チームビルディングとは何か。オンラインでできる研修や事例を紹介

企業活動において欠かせないのは、チームメンバーの結束や目標達成に向かうモチベーションです。しかし変化の激しい社会のなか、テレワーク化によるコミュニケーション不足など組織の課題を感じることもあるでしょう。

そこで重要なキーワードとなるのが「チームビルディング」。チームビルディングとは、メンバーそれぞれがスキルや個性を発揮しながら、チームが一つの目標に向かうための取り組みのことです。

今回はそんなチームビルディングの必要性や目的、理論、具体的なワークショップ・ゲームの例などをご紹介します。


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チームビルディングとは

チームビルディング(team building)とは日本語にすると「チーム作り」。

メンバー一人一人が、主体的に個性や能力を発揮しながら、一丸となって目標達成を目指すチームになるための取り組みを指します。単に組織が一つになるのではなく、お互いに持っている異なるスキルや考え方を認め合い、多様性が生きる関係性を築くことが重要です。

たとえば企業のリーダーシップ研修や新入社員を迎える際など、さまざまな場面でチームビルディングが行われます。

チームビルディングの必要性・目的

昨今、企業においてチームビルディングが重要視されているのには、社会的背景があります。従来の日本企業はリーダーとメンバーの役割が明確で、メンバーは与えられた目標に対して役割を果たすという形が一般的でした。しかし現代ではテクノロジーの進化や社会構造の変化によってビジネスが複雑化しています。

そのような状況に対応するため、チームメンバーの一人一人がリーダーシップを発揮し、改善・成長を続けることが必要不可欠。チームビルディングによって、各個人の主体性やお互いの協力関係を強化することが重要です。

チームビルディングの目的として、具体的には以下の4つが挙げられます。

コミュニケーションの活性化

チームビルディングの目的としてまず挙げられるのは、コミュニケーション不足の解消です。

チーム内のコミュニケーションが不足していては、個人の多様性を尊重することや、それぞれのスキルを生かすことも難しいでしょう。チームでのコミュニケーションが増えることで、建設的な議論を行うことにつながり、チームが変革する土壌になると考えられます。

メンバー同士で価値観を共有し相互理解を深めることが、チームビルディングの大きな目的といえます。


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マインドセットの醸成

チームで掲げる目標は一人では達成できない大きな目標であることが多く、その目標達成のためには、目標に対してメンバー全員が「達成したい」という想いを持ち、業務に向かっていくことが大切です。

身体を動かすアクティビティなどを実施し一体感を作ることで、「このチームで目標を達成したい」というマインドセットの醸成につながります。

企業やチームのビジョン浸透

企業やチームのビジョンを浸透させることも、チームビルディングの目的の一つです。

特に内定者や新卒社員、中途社員に対して、チームビルディングを通してミッションを伝え浸透させることができるでしょう。新プロジェクトが始まる際や新年度のキックオフに、チームビルディングを導入するのも有効です。

チームのパフォーマンス向上

チームビルディングの大きな目的として、チームのパフォーマンス向上があります。

メンバーそれぞれのスキルや個性が十分に発揮され、チームの課題解決力が上がることでパフォーマンスの向上につながります。チームビルディングを導入すれば、すぐにパフォーマンス向上が期待できるといったものではなく、組織が段階的に成長していくことで、結果としてパフォーマンス向上になります。

チームの成長ステップについては、次でご説明します。

チームビルディングの5ステップ「タックマンモデル」

チームは、単にメンバーが集まっただけでは機能しません。メンバー同士が互いに尊重し合い、協力関係を築くことで徐々にパフォーマンスが発揮されていきます。

チームビルディングの理論として有名なのが「タックマンモデル」。心理学者のブルース. W. タックマンによって提唱されました。

タックマンモデルでは、チームの成長段階を以下5つの段階で説明しています。

  • 形成期(Forming)
  • 混乱期(Storming)
  • 統一期(Norming)
  • 機能期(Performing)
  • 散会期(Adjourning)

