中途採用では試験を行うべきか? 採用試験の目的や効果を考える

中途採用では試験を行うべきか? 採用試験の目的や効果を考える


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新卒採用では一般化している「試験」ですが、中途採用においても試験を導入する企業は少なくありません。本記事では、中途採用においてこれから試験導入をされる方の参考となるよう、試験の種類や目的、効果などについて解説します。

1. 中途採用で試験を行う目的

中途採用で試験を行う目的

中途採用における試験は、主に3つの目的があります。それぞれみていきましょう。

1-1. スキルを見極める

中途採用は、即戦力となる人材を目的とした採用が多いです。そのため、必要とするスキルを持っていることが、採用において非常に重要となります。中途採用での試験は第1に、候補者が一般的な教養や技術力、対人関係能力などを持っているかを見極める目的があります。その他、プレゼンテーション力や向上心、リーダーシップなどを求めることもあるでしょう。

1-2. 性格や適性を見極める

試験にはミスマッチを防ぐ目的もあります。試験によって、その候補者が社風に合う性格か、業務に対して適性を持っているかなどが見極められます。加えて、管理職となる資質を持っているかといった将来性についても判断できます。また、試験に取り組む様子や試験に対する準備の具合から、本気度やその候補者の性格などをある程度判断することも可能です。

1-3. 採用基準を統一する

採用面接では、面接官の能力や性格、価値観によって採用基準にばらつきが生じることが起こりえます。採用基準にばらつきが生じてしまうと、採用した人材の能力に偏りが出てしまうばかりか、本当は優秀な人材にもかかわらず、採用に至らない可能性があります。その点、試験では一定の基準で公平な能力の評価が行えるメリットがあります。そのため、面接と試験を組み合わせることで、応募者を客観的に評価し、一貫性のある選考を行えます。

2. 中途採用で行う試験の種類

中途採用で行う試験の種類

中途採用で行う試験にはどのような種類があるのでしょうか。また、応募者のどのような適性・能力を見極められるのでしょうか。ここでは、試験の種類と見極められる適正・能力について説明します。

2-1. 適性検査

適性検査は大別すると「能力検査」と「性格検査」に分けられます。まずは、2つの適性検査の内容と効果について説明します。

2-1-1. 能力検査

能力検査とは、働くうえで必要になる基礎的な能力を測る検査です。代表的なものとして「SPI」や「玉手箱」などが挙げられるでしょう。能力検査には、「言語分野」と「非言語分野」という2種類が存在しています。言語分野では、言葉の意味や文章の要旨を的確にとらえ、理解する能力を測ります。

一方、非言語分野では、計算能力や論理的思考力を測ります。能力検査では得点による選別ではなく、企業が求めている能力水準を満たしているかという視点で行われます。能力検査の基準は、求める人材像を明確にしたうえで設定するのが一般的です。

2-1-2. 性格検査

性格検査は、応募者の個性や人柄を確認する検査です。これによって、その応募者の性格が社風や業務内容に合うのかを判断できます。応募者は面接である程度答えを用意しており、本音を話さないことがよくあります。しかし、性格検査では応募者の内面を見ることができるため、採用後のミスマッチを未然に防げます。性格検査で代表的なものとしては「SPI」「玉手箱」「YG性格検査」「内田クレペリンテスト」が挙げられます。

2-2. 一般常識試験

一般常識試験とは、国語、数学、理科、社会、英語、時事問題などに関して幅広く知識を問う試験です。思考力を試す能力検査とは異なり、知識の有無を問うことを目的として行われます。この試験では、文書を作成したり顧客と会話をしたりするうえで必要な、一般的な教養を身につけているかを確認できます。この試験の結果については、業種や職種によっては参考程度の情報として重視しない企業もある一方で、結果によって予備選抜を行う企業も存在します。そのため導入の際は、どの程度結果に比重を置くのか、基準を明確にしておく必要があります。

2-3. 専門知識試験

専門知識試験とは、業務に必要な専門知識やスキルを問うための試験です。この試験では、筆記試験だけではなく、技術に関する実技試験を行うこともあります。ここでは、応募者が現時点で持つ知識やスキル、技術の度合いを測り、即戦力として活躍できるかどうかを見極めます。特に急な欠員などによって、特定のスキルを持つ人材を緊急に必要としている場合は、重要かつ効果的な試験といえます。

2-4. 論文作成

論文作成とは、テーマ、文字数、作成時間を設定して論文を書かせる試験です。論理的な思考ができるか、分かりやすい文章を書けるかといった点を見極められます。また、業務に関する内容をテーマとして設定し、専門知識を持っているかを確認することもできます。海外では、論文の筆跡を筆跡心理学によって診断し、候補者の人柄や特性、深層心理を判断し、選考の材料とすることもあります。

