企画や資料作成、コミュニケーションの基本として、多くのビジネスパーソンが活用するロジカルシンキング。ロジカルシンキングによって物事を論理的に考えることで、筋の通った論理形成や聞き手に伝わりやすい話し方を身につけられます。この記事ではロジカルシンキングの概要やメリットとともに、頻繁に使用されるフレームワークを紹介していきます。
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ロジカルシンキングとは
はじめに、ロジカルシンキングがビジネスシーンで必要とされる理由について、基本的な原則とともに解説していきます。
ロジカルシンキングの概要
「ロジカルシンキング」とは、筋道を立てて論理的に考える思考方法のことを指します。「論理的思考」と訳されることが多く、感情を伴う判断や曖昧な思考、事実とは異なる根拠を取り除き、論点を押さえながら正しい結論を導くことが原則です。
専門的で難解に思えるかもしれない方法ですが、ビジネスで使用されるロジカルシンキングは、誰もが習得できるのが特徴です。過去に蓄積されたフレームワークを学び、実際のビジネスシーンで応用していくことが、基本的な習得方法になります。
ロジカルシンキングのメリット
ロジカルシンキングには、さまざまなニーズとメリットがあります。ここでは、おもな3つのメリットを紹介します。
1つ目はグローバル化するビジネスシーンにおいて、コミュニケーション能力を発揮しやすくなる点です。ロジカルシンキングがもたらす最大のメリットは、異なる考えを持つ人を説得したり、共感させたりすることです。価値観や文化が異なる外国の人々とビジネスをするうえでは、特に効果を発揮するため、近年のグローバル化とともにロジカルシンキングの重要性が増しています。
2つ目は、情報化・デジタル化社会の中で、スピーディーかつ正確な判断が可能になる点です。現在のような高度な情報化社会では、常に膨大な情報の中から信頼すべきファクトを抽出し、正しい判断をすることが求められます。また、テクノロジーの進展によって社会の動きは加速しており、スピーディーな意思決定によって競争力を維持することは、ビジネスにおいて不可欠です。重要な論点に集中し、迅速に正しい結論を導き出すロジカルシンキングは、現代において強い力を発揮します。
3つ目はアイデアの創出です。ビジネスでは、平凡なアイデアだけでは競合企業に勝てないため、常に独自性を求められます。ロジカルシンキングを活用すれば、効率よく業務を進められ、それによって生まれた時間を、より深い思考や新たなアイデア創出に向けられます。また、アイデアそのものを生み出すフレームワークもあるので、個人やチームのアイデア開発にも役立てられます。
かつてロジカルシンキングは企画やマーケティング、プレゼンテーションで活用されるイメージがありましたが、現在は幅広い業種・職種で用いられています。部門やキャリアに関係なく、ビジネスの必須スキルになりつつあるのです。
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クリティカル・シンキングやラテラル・シンキングとの違い
ロジカルシンキングと似た言葉に、「クリティカル・シンキング(批判的思考)」があります。自分の考えに対して批判的視点を取り入れ、客観的に物事を捉える思考法です。経験や成功則に頼らず、冷静に判断する際に役立つ思考法で、ロジカルシンキングで出た結論に対し、クリティカル・シンキングを用いることで精度を高める方法もあります。
また、「ラテラル・シンキング」という思考法もあります。これは心理学者デ・ボノが主張した、「バーティカル・シンキング(垂直思考/ロジカルシンキングに近い思考法)」と並ぶ概念(水平思考)であり、前提を疑い抽象化し、思考を広げていく考え方を指します。筋道を立てて論理的に考えるロジカルシンキングとは異なり、既成概念にとらわれずに柔軟に思考することが特徴で、独創的な結論を導き出す際に役立ちます。

ロジカルシンキングの基本的なフレームワーク
次に、基本となるフレームワークを6つ解説します。それぞれのポイントを詳しく見ていきます。
MECE(ミーシー)
ロジカルシンキングの代表例として知られるのが、「MECE(ミーシー/Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)」です。ある概念の欠落や重複を防ぐ思考法で、「モレなく、ダブりなく」という意味があります。
たとえば、新入社員を「20代」「30代」……と年齢別に分類したり、新入社員を「新卒社員」「中途採用」と分類したりするのは、モレとダブりがないためMECEです。しかし、社員の仕事を「開発職」「営業職」「管理職」と分類する場合、人事や総務のような間接部門がモレとなり、管理職でも開発や営業に携わっていればダブりとなるため、MECEではありません。
MECEは、見落としや無駄を防ぎつつ、思考をマッピングして全体像を把握するのに役立ちます。特に、決定的なモレをつぶしていくことはビジネスにおいて重要です。マーケティングや営業戦略から、社内アンケートの作成にいたる、幅広いシーンで効果を発揮するでしょう。
ロジックツリー
MECEと並び、全体像を把握するうえで重要になるフレームワークが「ロジックツリー」です。上位概念となる大きな要素から、枝のようにどんどん細分化していく方法になります。
たとえば「有能な人材を確保する」という最終目標を、「外部から人材を採用する」「内部の人材を定着させる」という2つの要素に区分けします。そこからさらに、「ブランディングを強化する」「就活フェアに参加する」……と細分化していきます。こうして完成したロジックツリーにより、抽象的な目標を明確化し、具体的なアクションを設定できます。
ロジックツリーは、複雑な構造をシンプル化する際に効果を発揮します。大きな目標の見える化、問題やトラブルの原因分析、チームの体制づくりなどに応用できるでしょう。

