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人手不足が叫ばれる時代において、採用活動はますます難しくなっています。「ぜひ採用したい」と思わせる優秀な人材ほど、なかなか自社に来てくれないものです。
そこで取り入れたいのが「マーケティング」の視点。採用活動にマーケティングの視点を取り入れることで、自社の魅力を際立たせるとともに求職者のニーズを深く理解し、優秀な人材を引きつけやすくなると考えられます。
こうした採用活動の考え方を「採用マーケティング」と呼びます。今回は、採用マーケティングの概要と、取り組むメリットやポイントについてご説明します。
採用マーケティングの基礎知識

昨今、採用活動の取り組みの一つとして注目を集めている「採用マーケティング」。
採用マーケティングは、従来の採用活動の取り組みとどのように異なるのでしょうか。はじめに採用マーケティングの概要についてご紹介します。
採用マーケティングとは
採用マーケティングとは、採用活動にマーケティングの手法を取り入れたもの。マーケティングでは、ターゲットやターゲットのニーズを明確化し、効率的にアプローチしていきます。採用活動に、マーケティングの考え方や手法を取り入れることで、自社で採用したい人材への効率的なアプローチが可能になります。
採用活動におけるファネルとは
■ 採用活動におけるファネル図

マーケティングでは、商品やサービスの認知から購入までのユーザー行動を、マーケティングファネルという考え方で整理します。採用マーケティングでも同じような考え方で、採用ターゲットが自社を認知してから入社して活躍するまでのプロセスを「ファネル」で表現できます。
ある企業から発信された情報に接した人材を「潜在層」とすると、具体的にその企業への転職を検討し始める人は「顕在層」となります。顕在層の人材が募集中のポジションへ応募したり、その企業からのスカウトに応じたりすることで「候補者」となります。そして選考通過・内定受諾を経て「従業員」となります。
従来の採用活動との違い
従来の採用活動では、関係者の意識が「手法」に向けられていました。人材紹介会社を利用したり、求人媒体(就職サイトや転職サイト)へ出稿したり、さらには採用イベントへ参加したりと、「何をやるか」が採用活動において考えるべきことの中心に置かれていたのです。
そして実際に応募してくれた人への対応は、協力会社や子会社などに任せることも少なくありませんでした。 一方の採用マーケティングは、手法ではなく「仕組み」に意識を置きます。
人材をどうやって集めるかというよりも、優秀な人材に自社を選んでもらうための仕組みづくりまでを採用マーケティングの範囲であると見なします。 そのため、「自社の戦略はいかにあるべきか」「どういった人材を採用したいのか」など、自社や採用したい人材(ターゲット)の分析に力を入れることが必要となります。

採用マーケティング導入のステップ
採用マーケティングは、主に5つのプロセスで構成されています。
自社分析
はじめに行う「自社の分析」では、経営理念や経営戦略を改めて見直し、その強みと弱みを認識します。たとえばマーケティングにおける思考フレームワークとして「SWOT分析」と呼ばれるものがありますが、S(Strength=強み)・W(Weakness=弱み)・O(Opportunity=市場機会)・T(Threat=外部脅威)の4つを洗い出すことで強みや弱みを再認識できます。こうした分析を通じて、自社のとるべき採用戦略が見えてくるのです。
採用ターゲットの選定
自社を分析したら、次は「採用ターゲットの選定」です。マーケティング戦略においては、ターゲティングが欠かせません。どのようなターゲットに商品を売るのか、採用活動で言い換えれば「どのような人材に自社へ入社してもらいたいのか」を明確化することで、アプローチ対象が絞り込まれて採用に割けるリソースを効率的に活用できるようになります。 「優秀な人材」と一言でいっても業界・業種、自社の状況によってさまざまな定義があるでしょう。採用ターゲットは「指示がなくても自ら動ける行動力や、失敗を次に生かせるリカバリー力に優れた若手」などと具体化することがポイントです。
採用ターゲットのニーズの調査
次に、定めた採用ターゲットが「どういったニーズを持つのか」をリサーチします。たとえば採用ターゲットが多いと想定される教育機関などでアンケートやインタビューなどを実施しましょう。リサーチ会社に協力を依頼するのも一つの方法です。就職活動・転職活動においてどのようなニーズを持っているのか可視化することで、採用ターゲットに強い印象を与えるようなメッセージを打ち出せるようになります。
効果的なアプローチ方法の検討
採用ターゲットのニーズを理解できたら、次はそのニーズに基づいた採用施策を検討します。求人媒体への掲載や採用イベントなどの機会において、ターゲットに対してどのようにアプローチするのが効果的かを考えます。認知から採用に至るまでのプロセスを「ファネル図で示すこともよく行われます。
施策実施・継続的な改善
採用マーケティングでは「PDCAサイクル」を意識することが重要です。施策を実施している最中や実施した後に振り返りを行い、継続的な改善につなげることを忘れないようにしましょう。
なぜ採用マーケティングを行う必要があるのか

