【福岡セミナーレポート】激動の時代に直面する組織課題と勝ち抜く人材戦略

2021年1月27日、株式会社ビズリーチ主催で「激動の時代に直面する組織課題と勝ち抜く人材戦略」と題したWebセミナーを開催いたしました。
こちらのセミナーレポートでは、九州に本拠地を置く企業2社をスピーカーに迎えたトークセッションの内容を、一部抜粋してお届けします。

トークセッションでは、人材戦略・採用戦略の背景やプロセスに加え、戦略を推進する際の障壁や、それをどのように乗り越えたのかなどをお話しいただきました。企業のリアルな声を届けることで、経営課題を解決する糸口を探っていきたいと思います。

鈴木 正人氏

登壇者プロフィール鈴木 正人氏

トックス プレソテクニック株式会社 代表取締役 社長

名古屋市出身。前職の生産財部品メーカーでは33年勤務のうち、イギリス、ドイツ、中国で20年間、海外マネジメントを経験。2017年4月にトックス プレソテクニックの日本法人社長に就任(ドイツに本社を置く、プレス、接合技術の装置・生産ラインの設計開発メーカー。日本法人は福岡県粕屋郡)。当初は社員9名だったが、4年間で12名(うち6名はビズリーチ経由)を採用。現在は、鈴木氏を含め22名まで組織を拡大させている。
山岸 一也 氏氏

登壇者プロフィール山岸 一也 氏氏

小倉合成工業株式会社 取締役 経営管理部長(兼 経営企画室長)

東京都出身。前職は化学メーカーで新工場建設プロジェクトメンバーとして営業拠点の立ち上げに携わる。サステナブルな材料で植物油脂を二次加工している、小倉合成工業のSDGsに沿ったビジネスモデルに引かれ、北九州にIターン。2018年に入社し、19年末に取締役に就任。営業・マーケティングに従事しながら、人事、総務、経理、財務、購買、ICT化推進、事業企画などを幅広く管掌している。
山際 翔太朗氏

モデレータープロフィール山際 翔太朗氏

株式会社ビズリーチ 広域統括部 福岡オフィス ダイレクトリクルーティングコンサルタント

宮崎県出身。前職で8年間、社内の人事体制の構築から、採用戦略立案・実行に至るまで人事全体を管掌。DX推進と同時に新組織を立ち上げる。自らもビズリーチを利用してCTOの採用に成功し、IT部門の立ち上げとIT分野の内製化に着手。その後、企業の事業構想の実現を支援すべく株式会社ビズリーチに入社。現在は、採用支援のみならず、転職市場におけるマーケティング立案や組織体制の構築にも従事している。

山際:今回は、人材戦略において先進的な取り組みをしてきたお二人に、その具体的な内容をお伺いしていきます。お二人とも、Iターンの外部人材として現職に就き、人材採用をはじめ事業戦略を推進されていますね。

鈴木:そうです。前職の生産財部品メーカーで海外拠点のマネジメントを長くやってきた経験を買われ、2017年に、ドイツ本社から日本法人の代表を任されました。ミッションは、日本での売り上げとシェアの拡大です。

山岸:私は2018年に小倉合成工業に入社し、19年に役員が一新するタイミングで取締役に就任しました。地方の中小企業で、人事制度をはじめ組織風土の刷新が長くできていなかったため、その変革が求められました。

外部人材はカルチャーフィットを慎重に判断

山際:既存の組織風土があるなかで外部人材として入られ、変革を進めていくのは大変な苦労があったのではないでしょうか。社内コミュニケーションはどのように進めていきましたか。

鈴木:就任当初は既存社員が9人で、メンバーからすれば「ドイツから派遣されてきたよく知らない人」が突然代表になった、という感覚でしょう。

そこで、最初の3カ月は「メンバーと信頼関係を構築するための時間」として捉えていました。具体的には、製造工場をはじめ現場に足を運び、営業にも同行。一人一人の性格や業務内容を理解し、ときに営業先で自分のセールススキルを見せながら、コミュニケーションをとっていきました。

9人のなかでも、とくに心を開いてコミュニケーションをとってくれたメンバーには、実現したい事業戦略を話し、少しずつ理解者を増やしていきましたね。

山岸:私も、入社当時は、社員一人一人とコミュニケーションをとりながら、「変革意識を持っている人」を見定めて理解者を増やしていきました。さらには、小倉合成工業を次世代にどうつないでいくか、発展させていくかという視点で、経営戦略を練り込み、社長をはじめとする経営層ともコミュニケーションを重ね、変革の風土を醸成しました。

山際:入社以来、積極的に外部人材の採用を進めていますが、外部から人材を採用するメリットをどう感じていますか。

鈴木:新たな外部人材の採用は、事業戦略の推進と企業文化の変革のために必須です。当社で最初に採用した外部人材は40代の営業経験者でした。「こんなことをやりたい」と言っても、既存メンバーはどうしても「今までやったことがないし、できないんじゃないか」と考えがちです。でも、外部人材は前例や慣習を知らないからこそ、素直に聞いて「やってみます」と実行に移しやすい。実際に、そのメンバーが実績を出してくれたことで、既存メンバーは「できるんだ!」と変化を受け入れることができました。