ここからは5つの段階について、それぞれ説明していきます。

形成期

メンバーが決定し、チームが形成されたばかりの段階を「形成期」といいます。

形成期ではメンバー同士がお互いをよく知らず、理解していない状態です。チームの共通目標も不確かで、不安や緊張、遠慮があります。

この段階ではまず「お互いを知る」ことが重要です。全員が気軽に楽しめる協力型ゲームや飲み会・懇親会などでチームビルディングを行うのが手段の一つ。リーダーが主導して課題や、目標達成を妨げる要因を見つけていくことで、次の段階に進みます。

混乱期

チームの目標が定まり、プロジェクトが進み始める段階を「混乱期」といいます。

この段階では、チームとしての目的や個人の役割が定着しておらず、衝突・対立が起こりやすい時期です。いざ仕事が始まってみると、考え方ややり方などの違いが明確に現れます。メンバーの意識はチーム内に向かいがちで、たとえば「言葉の使い方が気に障る」「資料作成の仕方が気に入らない」「目標達成のイメージが食い違っている」など、メンバー同士の衝突・対立が起こりやすくなります。

チーム一丸となってはいないこの状況で、成果を出すことは難しいでしょう。しかし、パフォーマンスを発揮できるチームを作っていくためには、この混乱期の乗り越え方が重要だと言われています。

対立を恐れずに議論や対話を通じてお互いの理解を深め、なるべく早く解決策を見出していく必要があります。

統一期

意見を十分に交わし合ったことでお互いの理解が深まり、安定したチームに統一されていく段階を「統一期」といいます。混乱期から統一期に進むには、リーダーが各メンバーをフォローしたり、さまざまな意見をまとめたりと、リーダーの役割が重要です。

統一期では、個々人の持ち味が生かされ、チームとして目指す方向性に対しても共通の意見を持てるようになります。メンバー対メンバーの対立ではなく「問題点」対「チーム」の構図が生まれます。

この段階に置いては、チームビルディング研修というよりも、個人へのフォローや進捗管理がポイントになります。

機能期

チームとして十分に機能している段階を「機能期」といいます。一人一人が自律的な行動を取れるようになり、メンバー同士がサポートし合うことで、チームのパフォーマンスが発揮されます。

統一期との違いは、リーダーから言われなくても規律や成果が生み出される点。統一期ではリーダーが規律やルールを提示することでチームの安定が図られる一方、この段階ではメンバーそれぞれが自律的に動き、自然とサポートし合うことができるように。それぞれの役割が果たされることで成果にもつながる段階です。

散会期

プロジェクトが終わり、チームが解散になる時期を「散会期」と呼びます。メンバーが異動したり、成長してきたメンバーが新たに自分のチームを持ったりなどの変化があります。退職者が出ることもあります。

チームビルディングが成功したか否かは、この時期のメンバーがどのような反応をするかで判断できます。解散を惜しむ声やお互いの業績を称え合うなど姿などが見えれば、よいチームとして成長してきたことが分かるでしょう。

散会期でチームとして一区切りつくことで、また新たに次のチームや仕事に向き合うことができます。


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チームビルディングの強化に適した場面とは?

チームビルディングのためのゲームや研修は、さまざまな場面に導入することができます。具体的に見ていきましょう。

部署・チームごとの研修

組織再編などで新しく生まれたチーム・部署など、チームが結成されたばかりのタイミングは、チームビルディングに最適です。メンバーの緊張を解きコミュニケーションを増やすには、楽しむ要素があり、ゲームとして取り組める内容がよいでしょう。

社内交流イベント

企業組織全体のチームビルディングを行うには、社内交流イベントが考えられます。身体を動かすアクティビティや社員旅行、BBQイベントなどの中で、チームビルディング研修やワークショップを行います。

業務以外の場面でも親睦を深めることで相互理解が深まり、チームが一致団結に向かうでしょう。主体的な行動を促したい場合は、メンバーそれぞれが意見・アイデアを出したり、積極的な参加をしたりすることが必要なワークショップ形式が適しています。

業務の中で

チームビルディングのためにまとまった時間が取れない場合は、業務の中でチームビルディングを行うことが可能です。たとえばミーティング冒頭の10分で、お互いを知るワークを取り入れたり、自らの状況を共有・他メンバーのサポートを考えたりすることで、よりよいチームへと成長することができるのではないでしょうか。

