2021年9月9日、株式会社ビズリーチは「日本の情報革命を起こし続ける、ソフトバンクの人材戦略」と題したWebセミナーを開催しました。
ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 人事本部 採用・人材開発統括部 統括部長の足立 竜治様にご登壇いただき、採用の考え方や、採用チームの取り組み事例についてお話しいただきました。モデレーターは、株式会社ビズリーチ取締役副社長・酒井哲也が務めました。

登壇者プロフィール足立 竜治氏
ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 人事本部 採用・人材開発統括部 統括部長
2012年から人事企画部長としてソフトバンクの人事企画全般、新規事業提案制度の立ち上げ、2013年からグローバル人事部長として、グローバル人事全般を担当。
2015年からソフトバンクロボティクス株式会社 人事部長を兼務。2016年からは組織人事部長として、主に技術部門向けのHRBPをリード。
2018年から組織人事統括部長として、組織人事全体を統括。
2021年より人材開発、および採用責任者として、ソフトバンクユニバーシティなど人材開発領域の各種施策や、ソフトバンクらしい「攻め」の採用戦略を牽引する。

モデレータープロフィール酒井 哲也氏
株式会社ビズリーチ 代表取締役社長 ビズリーチ事業部 事業部長
※所属・役職等は制作時点のものとなります
ソフトバンクの事業と採用について
足立 「ソフトバンク」と聞くと「携帯電話の会社」とイメージする方が多いと思います。しかし現在は、ヤフー株式会社やLINE株式会社などを含め300社を超えるグループ企業があり、圧倒的なお客様チャネルを抱えています。
2021年4月には持続的な成長の実現に向け、役員体制を刷新。「Beyond Carrier」という成長戦略の下、コアとなる通信事業と並行して、新領域も拡大する成長戦略を描いています。

ソフトバンクのキャリア採用
ソフトバンクでは、中途採用を2017年度より再スタートしています。
事業の成長を加速させるにあたり、通信事業だけではなく、新領域における複数の成長事業を具体化できる人材が必要です。

募集ポジションは、エンジニア、ビジネス、クリエーティブ、コーポレートを含めて計200にわたり、募集総数は約700名。うち70%がエンジニアです。国内のIT人材は今後も40~80万人規模で不足することが予想されており、他社と同様に当社でもエンジニアの採用を強化することが重要と考えています。
採用チームの取り組み事例
では具体的にどのような採用をしているのかを説明していきます。
キャリア採用体制
キャリア採用の体制は、母集団形成や選考、スカウト、候補者フォローなどを行う12名のリクルーターと、選考管理・日程調整などのオペレーション業務を行う10名のコーディネーター(うち派遣社員7名)で構成されています(2021年9月時点)。
リクルーターには、人事の専門だけではなく、営業やマーケティング、エンジニアなどさまざまなバックグラウンドを持つ人材が集まっています。多様な人材を採用するうえで、多様なリクルーター人材の存在が大事だと考えています。
採用規模や採用チーム体制は大きいものの、実際には、「募集ポジションが多すぎる」「事業変化が早すぎる」「リクルーターの経験不足」など、さまざまな悩みがあるので、課題に応じた対策を進めています。
募集ポジションを分類することでセグメント別に対応
母集団形成では、まずは募集ポジションを分類するところから始めます。
具体的には、母集団の対象人数が多いか少ないか、応募喚起率が高いか低いかで、4象限に分類してマッピングしています。
対象人数が多いのは「転職市場にいる層」(顕在層)、対象人数が少ないのは「転職市場に出てくる前か、出てきた瞬間に採用されている層」「転職市場にいない層」(潜在層)です。


そして、これらのゾーンごとにチャネルを分け、採用施策を考えています。


ソフトバンクのキャリア採用戦略
キャリア採用戦略では、
- RPO(リクルートメント・プロセス・アウトソーシング)の活用の最大化
- 自社採用力の強化
- 採用ブランディング
- 候補者ファースト
- 入社後フォロー
- 社内トレーニング
の6つの観点で取り組みを進めています。
RPOの活用の最大化
顕在層採用においては、一部の募集ポジションにてRPOを活用しています。選考業務以外を業務委託し、採用の効率化を図っています。ポジションの集約が重要なので、JD(ジョブディスクリプション)が似ているものはまとめ、書類の振り分けができる採用部門の担当者を立てています。合否基準の目線を合わせ、選考スピードを上げることで、立ち上げから半年で100名の採用を達成しました。