昨今、採用マーケティングが必要であるといわれるのは、なぜか。その理由は主に、次の2つです。
採用競争が激化しているなかで優秀な人材を採用するため
1つ目の理由は、採用活動が激化しているなかで、優秀な人材を採用するためです。 「売り手市場」が続き人手不足の状況で、採用市場においては、人材の採用競争が激化しています。優秀な人材には、複数の企業がアプローチを行い、従来の採用スピードに比べるとかなり短期間で内定してしまうケースも珍しくありません。
そのため、「求人に応募してきた/人材紹介会社に紹介された人材のなかから、じっくり採用候補者を選ぶ」という方法ではスピードで負けてしまい、結果的に優秀な人材を採用できない可能性があるのです。
多様化する求職者のニーズに合わせた情報発信を行うため
2つ目の理由は、多様化する求職者のニーズに合った情報発信を行うためです。 採用マーケティングを導入することは求職者へのアプローチを効率化するだけでなく、多様化する求職者のニーズに応えることにもつながります。 日本で長く続いていた終身雇用制度が崩れると同時に、求職者の求職理由も企業の規模や安定性といったものだけでなく、個人の価値観に合わせて多様化しました。
たとえば、企業の知名度よりも自身のキャリア形成ややりがい、副業の可否などを重視するケースも増え、大手志向の人ばかりとは限りません。 従来よりも多面的に企業を判断する傾向が強まっており、求職者が求職活動中に知りたい情報も多様化しています。
つまり、企業側で「欲しい」人材を採用するためには、積極的に自社の情報を発信していく姿勢が重要です。 どのような情報を発信すべきかについては採用マーケティングの考え方を適用しながら、自社の求める人材像をしっかり分析することで明確になっていきます。

採用マーケティングに取り組むメリット

採用活動にマーケティングの視点を取り入れるとどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的にご紹介します。
優秀な人材が集まりやすくなる
採用マーケティングでは、求職者が入社したいと感じるような発信を心がけます。つまり、会社の理念やサービス、社長、組織や福利厚生などの魅力を積極的に求職者に伝えるようにするのです。しばしばオウンドメディア(ブログ)やSNSが活用されます。
こうした発信は、いずれも会社の認知度を高めるだけでなく、「ファン」を増やすための活動といえます。会社のファンとは、積極的に自社の商品を購入してくれるような消費者や企業を指します。このファンを、社員として採用するのも一つの方法です。会社に強い魅力を感じているファンが従業員となれば、高いモチベーションを持って働いてくれると考えられるからです。 地道に会社の魅力を発信し、ファンを増やしていくことで、自社に興味を持つ母集団形成が可能となり、結果的に採用候補者となる人材を見つけやすくなります。
三顧の礼で迎えたくなるような優秀な人材もやってくるかもしれません。 前述の、採用ターゲットの選定の際に「優秀な人材」の定義を具体化していれば、そうした人材が応募してくる可能性もさらに高まるでしょう。
採用コストの削減につながる
もうひとつ期待できる成果として「採用コストの削減」が挙げられます。マーケティングを意識しない採用活動に比べて、人材の定着率向上や採用広告費の削減が見込め、人事コストを総合的に減らす効果があるのです。 その理由は、ターゲティングにあります。採用マーケティングでは、ターゲットを絞り込んでアプローチします。そのため、利用する求人媒体や情報発信のツールを絞り込みやすいのです。
さらに、自社の特徴を効率的に発信すれば、採用した人材が短期間で退職してしまうというミスマッチが起こりにくくなると考えられます。会社へのエンゲージメント(愛着)の高い人材が入社することで定着率が上がれば、長期的にもコスト削減が期待できるでしょう。
自社にマッチする人材を見つけやすくなる
採用マーケティングでは、求める人材に「この会社に入社したい」と思ってもらえるような情報発信を心がけます。採用情報に限らず、会社の理念やサービスのこと、社長、社員、組織風土や福利厚生などさまざまな角度から魅力を積極的に伝えるのです。こうした地道な情報発信が、「転職意欲の有無にかかわらず自社にマッチした人材」を引き寄せるようになります。