チームビルディングを行う際のポイント

チームビルディングの研修やゲーム、ワークショップを行う際には、いくつかポイントがあります。静的な手法として挙げられる「対話」のポイント、動的な手法である「ゲームやアクティビティ」のポイントそれぞれについて説明していきます。

対話におけるポイント

対話(ダイアローグ)では、ディスカッションにならないよう、ファシリテーターが軌道修正することがポイントです。お互いの価値観を話し合ったり、相互理解を深めたりすることに主眼を置きます。相手の話を遮らない、お互いの価値観を認め合うなど、対話前にルールを共有するとよいでしょう。

いいアイデアや結論に到達することが目的ではなく、気持ち・立場を理解し合うのが大切であることを全員が理解するのが大切です。

ゲームやアクティビティ、イベントにおけるポイント

チームビルディングは、ゲームやアクティビティなどの実施を通して行うこともあるでしょう。その際は、単にゲームやイベントを楽しむことに終始しないよう、気づきや変化の振り返りを行うことがポイントです。振り返りの際に「対話」を取り入れるのも一つの方法でしょう。また、役割やチーム編成にも気を配ることが大切です。


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オンラインでできる。チームビルディングに有効なワークショップ・ゲーム7選

チームビルディングに有効なワークやゲームは、簡単にできるものから一日〜数日かけるものまでさまざまです。テレワーク化が進む昨今の状況下では、オンラインで実施できることもポイントでしょう。

ここでは、業務の中ですぐに取り組める簡単なものから時間が必要なものまで、オンラインでできるワークやゲームをご紹介します。

チェックイン(所要時間10分程度〜)

「チェックイン」は、今の自分の気持ちや体調、状況について、ネガティブな感情も包み隠さず発表するワークショップです。ミーティングや研修の冒頭など、アイスブレイクをする場面にも適しています。

チェックインを行うことで、参加するメンバーの意識を「今ここにある場」に集中させる効果があります。また、ネガティブな感情も包み隠さなくてよいとすることで、安心して場に参加できる土壌作りにもなります。

陽口ワーク(所要時間20分程度〜)

陽口ワークは「陰口」の反対で、相手のいない場で相手を称賛・承認するワークです。陽口を言われる人を決めたら、その人はカメラをオフ、自分の音声をミュートにします。他のメンバーは、2分程度でその人の尊敬しているところや業務の中での頑張りなどを話し合います。話し出すときは「ここだけの話…」などと始めるとよいでしょう。終わったら、陽口を言われた人は感想や印象に残った点について話します。

このワークを行うことが、お互いの承認の機会になります。仕事の成果や行動、チームメンバー自身の存在が認められることによって、自己肯定感が高まり、仲間意識も生まれる効果があります。

Where I’m from ポエム(所要時間30分程度〜)

「わたしは〜〜から来ました」という定型文で、記憶に残っている体験やパーソナリティ、価値観などを発表し合うワークショップです。

たとえば下のポエムを作り、発表を行います。

  • 「わたしは怒号が飛び交う現場から来ました」
  • 「わたしは穏やかな春の日差しの中から来ました」
  • 「わたしは一人ぼっちで作業する部屋から来ました」
  • 「わたしは緑いっぱいの森の中から来ました」

ポエムを作るなかで作者自身は、うれしかった感情や満たされなかった思いなどが湧き上がり、どのようなことが今に影響しているのか自己認知を高めることができます。

ポエムを聞いている人は、その言葉から情景を想像し、発表者の人生の追体験をします。メンバー同士がお互いに深い理解と共感を得ることができるワークショップです。

ワークスタイルトランプ・クラウド(所要時間30分程度〜)

ワークスタイルトランプ・クラウドは、オリジナルのトランプを用いた「働き方」を考えるワークショップです。オンライン上で、その人が大切にしたい働き方に関しての価値観をゲームの感覚で可視化することで、思考の整理と価値観の共有を行うことができます。

