人材の多様性を、事業価値の向上に変えていく

「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに、個人や法人、すべての人のお金の課題を解決するサービスを提供する株式会社マネーフォワード。2021年、事業戦略に密接にかかわりながら採用戦略や人事戦略を立てる組織として、ビジネスカンパニー内にHRBP室を立ち上げました。同社のHRBP室が担う役割や、今後目指したい組織像などについて、カンパニーCOOであり、HRBP室長でもある竹田正信氏にお話を伺いました。

竹田 正信氏

取材対象者プロフィール竹田 正信氏

取締役執行役員 ビジネスカンパニー COO 兼 HRBP室 室長

株式会社マクロミルにて、セールス、事業企画、経営管理部門等の業務に従事し、2008年取締役。事業部門を主に管掌し、事業戦略、人事戦略、企業統合、新規事業開発を主導。2016年より株式会社クラビス取締役CFO。2017年11月、グループ会社化に伴い株式会社マネーフォワードに参画し、現在ビジネスカンパニーを統括。

強い組織は、カルチャーを体現する人たちで成り立っている

──はじめに、マネーフォワードの事業概要について教えてください。

2012年に創業したマネーフォワードは、今年10周年を迎えました。「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに、個人や法人、すべての人のお金の課題を解決するサービスを提供しています。お金がないから不安を抱えたり、やりたいことをあきらめたりするシーンを変えていきたい。人生がもっと前に進んでいく支援をしていきたい。そんな思いでビジネスをスタートさせました。

サービスは多岐にわたっており、利用中の銀行・クレジットカード・証券会社・FX(外国為替証拠金取引)・年金・ポイントの口座を自動でまとめ、家計簿を自動作成するお金の見える化アプリ「マネーフォワード ME(ミー)」や、バックオフィスに関するさまざまなデータを連携し、経理や人事労務における面倒な作業を効率化する、事業者向けバックオフィスSaaS「マネーフォワード クラウド」などがあります。

──竹田さんはビジネスカンパニーのCOOを務めているとのことですが、ビジネスカンパニーとはどのような部門なのでしょうか。

ビジネスカンパニーは、個人事業主や中小・中堅企業、エンタープライズ企業などの事業者向けに、バックオフィス向けSaaS事業を展開しています。経理財務や人事労務、契約管理領域のサービスを扱い、マネーフォワード全体の売り上げの約60%を占めています。

カンパニーミッションは、「ビジネスを前へ。働く人をもっと前へ。」です。私たちのサービスを通じて、バックオフィス業務の効率化にとどまらず、事業やビジネスが前に進み、そして働く一人一人がもっとクリエイティブで、おもしろい仕事ができるようになるお手伝いをしたいと考えています。

──竹田さんは2008年に株式会社マクロミルの取締役に就任され、以来、さまざまな企業の役員を歴任されてきました。2008年当時と比較した昨今の採用市場を、経営者の視点でどのように捉えていますか。

私のキャリアは一貫して「インターネット×スタートアップ」です。社会人になった2000年前後は、IT企業は社会的にほとんど注目されておらず、世界の時価総額トップランキングにもIT企業は全く入っていませんでした。

2008年にマクロミルの取締役となったことで経営者視点を持つことになりましたが、当時と比較すると採用市場の大きな変化を実感しています。現在、世界の時価総額の上位にランクインしている企業のほとんどがIT企業で、そこに集まる人材のレベルは明らかに高くなっています。私自身、「若い人たちが優秀になった」という感覚でいましたが、それだけではなく、IT事業が全産業のなかで重要な位置に押し上げられているからでもあると気づきました。

──IT業界内で採用競合も増えるなか、採用難度も高まっていったということでしょうか。

採用の難度自体は、上がっているとは思っていません。もちろん労働力人口が減少するなかで採用は難化していますが、多様性という概念が浸透し、IT業界に入ってくる方も多様化したので、幅広い業種からの転職、グローバル人材の流入が進んでいます。そのため、年齢・性別・国籍・人種、あらゆる観点で人材が多様化し、採用対象の幅が広がったため、相対的に採用難度は下がっていると感じています。

一方で、難度が上がっているのは、組織づくりのほうだと捉えています。

──人材の多様化が、組織づくりへの新たな課題に向き合う機会にもなっているということでしょうか。

まさにそうですね。会社にはそれぞれ価値観がありますが、カルチャーを体現し、ミッションをどう実現していくかの難度はますます上がっています。

マネーフォワードには「User Focus」「Technology Driven」「Fairness」の3つのバリューがあります。これらと社員一人一人の「WILL(意志)」をすり合わせていくこと、その積み重ねがカルチャーであり、マネーフォワードでは「Speed」「Pride」「Teamwork」「Respect」「Fun」を社員全員が大切にするカルチャーと定めています。これらをどれだけ具現化できるか、体現している人たちの集まりにできるかが肝だと、強く思っています。

マネーフォワードは事業ポートフォリオも社員数も急拡大を遂げ、組織変化が非常に激しい環境です。そのようななかでは、一人一人の成長が常に事業や会社の成長を上回り続けるくらいに変わっていく必要があると思います。しかし、そのなかで変えてはいけないのが「なぜこの会社があるのか」ということを常に忘れないことです。この会社は何を実現しようと思っているのか。そして、自分はなぜこの会社を選び、何をしたいと思っているのか。会社のビジョンと個人のWILLがひもづいていることはとても大事なことだと思っています。こういったことを軸に「遠心力」を働かせながら、いかに大きく回転していけるかが、強い組織づくりにおいて重要だと考えています。