そもそも、既存メンバーにはないスキルや経験を取り入れるために、外部人材採用は不可欠だと思います。現在、メンバー5人を持つエンジニアリンググループのマネージャーは、エンジニアリング設計経験とマネジメント経験があり、海外駐在が長く語学力と異文化理解力にたけています。当社はドイツのメーカーなので、海外とのやりとりは欠かせません。そこをスムーズに進められる人材として、既存メンバーには該当者がいなかったので、外からの採用を決めました。

山岸:外部人材採用は、カルチャー変容のためにも必須だと思います。

新型コロナウイルスの影響で、中小企業は生き残るために何をすべきか、変革が目の前につきつけられていることを痛感させられました。世の中のスピードに合わせて経営戦略を実行するためには、目標達成に必要なスキルや経験、マインドを持った人に外から入ってもらうことが重要だと思います。

山際:外部人材と既存組織のコンフリクト(対立)やオンボーディングの課題はどのように乗り越えていますか。

鈴木:選考の段階では、カルチャーフィットを慎重に見ました。スキルや経験が素晴らしくても、チームとして信頼関係を構築できなければ同じ目標を目指すのは難しい。面接は3次まで行い、自分自身を徹底的にオープンにして、仕事観を話し合いました。

また、給与や福利厚生などの待遇面は、候補者のニーズを経理マネージャーに相談しながら2人で柔軟に決めていきました。

山岸:当社でも、カルチャーフィットを大事にしています。外部人材の採用を進めるにあたり、これまで辞めた人にコンタクトをとって内部調査をしてきたのですが、辞める理由の多くが人間関係でした。どんな人とどのような働き方をするのか、どんな業務内容を任せたいのかをあらかじめ伝え、面接で当社になじめそうかを見極めました。

しかるべき人が人材戦略のフロントに立って、スピーディーに取り組んでいる

山際:トックス プレソテクニック様は、鈴木様が代表に就任されたあと、12名(うちビズリーチ経由で6名)の採用に成功、小倉合成工業様もビズリーチ経由で4名の採用実績があります。採用成功のポイントは何だと思われますか。

鈴木:代表である私が、誰よりも情熱を持って採用に力を入れることが大切だと思います。

まずは、公式サイトやYouTubeなどで発信量を増やし、検索したら見ていただけるような土台を作りました。そのうえで、私がデータベースをサーチし、転職マーケットの状況を学びながら募集要項を3~4回練り直し、スカウトを送り、返信が来たらすぐに対応。面接日まで時間があれば、お互いに自己紹介を伝え合うなどコミュニケーションのスピードを上げ、こまめなやりとりを心がけました。

当社の所在地は、福岡の都心でもなく立地上のハンディキャップが大きいんです。ではなぜ今の中途メンバーがうちに入ってきてくれたのか。みんなに理由を聞くと、「社長が直接連絡してくれて、事業内容をかなり詳細に話してくれたから」「こんなにオープンに会社のことを話してくれるところはほかになかった」と言います。社長の自分が情熱を持って話すことで説得力が違ってくると考え、今も最前線で動いています。

山岸:まさに鈴木さんがおっしゃるように、採用を進めるには、社長のコミットが不可欠だと思います。私は「採用に力を入れなければ会社の存続はない!」と、かなりの熱量で社長にアプローチしつづけ、社長と2人で採用を進めるというコンセンサスをとりました。パワーが必要なものなので、やりきる覚悟が大切です。

また、当社の最大の強みは業界内屈指の技術力です。クオリティー担保のためにどんな取り組みをしているかなど、技術力の高さを魅力に感じていただけるよう丁寧に説明しています。

給与面では、現時点で大手企業のような待遇は難しいのですが、これから制度改革を進め、新しくジョインされる方にも納得していただけるような仕組みを準備しています。その内容についてもしっかりと伝えるようにしています。

山際:ビズリーチをご活用いただくなかで、どんなところに魅力を感じていただけていますでしょうか。

鈴木:一番の良さは、登録されている方のスキルの高さです。先ほどもお話ししたように、当社では、スキル面以外に語学力や異文化理解力を求めることが多いのですが、そうしたハイレイヤー層も数多く登録されているので、マッチングの確度が高いです。

山岸:即戦力として、期待する人材、経営目標を達成するためにドライブできる人材を見つけやすいのがいいですね。

毎日データベースを見ながら、業界トレンドや市場感を学べる点も役立っています。どういう人がどういう要件で仕事を探しているのか、世の中の流れについての情報を収集できるので、それを参考に人材戦略を立てることもできます。

山際:お二人が、経営陣として最前線で即時即決の採用活動を行っていることがよくわかりました。そして、トップがコミットすることが採用成功につながる、とてもいい事例だったと感じます。本日はありがとうございました。

鈴木・山岸:ありがとうございました。

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著者プロフィールBizReach withHR編集部

先進企業の人事担当者へのインタビューや登壇イベントなどを中心に執筆。企業成長に役立つ「先進企業の人事・採用関連の事例」や、 事業を加速させる「採用などの現場ですぐに活用できる具体策」など、価値ある多様なコンテンツをお届けしていきます。