採用マーケティングに取り組むときに覚えておきたいポイント

最後に、採用マーケティングを開始するうえで心がけたいポイントを解説します。
データを活用して採用活動の効率化を図る
従来型の採用活動では、どうしても採用担当者の経験や直感を重んじる傾向がありました。採用は人と人とのコミュニケーションであり、客観的な情報より直感が重要という価値観を持つ面接官も少なくないでしょう。 しかし、採用マーケティングでは客観的な情報(データ)を重視します。ニーズを客観的に把握するため、アンケート調査やインタビュー調査を行うこともあります。最近では人事・採用関連のアンケート調査を実施するリサーチ会社や人材会社も増えているため、そうした会社が出す情報に触れるだけでも求職者への理解が深まるでしょう。
また採用活動においてデータの活用を進めている企業では、採用管理システムを導入しているケースも増えてきています。情報共有と蓄積、場合によっては分析までをシステム上で行えるため、採用担当者はターゲティングや応募者の評価など、考える作業にリソースを集中させやすくなります。こうしたシステムの活用も検討するとよいでしょう。
魅力のある組織づくりを心がける
会社に魅力がなければ、いくらマーケティングやブランディングに磨きをかけたところで人材は集まりにくいでしょう。商品を売るためのマーケティングの大前提が商品自体の魅力であるように、採用マーケティングの大前提は会社自体の魅力を理解することです。
この際、あくまで外部目線で魅力を分析してください。会社の内部にいるからこそ見える魅力ではなく、外部から見て本当に魅力的だと思えるような部分を見いだすように心がけるのです。そのためには、会社外の人(人材コンサルタントや学生など)にも、自社の魅力を挙げてもらうといいでしょう。 魅力を理解したら、その部分を強調するような形で組織を改善していきます。採用活動のみならず、事業においてもその魅力と矛盾しないことが重要です。
採用マーケティングの事例をチェックする
採用マーケティングを導入しようにも、具体例をチーム内や上司などに示さなければ始まらないということもあるでしょう。他社の事例を研究して自社も活用できそうな部分は積極的に取り入れてみる、他社の事例を参考にしつつ自社独自の手法を編み出すといった取り組みが有効です。
採用マーケティングの事例
ビズリーチでは、採用マーケティングに取り組んでいる企業様に取材を行っています。具体的な事例をいくつかご紹介します。ぜひご覧ください。
採用マーケティングを取り入れて、採用力を上げよう
採用マーケティングは、優秀な人材を会社側から見つけ出すのではなく、優秀な人材側から来てもらうにはどうすればいいかを考える採用戦略です。 手法自体は従来の採用活動とそれほど大きく異なりませんが、その根元にある考え方が真逆といっていいほど異なります。
採用活動にマーケティングの視点を取り入れることで、採用コスト削減や優秀な人材の採用などのメリットが見込めます。まずは、何をもって優秀な人材と定義するのか、自社の魅力は何なのかを分析するところから始めてみてはいかがでしょうか。
5年後の組織を思い描けますか?

人材不足が深刻化するなか「必要になってから人材を採用しよう」としてもそう簡単にはいきません。
「未来を見据えた採用」によって、組織や事業は変わります。
本資料を参考に、5年後を見据えた人材採用計画について考えてみましょう。