距離があっても会話が可能なオンライン面談は、就業中の候補者の負担を軽減しながら選考ができる方法で、中途採用の選考手段の一つとして近年導入する企業は増加しているようです。企業側は、候補者との接点を増やせ、求める人材のみ効率的に面接へつなげることができるというメリットだけでなく、使用する会議室調整などのオペレーション上の手間を省くことができます。
さらに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で採用イベントや説明会などの中止や延期も相次ぐなか、新たな選考手段として検討の必要に迫られている企業も少なくないでしょう。
この記事では、企業の採用担当者が、電話面談をする際に押さえておきたいポイントと実際の流れを紹介します。
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電話面談で心掛けるべきポイント

電話面談は対面での面談・面接に比べて、「相手に伝えること」も「相手を理解すること」も難度が上がります。重要なポイントは、「丁寧に話すこと」です。電話での面談では候補者がどのような心理状態かわかりづらいため、対面で話すときよりも、以下の点をより意識して、丁寧に接しましょう。
- 声の大きさ
- 声の高さ
- 話すスピード
- 間の取り方 など
電話面談 基本の流れ

次に、電話面談を行う際の基本的な流れについて説明します。なお、電波の悪い場所や周囲が騒がしい状況で行うと、言葉が聞き取りづらく、質問内容やその回答が正確に伝わらない可能性があります。通信環境が原因でスムーズにやりとりができないことで、選考の評価に影響が出ることはお互いにもったいないことです。
騒音が少なく、周囲を気にせず落ち着いて話せるような場所を選ぶことが重要です。お互いにとって実りある良い時間となるよう、あらかじめ環境面について候補者に確認するのもよいでしょう。
あいさつ
○○様のお電話でよろしいでしょうか。 私、●●株式会社 人事の●●と申します。
先日は、弊社からのスカウトにご返信いただき、ありがとうございました。早速ですが、お電話での面談ということで10分程度お時間をいただいてもよろしいでしょうか。
それでは簡単に求人の概要をご説明し、○○様のご状況などについてお伺いしたいと思います。
会社・募集ポジションの説明
自社について紹介
(自社や求人についてアピールしたいポイント、候補者にとって転職のメリットにつながる点を伝えると効果的です)
募集ポジションについて紹介
(募集を行っているポジションの仕事内容と募集条件などを伝えましょう。掲載している求人の内容に沿って説明すると、候補者も理解がしやすく、スムーズに進みます)
候補者情報の収集
私から○○様にいくつかお伺いしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか
※質問例※
- 今回、求人のどのような点にご興味をお持ちいただけたのでしょうか
- もし差し支えなければ、転職を検討されている理由をお伺いできますか
- 現在の年収、またご希望の年収帯をお聞かせいただけますか
- ご転職の希望時期はいつごろですか
- 現在、選考中の企業などはございますか。 差し支えなければどのような企業かお聞かせいただけますか
選考への意思確認
この後、今回募集を行っているポジションの部門責任者に○○様を推薦させていただきたいと存じますが、○○様のお気持ちはいかがでしょうか
YESの場合
次(2-5.応募書類提出の依頼)へ進む
NOの場合
そうですか、かしこまりました。差し支えない範囲で結構ですので、ご辞退の理由を教えていただけますか
(理由を確認する)
かしこまりました。では、またご縁がございましたときにはどうぞよろしくお願いいたします
応募書類提出の依頼 ※必要に応じて
このあと、弊社からメールをお送りいたしますので、そのメールへ【履歴書/レジュメ(職務経歴書)/英文のレジュメ】を添付し、ご返信いただければ幸いです。なお、いつごろご返信いただけそうでしょうか
今後の流れの説明 ※必要に応じて
書類選考の結果につきましては、本日お話しいただいた内容と【履歴書/レジュメ/英文のレジュメ】を拝見し、書類送付から○日以内に、メールにてご連絡いたします
終話
私からのご案内は以上ですが、何かご不明点やご質問はございますか。もしあとから確認したいことが出てきましたら、いつでもメールにてご連絡いただければと思います。
本日はお忙しいところお時間をいただき、ありがとうございました。【履歴書/レジュメ/英文のレジュメ】をお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。失礼いたします

企業・候補者、双方にメリットがある電話面談にするためには

企業側が求職者の能力やスキルを見極める場として「面接」が設定されるのに対し、「面談」は企業と求職者が相互の理解を深める場として設けられる、いわば対等なコミュニケーションの場です。
対面ではないとはいえ、顔の見えない電話面談も一つの「体験」であり、候補者の記憶や企業イメージに大きな影響を及ぼすものです。
仮に、電話の先の候補者に「選考プロセス」に進んでもらえなくても、「面談したメリット」をつくれるかどうかは、企業としてどのような姿勢で電話面談に臨むかということにかかっているのかもしれません。最後まで、候補者との丁寧なコミュニケーションを心掛けましょう。
「ダメ面接官」にならないために

「ダメ面接官」が陥りがちな「NG行為」「思い込み」とは――。ダメ面接官に共通する特徴を取り上げながら、面接の質を向上させ、採用力を高めるためのノウハウを、人事コンサルタントの曽和利光氏が解説します。