ役職員のMYパーパスも、当社ホームページの特設サイトで対外的に発信。「SOMPO伝」として現在100話を公開しています。

パーパス浸透のための取組み│役員のMYパーパス開示/SOMPO伝

MYパーパスに基づく自律的なキャリア形成支援

3つの人材コアバリューを持った人材集団を実現するには、社員自らが自分のキャリアを選択できる環境を整えることが重要です。そこでSOMPOでは、グループ全体の人事制度改革を進めてきました。

2020年度には、SOMPOホールディングスで「ジョブ型人事制度」を導入。

その特徴は、

  • 会社主導の人事異動を原則として実施しない
  • 評価制度は絶対評価

という点です。

会社主導ではなく、自らキャリアを選択し、プロフェッショナルとして成果を出すことを目的に、上司とのコミュニケーションによる社員の成長やエンゲージメントを重視しています。社内外の人材が自分の希望する職務につくことで、内発的動機に基づいた高いパフォーマンスを発揮できるようになると考えています。

SOMPOのジョブ型人事制度は社員の自律性を尊重し、一つのジョブに限ることなくジョブ自体の変更が可能です。キャリア形成の起点を社員一人ひとりに置いているのです。

SOMPOのジョブ型人事制度の特徴

また、MYパーパスに基づいた自律的なキャリアを具現化すべく立候補による登用制度をスタート。国内グループ会社の全従業員が対象で、合計61のポストで公募がありました。

現在の役職や年齢は一切問わず、応募条件は下記2点です。

  • 自身のパーパス・ミッション(やりたいこと・成し遂げたいこと)とポストのミッションが一致しているか
  • ポストに必要なスキル・知識・経験を「現在保有している」または「配置後に、早期に習得する意欲・ポテンシャルがある」か

今後は、課長未満の担当者層までポストを拡大していく予定です。

SOMPOホールディングス 立候補制度

自律的なキャリア形成支援のために、ポスト(JD:Job Description)の「見える化」も進めてきました。

それまではグループ内にどんなポストがあるかが分からないことが課題でした。そこで、立候補対象となっているポストか否かにかかわらず、グループの全社員に対してポスト要件の常時開示を予定。先行でホールディングスの部長、課長ポストの要件を開示しています。

自分がチャレンジしたい役割の要件を開示することで、自律的なキャリア形成ができる環境を整備しています。

ポストの見える化

取り組み成果・今後の展望・改革に必要な要素

取り組みの成果として、浸透度を測定するエンゲージメントスコアは改善傾向が見えています。

働き方改革による成果│エンゲージメントサーベイ結果の改善

立候補者数やキャリア採用数でも、具体的な実績が見えています。

2022年4月には、ホールディングスの部課長ポスト61に対して、のべ154名が立候補。41名が合格となりました。合格者の中には33歳の女性が課長に登用されたケースもあり、「適所適材」がより鮮明になりました。かつてのメンバーシップ型登用では、実現しえなかったスピード登用です。

人材確保の観点では、2年間で約100名のキャリア社員を獲得。ホールディングス社員約500名に対して、全体の5分の1がキャリア採用社員になり、順調に多様化が進んでいます。

「キャリア自律」を積極的に打ち出したことで、採用力強化につながったのではないかと考えています。

働き方改革による成果│立候補者実績、キャリア採用強化

今後も目指す先は、グループ全体の自律的キャリア形成のさらなる進化です。例えば、会社主導のジョブローテーションや転勤制度の見直しなど、答えありきでなく事業成長と両立できる理想の仕組みを各社と議論を重ねているところです。

これからは、ホールディングスだけでなく、グループの大半の社員が所属する事業会社において、社員が実感できる変革を持続的に実現することが必要です。

これにより、自律的なキャリア形成が根付き、結果として3つの人材コア・バリューを持つ人材集団の実現につながるものと考えています。

  • 社員一人ひとりがMYパーパスを追求することでSOMPOのパーパスの実現を目指すこと
  • MYパーパスに基づき、社員が自らキャリアを形成することができる環境を提供すること

