傷病手当金の申請において企業が押さえたい要点や支給条件、手続きの流れを紹介

傷病手当金の申請において企業が押さえたい要点や支給条件、手続きの流れを紹介

従業員が思わぬケガや病気になり仕事を休むことになった場合、条件を満たしていれば「傷病手当金」が給付されます。近年、がんなどの治療や精神疾患で休職せざるを得ない人が増加傾向にあるため、制度について把握しておくことが大切です。この記事では、傷病手当金の概要や支給要件、申請方法などを紹介します。

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傷病手当金とは

傷病手当金とは

傷病手当金とは、病気やケガの療養によって働けなくなった場合、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた公的な制度で、事業主から十分な報酬が受けられない場合に健康保険から支給されます。対象者は勤務先で社会保険に加入している会社員や公務員などで、国民健康保険加入の自営業者などは対象外です。休職する従業員を支えるものなので、企業は適切に対応する必要があります。

なお厚生労働省は、傷病手当金を下記のように定めています。

給付要件
  • 被保険者が業務外の事由による療養で勤務できなくなった場合に支給される。
  • 勤務できなくなった日から起算して3日を経過した日から支給される。
支給期間
同一の疾病・負傷に関して、支給を始めた日から起算して1年6カ月を超えない期間。
支給額
  • 1日につき、直近12カ月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額を、休業した日単位で支給する(※)。
  • 被保険者期間が12カ月に満たない者の場合、

1)当該被保険者の被保険者期間における標準報酬月額の平均額
2)当該被保険者の属する保険者の全被保険者の標準報酬月額の平均額
のいずれか低い額を算定基準とする。

(※)ただし、国家公務員共済組合や地方公務員共済組合の加入者については、標準報酬の月額の平均額の22分の1に相当する額の3分の2に相当する額。私立学校教職員共済の加入者は、標準報酬月額の平均額の22分の1に相当する額の100分の80に相当する額。

参考:傷病手当金について│厚生労働省

傷病手当金が支給される4要件

傷病手当金が支給される4要件

ここからは、前項で示した厚生労働省の定義を、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の内容をもとに解説していきます。傷病手当金の支給には条件があり、次の4要件を全て満たしたときに支給されます。

休職の原因となった病気やケガが業務外の理由である

傷病手当金が支払われるのは、業務外に休職の原因となる病気やケガをした場合に限られます。業務中や通勤中のケガなどで働けなくなった場合は、「労働者災害補償保険(労災)」の対象になり休業補償給付などが支払われるため、傷病手当金は支給されません。また、美容整形手術のための休職などは病気とみなされないため、傷病手当金の支給対象外となります。

働くことができない状態にある

病気やケガの療養などで仕事ができない状態であることも、要件のひとつです。ただし本人が「勤務できない」と申告していても、例えば外回りの仕事は難しいが社内の仕事はできるケースもあります。働くことができない状況かどうかは、医師の意見や仕事の内容などから総合的に判断します。

3日間連続で仕事を休み、それ以降も勤務していない期間がある

傷病手当金が支給されるのは、仕事を3日間連続で休み、それ以降も働いていない期間がある場合です。また、傷病手当金が支給されるのは3日間連続で仕事を休んだ後の4日目以降からの休職期間となります。最初の3日間には有給や公休日も含まれ、給与が支払われるかどうかは問いません。

休職期間中に給与が支払われていない

前項で触れた通り、休職の最初の3日間は、給与の支払いがあってもなくても支給条件に関わりません。しかし、仕事を3日間連続で休んだ後の休職期間中に給与が支払われている場合、傷病手当金は支給されません。ただし、支払われた給与が傷病手当金の額よりも少ない場合は、差額が支給されます。

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)│全国健康保険協会

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待期期間の捉え方や支給額の計算方法

待期期間の捉え方や支給額の計算方法

上記で解説した傷病手当金が支給される4要件の内容を踏まえて、ここからは休職期間の捉え方や支給額の計算方法などについて、詳しく紹介していきます。

待期期間の捉え方

3日間連続して休職する期間のことを「待期期間」と言います。例えば2日間休んだ次の日に勤務した場合は、待期期間がリセットされるため、要件に当てはまりません。傷病手当金の申請にあたっては、待期が成立するケース、成立しないケースをしっかり押さえておきましょう。

「待期3日間」の考え方

傷病手当金の支払い期間は最長1年6カ月

傷病手当金が支給される期間は支給開始日から最長1年6カ月です。病気やケガが良くなり、出勤して給与が支払われた期間は支給の対象外となりますが、再び休職した場合、支給開始日から1年6カ月の間であれば傷病手当金が支給されます。この1年6カ月の支給期間以降は、傷病手当金は支給されません。