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マトリックス
「マトリックス」は、物事を2つ以上の軸によって図表化する方法です。適切に配置することで、情報を視覚的に把握できます。
必要になるのは、あるテーマに対して重視すべき2つ以上の指標を設定することです。図表化する方法は2つあります。情報を4つの枠に区分けするのが「テーブル型」で、軸を強弱・程度を示すベクトルとして機能させるのが「ポジショニングマップ型」です。全体図を作成した後、それぞれの事象を配置していきます。
テーブル型は、さまざまな事象を定性的な指標で整理するのに向いています。たとえば、取り組むべき課題を、「優先度が高い・低い」「メリットが大きい・小さい」と分類することで、「まずはメリットが大きく、優先的に取り組むべき課題から着手しよう」と判断できます。チームや個人のタスクやスケジュール、施策の管理、会社の経営課題の整理などに役立つでしょう。
一方、ポジショニングマップ型は、数値化しやすい指標や、対極的な概念から、位置づけを見極めるのに役立ちます。たとえば、新規ビジネスを展開する際、競合を「デジタル・アナログ」「ローカル・グローバル」の指標でマッピングすることで、「デジタルでローカルなビジネスに、チャンスがある」と狙い目を見つけ出せます。市場調査や業績管理、商品開発などに役立てられるでしょう。
フロー図
次に紹介するのが、全体の流れをフローで捉える「フロー図」です。複数の要素が入り組んでいるものを、時系列や因果関係をつけて整理できます。構造把握や問題解決に効果的です。
フロー図では、事象やタスクを矢印で結びつけて整理していきます。一方向だけでなく、分岐や循環も取り入れるとよいでしょう。「どうすれば実現できるのか」「何がネックになっているのか」を把握できるため、人材育成における年間のPDCAサイクルの設定など、2人以上で情報を共有する際に有効です。
たとえば、「懸命に営業活動をしているのに、実績が上がらない」という場合に、「プレゼンスキルが足りない」という課題を発見し、次年度のアクションに落とし込むことができます。指示系統やマニュアルの作成、トラブルにおける原因分析、大型プロジェクトの管理などにも活用できます。

関係図
物事や人、組織のつながりや因果関係を示すのが「関係図」です。流れをシンプルに整理することに特化した「フロー図」と比べて自由度が高いため、より複雑な関係を描くことに向いており、言葉だけでは相手に伝えられないことを、可視化・共有するのに役立ちます。
関係図は、矢印の内容や種類を使い分け、細かな要素を書き込むことで効果を発揮します。新規事業のビジネスモデルやマーケティング戦略の策定、販路や流通網、組織の関係性などの整理に活用でき、フロー図では補えない複雑な原因分析やプロジェクト管理にも有効です。
仮説検証
「仮説検証」は、仮説をもとに情報を集約し、スピーディーによりよい結論を導き出すための方法です。通常のロジカルシンキングでは、情報源となるファクトを収集することからスタートしますが、その際に方針が何もなければ、情報収集をするだけで膨大な時間がかかってしまいます。まずは課題解決や目標達成に対し「この方法が最適ではないか?」「こんなことは実現できないか?」と仮説を立て、そこから情報を収集することが必要です。
この段階での仮説は、正しい必要はありません。場合によっては、誰も思いつかないような斬新な仮説を立てることで、独自性のある結論にたどり着けるでしょう。一度立てた仮説は、収集した情報や他のロジカルシンキングを活用して検証していきます。必要に応じて修正し、仮説を精度の高い結論へと練り上げていきます。
仮説検証は、新しい領域への事業展開や、これまで起こらなかったような問題の原因分析など、正解の見えない課題と向き合うシーンで有効です。繰り返すほど結論の精度を上げられるため、仮説と検証を往復することがポイントになります。