事業と採用それぞれの戦略をひもづけ、マネーフォワードをより強い組織へ

──竹田さんは、HRBP室長も兼任されているとのことですが、HRBP室が立ち上がった背景について教えてください。

マネーフォワードはマルチプロダクト展開をし、複数事業を運営しながら提供価値の最大化を目指しています。従って、「ポートフォリオ経営」という考え方で組織づくりを進めていく必要があります。

全社の人事機能はPeople Forward本部という組織が担っています。しかし、各事業の戦略や組織状況・特性を細かく把握して採用戦略や人事戦略を立てられるかというと、限界がありました。事業成長のスピードによって、数年単位の中期経営計画通りには動かないことも多いからです。

そこで、事業側に組織開発を行うセクションを置き、事業戦略に密接にかかわりながら採用戦略や人事戦略を立てる組織として、2021年、ビジネスカンパニー内にHRBP室が立ち上がりました。

──HRBP室が担う役割や、マネーフォワードの採用戦略の立て方についてお聞かせください。

各事業の責任者と定期的にディスカッションし、どんな人材が何人必要かを、事業戦略に基づき決定しています。

理想をいえば、「事業戦略の解像度が高く、人事のスペシャリストであり、経営視点も持っている」という事業横断の最高人事責任者(CHRO)がいたらいいなと思いますが、そんなスーパーマンはなかなかいません。なので、その役割を事業責任者みんなで分担し、全体の取りまとめと推進支援をHRBP室が担当しているような状況だと思います。

事業の拡大にともない、中期経営計画から大幅に採用必要人数が増えたときには、各事業部が担う採用業務も増加します。その際に、やみくもに「みんなでとにかく頑張ろう」と訴えても、実現性や成功確率は変わりません。そんなときに、事業戦略や組織特性をよく理解している人事戦略機能が採用すべき人物像を高い解像度で共有することで、より採用の可能性を向上させたり、拡充すべきポジションの優先順位を明確にしたりするなど、選択と集中を適切にコントロールすることで、「事業価値の向上に大きなインパクトを与える人事施策」を実行支援する。そんな機能をHRBP室が果たせればと考えています。

──HRBP室が立ち上がって1年ほどたちましたが、感じている手応えや今後取り組みたいことについてお聞かせください。

多くの方を新たにお迎えしたいと考えているなか、採用はおおむね順調に進展できています。また「採用する人材、入社した人材」について、時に合宿なども行って、「具体的なアクションを決める議論」を重ねるなど、人事・組織について、各事業責任者のみならず、現場のメンバーの多くがマインドシェアを上げて取り組む状態になっていると思います。実際に、現場のメンバーの多くに「採用は、事業をよく知る自分たちで推進していこう」という意識が広がっていると感じます。

今後は、企業の成長に合わせた「計画的な配置転換」も必要になってくると考えています。マネーフォワードには、従業員発意の異動希望を実現するための社内公募制度「MFチャレンジシステム」があり、個人の意思でキャリアアップを実現しやすい環境が整っています。しかし、選択できる仕組みが充実している一方、事業戦略起点による配置転換はあまり行われてきませんでした。個人の希望起点のみの配置転換で事業計画を実現してゆくことは当然難しいわけです。ただこの際、社員個々人にとって、異動が「キャリアステップのターニングポイントになる」という視点がとても重要だと考えています。

HRBP室の設置やこれまでの事業部全体での取り組みの結果、各事業責任者がメンバー一人一人の経歴や強み・弱みをより詳しく把握し、例えば「何が強くなれば次のステージを任せられるのか」をより深く考えられるようになってきました。組織戦略にひもづいた計画人事を進める際も、トップダウンの一方的な辞令ではなく、「この仕事に挑戦することがその人にとってどういった機会になるのか」を擦り合わせ、配置転換についての対話時間そのものが、気づきを与える機会になってきています。計画人事を実現できる素地ができることで、個人の活躍がマネーフォワードを発展させる力となり、より強い組織に変化してゆくことができると考えています。

──社会環境の変化から人材流動性が高まっていますが、今後の採用・人材戦略をどう進めていきたいと考えていますか。

どれだけ会社の規模が大きくなったとしても、私たちは常に「ベンチャー」です。なぜなら、私たちのミッションである「お金を前へ。人生をもっと前へ。」を実現するには、非連続の成長をし続けなければ実現ができない大きなものだからです。

市場の成長にあわせて事業を成長させていくことは、ある意味当たり前のことです。私たちが実現しなければならないことは、市場に対して変化点を生み出していくこと。そのためには圧倒的に人の力が必要です。多様な方々の力を結集し、何倍にも増幅して、事業の価値向上に生かさなければなりません。

そのカギとなるのはカルチャーだと思っています。「なぜやるのか」という一点に個々人のWILLがひも付き、集結した一枚岩の組織であれるかどうかが重要です。私たちのカルチャーの一つに「Respect」という言葉があります。常に、感謝と尊敬を忘れず、誰に対しても誠実であり続けること。この姿勢はマネーフォワードの人や組織の特徴をよく表していると感じています。実際、社歴や年齢、役職に関わらず、マネーフォワードにはリーダーシップを発揮するメンバーがとてもたくさんいます。これは「Respect」の姿勢で、互いを認め合い、学び合い、そうして多様性を大きな力に変えている一つの事象なのではないかと思っています。たくさんのリーダーがいる、超活性化した組織をこれからもみんなで目指し、つくっていきたいと思います。

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著者プロフィールBizReach withHR編集部

BizReach withHR編集部です。先進企業の人事担当者へのインタビューや登壇イベントなどを中心に、企業成長に役立つ「先進企業の人事・採用関連の事例」や、 事業を加速させる「採用などの現場ですぐに活用できる具体策」など、価値ある多様なコンテンツを展開していきます。