これら2点を充実させるための努力を継続することが、私たち人事の役割です。

グローバルな環境変化により、企業と働く人の価値観は大きく変化しています。今を変革の機会だと捉え、さらなる改革へと発展させていきたいと考えています。

まとめ│改革に必要な要素

Q&A

セミナー後半には視聴者からの質問にお答えしました。

Q
パーパスを制定するのは大変なミッションだったと想像しますが、どのようなステップで決めていったのでしょうか。
A

「安心・安全・健康のテーマパーク」は、2016年から経営理念として持っていました。

具体的にどう実現していくのか、どういう人にリーチするのか、どういう形で持っていきたいのかを議論して、2021年に築いたものがパーパスです。約2年間、経営陣、社外取締役、現場の声を丹念に拾い、何度も議論を重ねて決定しました。

Q
MYパーパスの促進は従業員からの反発などのデメリットもある程度想定されたかと思いましたが、それを飲み込んだうえで施策を推し進めた理由とは?
A

反発はもちろんありました。年齢層の高いクラスの方にとっては、「これまで会社に育てられてきたのに、いまさらMYパーパスといわれても…」という戸惑いがあったと思います。また、現場の数字をあずかっているマネージャークラスからは「MYパーパスを考えることで数字を追う力が弱まるのではないか」という懸念も寄せられました。

ただ、やってみると困ることはほとんどありませんでした。若い人材には非常に響きましたし、数字がしっかり伸びることも実証されてきています。

Q
各個人が明確なMYパーパスを持つのは難しいと思いますが、会社側から探し方のヒントなどアドバイスはするのでしょうか。
A

はっきりと持っている人も一部ですがいます。ただ、多くの社員は持っていないので、自分で作り上げていかなければなりません。

作り方としては、小学生から高校生くらいまでの「原体験」をできるだけたくさん書き出すこと。書くプロセスの中で、自分が何を大切にして生きてきたのかがだんだん見えてきます。

書き出し方や、それをMYパーパスとして定義するときには、導くスキルを持つプロのコーチや、コーチから学んだ管理職がアドバイスをしています。

Q
個人のMYパーパスは定期的に見直していますか。
A

常に内省しながらMYパーパスをブラッシュアップ、変化させていくことが重要だと思っています。一度定義しても、日々変わりゆくものなので、1カ月、半年、1年と見直すことが大事だと伝え続けています。

ただ、会社の人事部門がMYパーパスを集めて管理したり、フォーマットを作ったりすることはありません。強制するのではなく、自発的に、内省的にやることが重要です。

上司との1on1は、業務の話をするものは「コトの1on1」として行い、それ以外のものについては「ヒトの1on1」も行っており、MYパーパスの見直しは「ヒトの1on1」で行っています。

Q
一人ひとりのMYパーパス追求の促進にあたり、一番効果的だった施策は何でしたか。
A

グループCEOのタウンホールミーティングがもっとも響いたと感じています。

グループCEO自ら、MYパーパスを開示したことで、本気で取り組もうとする姿勢を感じ取ってもらえたからでしょう。CEOが会社と社員の関係性や会社のあり方についてずっと疑問を持っていて、それが「たかが会社。自分の人生が大事」という発露につながったのだと思います。トップが発信した影響は大きかったですね。

Q
企業と個人のパーパス浸透をサーベイによって測定、評価しているということでしたが、スコアが改善していくことで具体的にどのような効果がありましたか。
A

効果をはっきりと言えるまでには至っておらず、今はKPI設定したものを継続的に開示することで、改善することを示しています。今後、定点観測して効果を示すことが外部に理解していただく方法かなと思います。