傷病手当金が支給される期間

支給額の計算方法

傷病手当金の支給額は、下記の式で算出します。

傷病手当金支給額の計算式

式に当てはめて、ここからは具体的なケースで算出してみます。支給開始前の12カ月のうち、最初の2カ月の標準報酬月額が30万円、次の5カ月が20万円、次の5カ月が25万円というケースでは、1日あたりの支給額は5,278円になります。

具体例

具体例の計算式

参考:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)│全国健康保険協会

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傷病手当金申請の流れ

傷病手当金申請の流れ

次に、傷病手当金を申請する際に行う、企業側の手順を紹介します。

従業員に状況を確認する

まずは状況を把握するために、対象の従業員に以下の項目を確認します。

  • 傷病名
  • 業務中、通勤中の傷病ではないか(労災の対象ではないか)
  • 予定している休職の日数
  • 傷病手当金の対象になる場合、申請を希望するか
  • 休職中の連絡先

また、有給休暇の取得の有無や、業務の引き継ぎの確認などもしておくとよいでしょう。

申請書を用意する

対象の従業員が傷病手当金の申請を希望しており、支給対象だと確認できた場合、「健康保険傷病手当金支給申請書」を用意します。書類は、全国健康保険協会のホームページからダウンロードできます。申請の際、医師に記入してもらう書類があることや、通院費用などは従業員が負担することも伝えましょう。

申請書を従業員に渡し、それぞれ記入する

申請書は4枚構成で、1・2枚目は従業員、3枚目は企業側(事業主)、4枚目は医師が記入する書式となっています。この4枚目は、従業員が病院に持参して医師に記載してもらうようになります。従業員、医師、企業側でそれぞれ記入できたら、申請準備は完了です。

傷病手当金を申請する

書類が整ったら、全国健康保険協会や健康保険組合などの医療保険者に書類を送り、申請します。支給申請は、一般的に企業側から行いますが、従業員が直接郵送しても構いません。

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傷病手当金の制度を効果的に活用する7つのポイント

傷病手当金の制度を効果的に活用する7つのポイント

最後に、傷病手当金の制度を効果的に活用するために、企業が押さえておきたい7つのポイントを紹介します。

医師の診断書の発行費用を従業員、会社のどちらが負担するか決めておく

傷病手当金の申請には、医師の診断書が必要となります。診断書の発行には費用がかかるので、従業員、企業のどちらが負担するか、あらかじめ社内で決めておくといいでしょう。

休職期間が長くなる場合、1カ月ごとの申請がオススメ

傷病手当金の手続きは、事後申請になります。休職が長期にわたる場合、無給となる従業員にとっては給与と同様に生活を支える糧になるので、1カ月単位での申請がオススメです。

従業員の代理で、企業が傷病手当金を受け取ることも可能

傷病手当金は通常、従業員の指定口座に入金されます。ただし、社会保険料の支払いを企業側で立て替えているなどの事情があり、対象従業員の承認を得られた場合、企業が代理で受け取ることもできます。

申請から実際の支給までには一定の期間がかかる

傷病手当金の申請から支給までは、全国健康保険協会の場合は2週間程度で、健康保険組合によっては2〜3カ月かかることもあります。初回は審査に時間がかかるものの、2回目以降は手続きがスムーズになり、期間が短縮されるケースが多いです。

退職後でも支給される場合がある

傷病手当金の受給資格は、退職日の前日に「資格喪失」となります。しかし、それまでに健康保険に加入して1年以上たっており、受給資格を満たしていれば支給されます。ただし、一度仕事に復帰し、その後働けない状態になったとしても、支給されないので注意が必要です。

障害厚生年金を受け取っていても支給されるケースがある

資格喪失後に傷病手当金の支給資格を満たしていても、障害厚生年金を受け取っている場合、傷病手当金は支給されません。ただし、障害厚生年金額の360分の1が傷病手当金の日額より低い場合は、差額が支給されます。

出産手当金を受け取っていても支給されるケースがある

出産日以前42日から出産日翌日以降56日までの休職期間のうち、給与が支払われなかった期間には、出産手当金が支給されます。これまで、出産手当金を受け取る場合、傷病手当金は支給されませんでしたが、2016年からは傷病手当金の支給額が出産手当金の支給額よりも多いケースには差額を支給されることになりました。

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傷病手当金は従業員を支える不可欠な制度

傷病手当金は従業員を支える不可欠な制度

傷病手当金は、従業員とその家族の生活を支える大切な制度です。従業員に気持ちよく働いてもらうためには、病気やケガをしてしまった際に安心して休み、復職後に活躍できる仕組みが欠かせません。傷病手当金の制度について理解を深め、体制の強化や見直しをしてみてはいかがでしょうか。

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