よく使われるロジカルシンキングの手法
ここからは、ビジネスシーンでよく使用されるロジカルシンキングの手法・フレームワークを紹介します。先述した基本的なフレームワークをベースに、目的に応じて活用してください。
SWOT分析
「SWOT分析」は、戦略の策定や分析を簡易に行うための方法で、企業の経営戦略などに活用されます。ビジネスには、競合の成長や不祥事、法改正、災害など、さまざまなリスクが付き物です。これらを回避しながら正しい道へと進むことが、企業活動の基本です。企業には、強みを生かしながら弱点を克服していくことが求められます。
SWOT分析では、自社を取り巻く要素を、内部環境の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」、外部環境の「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」に振り分けていきます。たとえば食品メーカーであれば、「有機栽培農家とのつながり」「若手人材が多い」が強み、「販売網が弱い」「店頭では魅力が伝わりづらい」が弱み、「オンラインショッピングの普及」や「健康志向の高まり」が機会、「中国の進出」や「原料価格の高騰」が脅威……といった形です。これらを分析し、強みを機会に活用していくと、「国内向けのオンライン販売を強化し、販売サイトで食材調達のプロセスを伝えることで差別化しよう」という戦略が生まれます。
さらに、4つの要素を見比べることで、弱みを克服する施策に取り組んだり、弱みとなる領域から撤退して強みに資源を分配したりと、あらゆる可能性が見えてきます。分析の際には、テーブル型のマトリックスを活用すると可視化しやすいでしょう。
帰納法と演繹(えんえき)法
推論で役立つのが「帰納法」と「演繹法」です。
帰納法:個々の事実から傾向を読み取り、結論に導く方法
たとえば、「政府が働き方改革を推進している」「新型コロナウイルスが社会課題となっている」「社内では育児や介護に追われる人が多い」といった3つの事実から、「リモートワークが求められている」という傾向を読み取り、「自社にもリモートワークを導入すべき」という結論へと導くものです。
演繹法:一般的な傾向を個々のデータにあてはめていく方法
まず、「社会ではリモートワークが求められている」という一般論やルールをもとに、「社内ではリモートワークを求める社員が多い」といったデータを関連づけます。すると最終的に、「自社にもリモートワークを導入すべき」という結論にいたります。
帰納法や演繹法は自然な思考方法であるため、無意識のうちに行っていることもあるでしょう。しかし、プレゼンテーションや商談などで相手に自分の主張を伝える際に、帰納法・演繹法を意識してコミュニケーションを進めることで、より説得力を高められます。
ゼロベース思考とブレインストーミング
「長期的に取り組んでいるが、なかなか解決できない課題がある」「アイデアがマンネリ化している」といった際に役立つのが「ゼロベース思考」です。既成概念を取り払い、枠を広げることで可能性を追求することを目指すもので、帰納法や演繹法と異なり、全く新しい発想を生む際に役立ちます。ゼロベース思考を用いる際には、前例や過去のデータ、必要となるリソースなど、発想を妨げる制約を外すことが有効です。
具体的に用いられる方法の1つとして、「ブレインストーミング(ブレーンストーミング)」が挙げられます。ブレインストーミングでは、1つのテーマに対して複数人がアイデアを出します。その際、「とにかくアイデアの数をたくさん出す」「出てきたアイデアに対し、批判、議論、説明などをしない」「アイデアを記録する」といった基本的なルールがあります。自分の思考に欠けている視点を取り入れたり、他者の考えから連想した新しい発想が生まれたりするため、さまざまなシーンで用いられます。
ピラミッドストラクチャ
主張や仮説に対して重層的な根拠を示していく際に、効果的な手法となるのが「ピラミッドストラクチャ」です。まず主張や仮説を立て、その根拠を「根拠A」「根拠B」「根拠C」と示し、さらに「根拠A-1」「根拠A-2」「根拠A-3」と細分化することで、ピラミッド状の論理を組み立てていきます。最下層は、具体的な事例やデータを取り入れるのが一般的です。
ピラミッドストラクチャは、主張に説得力を持たせるだけでなく、仮説検証をする際にも役立てられます。また、提案書の作成などで、論拠を複数の視点から示していく際にも効果を発揮するでしょう。

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ロジカルシンキングを身に付けるには
これまで、具体的なロジカルシンキングの方法を紹介してきましたが、これらは数ある手法の一部に過ぎません。さまざまなフレームワークを学び、使いこなしていくためには、学習や訓練が必要です。書籍などで基礎を学びながら、現場で実践していくのがよいでしょう。
ロジカルシンキングをより深く知りたい場合は、セミナーの活用も有効です。専門家による講義やグループワークを通じて、より実践的な形でスキルを習得できます。また、社員研修を提供しているサービスを活用すれば、複数の社員のレベルアップも可能でしょう。動画の教材を利用し、社員のレベルや職種ごとに柔軟なプログラムを組むこともできます。
ロジカルシンキングはあらゆるビジネスシーンで役立ちます。一人一人が思考方法を磨くことは、結果として会社全体の力を強くすることにつながります。ぜひ積極的に取り入れてみてください。
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