SOMPOのパーパスは50年先の長いスパンで考えていますが、タイムラインはきちんと設定し、進み具合を見せていく必要があります。

Q
会社とMYパーパスの融合という概念は理解できましたが、どのレベルで融合できたと判断するのでしょうか。
A

定量的な尺度はないです。それぞれのMYパーパスとSOMPOのパーパスとの重なりが、ストーリーとして納得できるかに尽きます。

人事部門が定量的に測り始めると、勢いを失わせてしまうので、何をもって融合かと言語化するのは難しいですね。

Q
3つのコアバリューを持つ人材集団になるという話でしたが、採用に関して戦略は変更されましたか。新卒採用・中途採用のそれぞれの目的は何でしょうか。
A

キャリア採用からジョブ型人事制度を導入しており、ポストやキャリアを主軸においた採用に180度転換しています。

新卒採用、中途採用のそれぞれの目的では、事業会社ごとに、新卒中心か中途中心かは異なります。介護事業では中途が多く、損害保険事業ではこれまで100%近く、新卒のメンバーシップ型採用を行ってきました。現在、損害保険事業でも2割はキャリア採用となっており、事業特性にあわせて柔軟に考えていきたいです。

Q
自律的なキャリア形成はミッション・ドリブンとの衝突を招きかねないと考えますが、組織としてはどのような解消の施策をお考えですか。
A

自律的なキャリア形成は、社員が自らのキャリアを自ら考えていくということです。会社がポストを中心に適所適材、最適な人を選ぶ際、人気の高いポストでは10倍近い倍率になることもあり、社員は自分がやりたいことを必ずできるとは限りません。

自分のやりたい仕事やありたいポストを勝ち得るには、自分で取りにいく努力が必要な、厳しい制度です。

大事なポイントは「コトの1on1」と「ヒトの1on1」を交ぜないこと。業務の話は「コトの1on1」でのみ話すよう、マネジメント層との意識合わせを行っています。

Q
会社主導の人事異動がないということですが、欠員補充やメンバー増員はどう対応しているのでしょうか。
A

基本的にはポスト中心で考え、欠員が起こったら募集をかけます。社員がポストに応募し、最終的には、会社がその中から最適な人材を選びます。

ポストに就くための努力、一人ひとりのプロセスが会社を強くすると考えています。

Q
役職の「見える化」について、各役職に求められる要件の抽出、JDの決定はどう行っていますか。
A

現場の責任者が行っています。JDの統一はフォームがあり、それは人事が用意します。

ただ、ジョブ型人事制度をうまく回すためには、人事が中央集権ではなく、各現場が「自分たちで人事をする」という意識にしていかないといけないと思っています。

Q
女性社員が管理職に登用されたケースが紹介されていました。各社員が管理職にチャレンジしたいと思える風土づくりで工夫したことはありますか。
A

ダイバーシティ&インクルージョン推進の一番の課題ですよね。皆さんの企業と同じように、社内研修の実施や、社外研修への参加、他社交流など地道な努力を続けています。

Q
「会社<社員」の関係性になるために、実現に向けて必要なこととは何でしょうか。
A

社員から見れば、「自分が一番大切でその中に会社がある」と思えること。一方で、会社は、社員も会社もお互い選び合うという関係性を理解し、「パーパスという旗を掲げて、これに賛同する社員を集め、きちんと評価する」ことが大切です。

選び、選ばれる関係であることが必要だと考えています。

セミナーの最後に、視聴者の皆様へメッセージをいただきました。

原 伸一氏
原 伸一氏

SOMPOグループという大きな組織で、改革を進めるにはまだまだ道半ばです。日々、何が正解か分からないなかで悩みながらも、社員の共感を得ながらやっていくしかないと思っています。

会社と社員の関係は変わってきています。現状を認識し、謙虚に社会の変化に向き合っていきたいと思います。

本日はありがとうございました。

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著者プロフィール田中瑠子(たなか・るみ)

神奈川県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。株式会社リクルートで広告営業、幻冬舎ルネッサンスでの書籍編集者を経てフリーランスに。職人からアスリート、ビジネスパーソンまで多くの人物インタビューを手がける。取材・執筆業の傍ら、週末はチアダンスインストラクターとして活動している。