トランプ型カードの販売もされており、オフラインでも実施することが可能。内定者や新入社員研修、学生向けのキャリアカウンセリングなどの場面に向いています。

【参考】
オンラインで実施可能!トランプを活用したキャリア支援ツール「ワークスタイルトランプ・クラウド」の販売開始!|株式会社HEART QUAKEのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000056947.html

NASAゲームオンライン(所要時間50分程度〜)

NASAゲームは、チームで合意形成を行うことでチームビルディングにつながります。このゲームは、月に不時着した宇宙飛行士が320km離れた母船に戻るため、手元に残った15個のアイテムの優先順位づけをしていくゲーム。NASAによる模範解答があります。模範解答に最も近い回答をしたチームが勝利となるため、グループで話し合い、できるだけ妥協なく合意のうえ、決定することが勝利へのカギになります。

もともとオフラインで合意形成を行っていくゲームですが、株式会社HEART QUAKEがオンラインで実施できるシステムを提供しています。

【参考】
オンライン研修で実施可能なコンセンサスゲーム!NASAゲームオンライン – ゲームを用いた企業研修なら| 株式会社HEART QUAKE : https://heart-quake.com/article.php?p=9241

MGオンライン(所要時間60分程度〜)

MGオンラインとは、1976年にソニーが開発したマネジメントゲーム(MG研修)のオンライン版。大手企業を中心に5,000社で受講されている、マネジメントを実践的に学ぶゲームです。ボードを使ったゲームを通して経営者感覚や戦略性を身に付けることができます。

参加者同士で楽しみながら成果を競い合うことで、チーム内にいい意味のライバル意識を生むことができるでしょう。

【参考】
正式版 MG研修| 100万人が受講、社長の右腕を育てる定番の経営戦略研修 : https://mg-online.jp/

『リモ謎』(所要時間90分程度〜)

リモ謎は株式会社IKUSAが提供する、リモートワークでできる謎解き脱出ゲームです。

ビデオチャット・通話を使い、チームで協力をしながらストーリーに沿った謎を1時間〜1時間半の間に解きます。チームで協力し合わないと解けない謎が出題されるため、コミュニケーションが多く発生します。フルリモートで実施でき最大100名まで参加可能なため、大人数のチームビルディングに向いているでしょう。

【参考】
リモ謎 | 企業向け謎解きチームビルディングの決定版 | IKUSA.jp  : https://ikusa.jp/service/remote-work-mystery/

チームビルディング研修を提供している企業(オンライン対応可)

最後に、チームビルディングに関するゲーム・研修の販売・提供やコンサルティングを行っている企業を紹介します。

株式会社IKUSA

株式会社IKUSAは、独自のアクティビティや外遊びコンテンツを豊富に保有しています。先にご紹介した「リモ謎」を提供しています。「合戦武将隊」によるイベント司会・進行なども特徴で、地域活性イベントや社内イベント・研修などの実績が豊富。非接触型のイベントや3密を避けた形でのオフライン研修・イベントの相談も可能です。

【参考】IKUSA.JP : https://ikusa.jp/

株式会社ハートクエイク

先にご紹介した「NASAゲームオンライン」や「ワークスタイルトランプ・クラウド」などを提供株式会社ハートクエイク。ビジネスゲームを用いて「楽しく、学びがある研修を提供する」を理念とし、研修やワークショップなどを提供。ZoomやTeamsなどビデオ会議システムを利用したオンラインでできるチームビルディングゲームを拡充しています。

【参考】ゲームを用いた企業研修なら| 株式会社HEART QUAKE: https://heart-quake.com/

株式会社チームビルディングジャパン

株式会社チームビルディングジャパンは「働く人たちが、自分の働く場でHappyに」をミッションとし、研修プログラムの企画制作運営やチームビルディング・コンサルティングを行っています。テレワーク向けチームビルディングサポートプログラムも提供しています。

【参考】チームビルディングジャパン : https://www.teambuildingjapan.com/

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著者プロフィールBizReach withHR編集部

先進企業の人事担当者へのインタビューや登壇イベントなどを中心に執筆。企業成長に役立つ「先進企業の人事・採用関連の事例」や、 事業を加速させる「採用などの現場ですぐに活用できる具体策」など、価値ある多様なコンテンツをお届けしていきます。