自社採用力の強化
自社採用力を上げるために、転職市場に出てこない層へのアプローチや、一度タッチした人材の有効活用を進めています。具体的には、「ダイレクトスカウト」「リファラル社員紹介」「タレントプール」です。
ダイレクトスカウト
採用部門が求める要件を把握してスカウトを送るため、候補者とポジションがマッチしやすい特徴があります。カジュアルな面談を通じて接点を創出することで、伝えられる情報量を増やしています。
結果、応募から受諾に至る率が8%(2020年度の応募者)、入社1年後の定着率は93%になりました(2019年8月以降に入社した社員の1年後の定着率)。
リファラル社員紹介
働いている社員からの紹介のため、採用部門のニーズにマッチする人材を採用しやすくなります。社内の雰囲気や働く環境を正しく伝えやすくなり、応募から受諾に至る率は22%(2020年度の応募者)。1年後の定着率は100%という結果になりました(2019年8月以降に入社した社員の1年後の定着率)。
タレントプール
さまざまな採用チャネルで接点を持った人をプールし、必要なタイミングでアプローチできる仕組みを整えています。年に一回「ソフトバンクグループキャリアLIVE」というイベントを行っており、その参加者約2,800名もタレントプールの対象としています。
採用ブランディング
採用に関する情報は当社が運営するWebサイトに集約し、オウンドメディアとして、エンジニアの社員のインタビューや、女性のキャリア支援をはじめとしたダイバーシティ推進のコンテンツを強化しています。

候補者ファースト
候補者のニーズにあわせて選考を進められるよう、顕在層や潜在層ごとに取り組みを分けています。
顕在層向けには「1Day選考会」を実施。事前に会社や募集ポジションについて説明をする時間を設けたうえで、土日を使って1日で面接を終了する仕組みをとります。選考スピードで他社からアドバンテージをとれるほか、一度に複数の候補者を比較して優秀な人材を絞れることに加えて、複数名の内定が期待できます。

ソフトバンクでは選考のリードタイムは平均34日としており、応募から初回面接は19日、初回面接から内定受諾は14日で進めています。
潜在層向けには、「候補者とのフォロー面談」を実施しています。1次面接と2次面接の間にフォロー面談を入れ、疑問点の解消や不安の解消、次の選考ステップへの移行率を上げることが目的です。

入社後フォロー
入社後フォローでは、入社3カ月後にコンディションチェックとしてアンケートを実施。また、月に1回全社員にパルスサーベイを行います。
採用部門が何をすべきかオンボーディングマップを作成し、入社後面談を行うなど入社者が活躍して定着できる体制づくりを進めています。
社内トレーニング
人事側のリクルーターのスキルアップに向けて、採用ノウハウをインプットする研修を行っています。
人材を募集する採用部門の面接官に向けては、面接にリクルーターが同席し、(最近はオンライン面接が主のため)オンラインでの画面の映り方や話し方についてフィードバックしたり、候補者からの感想をもらうなど、採用部門の面接官の「自己流」を防止して、質の向上に努めています。
そのほかの取り組みとしては、採用オペレーションの効率化に向けてRPAを導入。もともとソフトバンクでは4,000人分の業務のデジタル化を目指す「デジタルワーカー4000プロジェクト」を推進しています。
採用オペレーションにおいても、これまでやっていた手作業のメッセージ送信やデータの更新作業、エクセル入力などを自動化し、ヒューマンエラーの削減にもつながっています。


Q&A
セミナーの後半には、視聴者から多くの質問をいただき抜粋してお答えいただきました。
最後に、視聴者の皆様へメッセージをいただきました。

Q&Aでは視聴者からいただく質問の数の多さに非常に驚きました。ここまで関心を持っていただき、最後まで聞いていただいたことに感謝しかありません。
多少なりとも皆様の採用活動の参考になったら何よりです。今回は貴重な機会をいただきありがとうございました。
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