3. 試験のタイミングとそれぞれのメリット

試験のタイミングとそれぞれのメリット

中途採用では、試験をするタイミングがいくつかあります。ここでは、試験のタイミングとそれぞれのメリットを紹介します。

3-1. 面接の前

面接の前に試験を行った場合、試験の結果によって面接を行う対象を絞り込めます。採用担当者の作業効率化につながるほか、候補者の人物像を理解したうえで面接を行うことで、適切な質問ができるメリットもあります。

3-2. 面接と同時

試験を面接と同じ段階で行う場合、面接と別に試験の日程や会場を設定する必要がありません。そのため、会場費などのコスト削減や採用担当者の時間的なコストを抑えることが可能です。また、面接または試験の結果だけでふるい落とすことがなく、総合的な視点で選考を行えるメリットがあります。

3-3. 面接の後

試験を面接の後に行う場合、面接で絞り込んだ人だけに試験を実施するので、試験のコストを抑えられます。特に人物重視で採用を行う場合には有効な手法です。また、試験結果を人事情報として保管するためにこのタイミングで実施することもあります。そのほかにも、採用者を面接で絞り切れなかった場合の追加措置として試験を行うことも一般的です。

4. 中途採用の試験に関して準備すべき事項

中途採用の試験に関して準備すべき事項

中途採用で試験を行う場合には、事前の準備が非常に重要です。ここでは、試験を行うにあたって決定・作成しておくべき事項について紹介していきます。

4-1. 試験の場所の決定

まず、試験を行うにあたり、開催場所を決めておかねばなりません。会場を特別に用意したり、適性検査を行う企業が設けているテストセンターで実施したりする方法がありますが、会場費などのコストがかかるという点に留意する必要があります。また、Webを通じて応募者の自宅などで試験を受けてもらう方法もあります。採点が容易に行えるため、採用担当者の負担が軽くなりますが、試験環境を監督することができないため、不正回答をするリスクがあります。

4-2. 試験内容の決定

中途採用の試験では、試験問題の作成方法や試験の問題数、試験時間といった内容を具体的に決めておく必要があります。

4-2-1. 試験の作成

試験問題を自社で作成するか、それとも業者に実施を依頼するかについて検討しなければなりません。試験問題を自社で作成する場合、自社の業務内容を試験に取り入れることができるため、業務に関係する専門知識を問うのに適しています。ただし、試験作成のノウハウが必要であることと、担当者の負担が大きくなってしまうことに留意する必要があります。

一方で業者に試験の実施を依頼する場合、実績や効果が広く認められている試験などを行えるメリットがあります。この場合、担当者の負担は少なくなりますが、金銭的なコストがかかる点は考慮する必要があります。

4-2-2. 試験の問題数と時間の設定

試験を行うためには、試験の出題数や時間を設定する必要があります。先ほど挙げた「SPI」や「玉手箱」などの規格化され販売されているものは、基本的に科目ごとの問題数や制限時間があらかじめ設定されています。一方、自社オリジナルの試験であれば、問題数や時間を自由に設定できるというメリットがあります。しかし、受験者の集中力や担当者の負担を考慮して設定する必要があるため、ある程度の経験と知識が必要です。

4-2-3. 試験の合格基準の設定

試験を行うには、試験の合格基準をしっかりと決めておかねばなりません。たとえば、試験結果から偏差値を求め、その偏差値を合格基準にすることが考えられます。「偏差値60を試験の合格ラインとし、合格者に面接を行う」などの基準とフローを具体的に決めておくとよいでしょう。また、性格、一般常識、専門知識など複数の試験を行う場合では、どの試験の結果を重視するのかについても決めておく必要があります。

5. 中途採用で試験を行ううえでの注意点

中途採用で試験を行ううえでの注意点

中途採用で試験を行ううえでは注意点もあります。試験は採用活動を効率化してくれますが、試験結果のデータのみで合否を判断してしまうことは非常に危険です。また、自社のニーズを考慮に入れて試験の方針を決定することも重要なポイントです。

6. 適切な試験の実施で中途採用を効率化

適切な試験の実施で中途採用を効率化

中途採用では、面接と試験をバランスよく組み合わせることで、選考の質を高められます。応募者のスキルや適性を試験し、即戦力となる人材かどうかを見極めることで、優秀な人材を効率よく採用することが可能です。そのためには、試験の内容やコスト、タイミング、合格基準を十分検討し、効果的な試験にしていくことがポイントといえるでしょう。

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